派遣の掛け持ちはOK?ット・デメリットや注意点までわかりやすく解説メリット・デメリットや注意点までわかりやすく解説

派遣社員の働き方

少しでも収入を増やしたいと思うとき、副業をしたり、アルバイトの掛け持ちをしたりすることがあります。

派遣で働いていたとしても、仕事を掛け持ちして収入を増やしたいと考えているなら、自分のスキルや経験を活かして派遣の仕事を掛け持ちすることで、一般的なアルバイトを掛け持ちするよりも高収入が期待できます。

ですが、派遣で働いているからこそ気になるのが、派遣の仕事自体は掛け持ちできるのかということです。

法的に違法ではないのか、掛け持ちできるとしたらどんなことに気を付ければ良いのかなど、派遣の仕事を掛け持ちする上で気になることを解説していきます。

派遣の仕事を掛け持ちする際の基礎知識

派遣の仕事には、長期でフルタイムの仕事ばかりではなく、短時間勤務や単発の仕事も含まれています。

働く時間や曜日などが重複しないようにうまく組み合わせれば、掛け持ちできそうな気がします。

もしも、派遣の仕事を掛け持ちするとしたら、どんな組み合わせで掛け持ちすれば良いのでしょうか。

はじめに、派遣の仕事を掛け持ちする際の基礎知識をチェックしてきましょう。

そもそも派遣会社を掛け持ちすることはできるのか

派遣の仕事を掛け持ちしようとするとき、最も気になるのは派遣会社を掛け持ちすることは法律違反にならないのかということです。

派遣の仕事は正社員ではありませんが、人によっては正社員とほぼ同じ待遇の方もいます。

正社員は副業禁止の会社がまだまだ多いので、その流れから派遣会社の掛け持ちはやってはいけないことのように感じるものがあります。

実際どうなのかというと、派遣法では特に禁止されていないので、原則として派遣会社の掛け持ちは可能だといえます。

正社員とほとんど同じ待遇で働いていても、派遣はボーナスがないことなどが影響して、掛け持ちで働くことに寛容な派遣会社が多いのです。

ただ、雇用主である派遣会社が掛け持ちを禁止していることもあるので、事前に就業規則を確認するようにしましょう。

参考:「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」

どんな形で掛け持ちできるのか

派遣と掛け持ちする形には、「派遣と派遣」、「派遣とアルバイト」などがあります。

例えば、平日はフルタイムの派遣として働いて、週末は1日単発の派遣の仕事やアルバイトをするといった形で掛け持ちします。

また、昼間は派遣として働き、夜はアルバイトをするというケースもありますが、昼も夜も働くことは肉体的にも精神的にもきつくなることが多いのであまりおすすめできません。

