派遣の掛け持ちってOK?掛け持ち時の社会保険や雇用保険、年末調整や確定申告までをまとめて紹介

派遣社員の基礎知識

「もっと収入を増やしたい」という人は派遣社員に限らず沢山います。

正社員の多くは会社で副業が禁止されていますので、掛け持ちしたくてもできない現状ですが、派遣社員の場合はそうとも限りません。

本記事では、派遣社員の掛け持ちについて、実際に掛け持ちをしている人の割合や、掛け持ちする際の社会保険や雇用保険、年末調整や確定申告などについて詳しく説明します。

「掛け持ちしたいけど実際は中々…」という人はぜひ参考にして下さい。

派遣の掛け持ちについて

派遣の掛け持ちとは、ある職場で派遣社員として仕事をしながら他の会社でも派遣社員で働く状態のことを言います。

私の友人も1日のうちに時間をずらして仕事を掛け持ちしていました。

仕事を掛け持ちすると月収が増えるだけでなく、職場によってはスキルが身に付くこともあるでしょう。

しかし派遣は掛け持ちしても良いものなのでしょうか。

実際にどれくらいの人が掛け持ちしているのかなど見ていきましょう。

派遣の掛け持ちは可能なケースが多い

派遣の掛け持ちは可能としている派遣会社も多く、大手の派遣会社では実際に副業が許可されています。

副業が可能な派遣会社の例:テンプスタッフ・マンパワー・リクルートスタッフィング・マイナビスタッフ・エン派遣

ただし、派遣先によっては禁止となる場合もあるので確認が必要です。

派遣社員の5人に1人は副業・ダブルワークをしている

派遣社員のアンケート調査では、約半数の人が副業・ダブルワークをしているというデータがあります。(参考:エン派遣「(副業・ダブルワーク(2019年1月調査)」

上記アンケートによると、今現在すでに掛け持ちをしている人は約2割、つまり5人に1人です。この割合は他の雇用形態と比較すると多い方ですね。

一方、正社員の場合は会社の約7割が副業を禁止しているため、たったの1割程度の人しかしていません。

派遣社員がダブルワークをする理由としては「副収入が必要だから」という回答が68%を占めていました。経済面で安心したいという人が多いことが分かりますね。

また、ダブルワークに興味がある人は約4割もいるにも関わらず、実際にはしない理由で一番多かったのは「都合の良い条件の仕事が見つからない」という回答です。

確かにダブルワークをするとなると両方の時間を都合よく合わせる必要がありますので、日程や時間調整が難しいのでしょう。

ただし派遣会社が掛け持ちを禁止していればだめ

多くの派遣会社では掛け持ちを許可していますが、禁止しているところも中にはあります。

副業を禁止している派遣会社:スタッフサービス

派遣の掛け持ちを検討しているのであれば、自分の派遣会社の就業規則を確認しましょう。

禁止なのに掛け持ちしてばれたらどうなる?

派遣会社が掛け持ちを禁止しているのに、就業規則を無視して掛け持ちしてばれた場合は、最悪懲戒処分となる可能性も否めません。

注意喚起だけで終わることもありますが、今の仕事の更新がされずに契約終了となってしまったり、次回から仕事紹介をしてもらえなくなることもあるので気を付けましょう。

掛け持ちする際の年末調整、確定申告について

年末調整は12月に行うのが一般的で、1月1日~12月31日までの1年間の給与所得を確定し、概算で天引きしていた余分な税金を還付したり徴収することを言います。

確定申告は毎年2月16日~3月15日までに行う必要があり、1月1日~12月31日までの1年間の所得(給与所得や事業所得など)を申告して計算する手続きのことです。

通常は年末調整をすれば確定申告に行く必要がないのですが、派遣を掛け持ちしている場合は話は別です。

以下で具体的に見ていきましょう。

年末調整の手続きはどっちの派遣会社でするべき?

