派遣の福利厚生の種類。社会保険は義務、他に充実した福利厚生がある派遣会社も

派遣社員の働き方

皆さんは「福利厚生」について考えたことがありますか。

例えば自分の友人が「旅行会社で働くことが決まった」と言ったら、その話の流れで「社員価格で旅行に行けたりするの?」と聞きたくなる人もいるでしょう。

私はアパレルに勤めていた頃、「自分の店の洋服を買う時、どのくらい割引されるの?」とよく聞かれたものです。

この「社員価格」はまさに、その会社の「福利厚生」の一つになります。

本記事では「派遣社員の福利厚生」に焦点を当て、どこの派遣会社にも共通している福利厚生や、大手の派遣会社に多い福利厚生を紹介します。

これから派遣会社を選ぶ際の決め手の一つになるかもしれませんので、ぜひ参考にして下さい。

法定福利と法定外福利

福利厚生と言っても正確には「法定福利」と「法定外福利」に分かれています。

「法定福利」とは、法律で義務づけられている社会保障制度のことです。つまり健康保険等の各種保険を指しています。

雇用される側としては「受けられて当然かのように思えるもの」ですね。

一方、「法定外福利」とは、法律で義務づけられていないものを指し、例えば従業員割引や住宅手当などが該当します。

雇用される側としては「その会社だから受けられる特典」といったイメージです。

会社によって「法定外福利」の内容が異なるため、「この会社は福利厚生が充実しています」というような求人があれば、法定外福利の数が多いということがアピールされているのでしょう。

どの派遣会社にも共通している福利厚生

福利厚生には、法定福利と法定外福利があるということが分かりました。

ここからは、「どの派遣会社にも共通している福利厚生」について説明します。

法定福利のように「義務化されている」ものもあれば「義務化はされていないが受けられる権利がある」ものまで様々です。

では、順を追って見ていきましょう。

社会保険加入は義務

派遣社員になるにあたって「社会保険に加入できるのか」という疑問は誰もが抱くと思いますが、社会保険の加入は義務ですので必ず入れます。

ただし、加入条件は派遣会社によって多少変わることがあるので確認が必要です。

一般的に「社会保険」とは、以下の5つの保険のことを指します。

  1. 健康保険(病院にかかる時などの医療保険)
  2. 厚生年金保険(国民年金に上乗せされて支給される保険)
  3. 介護保険(要介護1~要介護5と判定された時の保険)
  4. 雇用保険(失業給付金や育児休業給付金などの保険)
  5. 労災保険(就業中や通勤中の事故、災害に対する保険)

上記の社会保険に加入するには、それぞれの条件を満たさなければなりません。

健康保険と厚生年金保険の加入条件

健康保険と厚生年金保険は、週の労働時間や1か月の労働日数によって条件が異なります。

  1. 週の所定労働時間が30時間以上(派遣会社の一般社員の4分の3以上)で、1ヶ月の所定労働日数が15日以上の場合
  2. 週の所定労働時間が20~30時間未満(派遣会社の一般社員の4分の3未満)、もしくは1ヶ月の所定労働日数が15日未満の場合

最初に、1番目の1週間の所定労働時間が30時間以上で、1ヶ月の所定労働日数が15日以上の場合の加入条件を見てみましょう。

  • 75歳未満であること
  • 契約期間が2ヶ月を超えること(契約更新によって2ヵ月を超える場合も対象)

例えばフルタイムで働く75歳未満の人は上記の条件を満たすことになりますね。

次に、週20時間~30時間未満の場合、もしくは1ヶ月の所定労働日数が15日未満の場合の加入条件です。

  • 75歳未満であること
  • 賃金の月額が88,000円以上
  • 1年以上の雇用が見込まれる
  • 契約期間が2ヶ月を超えること(契約更新によって2ヵ月を超える場合も対象)
  • 従業員数が501人以上の派遣会社であること(※1)
  • 昼間学生でないこと

上記のように、短時間労働者の場合は、月給などに様々な条件を満たさなくては加入できないので注意が必要ですね。

(※1:従業員数が500人以下の会社では上記の他の条件を満たしても加入義務は発生しませんが、労使間の合意があれば加入することも可能です。)

