紹介予定派遣の実態。直接雇用される割合・正社員になれる割合はどれくらい?

派遣社員の働き方

紹介予定派遣は正社員になりやすいということを知っていますか。

実は正社員になれないものだという意見もありますし、実際にどのくらいの人が正社員になれているのか、その実態が気になりますよね。

ただ、「派遣は派遣にしか過ぎない」と思って諦めていたら大間違い、実はかなり勿体ないことをしているかもしれません。

本記事では紹介予定派遣について、実際に直接雇用に結びつく確率や正社員になれる人の割合、また年齢や性別によって正社員になれるかどうかに差が出るのかについて説明します。

紹介予定派遣とは

紹介予定派遣とは、派遣先企業で直接雇用されることを前提とした派遣形態です。

最初に派遣社員として最大6カ月間派遣先企業で働きます。直接雇用される前に派遣社員として働くことで、その企業の業務内容をあらかじめ知ることができますし、社員になるイメージもつきやすくなるというメリットがありますね。

また、派遣先の企業側にとっても直接雇用前に派遣社員の仕事ぶりを見て「うちの会社に合うか否か」を見ることができます。

もし実際に派遣されてみて業務についていけないとなったら自分から断ることもできますし、逆に派遣先から断られてしまうということもあるでしょう。

給料の仕組みとしては、派遣期間中は雇用主が派遣会社のため、派遣会社から給料を貰いますが、直接雇用後は派遣先の企業が雇用主となるので、給料も派遣先企業から貰います。派遣会社は他社に変わるのです。

紹介予定派遣について詳しくは以下の記事を参考にして下さい。

紹介予定派遣とは?登録型派遣との違いやメリットやデメリット、働く際の注意点など
「今の会社を辞めたい」「転職して新たなスタートを切りたい」「違うスキルを身につけて働きたい」誰もが一度はこのような考えがよぎることはあるでしょう。転職するなら早いうちが良いと良く聞きますが、まさにその通りです。 出来れば新しく良い環境の中で...

紹介予定派遣の実態、正社員になれない人は多い?

紹介予定派遣は直接雇用を前提とした派遣形態ですが、実際は正社員になれない人も多いという話を良く聞きます。

正社員になれないとはどういうことなのでしょう。

私たは直接雇用と聞くとつい正社員を連想してしまいがちですが、直接雇用には「正社員」、「契約社員」、「アルバイト・パート」などの雇用形態があります。

正社員になれないとなると、契約社員の可能性が高くなりますね。

では実際にどのくらいの人が正社員になれるのかなど、紹介予定派遣の実態について説明します。

他の派遣形態に比べると、正社員になれる可能性はかなり高い

派遣には、紹介予定派遣の他に「登録型派遣」がありますが、そこから正社員になるというのは中々難しいことです。

登録型派遣の場合、雇用期間が最大で3年までと定められています。その3年以内に直接雇用まで結びつけることができる人はごくわずか。

登録型派遣を利用する会社のほとんどはもともと直接雇用するつもりではないので、そんな中で正社員になるには相当に優秀な成果を上げ、人間関係も上手く築き、なおかつ会社として正社員が不足しているという運もないとなかなか厳しいのが現実です。

