派遣社員が知っておくべき有給休暇の知識。いつ付与?辞めたら消える?使い方は?

派遣社員の基礎知識

社会人として働いていると、楽しみになるのはやはり休日ですよね。

これは派遣社員だけに限らず働く人全員に当てはまるのではないでしょうか。

「せっかくの休みだから仕事のことは忘れて仲間と飲みに行こう」「思い切り寝溜めしよう」などと休みの計画を立てるのは非常に嬉しいものです。

しかし、同じ休日でも「有給休暇」について知っていますか。職場にいると特に「有給」という言葉を耳にすることも多いと思います。

有給休暇は派遣社員でも取得出来るものなのでしょうか。そもそも有給休暇とはどのように法律で定められているものなのか、詳しくはよく分かっていないという人も少なからずいることでしょう。

本記事では派遣の有給休暇について、その仕組みや使い方まで細かく説明します。派遣の有給休暇について知識を深め、スムーズに利用できるようにしましょう。

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※1 2020年5月

派遣社員でも取れる有給休暇とは

そもそも有給休暇とは、労働者が申請して取得するものであり、会社側から賃金が支払われる休暇日のことを言います。

休みの日でも賃金が支払われるなんて嬉しい限りですよね。そんな制度があるならぜひ利用したいと誰もが思うでしょう。

では、有給休暇を取得するにはどうすればいいのか、条件があるのか気になりますね。

ここからは有給休暇についての様々な疑問を解決していきます。

派遣社員でも取れるの?取れない人は?

 

有給って私たち派遣にも使えるものなんですかね?

もちろんよ。有給は派遣だろうがバイトだろうが誰にでも与えられる権利があるのよ。

やったぁ!早く有給つかないかなぁ

有給休暇は労働基準法第39条において以下のように定められています。

第三十九条 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。(引用文:労働基準法第39条)

上記の通り、雇用形態は特定されていません。

すなわち、会社は派遣であろうとパートであろうと、雇用形態に関わらず、労働者全員に有給休暇を与える義務があるということです。

そして、労働者側もまた有給を取得する権利があるということになります。

派遣社員が知っておきたい有給休暇のルール

次に、派遣社員の有給休暇のルールについて説明します。そもそもの制度を把握していないと上手く使えませんから、ここはしっかりと押さえておきたいところですね。

有給休暇は雇用形態問わず誰にでも与えられるものとなれば、気になるのは以下の点が主なところでしょう。

  • いつ何日くらい与えられるのか
  • 有給休暇中の給料はどう計算されるのか
  • 派遣先が変わった場合はどうなるのか
  • 派遣期間中に使い切れない場合はどうなるのか
  • 有給休暇を取らせてもらえなかった場合はどうすればいいのか

上記について、以下で具体的に説明していきますね。

有給休暇の付与日数

有給休暇の付与日数について、厚生労働省で定められているのは以下の図の通りです。

(以下引用図:厚生労働省「有給休暇の付与日数」

上記の図(1)では、0.5年(半年)勤務後に初めて10日間の有給が付与されるとなっており、その後は1年ごとに所定の日数が加算されていきます。

例えば1月4日から勤務を開始した場合は、半年後の7月4日に10日間の有給休暇が取得出来ます。さらにその1年後、今度は有給が1日増えて11日分の有給休暇が付与されるのです。

また、上記の図(2)では、週の所定労働日数が4日以下かつ週の所定労働日数が30時間未満の労働者の付与日数ですので、週2で勤務をしている派遣社員の場合などに当てはまります。

例えば週2で7時間勤務の人は、0.5年(半年)勤務後にやっと3日の有給が与えられ、その1年後には、有給は1日しか増えませんので計4日です。

ただし、有給休暇が付与されるまでの半年間で8割以上の出勤をしている場合に限るので、もともと欠勤が多い人は条件に当てはまらない可能性があります。

労働日数に応じて付与される有給休暇の日数は結構違うものですね。

もし派遣社員としてフルタイムで働くのであれば、付与日数は正社員と同じになりますが、短時間勤務であればそれに応じて付与日数も少なくなるのです。

有給休暇時に支払われる金額

有給休暇を使った場合に支払われる金額は以下の3つのケースがあります。

  1. 労働基準法で定められている平均の賃金
  2. 所定労働時間働いた場合に支払われる通常賃金
  3. 健康保険法の定める標準報酬日額に相当する金額(標準報酬額月額の30分の1)

ただし、上記のどれで支払われるのかは就業規則などで明示しておく必要がありますし、3番目に関しては労使協定を締結することが必要です。

正社員の場合は2番目の通常賃金が用いられることが多く、有給を使った月には欠勤をしていない月と同じ基本給となります。

一方、派遣社員のように時給で働いている人の場合は1番の平均賃金が用いられることが多いです。

平均賃金の求め方は、労働基準法で決められた計算方法に基づいています。

平均賃金=過去3ヶ月間に支払われた給料の総額÷3ヶ月の日数(約90日)

例えば7月から9月の3ヶ月間の給料が計60万円だった場合、平均賃金は約6,666円になりますね。(計算式は60万円÷90日)

ただし、派遣会社によってどの計算方法を用いるかは異なりますので確認が必要です。

派遣先を変えた場合にはどうなる?

