短期派遣で社会保険に加入する条件。雇用保険は1ヶ月以上、健康保険や厚生年金は2か月以上と覚えておこう。

派遣社員の基礎知識

一般的に社会保険は「会社で入った方が良い」と聞きますが、本当にそうなのでしょうか。

派遣社員の中には「社会保険に入りたくない」「旦那の扶養内で働きたい」と言って、あえて短期の派遣を選ぶ人もいます。

派遣社員の場合、長期派遣と短期派遣がありますが、この派遣期間の長さによって、社会保険の加入が決まるのです。

本記事では、基本的な社会保険の加入条件や、短期派遣の加入条件、扶養に入っている人や任意継続中の人などの社会保険について詳しく説明します。

社会保険の加入条件まとめ

社会保険とは、健康保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険・介護保険の5つを指します。

現在は社会保険の加入は義務になっているので「私は社会保険に入れない」ということはありませんが、派遣会社によって加入条件が異なることがあるので、確認しておいた方が良いでしょう

派遣社員が社会保険に加入するには、どのような条件を満たす必要があるでしょうか。

健康保険・厚生年金保険の加入条件

最初に、病院にかかる時などの医療保険として使われる「健康保険」と、国民年金に上乗せされて支給される「厚生年金保険」の加入条件です。

健康保険と厚生年金保険は、2つのケースによって加入条件が異なります。

ポイントとなるのは「週の労働時間」と「1か月の労働日数」です。

  1. 週の所定労働時間が30時間以上派遣会社の一般社員の4分の3以上)で、1ヶ月の所定労働日数が15日以上の場合
  2. 週の所定労働時間が20~30時間未満派遣会社の一般社員の4分の3未満)、もしくは1ヶ月の所定労働日数が15日未満の場合

つまり、週の所定労働時間が30時間以上か未満か、また1か月の労働日数が15日以上か未満かというのがボーダーラインとなっています。

では、実際の加入条件を見てみましょう。

週の所定労働時間が30時間以上かつ1ヶ月の所定労働日数が15日以上の場合:

  • 契約期間が2ヶ月以上(契約更新により2ヵ月を超える場合も可)

週20時間~30時間未満、もしくは1ヶ月の所定労働日数が15日未満の場合:

  • 賃金の月額が88,000円以上
  • 1年以上の雇用見込みがある
  • 契約期間が2ヶ月以上(契約更新により2ヵ月を超える場合も可)
  • 派遣会社の従業員数が501人以上(※)
  • 昼間学生でない

上記を見ると、フルタイムで働く75歳未満の人は全員加入条件を満たしますが、短時間労働者の場合は、細かな6つの条件を全て満たさないといけないため、ややハードルが高いことが分かります。

(※従業員数が500人以下の派遣会社の場合でも、労使間の合意があれば加入することが可能。)

雇用保険の加入条件

次に、失業給付金や育児休業給付金などの保険である雇用保険の加入条件です。

雇用保険の加入条件

  • 1週間の労働時間が20時間以上
  • 31日以上の雇用見込みがある

例えば、1日6時間労働で週3で働く場合、週18時間しか労働しないので雇用保険の対象外になってしまいますね。

雇用保険に加入している人が仕事を辞めた時、ある条件を満たしていれば、失業保険を受け取ることが可能です。

失業保険の受給資格

  • 2年以内に「雇用保険」をトータルで1年以上(会社都合で失業なら半年)加入していること

例えば、2019年8月末で仕事を辞めた場合、2017年の8月末から2019年の8月末までの間、1年以上雇用保険に加入していた過去があれば、失業保険が貰えます。

労災保険の加入条件

通勤中や仕事中の事故、または災害に対する保険である労災保険は加入条件はありません。

労働者は全員加入対象で

例えば、工場内軽作業の仕事をしていて、機械で足を怪我した場合、通院費は労災の対象になります。

なお労災保険は雇用者負担であり、派遣社員が給料からひかれるといったことはありません。

介護保険の加入条件

要介護1~要介護5と判定された時ための「介護保険」の加入条件は、ただ一つ「年齢が40歳以上であること」。

40歳以上の人は全員、介護保険に加入しなければいけません。

たとえば無色にお人であっても、基本的には介護保険料を支払う必要があります。

短期派遣の場合、社会保険への加入はどうなる?