実際、正社員になりたいと思ってなれる人はわずか数%にとどまるでしょう。

それに比べると紹介予定派遣の正社員になりやすさは段違いに高いです。

元々が直接雇用、そして正社員にすることを前提にしているわけですから、当然と言えば当然なんですが。

実際に紹介予定派遣で直接雇用に結びついた人の割合は約50%

厚生労働省では、実際に紹介予定派遣で直接雇用に結びついた人の数を公表しています。参考:厚生労働省「平成29年度紹介予定派遣の状況」

データによると、38,239人中、19,008人が直接雇用に結びついた労働者数です。つまり約49.7%の人が実際に直接雇用に結びついていました。

また直接雇用されなかった約50%の人のうちでは、会社側が断るのではなく派遣社員側が辞退したというケースが多くなっています。

ようするにもし自分が辞退しないのであれば、6~7割程度の確率で直接雇用はされるということです。

ただし、実際に正社員になれる人は約6割。必ずなれるわけではない

実際に紹介予定派遣で直接雇用に結びつく人は約半数いますが、必ずしも全員が「正社員」になれるとは限りません。

では、紹介予定派遣で直接雇用後、どの雇用形態に転換されているのか、以下のグラフを見てみましょう。

(参考:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「派遣先での直接雇用転換」

上記グラフによると紹介予定派遣から正社員に転換されているのは約6割です。

ただ契約社員として直接雇用された人も、その後に正社員へと転換できたという人も少なくありません。

通常の派遣に比べるとよっぽど高いと言えるでしょう。

紹介予定求人の倍率は高めで受かるとは限らない、しかし通常の転職に比べると実はかなり簡単

紹介予定派遣を狙いたいと思う気持ちが強くなるようなデータを見ました。

私も実際に「紹介予定派遣で働きたいので、求人があれば教えて下さい。」と派遣会社の担当者に相談したことがありました。正社員になれる可能性が高いのであれば、大半の人は応募したくなるのでしょう。

ただ登録型派遣のように希望すれば簡単に仕事に就けるというほど、甘いものではありません。

厚生労働省の「平成29年度紹介予定派遣の状況」によると、紹介予定派遣に申し込みをした人数は149,818人であるのに対して派遣された労働者数は38,239人。およそ4人に1人しか合格していません。

派遣会社内の書類選考だけでも落ちる可能性は高いですし、たとえ派遣会社の書類選考に受かっても、派遣先企業が他社の派遣会社にも同じ募集をかけている場合、採用試験で落ちる可能性も十分にあります。

ただ、大手企業へ転職する難易度を考えた場合、紹介予定派遣の方が簡単なことは言うまでもないでしょう。圧倒的にハードルは低くなるのです。

紹介予定派遣から正社員になりやすい人、なれない人、性別や年齢で差はでる?

紹介予定派遣から正社員になれる人は1.5~2人に1人というデータがありましたが、正社員になりやすい人、なれない人の差はあるのでしょうか。

よく、性別や年齢でも違うという意見も聞きます。

営業マンである私の友人は「男なら結婚していて年齢もあまり若くない方が取引先に信頼される」と言っていましたし、女性の場合は「女であることで甘くみられることが多い職業」があるようです。

しかし紹介予定派遣の場合にもそれは当てはまるのでしょうか。

ここからは、性別や年齢が正社員になれるか否かに影響があるのかについて考えていきます。

紹介予定派遣で採用された時点で、最低限契約社員になれる可能性はあると考えて良い

紹介予定派遣の求人に応募して採用されたということは、その時点で直接雇用に結びつく可能性は十分にあると考えて良いでしょう。

最初から直接雇用するつもりはないのに、紹介予定派遣で求人を出すという会社はあまり聞いたことがありません。

ただ、正社員として雇用するつもりは最初からなくて、もともと契約社員に雇用するつもりで紹介予定派遣を募るという会社はあります。

派遣会社の担当者も本当のところを知らない場合が多いでしょうが、念のため応募前に契約社員に直接雇用される可能性は高いか、過去の実績などを派遣会社に聞いてみるのも良いですね。

