派遣の無期雇用になりたい人は6割。転換条件や注意点について。

派遣社員の働き方

派遣と聞くと「雇用期間が決まっていて、沢山の職場を経験していく働き方」をイメージしませんか。

しかし、こんなことがありました。私が契約期間1年として派遣された職場には「もう丸3年この派遣先で働いている」という同じ派遣の先輩がいたのです。

しかも1年後に私が契約満了となっても、その先輩はまだ同じ職場に残るとのこと。私は、「そんなに長く居れるものなの?」と疑問に思いました。

また、派遣社員である私の友人は最近無期雇用に変わったそうなのです。

派遣なのに無期雇用になるとは、一体どういうことなのでしょうか。また、誰でも無期雇用になれるものなのかも気になりますよね。

本記事では、派遣の無期雇用の種類や無期雇用になるための方法、実際に無期雇用になりたいという人の割合などの実態を紹介します。

そして無期雇用の注意点についても詳しく説明するので、ぜひ参考にしてみて下さい。

無期雇用になりたい派遣社員は半数以上もいる

働き始めやすい、職種や勤務地を自由に選ぶことができるなど多くのメリットがある派遣社員という働き方ですが、一方で有期雇用でありいつ契約されなくなるかわからないというデメリットもあります。

実際、現在有期雇用で働いている派遣社員のうち、多くの人が無期雇用になることを望んでいるようです。

では無期雇用になりたいと思っている派遣社員の割合を見てみましょう。

人材サービス会社では、契約期間に定めのある派遣社員(登録型派遣社員)500名を対象にして「今後、無期雇用の派遣社員として働きたいと思いますか」という質問をしました。

以下のグラフは調査の回答です。(参考:アデコグループ

この質問に対し、無期雇用で働きたいと答えた人は約2割、つまり500人中約100人です。

さらにどちらかと言えば無期雇用で働きたいと答えた人を含めると、全体の約4割までのぼります。

つまり、無期雇用で働きたいと思っている人は全体の57.4%、500人のうち300人近くは無期雇用を希望しているということになりますよね。

では、無期雇用で働きたい理由のベスト3を見てみましょう。

 

上記第1位は約7割の人が回答した「雇用の安定」でした。つまり雇用期間に定めがあるということを気にしている派遣社員は沢山いるのですね。

また、引き続き同じ派遣先で働きたい人が沢山いることが分かります。派遣社員は同じ職場の同じ部署(課)で3年しかいられないということに満足していない人も多いのでしょう。

ちなみに、無期雇用になることで派遣会社に期待するものでは、74.9%の人が「時給アップ」と回答していました。

無期雇用派遣の2種類のケース

無期雇用の派遣と言っても、実は二つのケースがあるということを知っておきましょう。

一つ目は常用型派遣として、当初から無期雇用の契約を結ぶケース。

そしてもう一つが最初は有期雇用の登録型派遣として働いていた人が無期転換するケースです。

当初から常用型派遣として派遣で働くケース

派遣社員でも当初から無期雇用の契約を結び、様々な会社へと派遣されて働く「常用型派遣」があります。

常用型派遣の場合の多くは派遣会社で正社員として契約を結ぶことになり、賃金は月給制、ボーナスありなど契約期間に定めがないことだけではなく様々なメリットがあるのが特徴です。

ただし当然メリットだけではなく、勤務先や勤務時間を自由に選べない、選考があり登録型派遣のように簡単に働き始めることが多いといったデメリットもあります。

常用型派遣の詳細については下記で紹介していますので、知りたい方は以下の記事を参考にしてください。

常用型派遣とは?仕組みや正社員と無期雇用派遣の違い、給料体系やボーナスの有無など。
転職活動をスタートし派遣を調べた際に、「常用型派遣」という言葉を見かけたことはありませんか。 常用型派遣とは派遣の雇用形態の一つですが、一般的に言われる「派遣」という言葉とは少しイメージが違うかもしれません。 常用型派遣という言...