では、付与された有給休暇を使わずにいたまま、契約期間が終了してしまう場合はどうなるのでしょう。

もし契約期間が1年だった場合は、半年で有給を取得出来ても、残り半年の間で有給を使わないといけないのでしょうか。

このような場合には、派遣会社との雇用契約が終了してから、1カ月以内に同派遣会社から紹介された仕事に就けばよいのです。そうすれば、取得した有給日数をそのまま引き続き使用できるようになります。

ただし、派遣元(派遣会社)を変えてしまうと、残っていた有給休暇は消えますので注意が必要です。

また、同派遣会社で次の派遣先が決まっても、次の就労までに1か月と1日の期間が空いてしまった場合、有給は消滅します。

ただ、派遣会社によって違う場合もありますので、詳しくは派遣会社に確認が必要です。

有給休暇の期限、使わなかった有給休暇は消える?

ここでは、1年で有給休暇が10日分消滅すると、いくら損することになるか計算してみましょう。

例えば時給1500円で9時~17時までの7時間労働だったとします。日給にすると1万500円ですね。

日給1万500円であれば1年間で10万500円分ただ働きしたことになります。さらに10年が経過すると、105万円分がただ働きになるということです。

長い目で見ると非常に大きな額ですし、損としか言いようがありませんね。

有給休暇を取ろうと思ったら拒否された!これって違法?

有給休暇は労働者に与えられた権利ですが、例外もあります。

会社側には「時季変更権」という権利があり、会社の正常な運営を妨げる場合に行使して良いのです。

すみません。再来月辺りで、有給休暇を使いたいのですが可能でしょうか?

困ったな…。他にも2、3人から希望があったんだけど、その時期は繁忙期だから避けてほしいんだ。その時期に有給を取られると、業務に大きな支障が出るからね…申し訳ない。

派遣先企業から「有給取得は繁忙期は避けてほしい」「複数人でこの時期に一気に有給を取得するのは避けてほしい」と言われた場合は、会社側が時季変更権を行使していることと同じで、これは合法ですので指示に従いましょう。

ただ、時季指定を行う場合、就業規則に明記しないのは違法です。

また、厚生労働省の「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」では以下のように記されています。

使用者は、時季指定に当たっては労働者の意見を聴取しなければなりませんし、労働者の希望に沿った取得時期になるよう、聴取した意見を尊重するように努めなければいけません。

上記のとおり、会社側は、時季指定権を濫用してはいけません。

すみません。再来月あたりに有給休暇を取らせて頂けませんかぁ?

ダメに決まってんだろ!この人手不足の中、よくそんなこと言えたもんだな。お前の仕事まで出来る余裕がある奴、どこにいんだよ!

例えばもともと忙しい職場に配属され、特に繁忙期でもないのに有給休暇取得を断られた場合、それは時季指定権を濫用しています。何故なら、会社側は労働者が有給休暇の取得が出来るように配慮する義務があるからです。

この場合、会社としては代わりに出勤可能な人を確保したり、別日に業務日を変更する等の工夫をしなければなりません。それに、人手が足りていないのはもともと分かっていることですから尚更です。

労働者に全く配慮を示さずに、人手不足等を理由に時季変更権を使うことは、基本的に法律違反になります。

それに、労働者側からしてみても、せっかくの有給を取得出来ないなんて腑に落ちませんよね。もしも就業規則にないようなことを派遣先企業に言われた場合は、派遣会社に相談しましょう。

法改正による5日の有給休暇取得義務化、派遣社員はどうなる?

