派遣と出向の労働形態の違いとは? 契約、雇用期間、労働時間の違いを徹底解説

派遣社員の基礎知識

派遣と出向についてどの様に労働形態が違いについて気になってはいませんか。特に契約内容や雇用期間、労働時間の違いは、派遣として働く上で知っておくべきことです。

この記事では、派遣と出向の労働の形態の違い、雇用期間、労働時間、契約などの違いについてわかりやすく解説します。

派遣の特徴

期間が契約で決められている派遣の特徴としては、仕事をする上での自由度があります。長期雇用を目的とした正社員と比較すると、一定期間働いた職場が自分に合わないと感じた時は、派遣であれば派遣元と相談して新しい派遣先を探すことができます。

最近の派遣社員の労働市場における割合を見てみると、2016年から2019年まで2.5%となっていて、それほど大きな変化がなく安定しているのが特徴です。

2016年 132万人 2.5%
2017年 129万人 2.4%
2018年 139万人 2.5%
2019年 142万人 2.5%

一般社団法人日本人材派遣協会の労働市場における派遣の規模

派遣のメリット

(1)自由度がある

派遣のメリットの一つとして、自由度が高い点があります。派遣社員は、登録する派遣会社と契約した内容に合わせて仕事をするので、契約書の内容で働き方が決まってきます。

労働時間なども契約内容に記載されているのが派遣なので、基本的に契約書以上の労働時間は働かないので、長時間労働に抵抗のある方には丁度良いでしょう。

派遣の仕事を探す際にも、登録する派遣会社の特徴が様々あり、さらに派遣先によって働く条件なども決まるので、事前のこれらの情報を収集して自分に合った職場を見つけることができる点も派遣社員の利点です。

(2)仕事を選べる

仕事を選べることも派遣のメリットと言えますが、今まで培ってきたスキルや知識を使って引き続き同じような仕事をしたい場合でも、新しい仕事にチャレンジしたい方でも、派遣会社がいくつかの派遣先を紹介してくれるので仕事が選べて良いでしょう。

派遣の場合、派遣先を決める前の段階で、派遣会社が持っている色々な情報を元に、派遣に登録した方と企業とのミスマッチがないように考慮してくれるので、仕事選びで頼りになるのが派遣会社です。

(3)色々な経験を積むことが可能

複数の仕事を経験したい方にとっても派遣は、一定期間で派遣先を変えることが可能なのでおすすめです。

キャリアパスを考える時に、いくつかの職種について知識やスキルを身に付けたいと考える方は多いですが、派遣であればその様な目的でも問題なく派遣先を紹介してくれるので良いでしょう。

いくつかの仕事を経験した後に、今後の仕事を1つに絞ることも可能なので、より広い視野で仕事をとらえて派遣社員として、複数の仕事を経験することはメリットがあります。

派遣のデメリット

(1)契約更新されないことがある

派遣のデメリットとして契約が更新されないケースがあります。契約期間については、派遣元との契約書で決まっていて、概ね3ヶ月ごとから6ヶ月ごとの更新となっていて、最長で3年となっています。

契約が更新されるかどうかは、派遣社員を派遣先の企業が必要としているかどうかによって決まってきます。一時的に派遣社員を雇って忙しい時期を乗り越えたいたい企業もかなりあるので、仕事がなくなると更新されない点は、派遣のデメリットでしょう。

(2)派遣の期間に上限がある

派遣の別のデメリットとして、派遣の期間の上限が3年間である点です。これは2015年9月30日の派遣法が改正された結果、派遣の同じ派遣先で仕事ができる上限の3年間の決まりにおける適用範囲が全ての業務になったため、派遣の上限期間が厳しくなりました。

派遣で同じ仕事場で働ける期間が3年間と法規制されているため、派遣労働者からした場合、慣れてきた仕事を辞めなくてはいけない状況になるので知っておいた方が良いでしょう。