直接雇用されなかったら年齢や性別ではなく、他の原因が考えられる

紹介予定派遣で働いたにも関わらず、残念ながら直接雇用に繋がらなかった場合には、年齢や性別ではなく他の原因が考えられます。

年齢や性別が原因であれば、最初から採用していないでしょう。

もしかすると社内の人間関係が上手くいっていないのを上司は見ていたとか、仕事ぶりを見て「業務遂行に必要なスキルが足りていない」と判断されたかもしれません。

人間関係にトラブルがなくても、職場の雰囲気に合っているかも大事な要素ですし、最低限のコミュニケーションスキルがない場合も問題です。

直接雇用に至らない原因がどうしても知りたかったら、派遣会社に理由を聞いてみると教えてくれますので、今後に活かせるでしょう。

ただし採用時に年齢が性別によって差がでる場合も

紹介予定派遣として採用後に年齢や性別によって差が出ることは考えにくいですが、紹介予定派遣の採用時にはそれらによって差が出る場合も考えられます。

法律的には年齢や性別によって制限できません。それぞれについては以下のように述べられています。

求人票は年齢不問としながらも、年齢を理由に応募を断ったり、書類選考や面接で年齢を理由に採否を決定する行為は法の規定に反するものです。(引用:厚生労働省「その募集・採用年齢にこだわっていませんか?」

(性別を理由とする差別の禁止)
第五条 事業主は、労働者の募集及び採用について、その性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならない。(男女雇用機会均等法第5条

しかし、上記のように法律で制限できなくなってはいますが、実際のところ採用判断の一つの基準になっている場合は多いです。

男性が有利か女性が有利かは仕事内容によって異なる

法律上、性別を理由に差別してはいけないとはなっていても、仕事内容によっては男性が有利の場合もあれば、女性は有利のこともあるでしょう。

例えばソフト開発や通信などの技術職や建築、営業職は男性の方が多いですし、運輸などの体力仕事は女性よりも男性の方が適していると言えます。

一方、事務職の募集の場合は女性の方が応募者も多いでしょうし、アパレルで婦人服販売となった場合は男性よりも女性の方が圧倒的に有利ですよね。

このように、仕事内容によっては差別ではなく性別適しているかどうかという差はあるでしょう。

年齢はやはり20代、30代が有利、40代になってからの紹介予定派遣は難易度がかなり上がる

紹介予定派遣を募集するにあたって、法律上年齢制限はできなくても、20代、30代の若い年齢の方が有利なのは言うまでもありません。

採用する企業側からすれば、やはり将来性もある20代、30代の方が良いに決まっています。仕事の吸収力が早く教育に時間がかかり過ぎないですし、今後会社を任せられる年代でもありますよね。

そういった面で言うと、40代以降で紹介予定派遣を狙うのは難易度はかなり上がるでしょう。

特に経験やスキルがない40代と、同じくらいの能力の20代とでは、確実に20代の方が有利ですよね。

ただ、40代以降は全く採用されないかというとそうとも限りません。

即戦力を必要としている会社であれば、経験豊富で長年積み上げてきたスキルをすぐに活かせられる年代が有利に働く場合もあるでしょう。

紹介予定派遣から正社員になる際の注意点

紹介予定派遣から正社員になる場合、どのようなことに注意するべきでしょうか。

納得のいく形で正社員になるためにも、ここでは注意したほうが良いポイントを見ていきましょう。

条件に違いがある可能性がある

紹介派遣の場合、当初聞かされていた雇用条件と内容が異なる時があります。

紹介予定派遣は、あくまでも正社員としての雇用を見込んでいるので、派遣スタッフ期間に企業側も能力を見極めたうえで内容や条件を変える可能性があります。

そのため、正社員になる場合はしっかりと内容の確認するように注意しましょう。

紹介予定派遣から正社員を目指す為にすべきこととは

紹介予定派遣で採用されても、契約社員ではなくて正社員で働きたいと思う人が大半ですよね。

では、具体的に正社員を目指すために何をすべきなのか、4つのポイントを挙げてみましょう。

  1. 派遣期間中の勤務態度に気を付ける
  2. 与えられた仕事に真面目に取り組む
  3. 職場の雰囲気に馴染む(良好な人間関係)
  4. チャレンジ精神をアピールする

