派遣社員が知っておきたい再就職手当と就業促進定着手当。条件次第ではもらえないこともあるので要注意。

派遣社員の基礎知識

派遣社員として就職が決まった場合でも、条件が合えば「再就職手当」が貰えることをご存知でしょうか。

しかも、新しい雇用先での待遇によっては「就業促進定着手当」というものまで受給できる人もいます。

私はこれまで「正社員や契約社員として就職しないと貰えないもの」だと勝手に思い込んでいましたが、そんなことはなかったのです。

派遣社員でも再就職手当、就業促進定着手当を貰うには、どんな条件を満たせば良いのでしょうか。

本記事では、再就職手当がどのタイミングでいくらぐらい貰えるのか、上限額や流れについてなど詳しく説明します。

再就職手当とは

再就職手当とは、失業保険を貰い始めてから間もない段階で再就職できた人が、一定の条件を満たした場合に貰える手当のことです。

失業保険が残った代わりに国から貰える「再就職祝い」のようなイメージですね。

私の先輩は、失業手当を貰い始めて間もなく再就職したので「再就職手当で10万円貰った」と喜んでいました。

ただし再就職手当を貰うには、一定の条件を満たす必要があります。

派遣社員が再就職手当を受給する条件

派遣社員が再就職手当を受給するには、以下の7つの条件を図べ手満たさなければいけません。

<支給の要件について>

① 受給手続き後、7日間の待期期間(※)満了後に就職、または事業を開始したこと。

② 就職日の前日までの失業の認定を受けた上で、基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上であること。

③ 離職した前の事業所に再び就職したものでないこと。また、離職した前の事業所と資本・資金・人事・取引面で密接な関わり合いがない事業所に就職したこと。

④ 受給資格に係る離職理由により給付制限(基本手当が支給されない期間)がある方は、求職申し込みをしてから、待期期間満了後1か月の期間内は、ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介によって就職したものであること。

⑤ 1年を超えて勤務することが確実であること。
(生命保険会社の外交員や損害保険会社の代理店研修生のように、1年以下の雇用期間を定め雇用契約の更新にあたって一定の目標達成が条件付けられている場合、又は派遣就業で雇用期間が定められ、雇用契約の更新が見込まれない場合にはこの要件に該当しません。

⑥ 原則として、雇用保険の被保険者になっていること。

⑦ 過去3年以上の就職について、再就職手当又は常用就職支度手当の支給を受けたことがないこと。(事業開始に係る再就職手当も含みます)。

⑧ 受給資格決定(求職申込み)前から採用が内定していた事業主に雇用されたものでないこと。(引用:ハローワーク「雇用保険資格者のみなさまへ 再就職手当のご案内」

上記の条件の中でも大きなポイントとなる点について以下で説明しましょう。

失業認定されていることが前提

まずは、ハローワークで失業認定を受けていることが前提です。

失業手当を貰うには、離職する直前の2年間に雇用保険に1年以上加入していることが条件となっています。

退職後に前の会社から「雇用保険被保険者離職票」が届きますので、届き次第ハローワークに持参しましょう。その際はマイナンバーなどの身元確認書類や、写真・印鑑などが必要となりますので、詳しくはハローワークのホームページで確認して下さい。

(参考:ハローワークインターネットサービス「 雇用保険手続きのご案内 」

1年以上の長期勤務の見込みがある(3ヶ月更新ありなどでも可)

次に、派遣社員として1年以上の長期であることが条件となっていますが、派遣の場合、最初から「1年契約」ということはまずありません。

しかし2、3ヶ月ごとの更新ありという場合でも、この条件はクリアします。

つまり更新の見込みがあれば該当するので「長期派遣」の仕事を選べば、大抵は対象になるでしょう。

単発派遣や紹介予定派遣は対象外

3カ月以内の短期・単発派遣や、紹介予定派遣の場合は再就職手当の対象外となっています。

単発なら「長期雇用でないこと」が分かりますが、紹介予定派遣の場合は「派遣先での直接雇用を前提とした働き方」なので、一見長期勤務の見込みがあるように感じられますよね。