労働基準法の改正により2019年4月から、会社側は年10日以上の有給休暇の権利がある労働者に対し、年5日については会社側が時季を指定して有給休暇を取得させなくてはいけなくなりました。

この正式名は「年次有給休暇の時季指定義務」です。(参考:厚生労働省「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」

例えば、2019年4月1日入社の派遣社員がいた場合、半年後の2019年10月1日に、10日間の有給休暇が付与されますよね。この有給休暇10日間のうち5日間は、2019年10月1日から2020年9月30日の1年間の間に会社側が労働者に「6月15日に休んでください」という風に、会社から指定しなくてはいけないのです。

ただし、例外があります。派遣社員でも、フルタイムではなく週4日以下の勤務の場合は、付与日数が10日未満なので対象外です。

また、年次有給休暇をすでに5日以上取得している労働者に対してはこの時季指定は行われません

万が一この法律に違反した場合、会社側には30万以下の罰金が科せられます。(労働基準法第39条第7項)

さらに、会社側が労働者に時季指定を行う場合(労働基準法第120条)には就業規則に明示している必要があり、違反すると30万以下の罰金です。(労働基準法89条)

また、労働者が請求する時季に所定の有給休暇を与えなかった場合(労働基準法第119条)は、6か月以下の懲役または30万以下の罰金があります。(労働基準法39条第7項を除く)

ただし、会社によってはお盆等の長期休暇を有給で取得させるところもあります。すでに5日の有給休暇を取得していることになる場合、それ以上は取得不可能ということもあり得ますね。

派遣社員の有給休暇の使い方

ここからは、実際に有給休暇を使うにはどうしたら良いのかを説明します。

せっかく有給休暇を貰うのですから、取得までの正しい流れやマナーをわきまえて、上司に失礼のないように相談したいですよね。

しかし、会社によっては有給休暇の取得を拒否し、全然使わせてくれないなんていう話も実はよくありますので、もしも拒否されてしまった時はどうすればいいのかも一緒に考えていきましょう。