上記について以下で詳しく説明します。

派遣期間中の勤務態度に気を付ける

これは基本中の基本です。しかし、社会人になっても遅刻や欠勤、早退が多いルーズな人もいますよね。

体調がどうしても優れないのであれば早退や欠勤をやむを得ませんが、あまりにも多すぎると自己管理能力が低いとみなされてしまいます。

また、上司に注意されたことで不貞腐れたり、プライドが高くて「でも…。」とすぐに言い訳をするのも要注意です。

私の職場にいた派遣社員で、何か注意されると「でも〇〇先輩に〇〇と言われたので…。」、「最初の指示では〇〇だと言われたのでやりませんでした。」と、言い訳とも受け取れるようなことばかり口にし、一向に「すみません」の一言が出てこない人がいました。

言っていることは正論だとしても、印象は悪いですよね。

普段から謙虚な姿勢を意識して、注意されたことは真摯に受け止めて今後に活かしましょう。

与えられた仕事に真面目に取り組む

次に、与えられた仕事に真面目に取り組むことが大事です。

これも基本といえば基本ですが、プラスアルファで他にできることを探す前に、まずは与えられた仕事を真面目に全うしましょう。

与えられた仕事を全うするためには仕事に早く慣れることです。

教えられたことをしっかりメモに取るなどして、空き時間や帰宅後もきちんと復習しましょう。

紹介予定派遣は直接雇用までの最大半年間が腕の見せどころです。

休みの日もメモをまとめたり、質問がないか見返して業務を忘れないようにすることが大事ですね。

職場の雰囲気に馴染む(良好な人間関係)

次に、職場の雰囲気に馴染むことです。これは良好な人間関係を築くこととも言えるでしょう。

職場の雰囲気に馴染むにはコミュニケーション力が大事になります。

上司や先輩、同僚とコミュニケーションを積極的にとって、いつの間にか会社の雰囲気に馴染んでいるのが理想ですね。逆にいつまでも会社に馴染んでいない人に対して、会社は違和感を感じてしまうものです。

私は実際にコミュニケーションをとるように心がけ、上司や先輩と仲良くなれたので「何だかもう何年も一緒に働いているような気になっていた。」と言われていました。

会社の人とコミュニケーションをはかり、距離が近くなることで「これからもずっと一緒に働く仲間」という意識を持ってもらえたら、有期雇用の契約社員ではなく、無期雇用の正社員として雇用してもらえる可能性が高くなるでしょう。

チャレンジ精神をアピールする

最後に、チャレンジ精神を見せることです。

これをする前に、与えられた仕事に真面目に取り組んで全うできていることが大前提ですが、「他の仕事にも取組みたい」という積極的なチャレンジ精神を周囲にアピールしましょう。

例えば「手が空いたので私も手伝います。」、「手が空いたので何かやらせてください。」、「私にできることがあれば何でもやります。」などと言って上司や先輩のデスクを回っていけば、何かしら仕事を与えてもらえます。

自分から積極的に仕事を探している姿勢が大事なのです。

「あの人は与えられた仕事しかしない」というイメージを与えるのではなく「あの人は自分から仕事をもらいに行く」という印象を周りに植え付ければ、どんどん仕事の幅も広がり任される業務も多くなるので、頼もしいと感じてもらえるでしょう。

会社は「使える人間」を正社員にしたいと思うのです。

紹介予定派遣で正社員を目指すのであれば、派遣期間中に上記4つのポイントを押さえて良い印象を与えましょう。

メリットも決して少なくない紹介予定派遣、チャレンジしてみるのは十分あり

今回は紹介予定派遣について説明しました。メリットも決して少なくはありませんし紹介予定派遣で採用されれば正社員になれる可能性も高いです。

また、大手企業に入れるチャンスでもありますから、紹介予定派遣からチャレンジするのも大いにありなのではないでしょうか。

実際に私の友人にも大手派遣会社に紹介予定派遣で入り、その後直接雇用されて正社員になった人もいます。

通常の採用試験で大手企業を受けた時は、彼女は書類選考の時点で落ちたのですが、紹介予定派遣にチャレンジしたことで正社員を勝ち取ったのです。

正社員になるチャンスをうかがいながら別の仕事をしている人も大勢いる中、紹介予定派遣を利用することは実は一番の近道だったりするかもしれませんね。