ここまでは、一般的な社会保険の加入条件について説明しました。

私の友人は以前「20日間だけ短期派遣することにした」と言っていましたが、「〇日間だけ・〇か月間だけ」の短期派遣の場合、社会保険の加入条件はどうなるのでしょうか。

実は短期派遣の場合「派遣期間」によって、保険加入の義務が発生するかどうかが決まるのです。

以下で詳しく見ていきましょう。

1ヶ月(31日)以上の雇用見込みがある場合は雇用保険の加入が義務

短期派遣は「派遣期間が1か月(31日以上)」の雇用見込みがある場合、雇用保険の加入が義務となっています。

つまり、30日間だけの短期派遣の場合は、雇用保険の加入義務はありません。

ただ、期間延長となってそのまま働くと、雇用保険に加入したくなくても加入しなければならないので注意が必要です。

逆に失業保険を貰いたいなどという理由で、何とかして雇用保険に入りたいという人は、1か月(31日)以上の仕事に就きましょう。

2か月以上の雇用見込みがある場合は健康保険・厚生年金保険の加入が義務

短期派遣でも「2カ月以上」の雇用見込みがある場合、雇用保険だけでなく、健康保険と厚生年金保険の加入義務も発生します。

つまり、2か月以上働く場合、結局は「雇用保険・健康保険・厚生年金保険」といった3つの保険に加入することになるのです。

ですから最初から2か月以上の契約だった場合は、必ずこの3つの保険に加入することになります。

「社会保険に入れるなんてラッキー」と思う人も多いかもしれませんが、社会保険に加入することで、引かれる金額がこれまでよりも高くなる人がいるので注意が必要です。

例えば、国民健康保険料や国民年金保険が免除されている人が、つなぎ派遣として3か月の短期派遣をすることなった場合、これまでよりも保険料が高くなるでしょう。

特にこれまで全額免除されていた人であれば、支出がただ増えたことになってしまうのです。

これから短期派遣で働く人は、派遣期間を意識して保険料の計算をしてみしょう。

短期派遣でも労災保険に加入する義務がある

労災保険は労働者であれば全員が加入対象なので、たとえ派遣期間が1日であったとしても加入することになります。

ただこの労災保険は派遣社員などの労働者が金額負担するのではなく、全て事業主負担となります。

当然「労災保険」という面目で給料から天引きされていれば違法です。

もしも就業中や通勤時に事故が起きた場合は、怪我の程度によって、療養補償給付や休業補償給付の申請ができますので、すぐに派遣会社に報告して指示を仰ぎましょう。

短期派遣の社会保険に関するQ&A

派遣社員は長期派遣と短期派遣に分かれますが、どちらにしても職場が頻繁に変わるという点ではどちらも同じです。

長期派遣だとしても、3年以内に職場を変えなくてはいけません。

一度契約満了になり、次の仕事までブランクがあった場合は、その期間の社会保険はどうなるのでしょうか。

全員には当てはまらないけれどあり得ることって気になりますよね。

ここからは、よくある社会保険に関する質問についていくつか答えていきます。

更新などによって契約期間が延びた場合はどうなる?

更新などによって契約期間が延びた場合、社会保険はどうなるのでしょうか。

例えば、2か月のみの契約だった人が、更新によって1か月延びた場合で考えてみましょう。

この場合、健康保険と厚生年金保険は2か月目の初日から加入義務が発生することになります。

たとえば、当初は3月1日から2か月契約だったのに、更新がかかって結局5月いっぱい働くのであれば、5月1日から保険加入義務が発生するのです。

社会保険料は高いから入りたくない、希望すれば加入しなくてもいい?

先ほども話しましたが、社会保険保険料は高いから入りたくない、かえって損だという人も中にはいます。

しかし、加入は義務ですから、加入しなくても良いということにはなりません。

もしどうしても社会保険に入りたくないという人は、2か月未満の短期派遣を探しましょう。

同じ派遣会社で就業、空白期間がある場合はどうなる?

もしも短期派遣で2か月働き、その後1週間は仕事がない状態で(雇用契約が切れた状態)、1週間後からまた同じ派遣会社の紹介で2か月の短期派遣の仕事をする場合、社会保険はどうなるのでしょうか。

答えは「社会保険は継続される」です。

登録型派遣の場合、次の仕事に就くまで空白期間が「1か月を超えるか否か」で、社会保険が「継続されるか」が決まります。

空白期間が1か月以内だった場合は社会保険が継続されますが、空白期間が1か月以上になってしまうと、国民健康保険・国民年金に切り替えなくてはいけないのです。

日本人材派遣協会に、分かりやすい図がありました。

(引用:一般社団法人 日本人材派遣協会「こんな場合、社会保険はどのように適用される?」

上記の図では、2か月半の短期派遣をした人が、契約を終了してから次の仕事に就くまで、空白期間が1か月を超えるかどうかで2つのケースに分かれることを示しています。

空白期間が1か月以内だった場合は、社会保険は継続されていることが分かりますよね。

しかし、次の仕事に就くまでの空白期間が1か月以上になった場合は、一度「国民健康保険」と「国民年金」に切り替えなければいけなくなるのです。

社会保険が前の仕事の任意継続中、短期派遣で社会保険に加入しない場合なら続けることができる?