有期雇用の登録型派遣から無期雇用転換されるケース

今回詳しく紹介するのは、有期雇用の登録型派遣として働き始めた人が、一定期間働いた後に無期雇用転換されるケース。

労働契約法の改正により、同じ会社で有期雇用として一定期間働いた人は、申し出によって有期から無期への転換が可能となりました。

有期雇用から無期雇用に転換される条件とタイミング

現在有期雇用の派遣で働いている人が無期雇用として働くための一つの手段は、常用型派遣として当初から無期雇用の条件で採用してもらえる会社に転職するか、今の会社のまま無期雇用へと転換するかの2つの方法があります。

そして本章では後者の方法が可能となる条件やタイミングについて詳しく解説していきます。

無期転換に切り替えられる条件

派遣社員が一定の条件を満たすことで無期雇用に転換される仕組みは「無期転換ルール」と呼ばれていて、厚生労働省では以下のように述べています。

無期転換ルールは、同一の使用者(企業)との間で、有期労働契約が5年を超えて更新された場合、有期契約労働者(契約社員、アルバイトなど)からの申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換されるルールのことです。

(参考:厚生労働省「有期契約労働者の無期転換ポータルサイト」

上記では、同じ派遣会社との有期雇用契約が5年を超えて更新されたら、無期雇用転換に申し込みが可能であると記載されていますね。

では、無期転換の条件を細かく見ていきましょう。

無期転換されるには、以下の条件を満たしている必要があります。

  1. 同じ派遣元と現在も契約があり、有期雇用契約期間が通算して5年を超えている
  2. 1回以上契約を更新している

要するに、これまで1回以上の契約を更新し、同じ派遣会社との有期雇用契約期間が通算して5年間を超えれば無期雇用に申込みできる権利が与えられるのです。尚、無期雇用転換の申し込みに対して会社側は拒否できません。

上記条件の2番目については、通算期間が5年になる派遣社員であれば誰しも満たすものになります。何故なら派遣社員の場合、同じ会社の同じ部署(課)に長く居られたとしても限度は3年だからです。

つまり、意識すべきは通算期間ということになるわけです。

いつから無期転換の申し込みができる?転換されるタイミングは?

無期転換の申し込みができるのは、派遣会社との有期雇用契約期間が通算5年を超えたタイミングです。

そして、実際に無期雇用に転換されるタイミングは、申込時の有期労働契約が終了する日の翌日からとなります。

厚生労働省に分かりやすい図がありました。(引用:厚生労働省「無期転換ルールのよくある質問」

図の「契約期間1年の場合」では、1年ごとに更新を繰り返して派遣会社との雇用契約が5年を終えた時、6年目に入ると同時に無期転換申込権が発生していますね。また、申し込んだ時の契約期間が満了日を迎えたら、その翌日から無期雇用されることが読み取れます。

例えば、2019年3月31日に通算契約期間が5年となった人が、2019年4月1日から新たに1年間の契約を結んだとします。そしてこの期間中に無期転換の申し込みをした場合、2020年4月1日からは無期雇用となるのです。

また「契約期間3年の場合」を見てみると、1回目の3年契約が終了し、2回目の3年契約期間中に通算期間の5年を超すので無期転換申込権が発生します。ただ実際に転換されるのはその契約期間が終了してからになるため、6年間は有期雇用のままです。

要するに、無期雇用に転換申し込みできるのは通算雇用契約期間が5年を過ぎてからで、5年を過ぎた早い段階で申し込みをすれば、実際に無期雇用に転換されるのは通算契約期間7年目からということになるでしょう。