雇用保険の加入条件

続いて、3番目の雇用保険の加入条件を見てみましょう。

  • 1週間の労働時間が20時間以上
  • 31日以上継続して雇用が見込まれること

例えば、1日4時間労働で週5で働く場合はちょうど週20時間の労働時間になりますから、31日以上の雇用であれば雇用保険に入れます。

介護保険の加入条件

介護保険の加入条件はたった一つしかありません。

それは40歳以上であることです。

40歳以上の人は全員加入しなければならないのです。

労災保険の加入条件

労災保険については条件がありません。労働者は全員対象となっています。

有給休暇を取得する権利がある

派遣社員に限らず、労働者であれば全員、有給休暇を取得する権利があります。

有給休暇の付与日数は以下の通りです。(引用図:厚生労働省「有給休暇の付与日数」

フルタイムの人であれば勤務開始後6か月で10日付与され、その後は1年ごとに1日増えていきますが、短時間労働者の場合は、週の所定労働日数が何日かによって付与日数に大きく差があるのが分かるでしょう。

ただ、有給は付与されても「その有給を使えるか派遣先か否か」が一番重要なところでよすね。

尚、有給について詳しくは以下の記事を参考にして下さい。(派遣社員が知っておくべき有給休暇の知識。いつ付与?辞めたら消える?使い方は?

産休・育休を取得する権利がある

産休・育休についても妊婦の労働者には全員、取得する権利があります。

産前休暇は、出産予定日の6週間前(多胎妊娠の場合は14週間前)から取得できますし、産後休暇は出産の翌日から8週間までの間に必ず取得しなければいけません。ただし医師の許可があれば働けます。)

育休は産後休暇の翌日(産後57日目)から、子供が1歳の誕生日を迎える前日まで取得できます。条件さえ満たせば子供が2歳の誕生日を迎える前日まで再延長が可能です。

産休・育休について詳しくは以下の記事を参考にして下さい。(派遣でも産休や育休はとれる!手続き方法や復帰時の対応について。

交通費は派遣先次第で一部支給や全額支給も

派遣社員の交通費は「出ない」というイメージが強いかもしれません。

実際に私が派遣社員だった時は交通費が全く出ませんでしたし、派遣会社の担当者に「派遣は交通費は出ないことが多いです。」とまで言われました。

しかし実際に派遣の求人を見ると「交通費別途支給」や「交通費月1万円まで支給」となっている場合も意外に多いです。

交通費は、派遣会社が支給するかどうかを決めているわけではありません。同じ派遣会社の求人でも、派遣先の会社によって変わるものなのです。

交通費が支給される派遣の仕事を探す時は、検索条件に「交通費支給」のキーワードを入れてみると、結構沢山の求人が見つけられますよ。

健康診断は義務だけど費用負担額が派遣会社によって異なる

健康診断を受けられるのは、その会社の特典かのように感じられますが、実は会社は労働者に対して、雇用時や定期的な健康診断を行う義務があります。

以下は厚生労働省が公表している引用文です。

事業者は、労働安全衛生法第66条に基づき、労働者に対して、医師による健康診断を実施しなければなりません。また、労働者は、事業者が行う健康診断を受けなければなりません。(参考:厚生労働省「健康診断を実施しましょう」

上記の対象者は、派遣社員に限ったものではなく全労働者と全事業主に対するものとなっています。

派遣社員はいつ健康診断を受けられるか

では、派遣会社に対してはどのように定められているのか見てみましょう。

派遣元は、派遣労働者に対し、雇入時及び1年以内ごとに1回、定期に健康診断を行うこと。
また、深夜業に従事する者などに対しては、配置換えの際及び6カ月以内ごとに1回定期に健康診断を行うこと。
(厚生労働省:「派遣元が実施すべき事項」

上記では、派遣社員は雇入時と1年に1回は定期健診を受けるように述べられていますが、いつ受けられるのか、期間についてまでは定められていません。

実はいつ受けられるのかは、派遣会社によって違うのです。

ちなみに、私が経験した派遣会社では、健康診断を受けられる基準が「就業期間が半年以上で週40時間以上勤務している人」でした。

このように、派遣会社によっては就業期間や就労時間に独自の基準を設けていますので、自分の派遣会社はいつ健康診断を受けられるのか確認しておきましょう。

ちなみに「深夜業に従事する者など」についても定期的な健康診断を受けるように定められていますが、放射線業務などの有害業務に従事する派遣社員に対しては「特殊健康診断」を3か月もしくは6か月ごとに実施しなければなりません。

健康診断の費用は派遣会社が全額負担?自己負担?