有給休暇取得までの流れ

派遣の有給取得の流れとしては以下の通りです。

  1. 派遣会社の事務総務担当者に有給休暇を使いたいと伝える
  2. 派遣会社の指示に従って派遣先企業に相談、日程調整
  3. 有給休暇取得

まず派遣会社の総務事務担当者(勤怠管理をする人)もしくは営業担当者に連絡し、いつ、何日の有給休暇を貰いたいのかを伝えます

ちなみに私が派遣社員として働いていた時は、勤怠管理に関わる連絡はいつも総務事務の担当者が対応してくれました。

恐らく派遣会社と雇用契約を結ぶ際に「何かあったらいつでも〇〇宛に連絡して下さい」と言われているはずですので、その担当者に連絡しましょう。

ここでのポイントは、有給休暇の申請は派遣先の企業ではなく、まずは派遣元の会社に申請し指示を仰ぐ必要があるということです。

その後、派遣会社から「まずは派遣先企業の上司に取得したいことを相談して下さい」と言われたら派遣先に申請しましょう。

もしかしたら派遣会社に連絡をした際に、「派遣先への申請は取得日の〇日前までにして下さい」と指示があるかもしれません。

有給休暇取得時のマナーについて

有給休暇を取得する際は、会社に迷惑をかけないように取得日の1か月くらい前に申請しておくのが無難でしょう。

派遣会社によっていつまでに会社に申請すべきか等のルールがありますので、就労ブックなどに目を通し確認が必要です。

また、いざ有給休暇を取得するとなった場合でも、浮かれてしまって仕事が捗らないのではダメです。

有給休暇を取得するのは権利とは言え、自分が居なくなる分、会社の誰かに仕事が振られるわけですから、有給休暇を消化する前に出来る仕事はきっちりとやりましょう。

そして、有給休暇に入る前にしっかりと引継ぎをする必要があります。どこまで終わっていて、これから何が必要なのか、注意点等があれば忘れずに伝えましょう。

また、有給休暇後には「取得させてもらってありがとうございます」という感謝の気持ちを示すことも大事ですね。

派遣先上司への相談の仕方

有給休暇取得の相談をする時は、急な申請は避けるのと会社の繁忙期は避けましょう。

派遣先の上司には「7月4日から3日間有給休暇を取得したいのですが…」と正直に伝えるのが良いです。

尚、会社も納得しやすい理由を以下に挙げてみました。

  • 子供の行事
  • 両親が遠くから来ている
  • 冠婚葬祭
  • お見舞い
  • 引っ越し、住宅の購入検討

子供の行事や両親のことなど、家族に関わることがあれば会社も納得しやすいでしょう。

また、冠婚葬祭やお見舞いも、やむを得ないと捉えてもらえるかもしれません。

そして、引っ越しや住宅の購入に関しても大きな行事ですから、会社によっては問題ないと納得してもらえるでしょう。

有給休暇を取得する時には理由を絶対に言わなければならない会社かどうかは、周りの雰囲気で分かりますよね。中には正直に旅行と言っても何ら問題のない会社もあります。

拒否された場合の対処法

会社側は、年次有給休暇の時季指定義務に違反すると罰則が科せられる為、少しは有給休暇を取りやすくなった会社もあるかもしれません。

しかし、「有給休暇は有って無いようなものだから、取れない、取らせない」というブラック企業もまだまだあるのが実態です。本来はあってはならない法律違反ですね。

この場合、有給休暇を拒否された時に上司が何て言うのかが大事です。繁忙期などのやむを得ない理由なのか、他の時期ならOKなのか。

正当な理由なく取得を何回も断られたり、申請の取り下げを強いられたり、申請をしたことで嫌がらせにあった場合は、会社のパワハラ行為に当たります。

パワハラの場合は、派遣会社のコンプライアンス窓口もしくは人事部に報告して下さい。

それにしても、派遣先でせっかく有給休暇を取得したのに、取得出来ない会社では損ですよね。

もしも派遣された会社が有給休暇取得に対して後ろ向きな会社であれば、きっとこれから先もそんなに変わらないでしょうから、思い切って転職するのもありだと思います。

しかも、有給休暇どころか病欠に対しても厳しい会社だと肩身が狭く、息苦しいですよね。有給休暇取得に前向きな会社は、やむを得ない欠勤に対しても寛容なことが多いです。やはり派遣先によって全然違います。

実際に、他の派遣社員の友人は1回も有給を使っていないようです。つまり、平気で法律違反をしている会社で働いていることになりますね。

本来、有給は「あって無いようなもの」ではないので、ここは思い切って転職して次の派遣先を選びましょう。

退職時の有休休暇取得について

派遣社員が退職する時に、有給が残っていたらどうなるのでしょう。勿体ないと思いますよね。

前にも述べましたが、同じ派遣会社から次の仕事が紹介されて、辞めた後1か月以内に次の就労が開始するのであれば、取得した有給休暇を引き継げます。

しかし、派遣会社自体を辞める場合は、使っていない有給休暇は消滅します。ですから、退職前に出来る限り残っている有給休暇を消化するようにしましょう。

ただ、残っている有給休暇をまとめて取るのは派遣先の会社に迷惑をかけますので、早めに相談する必要があります。

ちなみに私の場合は、派遣会社自体を辞めることにしたので、有給が消えてしまいそうでしたが、残りの有給消化を派遣先の上司に相談したら「散らばして取ってもいいし、最後の方にまとめて取ってもいいよ」と言ってもらえたので、最終的には全部消化出来ました。

また、派遣会社に残った有休休暇の買取を要求しても、そもそも契約や就業ルールにない場合、派遣会社は買取に応じる義務がありませんので不可能だということを頭に入れておきましょう。

知っておきたい有給休暇が取りやすい派遣先の特徴

派遣会社が有給をとりやすいかどうかは、派遣先の会社次第です。

全くとらせてもらえないような会社もあれば、積極的に消化するように言ってくる会社もあります。

以下に挙げたのは、有給が取りやすい派遣先に見られる特徴例です。

  • 職場の人数が多い(大手企業など)
  • 「残業撲滅」等の「働き方改革」などに積極的な会社
  • 職場内の年齢層が幅広い、休みを取りやすい雰囲気

まず職場の人数が多いということは人手不足ではないので、一人いなくなっても仕事が回るとも言えますね。

また、全国平均で見ると有給休暇の取得率は、平成30年の調査時点では平均で51.4%ですが、取得状況を企業の規模別で見ると、1,000人以上の大手企業の取得率は一番高い58.6%でした。(参考:厚生労働省「平成31年就労条件総合調査の概要)」

このように、正社員が有給を取りやすい大手の会社は派遣も取りやすい傾向にありますが、正社員が有給を取りにくい会社だと派遣社員も同じく取りづらいでしょう。

また、職場の年齢層が幅広い会社だと、それぞれの家庭の事情なども汲み取ってくれて、休みに対する理解があることが多いです。

いずれにしても、休みを取りやすい雰囲気の職場かどうかが最大のポイントですね。

もしも有給を取得する時に嫌な顔をされたり、誰かに謝ったりしなければならないのであれば、気持ち良く取得が出来ません。

これらを踏まえて、まずは仕事紹介を引き受ける前に、派遣会社に有給休暇に対して前向きな会社かどうかを聞くことが大切です。

最後に

今回は、派遣社員の有給休暇についてお話しました。

有給休暇取得についての流れや取得のルールなど、沢山ありましたね。

何度も言いますが、有給休暇を取得する権利は誰にでもあるのです。もしも今の職場で取りづらいようであったり、身近に派遣社員がいるけれど有給を1日も取れない、取りづらいなんていう方が身近にいれば、それは法律違反と教えてあげて、思い切って転職を進めてあげるのも良いでしょう。

せっかく頑張って働いているのだから、有給休暇を取得する権利を大いに活用して、仕事もプライベートも充実した生活を目指していきたいものですね。

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