前の会社の健康保険の任意継続中に短期派遣で働いた場合、社会保険はどうなるのでしょうか。
基本的に任意継続は2年間となり、自己都合で国民健康保険に切り替えたり、家族の扶養に入ったりすることはできません。
しかし、就職して違う会社の健康保険の被保険者となった場合は、任意継続資格を喪失することになります。
(参考:全国健康保険協会:「健康保険任意継続制度について

つまり、「2カ月以上」の雇用見込みがある場合は、派遣会社の社会保険加入義務が発生するので、任意継続を喪失しなければならないのです。

ですから、任意継続を続けていきたいのであれば、2か月未満の短期派遣をするのが良いでしょう。

扶養に入っている人が短期派遣をする際に気を付けなければいけないことは?

私の友人は専業主婦で、旦那さんの扶養に入っているのですが、「短期派遣をしたいけど、扶養から外れたくないから仕事を選ぶのが難しい」と言っていました。

一般的に、扶養から外れて自分で保険に加入しなければならないケースは以下の3つです。

扶養から外れなければいけないケース

  1. 「2カ月以上」の雇用見込みがある場合
  2. 自分の年収が130万円(見込み)以上の場合
  3. 自分の収入が夫や親(被保険者)の年間収入の2分の1以上ある場合

まずは、2か月以上の雇用見込みがある時点で扶養から外れ、会社の健康保険・厚生年金に加入しなければなりません。

次に、一旦短期派遣をし、年収130万円(月約10万8千円)以上の仕事をした場合、再度旦那さんの扶養に入り直すことができなくなるのです。

最後に、被保険者と同居している場合に限りますが、自分の年収が130万円に満たなくても、年間収入が被保険者(旦那さんや親)の半分以上であった場合も扶養に入ることができません。

ちなみに、旦那さんの「所得税・住民税の配偶者控除」の対象になるには、年収103万円以下という条件があります。

よく「扶養内で働きたい」と聞きますが、厳密には「年収103万円以下で働きたい」ということなのですね。

短期派遣をする際は、現在の社会保険料と比較することが大事

今回は短期派遣の社会保険について説明しました。

ここまでの記事をまとめてみましょう。

記事のまとめ

  • 短期派遣は「派遣期間が1か月(31日以上)」の雇用見込みがある場合、雇用保険の加入が義務
  • 短期派遣は「2カ月以上」の雇用見込みがある場合、健康保険と厚生年金保険の加入も義務
  • 労災保険は派遣期間がたとえ1日でも加入する義務がある
  • 更新などによって派遣期間が延びた場合、2か月目の初日から社会保険の加入義務が発生する
  • 社会保険に入りたくない場合は2か月未満の短期派遣をするしかない
  • 次の仕事に就くまでの空白期間が1か月を超える場合、国民健康保険・国民年金に切り替えなければならない
  • 前の会社で保険を任意継続している場合でも、「2カ月以上」の雇用見込みがある場合は、雇用先の社会保険に切り替える必要がある
  • 扶養から外れないためには、2か月未満の仕事で年収が被保険者の年収の半分未満、かつ130万円未満でなくてはいけない
  • 「夫の所得税・住民税の配偶者控除」の対象になるには、年収103万円以下の仕事でなければいけない

短期派遣をする時は、現在の社会保険料と比較して、今後どうなるのか計算した上で派遣期間を考えることが大事です。

特に現在、社会保険料が安く済んでいるという人は注意が必要でしょう。

社会保険と上手く向き合って、損のないように働いてしっかりとお金を稼ぎたいものですね。

派遣の福利厚生の種類。社会保険は義務、他に充実した福利厚生がある派遣会社も
皆さんは「福利厚生」について考えたことがありますか。 例えば自分の友人が「旅行会社で働くことが決まった」と言ったら、その話の流れで「社員価格で旅行に行けたりするの?」と聞きたくなる人もいるでしょう。 私はアパレルに勤めていた頃、...

派遣の福利厚生の種類。社会保険は義務、他に充実した福利厚生がある派遣会社も