健康診断の費用負担に関しては、派遣会社によって様々です。

全額自己負担させる会社もあれば、出ても半額しか負担してくれない会社もあります。

多くの大手派遣会社では、指定されたコースを受けるだけであれば無料だけれど、それに追加して違う検査を申し込みたい場合や、再検査となった時などの「はみ出た費用」は全て自己負担となっているようです。

ただし、有害業務に従事する派遣社員が受ける「特殊健康診断」に要する費用は派遣先の会社の負担となり、派遣会社は負担しません。(安全衛生法第66条)

大手派遣会社に多い福利厚生

ここまでは、どこの派遣会社でも共通している福利厚生について説明しましたが、ここからは大手派遣会社に多い福利厚生を紹介します。

私は数社の派遣会社に登録したので、それぞれの福利厚生を見比べてみたことがあります。会社によって独自の福利厚生があり、中々面白いですよ。

スキルアップ制度

大手派遣会社にはスキルアップ制度が充実しているところが多く、自宅で無料で受講できるものも多数用意されています。

また、提携しているパソコンスクールや各種専門学校に本格的に通い、様々な分野のスキルを優待価格で受講することも可能です。

ここで、無料で自宅学習ができる講座例を以下に挙げてみましょう。

  • エクセル
  • ワード
  • パワーポイント
  • アクセス
  • ビジネスマナー
  • ビジネスメール
  • オフィス英会話
  • 英文メール

上記の講座は現在、自宅のパソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットで学習できる場合もあります。

また、派遣会社によっては、現在需要が多いITエンジニアを目指す20代に向けて、約1か月の無料トレーニングを実施し、そのまま紹介予定派遣に繋げるコースも用意されているようですね。

その他、自分のキャリアプランをプロのコンサルタントに相談できたりと、キャリアサポートにも力を入れている派遣会社も多いです。

せっかくなら沢山活用して、どんどんスキルアップをしていきたいですね。

社宅や住み込み寮があることも

求人を見ていると、住み込み寮や社宅完備の派遣求人もあります。しかもカップルや夫婦、ペットとの入寮も可能となっていることがあるのです。

工場での軽作業の求人に最も多くなっていますが、中には営業事務や宿泊施設、飲食店の求人でもこのようなところがあります。

家賃がかからないということは、月々の出費を大きく削ることができますので大きいですよね。

旅行、レジャー、娯楽

派遣会社によっては国内、海外旅行の補助金が出たり、レジャー施設の割引、フィットネスクラブでの入会特典など、休日や有休休暇中に利用したいサービスが沢山用意されています。

仕事に関係のない部分で沢山のサービスが受けられると「この派遣会社を選んで良かった」と思えますよね。

災害時の対策

派遣会社によって災害時の「安否確認サービス」が用意されているところが多いです。災害時にメールが自動的に入り、それに返信して自分の状況を報告するものになります。

中には、派遣会社の社員が直接電話対応する「災害専用回線」を設けている会社も。

ただ、災害時の対策については派遣会社だけでなく、派遣先のでも安否確認サービスに登録するように言われる場合も多いので、その際はどちらにも登録する必要があるでしょう。

自分が魅力を感じる福利厚生がある派遣会社を選ぶのも一つ

今回は派遣会社の福利厚生について紹介しました。

沢山の福利厚生がありましたが、その中に自分が魅力を感じたものはありましたか。

私が以前勤めていた会社では、「旅行・宿泊代金補助」というものが福利厚生にあり、よく利用させてもらいましたので、それ以降も転職時には会社の福利厚生をチェックしてしまう癖がついてしまいました。

福利厚生が充実した会社では働くと、何かとお得なことが多いので「この会社で良かった」と思えます。

派遣会社を選ぶ際は、良い求人があるかどうかも当然大事ですが、長くお世話になることを考えると、自分が魅力を感じる福利厚生がある派遣会社を選ぶのも一つかもしれませんね。