派遣を掛け持ちしている場合は、両方の派遣会社から年末調整の書類が届きます。

しかし、年末調整は「扶養控除」や「保険控除」の書類を提出した会社でしか行うことができません。

ですからメインとなっている派遣会社の方で年末調整を受け、もう一方の派遣会社には「他で書類を提出している」と伝えるのが良いでしょう。

派遣の掛け持ちをした場合は自分で確定申告を

派遣を掛け持ちしている場合は、自分で確定申告をしなければいけません。

よく年間20万円以下であれば確定申告は不要と聞きますが、掛け持ちなどで会社に雇用されて副収入がある場合は、年間20万円以下の人でも管轄の役所にて確定申告が必要です。

ただし、12月は一社からしか給料を貰わないと言った場合は、給料を支払う派遣会社が掛け持ち分のものまで年末調整をしてくれる可能性がありますので確認しましょう。

確定申告の際の必要書類

  • 源泉徴収票(全て派遣会社の源泉徴収票)
  • 保険料控除証明書(各種保険など加入している場合)
  • その他控除対象となるもの(領収書や通勤交通費証明書など)
  • 振込先の口座番号が分かるもの(銀行の預金通帳やキャッシュカード)
  • 銀行の届出印

私は実際に確定申告に行きましたが、入力手順などは全て係の人に教えてもらえます。

ばれないように掛け持ちする人は住民税を普通徴収に

住民税は収入が多い方の派遣会社に請求が行くようになっています。

派遣を掛け持ちしているのがばれたら困る人は、確定申告の際に副業収入分の住民税を「普通徴収」にしておきましょう。

普通徴収とは、会社が住民税を給与から天引きする形ではなく、自分で納付することです。

以下のように「住民税に関する事項」では「自分で納付」にマルをしましょう。

住民税や副業をばれないようにする対策について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。

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派遣を掛け持ちする際の社会保険、雇用保険について

私たちが毎月貰える給料は、社会保険や雇用保険が天引きされて支払われていますが、派遣の掛け持ちをした場合、各種保険の控除はどうなるのでしょうか。

また、扶養に入っている主婦などが派遣の掛け持ちをする場合、どうすれば扶養内で働けるのかも大事なところです。

ここからは、派遣の掛け持ちをする際の社会保険や雇用保険について説明します。

社会保険に加入するかどうかは、一つの雇用先で条件を満たすかどうか

社会保険の加入は一つの会社で加入条件を満たすかどうかによって決まります。

たとえば、健康保険と厚生年金は以下が条件となります。

週の所定労働時間が30時間以上(派遣会社の一般社員の4分の3以上)で、1ヶ月の所定労働日数が15日以上の場合

  • 75歳未満であること
  • 契約期間が2ヶ月を超えること(契約更新によって2ヵ月を超える場合も対象)

週の所定労働時間が20~30時間未満(派遣会社の一般社員の4分の3未満)、もしくは1ヶ月の所定労働日数が15日未満の場合

  • 75歳未満であること
  • 賃金の月額が88,000円以上
  • 1年以上の雇用が見込まれる
  • 契約期間が2ヶ月を超えること(契約更新によって2ヵ月を超える場合も対象)
  • 従業員数が501人以上の派遣会社であること(※1)
  • 昼間学生でないこと

この条件を満たした場合のみ社会保険に加入はできますが、満たしてなければ加入はできません。

また条件を満たすかどうかはあくまで1つの雇用先に対してです。

たとえば掛け持ちをして、一つ目の仕事で週15時間、二つ目の仕事で週15時間、合計30時間となったとしても社会保険には加入できず、自分で国民年金や国民健康保険に加入する必要があります。

一方、一つ目の仕事で週30時間、二つ目の仕事で週10時間働き、1か所で条件を満たしている場合は、加入も1か所で問題なく、掛け持ちしていない場合と違いがありません。

派遣の社会保険の加入条件に関してより詳しく知りたい方はこちら:派遣の社会保険は義務、加入条件は?