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(3)給料に差がある

給料面を考えてみると、派遣社員の場合スキルによって給料に差があります。例えば、エンジニアなどの経験者の場合時給は1,500円から4,000円であるのに対して、未経験の案件では時給1,000円から1,500円になっていて相当な給料の差になります。

派遣社員で少しでも早く待遇の良い仕事をしたい方は、パソコンの資格であるMOS(Microsoft Office Specialist)や英語力を証明できるTOEICのある程度の点数を取っていると良いでしょう。

自分に資格や経験があれば派遣先が変わっても次の派遣先も見つけやすく安定して仕事を続けることが可能なのも派遣社員の特徴です。

派遣社員のメリット・デメリットとは? 契約社員・正社員との違いも解説

派遣に向いている場合

複数ある派遣のメリット・デメリットを考慮して派遣に向いている方は、働く職場を移動することでモチベーションを維持できて自分のやりたい仕事を探している場合は、派遣社員として長期勤務しても問題ないでしょう。

最近では、様々な形態でのワークスタイルがあり、発注先から受注して働く様なフリーランスなどもあることから、派遣社員として働くことも選択肢としては魅力があるでしょう。

出向の特徴

出向のメリット

(1)自分が成長できる

出向のメリットとして、自分が成長できる点があります。出向する場合は仕事の環境が変わり、人間関係もリセットすることになり、色々な問題を仕事の中で解決するため多くの経験を積むことができ成長につながります。

同じ環境で出向をせずに勤務している場合では、他の仕事の環境などを知ることができないため、限られた考え方になる傾向があり柔軟性や経験値を付けることが難しいでしょう。

(2)新しい出会いがある

出向社員は、新しい出会いがあるメリットがあり、人脈を広げるためには良い機会が沢山あります。出向元での人脈と、出向先での人脈の両方を持っていると、何か会社で問題が発生した時に解決する方法も、人脈の多さによって解決のし易さも変わってきます。

特に大手企業などでは、親会社から子会社への出向がありますが、出向したことで親会社と子会社の両方に頼りになる顔見知りのスタッフがいることで、その企業のグループ全体としてのビジネス上の問題を解決できる能力も向上するでしょう。

出向のデメリット

(1)新たに仕事を覚える必要がある

出向のデメリットの1つとして新しく仕事を覚える必要があります。場合によっては、出向先で出向元で行っていた仕事ではない職種を任されることもあり、対応するまでに時間と労力が必要でしょう。

出向先で新しい環境の中で、多くの仕事を覚えることはかなりの負担になることもあり、特に出向元で長期間同じ様な仕事内容を行っていた方にとってはストレスになります。

(2)ワークスタイルが変化する

出向では、それまでのワークスタイルが変わることがあり、仕事場が変わって長時間通勤が必要なケースもあります。朝の忙しい時間帯で長時間通勤になれば、睡眠時間も少なくなってしまって生活のリズムを崩すこともあり得ます。

出向では、新しい仕事に柔軟に適応するだけでなく、仕事と私生活全般を見直す必要があって、十分に休暇が取れない時もあります。出向が決定したら、早い段階で工夫して生活のリズムを整えて、無理なく新しい出向先で集中して仕事ができる対策が必要でしょう。

出向に向いているケース

会社へ出向するのが向いているのは、新しいことを積極的に吸収できる方でしょう。何事に対してもプラスに考えることができて、出向が決定しても前向きに計画を立て出向先での仕事に対応しようとする方は、出向に向いています。

それとは逆に、少しでも環境が変化することにストレスを感じて自分から対応しないタイプの方は、出向する際に出向先の会社に馴染めないなどの問題を抱えることがあります。

派遣と出向の違い

どの企業と契約するかで異なる

派遣と出向の違いは、どの企業と契約するかによって異なってきます。

派遣社員は、労働契約を派遣元である派遣会社と契約をして、指示命令権は派遣先にあります。それに対して出向の場合は、派遣会社と出向先の2つと契約して、指示命令権は派遣と同じ様に出向先にあります。