どうしても夜にアルバイトをする場合は短時間の仕事にするなど、体への負担が少ないものを選ぶのが良いでしょう。

派遣の仕事を掛け持ちする際のポイント

派遣の仕事を掛け持ちするときは、1日の時間をやりくりして掛け持ちするのですから、働く時間が重複しないようにうまく働きたいものです。

そのためには、元々働いている派遣会社を辞めるようなことは避けて、社内のルールや法律違反にならないよう十分気を付けなければなりません。

どんなところに気を付ければ良いのか、派遣の仕事を掛け持ちする際のポイントを一緒に見てきましょう。

実際に掛け持ちする前に派遣会社の就業規則を確認しておくこと

掛け持ちで働くときは、まず、雇用主となる会社の就業規則を確認することが大切です。

就業規則とは、働く上での賃金・労働時間・労働条件などについて定めたもので、労働者が働く上で最も重要なものです。

言わば、雇用されている会社のルールでもあり、就業規則を守らないで違反している場合は、始末書から懲戒解雇まで幅広い処罰を受けることになります。

派遣会社で働く場合は派遣先が職場ではあるものの、雇用主は派遣会社です。そのため、派遣会社の就業規則で副業が禁止されていないか確認する必要があるのです。

もしも、派遣会社の就業規則で副業を禁止している場合は、例えアルバイトだとしても掛け持ちすることはできなくなります。

比較的、派遣会社では副業に寛容な傾向なので「たぶん大丈夫」だと思っても、念のためにしっかり目を通しておくようにしましょう。

2つの派遣会社を掛け持ちするときは異なる派遣会社で働くようにする

掛け持ちする形が「派遣と派遣」の場合、派遣先の掛け持ちは可能なことがほとんどなのですが、なるべく異なる派遣会社で働くことが望ましいです。

なぜ、異なる派遣会社で働くことが良いのかというと、労働基準法により労働時間が1日8時間、1週間40時間を超える場合は割増賃金を支払うよう定められているからです。

第三十二条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。

○2 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。

第三十七条 使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。ただし、当該延長して労働させた時間が一箇月について六十時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の五割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

引用:「労働基準法」第三十二条・第三十七条より

1つの派遣会社で2つの派遣先を紹介してもらう場合、労働基準法第三十二条と第三十七条に触れてしまうため、どうしても割増賃金(残業代)を出さなければならなくなります。

この割増賃金は派遣会社が負担するため、派遣会社が喜んで対応するとは考えにくく、1つの派遣会社から2つの派遣先を紹介してもらうことは事実上難しいのです。

そのため、異なる派遣会社に登録してそれぞれ1つずつの派遣先を紹介してもらえば、労働基準法に触れることなく掛け持ちできるようになります。

シフト制の派遣求人の方が管理しやすい

異なる派遣会社でそれぞれ派遣先を紹介してもらうとしても、どちらもフルタイムの仕事では時間の都合がから両立は難しくなります。

そのため、掛け持ちする際はシフト制の派遣求人に応募することがおすすめです。

シフト制といっても順番に早番と遅番が入れ替わったり、ランダムにシフトを組まれたりするような派遣先ではなく、ある程度同じ時間帯に働けるようなシフト制だとよりスケジュール管理しやすいでしょう。

例えば、普段はずっと早番で、週末のみ遅番に入るようなら、もう1つの派遣のスケジュールも組みやすく管理しやすくなります。

なかなか希望通りに行かないこともありますが、できるだけ余裕をもったシフトを組むことがうまく掛け持ちしていくコツです。

派遣の仕事を掛け持ちするメリットとデメリットを解説

派遣の仕事を掛け持ちすると働いた分の収入が増えますが、それ以外のメリットやデメリットにはどんなことがあるのでしょうか。

収入が増えるだけではなく、仕事の内容によってはスキルアップが見込める可能性もあるでしょう。

これから派遣の仕事を掛け持ちしようと思っている方にもわかりやすく解説していきます。

仕事を掛け持ちするメリット

派遣会社を掛け持ちして働く場合、派遣会社1社のみで働いているときよりも多く働くので、その分の収入が大幅に増える可能性があります。

また、空いている時間に単発の仕事をすることも可能なため、1ヶ月のトータルで見た場合に元々の収入の倍近くも収入が増えることもあります。

掛け持ちする仕事の内容によっては、これまで経験したことがなかった仕事にチャレンジすることもあり、特に単発の仕事では、これまで未経験の職種、異なる業態にチャレンジすることで、多くの経験を積むことができます。