両方の派遣会社で社会保険の条件を満たす場合は手続きを

たとえば週20時間を二つの雇用先でそれぞれ行ったとして、かつ上記で紹介した条件も満たしているとすると、どちらにも社会保険の加入対象となります。

このように両方の派遣会社で社会保険の加入条件を満たしてしまう場合は、まずは両方の会社で加入する必要があります。

その上で、以下の通り自分で手続きをしなければなりません。

被保険者が同時に複数(2か所以上)の適用事業所に使用されることにより、管轄する年金事務所または保険者が複数となる場合は、被保険者が届出を行い、年金事務所または保険者のいずれかを選択します。(参考:日本年金機構「複数の事業所に雇用されるようになったときの手続き」)

複数の会社でそれぞれ行っても正しい社会保険料を出せないから、年金事務所や保険者(全国健康保険協会や健康保険組合などの運営組織のこと)が管理するという手続きです。

この手続きは事実発生から10日以内に行う必要があり、電子申請や郵送・窓口持参で行うことが可能です。

その際は「健康保険・厚生年金保険被保険者選択・2以上事業所勤務届」を年金事務所に提出しなければなりません。すでに全国健康保険協会(協会けんぽ)の被保険者である場合は健康保険被保険者証も必要です。

この手続きをすると標準報酬月額が決定され、保険料は各派遣会社で按分されます。

給料が高い方だけで社会保険料が決まるというわけではなく、給料を合算して決まるのです。

掛け持ちする場合、どうするのが社会保険が安くなる?

2つの派遣会社を掛け持ちをした場合、たとえ給料がほとんど変わらなくても、働き方次第で社会保険料はかなり違ってきます。

たとえば以下の3つのパターンを比較してみましょう(月20万、年収240万円として比較)。

  • 2か所で加入条件を満たしている場合(週の労働時間はどちらも20時間)
  • 1か所のみで加入条件を満たしている場合(週の労働時間が片方は21時間、もう片方は19時間)
  • どちらも加入条件を満たしていない場合(週の労働時間がどちらも19時間)
1か月あたりの保険料
1社目 2社目 国民年金
国民健康保険
2ヶ所 約1万5千円 約1万5千円 0円
1ヶ所 約1万5千円 0円 0円
0ヶ所 0円 0円 約3万円

保険料は家族構成や地域によって変わりますが、1社で加入条件を満たし、もう1社で加入条件を満たさないというのが最も社会保険料を安くすることが可能となります。

社会保険料が低いと将来の年金も少なくなるといったことはありますが、昨今の年金事情を考えると、もし掛け持ちするならうまいこと調整して1ヶ所のみで加入するのがよさそうですね。