無期雇用派遣に転換するメリット

では、無期雇用派遣に転換するメリットはなんでしょうか。

まず大きいのはやはり契約期間がなくなるという点ですよね。

有期雇用の登録型派遣だと、派遣先から更新しない言われてしまうとそれで契約は終了。また次の仕事をすぐ紹介して貰える保証はありません。

派遣会社との雇用契約も無くなっているので、無職になってしまうわけです。

しかし無期雇用派遣の場合、派遣先の更新が終わっても派遣会社との雇用契約は続いているので、無職にはなりません。

基本的にはすぐに仕事を紹介して貰える場合がほとんどです、もしすぐに仕事を紹介して貰えなくても、休業扱いとなり6割以上の休業手当を貰うことができます。

また無期雇用派遣のメリットはそれだけではありません。

雇用期間以外の最大のメリットとしてあるのが、3年ルールが適用されなくなることです。

3年ルールとは、派遣社員が同じ職場の同じ部署(課)で働ける期間は最大で3年というもの。もっとこの職場で長く働きたいという人は多いと思いますが、派遣会社としてもできないですし、派遣先としても受け入れてはいけないことになっているのです。

どうしても引き続きこの会社で働きたいということであれば、違う部署(課)に異動するか、直接雇用の交渉をするかになります。

しかし、無期雇用派遣であれば、3年ルールの対象外。

もし派遣先の企業が6年の契約期間を依頼してきても、6年同じ職場で働くことができるのです。

無期雇用派遣、3年ルールについて詳しくは以下の記事を参考にして下さい。

派遣社員の3年ルールと5年ルール。契約満了や直接雇用や無期雇用はどんなタイミングになる?
派遣社員に転職しようか悩んでいる皆さん、派遣社員には「3年ルール」や「5年ルール」があるのは知っていますか。 聞いたことがある方もない方もいることでしょう。これらのルールは派遣社員に転職しようと考えている方にはマストの知識です。何故な...

派遣の無期雇用に関して勘違いしてはいけないこと

自分の希望通りに無期雇用派遣の内定が決まるまで、もしくは無期雇用転換されるまでの間は長い道のりを感じるでしょう。

特に無期雇用派遣では、内定が出るまでに高い採用試験の壁を乗り越えなくてはいけませんし、無期雇用転換を狙うにしても、通算5年を超えるまでには様々な職場で色々な壁を乗り越えるであろうことが想定されます。

しかし「無期雇用が叶うこと=不安が全部払拭される」わけではありません。

ここからは、派遣の無期雇用に関して勘違いしてはいけないことを説明します。

ボーナスや退職金が貰えるようになるとは限らない

無期雇用になった場合、多くの人が期待するのは「年収アップ」ではないでしょうか。

派遣社員にはなかったボーナスや退職金が入れば、今よりもっと豊かになれますよね。

例えば1か月の給料が20万円だった場合、1年に2度ボーナスがあれば年収が今より40万円もアップします。それがボーナス2か月分だった場合では、年収80万円もアップするので貯金も今の倍以上できるでしょう。

また、退職金も大きいですよね。会社によっても勤続年数によっても金額が異なりますが、退職金がゼロなのと100万円あるのとでは雲泥の差です。

ただ、無期雇用になったからといってこれらのボーナスや退職金が貰えるようになるとは限りません。

月給制ではなく時給制のままの場合も多い

多くの人は「無期雇用になる=月給制になる」と勘違いしがちなのですが、実は無期雇用になったからといって月給制に変わるとは限りません

私の友人は有期雇用から無期雇用転換されましたが「交通費は支給されるようになったけど、月給制ではなく時給制のままだった。」と言っていました。

交通費は出ないよりは出た方がもちろん良いですが、月給制ではなく時給制のままということは、会社が休みの日は給料が発生しないということになります。そうなると大型連休がある月は給料が減ってしまうので実際のところあまり喜べないでしょう。

ボーナスや退職金についても言えることですが、労働契約法では一定期間たったあとで有期雇用から無期雇用の転換の申し出が可能となる点しか定められておらず、待遇を良くすることは義務付けられていません。