ポイントとしては、派遣と出向の共通点が、指示命令権が仕事をしている会社になる点です。ここで言う指示命令権とは、働く労働者に対して仕事上の指示をする権限を意味しているので、出向と派遣ともに仕事をしている会社に従って業務することになります。

エン・ジャパンの転職サイトにおける「派遣と出向の違いって? 」

雇用期間の違い

雇用期間について派遣と出向との違いを見てみると、派遣の場合は短期では31日単位であったり、長期のケースでは3ヶ月から半年位となっていて、場合によっては1年以上継続して同じ会社で仕事をすることもあります。

出向では1年以上勤務することが多く、長期間になることが一般的です。雇用期間は、契約書にも記載があるので自分が短期の派遣なのか長期の出向に向いているのか、客観的に判断してから選択した方が良いでしょう。

じっくりと同じ会社で知識やスキルを身に付けて仕事をしていきたいと考えている方には、派遣よりも出向の方がおすすめです。

スタッフサービスの「出向と派遣はどこが違う? トラブル防止のために知っておきたい特徴」

労働時間は契約内容によって違う

労働時間における派遣と出向の違いを考えてみると、両方の場合も契約内容によって労働時間は決まってきます。派遣では、労働時間が契約書に労働基準法36条に規定されている労使協定に従って明記されています。

労使基準法36条は、法定労働時間である1日8時間週に40時間を超えて労働者が働く際には、事前に書面で協定の締結をするように規定している法律です。派遣では、残業代などは労使基準法36条を含む契約書の内容によって決まっています。

出向の場合は基本的に出向元と同じような対応が求めれますが、出向先が労働条件を変えるケースもあるので事前に知っておいた方が良いでしょう。

自分に合う契約形態を選ぼう

実際に働く企業と直接契約したい方は出向

派遣か出向か迷っている時で、実際に働く企業と直接契約したい方は、出向で仕事をすると良いでしょう。

自分が働いている企業で出向として勤務する時は、仕事上や契約内容で何か問題が発生しても、すぐに出向している企業に確認できて解決できるのでシンプルでわかり易いです。

それに対して派遣で働いる方は、契約内容などに確認が必要な場合は、派遣会社に勤務先から連絡する必要があり、手間が掛かります。

複数の会社で経験を積みたい方は派遣がおすすめ!

派遣がおすすめな方として、複数の企業で経験を積みたいと考えている方が挙げられます。

複数の会社で勤めることでしか身に付けられない経験もあり、派遣社員として色々な経験を積むことは将来的に自分の可能性を広げることにもなります。

派遣社員として社会人としてのしっかりとした基礎と、スキルがあれば、将来的に正社員雇用の求人なども視野に入れてキャリアパスを描くことも可能です。

どちらが自分に合った契約形態が迷っている場合

派遣か出向なのかどうしても迷っている時は、自分の持っているスキルや知識などを見直してみるのも良いです。客観的に派遣と出向のどちらに向いているかは、その時点での能力にも関係しています。

自分の経験に対して十分に自信のある方は、出向で働くことを選択して自分の力がどこまで通用するのか挑戦してみるのも良いでしょう。

これから少しずつ経験を積んで、様々な仕事を経験したいと考える方は、地道に派遣社員で働くことで目標を1つずつ達成していくのも良い方法です。

労働契約を理解して、派遣か出向のどちらで働くか決めよう!

派遣であっても出向であっても労働契約は結びますが、派遣の場合は派遣元との契約となり出向の契約では、出向先との契約と派遣先との契約になります。

仕事をする上では、仕事場での指示に従うことは派遣も出向も同じですが、出向の場合は出向先が契約内容の労働条件などを変更するケースがあり、その様な時は出向先に従うことになります。

実際に働いてみると、派遣が向いているのか出向が良いのか判断が難しくなることもあるので、出向も派遣も労働契約を結ぶ前に不明な点は質問して問題解消した後に、契約することをおすすめします。