収入が130万円以上となると社会保険の扶養から外れる

人によっては配偶者の扶養に入っているという人もいるでしょう。

ただ派遣の掛け持ちをして年間130万円以上の収入になると、社会保険の扶養からは外れてしまいます。

この130万円というのは、1ヶ所のみの話ではなく掛け持ちして入ってくる収入を合計した金額です。

扶養から外れた場合は、国民年金・国民健康に入らなくてはいけません。

収入額によっては逆に損をする可能性もあるので気をつけましょう。

雇用保険は収入が多い方のメインの派遣会社で加入

雇用保険は掛け持ち不可能なので、派遣を掛け持ちする際は収入が多い方の派遣会社で加入することになります。

雇用保険の加入条件

  • 1週間の労働時間が20時間以上
  • 31日以上の雇用見込みがある

雇用保険は社会保険とは違って各派遣会社で按分されることがありません。

派遣の掛け持ちをする際の注意点

ここまで派遣の掛け持ちについて、年末調整などの申告や社会保険についてなど大分詳しい知識がついてきましたね。

「何とか掛け持ちして家計に余裕を持たせたい」と思う人は多いでしょう。

ここからは、同じ派遣会社で掛け持ちすることや、どんな内容の掛け持ちなら無理なく働けるかなど、掛け持ちをする際の注意点について説明します。

同じ派遣会社ではなく、違う派遣会社で掛け持ちすること

派遣の掛け持ちをする際は、同じ派遣会社ではなく違う派遣会社で掛け持ちするようにしましょう。

同じ派遣会社で働くと、労働基準法にある「1日8時間、週40時間」を超えてしまい、割増賃金が発生するためいい顔はされません。

派遣会社は派遣先から派遣料金をもらっていますが、割増賃金分を貰うことはできないので派遣会社の負担になるのです。

中にはオーバーワークさせてくれない派遣会社もあるので、派遣の掛け持ちをする際は最初から違う派遣会社でする方が良いでしょう。

単発など長期以外の仕事を選ぶ

派遣の掛け持ちをする際は、単発の仕事など長期以外の仕事を選びましょう。

片方が単発であれば、ずっとその仕事が続くわけではないので体力的にもストレスは軽減されます。人はゴールが見えると頑張れるものですよね。

逆に長期同士で掛け持ちすると、一日が非常に長く感じたり、辛いという気持ちが生まれやすくなってしまいます。

実際に私の友人は掛け持ちで長期の仕事を選んだために、すぐに辞めると言いにくい状況になってしまって悩んでいました。

無理のない業務内容の仕事を選ぶ

掛け持ちをする際は、無理のない業務内容の仕事を選ぶことも重要です。

淡々とできるデータ入力など、ルーティン作業の仕事がおすすめですが、人によっては運動がてら身体を動かすような仕事が良いという人もいるかもしれません。

ただ時給が高いからと言って自分にとってハードな仕事を掛け持ちすると、後で体調管理ができなくなるので注意しましょう

スケジュール管理を怠らない

掛け持ちをする際はスケジュール管理を怠らないようにしましょう。

忙しくなってくると、何曜日にどっちの仕事なのか、何時からどっちの仕事なのかと混乱することは大いにあり得ます。

出社日を間違えてしまったら大きな信用低下に繋がりますので、実際にスケジュールを確認する癖をつけて、常に目に留まる位置に貼っておくなど工夫すると良いでしょう。

掛け持ちしていることをあまり言わない

仕事を掛け持ちしていると、周囲に言わないようにすることも大事です。

掛け持ちしていることを言ったばかりに職場の人が覗きに来ても嫌ですし、ただの体調不良で会社を欠勤しただけで「掛け持ちしているからだ」などとケチをつけられるかもしれません。

掛け持ちのせいで職場に迷惑がかかっていると思われたら嫌ですよね。

友人は上司から「掛け持ちしているから疲れて集中力が低下しているんじゃないの」と言われたことがあり、憤慨していました。

仕事を掛け持ちしていることはあまり言わない方が賢明でしょう。

無理のない程度に掛け持ちして収入を増やそう

今回は派遣の掛け持ちについて説明しました。

ここまでの記事をまとめてみましょう。

まとめ

  • 派遣の掛け持ちは許可されているケースが多い
  • 派遣社員の5人に1人が仕事の掛け持ちをしている
  • 掛け持ち禁止の会社でばれたら懲戒処分もあり得るので注意
  • 年末調整は「扶養控除」や「保険控除」の書類を提出した会社行うのでメインの会社でする方が良い
  • 派遣の掛け持ちをしている人は確定申告は自分でしなければならない
  • ばれないようにに掛け持ちする人は確定申告の際、住民税を普通徴収にする
  • 合わせて年間130万円以上の収入となると、扶養に入っている人は扶養から外れてしまう
  • 社会保険の加入条件が両方の会社で満たされる場合は、10日以内に「健康保険・厚生年金保険被保険者選択・2以上事業所勤務届」を年金事務所に提出する必要がある
  • 「健康保険・厚生年金保険被保険者選択・2以上事業所勤務届」を年金事務所に提出すれば社会保険料が各派遣会社で按分される
  • 雇用保険は収入が多い方の派遣会社で加入する
  • 派遣を掛け持ちする際は、「違う派遣会社」で「長期以外の無理のない業務内容」のものを選び「スケジュール管理」をしっかりすることが大事
  • 掛け持ちしていることを周囲には言わない方が何かと良い

仕事を掛け持ちすることは簡単とは言えないですが、掛け持ちする仕事によっては無理なく続けられますし収入も増えるので良いですよね。

派遣社員は掛け持ちすることが可能なケースが多いので、せっかくですから掛け持ちしてみるのもありでしょう。