その為、給料も何もかも無期転換したからと言って何も変わらないということは、普通にあることなのです。

無期雇用を断る人も?転換前に知っておきたい注意点

せっかく通算5年の雇用契約期間が終了したのに、自ら無期転換の申込みをしない人も中にはいます。

そのような人は、たとえ会社の方から「無期転換できますよ。」と言われてもあえて断るようです。決して申し込むことを忘れているわけではありません。

では、何故せっかくの無期転換のチャンスを断るのでしょうか。

ここからは、無期転換前に知っておきたい注意点について説明します。

無期雇用に転換しても意味がないという人も

無期雇用転換しても良い事ばかりではなく、むしろ全く意味がないという人もいます。

例えば給料が変わらない場合です。月給制になっても基本給が今と大して変わらない、さらに賞与や昇給、退職金もないとなれば転換する意味がありませんよね。

また、これまで残業代で稼いでいたという派遣社員の場合、月給制になることで逆に残業代がきっちりと清算されなくなる可能性も考えられるでしょう。

中には「交通費が出るようになるけど、基本給が下がる」という人もいます。

結局のところ意味がないという決断に至る人は断るのでしょう。

無期雇用派遣でも契約解除、契約終了はあり得る

通常の派遣社員が契約解除になったり、契約終了になってしまう可能性よりはずっと低いでしょう。

たとえ無期雇用派遣でも契約解除や契約終了になる可能性はゼロではありません。

例えば派遣先の経営不振によって整理解雇が行われたら、無期雇用派遣でも契約解除になってしまう可能性がありますし、その後派遣先が見つからず全然仕事がない場合、最悪派遣会社から「契約終了」を言い渡され、派遣会社自体を解雇されるということもあり得ます。

ただ、会社側は「契約解除を行う場合、30日前までにその予告を労働者に通知すること」が法律によって定められていて、予告しない場合は「労働者の30日分以上の賃金に相当する額」を支払わなければいけません。

また、もし契約期間中に派遣先で契約解除となり、派遣会社から「他の派遣先が見つからないので休業していて下さい。」と言われた場合は、平均賃金の60%の休業手当が支給されます。

これらの例が起きる確率は低いと思いますが、覚えておきましょう。

待機期間が発生するかも

派遣会社との雇用契約があっても、次の派遣先が決まらず、仕事がないといった状況のことを「待機期間」と言います。

派遣先が決まらない待機期間中、何をすれば良いのでしょうか。

厚生労働省では、待機期間中の労働者に対し、以下の対応がとられる可能性があると述べています。(参考:厚生労働省「常用型(期間の定めのない雇用)の派遣労働者」

  1. 派遣会社にて就業
  2. 研修を行う
  3. 1、2ができない場合は自宅待機による休業を命じ、休業手当を支払う

上記のように、派遣会社で仕事をするか、研修をするか、自宅待機のどれかになるという措置を取られることがほとんどです。

もちろん派遣会社にて就業したり、研修が行われている間は給料は発生しますが、自宅待機の際の休業手当の場合、前項でも書きましたが平均賃金の60%しか支給されないので給料が減ってしまいます。

無期雇用は事前にしっかりと条件を把握し、注意点を確認することが大事

今回は無期雇用の種類や転換するにあたっての条件などを説明しましたが、無期雇用についての理解は深まったでしょうか。

無期雇用転換は「3年」という雇用期間の縛りがなくなることが最大のメリットでしたね。

仕事をしていると時間が過ぎるのはあっという間で、仕事に就いてから業務に慣れるまで1年、2年かかることもあります。派遣社員の場合、やっと業務に慣れたと思っても3年で職場を去らなければなりませんから、3年の制限がなくなることは非常に大きいですよね。

ただ、無期雇用を良いイメージばかりで捉えていると、実際には思っていたより良いものではなかったという残念な結果になってしまうこともあるので、いざ無期転換したい、無期雇用派遣に応募したいとなった時は、勘違いしてはいけないことや注意点を改めて確認しておきましょう。