しかし実際には直接雇用後は雇用先が変わるので「1年以上の長期勤務」とは認められないことと、場合によっては直接雇用に至らず契約が終了となることがあるため対象外なのです。

違う派遣会社で就職すること

派遣の場合、派遣先がその都度変わるので本人からすれば「転職した」という感覚になりますよね。

しかし再就職手当を貰うには、雇用主自体を変えることが条件になるため、同じ派遣会社で派遣先だけ変えるのはNGです。

派遣会社Aから派遣会社Bに変えなくてはいけません。

雇用保険の被保険者であること

次に、雇用保険に加入できる雇用条件で働くことが条件です。

雇用保険の加入条件:

  • 1週間の労働時間が20時間以上
  • 31日以上の雇用見込みがある

フルタイムでは働く場合は問題ないのですが、例えば1日5時間労働で週3で働く場合、週15時間しか労働時間がないため雇用保険の加入条件に該当しません。

いつまでに就職すればいい?

失業手当は人によって受給期間が異なりますが、再就職手当をもらうにあたって重要なのは、支給残日数が受3分の1以上残っている必要があるということです。

以下で例を用いて説明しましょう。(引用:ハローワーク「雇用保険資格者のみなさまへ 再就職手当のご案内」

所定給付日数が90日で給付制限がある人の場合

まずは所定給付日数が90日で、給付制限がある人の場合です。

多くの人は離職理由が自己都合なのでこれに該当します。

自己都合退職の場合、給付制限といって「3カ月は失業手当を貰えない期間」がありますので、その間は給料がない状態です。

給付制限がかかってから1か月間は、ハローワークか職業紹介事業者の紹介で再就職した場合に限り再就職手当が貰えます。

そのため4月から給付制限がかかる場合であれば、5月になるまでの間はハローワーク経由で再就職することを目指す方が良いでしょう。

一方、給付制限から1か月が経過してからの再就職は、何経由で就職したかは問われず対象となります。

ただし支給開始まで再就職しなかった場合は、支給残日数が30日を切る前に再就職しないと対象外になってしまいます。

所定給付日数が90日で給付制限がない人の場合

次に、所定給付日数が90日で、給付制限がない人の場合です。

これは、離職理由が倒産や解雇だった人が該当します。

給付制限がない人は、7日間の待期期間が終了すればすぐに再就職手当を貰えますので、残日数が30日を切る前に就職することだけがポイントです。

ちなみに失業手当の基本手当の所定給付日数に関しては、以下を参考にして下さい。(引用:ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」

自営を開始した場合でも貰える

「再就職手当は雇用される場合のみ貰えるもの」と思う人は多いですが、自営を開始した場合でも再就職手当は貰えます。

所定給付日数が90日で給付制限がある人の場合と同様に、7日間の待期期間満了後、1か月を経過すれば対象です。

再就職手当はいつ、いくら貰える?基本手当の上限額は?

派遣から派遣に就職した場合でも、派遣会社が変われば再就職手当が貰えるというのは朗報ですよね。

私の先輩は早い段階で再就職したので「思いがけず10万円貰った」と言っていましたが、そのタイミングはいつだったのかは分かりません。また、金額は人によって違うのでしょうか。

ここからは再就職手当をいつ貰えるのか、計算方法や上限額などについて説明します。

再就職手当はいつ貰える?