いろいろな仕事を体験することで、この先の人生で役立つかもしれないスキルや経験を積めることも、派遣で仕事を掛け持ちするメリットと言えるでしょう。

仕事を掛け持ちするデメリット

仕事を掛け持ちするメリットがある一方で、デメリットもあります。

最も感じやすいデメリットとして、通常なら1つの仕事のみのところ、2つの仕事をするために体力的にきつくなることが挙げられます。

例えば、飲食店のホール係を掛け持ちするとしても、別の職場や異なる業態となればかなりの労力を費やします。

職場の人間関係や店の忙しさなども含めると、体力的な厳しさと精神的な厳しさの両方を感じることが多いです。

どこに行っても楽な仕事はありませんが、無理なく続けられる範囲で掛け持ちすることを意識していきましょう。

また、時間的に自分の時間が少なくなるというのもデメリットの1つです。通常よりも多く働いているため、どうしても自由な時間が少なくなってしまうのです。

家族や友達と過ごす時間や趣味などに使える時間が少ないと、精神的なストレスが貯まりイライラすることも増えてきます。

加えて、働く時間が長いということは緊張している時間も長いということなので、精神的に疲れてしまうことも珍しくありません。

心身のバランスを保つためにも、時間的に過密スケジュールにならないように、適度に休みを取りながら工夫していくようにしましょう。

派遣の仕事を掛け持ちするときの注意点

派遣の仕事を掛け持ちするときは、肉体的・精神的な負担のほかに、働く上で加入の義務がある保険関係にも対応が必要不可欠です。

国内では一定の条件を満たす場合、社会保険や雇用保険に加入しなければならないので、どのような手続きが必要なのかも確認しておきたいものです。

それでは、派遣の仕事を掛け持ちするときの注意点を解説していきます。

社会保険の注意点

社会保険は「健康保険・厚生年金保険・介護保険」の3つの総称で、原則として3つセットで加入するものです。(介護保険は40歳以上から)

パートやアルバイト・派遣社員などの雇用形態に関係なく、会社で定める加入条件を満たした場合に加入するようになります。

派遣の仕事を掛け持ちする場合でも、常時雇用しているとみなされる場合で会社が定める条件を満たすときは、社会保険に加入しなければなりません。

ですが、社会保険は雇用してもらう会社で条件を満たす場合のみに加入するため、雇用先の条件によっては該当しないこともあります。

掛け持ちする2社の社会保険の条件を満たす場合は、保険料の負担を考えて1社のみに加入する方が良いでしょう。

保険料は地域や家族構成によっても変動するので、どこの社会保険に加入するとしても、保険料が高くなりすぎないように労働時間などを調整する必要があります。

雇用保険で注意すべきこと

働く上で加入する保険には雇用保険もあります。雇用保険は国が運営する保険制度で、週に20時間以上働く方、31日以上の雇用の見込みがある方に適用されます。

雇用保険も社会保険と同じように雇用形態には関係なく、条件を満たす場合に加入することができます。

ですが、仕事を掛け持ちしている場合、それぞれの会社の雇用保険に加入することはできません。1人につき1つの加入が基本のため、収入が多い方の派遣会社で加入するようになります。

もしも、すでに1つの派遣会社で雇用保険に加入しているのに、もう1つの派遣会社でも雇用保険に加入しようとする場合、手続き上窓口で弾かれてしまい、重複して加入することができない仕組みとなっています。

第六条 次に掲げる者については、この法律は、適用しない。

一 一週間の所定労働時間が二十時間未満である者(この法律を適用することとした場合において第四十三条第一項に規定する日雇労働被保険者に該当することとなる者を除く。)

二 同一の事業主の適用事業に継続して三十一日以上雇用されることが見込まれない者(前二月の各月において十八日以上同一の事業主の適用事業に雇用された者及びこの法律を適用することとした場合において第四十二条に規定する日雇労働者であつて第四十三条第一項各号のいずれかに該当するものに該当することとなる者を除く。)

引用:雇用保険法第6条より

まとめ

派遣で働く方は、正社員とは違って仕事を掛け持ちすることができます。これは派遣法でも禁止されていないため、堂々と掛け持ちできると解釈できます。

仕事を掛け持ちして働けば、その分の収入が増えて隙間時間などもお金に替えることができます。

今より多くの収入が欲しい方には、派遣の仕事を掛け持ちすることがベストな選択のように感じられることでしょう。

しかし、体や精神的な負担や保険関係の正しい手続きも考えると、いくつか気を付けるべきことも見えてきます。

その点には十分気を付けてスケジュールを組み、各種保険の手続きは派遣会社を通してしっかり済ませておくことが望ましいです。

雇用主である派遣会社の就業規則で禁止されていないなら、派遣の仕事は堂々と掛け持ちすることができます。

これから掛け持ちしようと考えている方は、いくつかの注意点に気を付けながら無理のない範囲で掛け持ちするようにしましょう。