再就職手当は申請書提出後、だいたい1ヶ月前後に一括で振り込まれます。(人によって手続きに時間がかかる)

実際の審査状況については管轄のハローワークに行くことで確認できますが、その際は本人確認書類が必要になります。

個人情報保護の観点から、電話での問い合わせには応じてもらないので注意しましょう。

再就職手当の計算方法

再就職手当の計算方法は、支給残日数によって変わります。

基本手当の支給残日数が3分の1以上ある場合:
基本手当日額×所定給付日数の残日数×60%(ただし就職日が平成29年1月1日前の場合は50%)

支給残日数が3分の2以上ある場合:
基本手当日額×所定給付日数の残日数×70%(ただし就職日が平成29年1月1日前の場合は60%)

たとえば基本手当日額が5,000円、所定給付日数が90日、支給残日数が35日以上ある場合(3分の1以上)、計算は5,000円×35日×60%=105,000円となります。

また、支給残日数が65日ある場合(3分の2以上)、計算は5,000円×65日×70%=227,500円となります。

再就職手当を貰わなかった場合は、日額5,000円×残り65日分=32万5千円となり金額は約10万円ほど違いますが、失業手当を1日ずつ貰うのには時間もかかりますので、この場合は早めに就職して再就職手当と給料のダブルで貰う方が得かもしれません。

所定給付日数に対する支給残日数は以下の表を参考にして下さい。(引用:ハローワーク「雇用保険資格者のみなさまへ 再就職手当のご案内」

再就職手当を計算する際の基本手当の上限額

再就職手当を計算する際の基本手当日額の上限は年齢によって変わります。

(参考:雇用保険の基本手当日額が変更になります ~令和元年8月1日から~厚生労働省


離職時の年齢が59歳以下の場合は6,165円60歳~64歳の場合は4,990円です。

この金額は「毎月勤労統計」の平均定期給与額の増減によって、毎年8月1日に変更されます。

再就職手当を貰うのと失業保険を貰うのとどっちが得?

再就職手当を貰って早期に就職する方がいいか、失業保険を貰い続ける方がいいか悩む人は多いですよね。

たとえば基本手当日額が5,000円、支給残日数が63日(3分の2以上)の時点で手取り20万円の就職をする場合で考えてみましょう。

  • 再就職手当は5,000円×63日×70%=22万500円貰える
  • 支給残日数63日分は働くことになるので、給料約3カ月分(手取り60万)貰える
  • 再就職手当と支給残日数分の給料を足すと3カ月で合計82万500円貰える

上記のように、再就職手当を貰って残日数分を働いた場合、結果的に3カ月で82万は貰えますね。

一方、再就職せずに失業手当を貰い続ける場合は5,000円×残り63日分なので、3カ月で31万5千円だけを貰うことになるのです。

再就職手当を貰う方が、新しい会社での給料が上乗せされるので、合計すると大分金額が高くなりますね。

再就職手当の手続き、申請方法、申請期限について

再就職手当を貰う気満々とは思っていても、手続きは自分一人では済ませられるものではありません。

離職前の会社から貰う書類や、新しい雇用主である派遣会社に協力してもらって書類を用意する必要があるのです。

ここからは、再就職手当の申請手続きの方法や流れ、必要書類や申請期限について説明します。

申請手続きの方法、必要書類や流れは?

派遣会社に用意してもらう書類は「採用証明書」、記入をお願いする書類は「再就職手当支給申請書」、自分で用意する書類は「雇用保険受給資格者証」です。

まずは、再就職手当をもらうまでの流れを見てみましょう。

再就職手当をもらうまでの流れ

  1. 離職した会社から届く離職票をハローワークに提出し、印鑑等を持参の上、失業認定を受ける
  2. 再就職手当の対象期間内に就職し、派遣会社に「採用証明書」に記入依頼をする
  3. 採用証明書をハローワークに提出し「再就職手当支給申請書」を貰う(ハローワークインターネットサービスからダウンロードも可能)
  4. 「再就職手当支給申請書」を派遣会社に記入してもらい「雇用保険受給資格者証」とともにハローワークに提出(電子申請や郵送も可)
  5. ハローワークから「支給決定通知書」が届き、支給決定日の1週間前後に再就職手当が指定口座に一括で振込まれる

人によっては派遣会社の本社と郵送でのやり取りをすることが多いので、就職後は早めに依頼をすると良いでしょう。

申請期限はある?期限を過ぎた場合はどうなる?

再就職手当は、原則として就職してから1ヶ月以内に申請する必要があります。

しかし、再就職手当の申請の有効期限は2年間あるので、その間に申請することも可能です。

申請期限を過ぎた場合でも、時効が完成するまでの期間(2年間)について申請が可能です。(参考:厚生労働省「申請期限について」

上記のように、申請期限を過ぎてからでも時効完成となる2年以内に支給申請すれば、再就職手当が貰えます。

雇用保険受給資格者証を失くした場合はどうすればいい?

いざ何かの手続きをしようとすると、大事な書類が見当たらなくて焦ってしまうという人は意外と多いのではないでしょうか。

万が一「雇用保険受給資格者証」が見当たらないという場合は、ハローワークか電子申請で再交付することができます。

ハローワークに行く場合は、印鑑や身分証明書、離職した会社の名前や連絡先などが分かるものを求められますので持参しましょう。

その日に雇用保険被保険者証の再発行をしてもらえます。

就業先の賃金が前よりも低い場合には就業促進定着手当も

再就職手当を受給した人は、さらに「就業促進定着手当」という手当を貰える場合があります。

それは、今回就職した派遣会社の給料が以前よりも低い場合です。

「就業促進定着手当」とは、再就職手当の支給を受けた方で、再就職先に6か月以上雇用され、再就職先での6か月間の賃金が、離職前の賃金よりも低い場合に、基本手当の支給残日数の40%(※)を上限として、低下した賃金の6か月分を支給するものです。※再就職手当の給付率が70%の場合は、30%

(参考:厚生労働省「再就職後の賃金が、離職前の賃金より低い場合には、「就業促進定着手当」が受けられます 」)

上記のように、新しい派遣会社に雇用されてから6カ月間の給料が、前の給料よりも低い場合、その補填として差額の幾分かを支払ってもらえるというものです。

支給額については以下の計算式で求められます。

ただし上限額は「基本手当日額×支給残日数×40%(再就職手当の給付率が70%の人は30%)」となります。

たとえば時給1,500円・1日8時間で働いていた人が時給1,000円・1日8時間の仕事に再就職した場合について考えてみましょう。

前提条件として、再就職後の稼働日数が120日、再就職手当の給付率が60%、支給残日数50日だったとします。

まず支給額の計算は以下の通りになります。

  • 離職前の賃金日額:(1,500円×8時間)×120日÷180日=8,000円
  • 再就職後の賃金日額:(1,000円×8時間)×120日÷180日=5,333円
  • 支給額:{8,000-5,333}×120日=320,040円

続いて上限額を計算すると以下の通りになります。

  • 基本手当日額:5,419円
  • 上限額:5,419円×50日×40%=108,380円

支給額が上限額を上回っている為、このケースでの就業促進定着手当は108,380円ということになります。

まあまあ大きな金額ですよね。

これは何もしなければ支給されないものですから、転職して給料が下がった場合はぜひ申し込みをしましょう(ただし支給は再就職手当の支給を受けていることが条件です)。

再就職手当を狙うなら早めに違う派遣会社に登録を

今回は派遣の再就職手当について説明しました。

派遣から派遣に再就職する場合でも、派遣会社を変えれば再就職手当を貰えるなんて朗報ですよね。

良い派遣会社に当たった場合は、派遣会社を変えることに抵抗がある人もいるかもしれませんが、特に派遣会社に未練を感じないようであれば、早めに違う派遣会社に登録しておく方が良いでしょう。

失業認定を受けてから早い段階で次の就職が決まる方が、貰える金額は高くなります。特に給付日数が120日、180日など長い人の場合は、残日数を3分の2以上残して就職できる可能性も高いでしょう。

しかし、自己都合退職をした人の場合は待期期間の後、1か月間はハローワーク経由か職業紹介事業者の紹介で再就職した場合しか、再就職手当を貰うことができませんので、焦って就職してしまうと対象外となることを念頭に置いて下さいね。

就職は早い段階でできるように、前々から複数の派遣会社に登録して、再就職手当のタイミングに合わせて就職しましょう。

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