派遣社員と言えば残業も少なく定時上がり、というイメージがあるかもしれません。
しかし実際は「派遣社員なのに残業時間が異常に多い」と悩んでいる派遣社員が多いです。
中には「派遣社員てそんなに残業していいものなの?」と思われる人もいるかもしれませんが、派遣先によっては多忙のあまり残業だらけという会社があります。
本記事では、派遣なのに残業が多くて辞めたいと思っている人が残業を断れるのか、できるだけ残業しないための対策や、今後の仕事選びの際に注意すべきポイントなど詳しく説明していきます。
※1 2020年5月
派遣社員の残業ルール、残業時間や残業代の計算方法など
まずは派遣社員の残残業に関するルールと最大残業時間、残業代の計算方法から確認していきましょう。
派遣社員が残業するための条件と最大残業時間
そもそも派遣社員が残業するには条件は2つあります。
- 派遣会社と派遣社員間で、時間外労働に関する36(サブロク)協定が結ばれていること
- 労働条件通知書(雇用契約書)に時間外労働「有り」となっていること
最初に、労働基準法第36条に基づいて「時間外、休日労働に関する協定」を結ぶという条件です。
派遣社員と派遣会社間で36協定が結んであれば、労働条件通知書に「時間外労働及び休日労働について」という項目があり、そこに「1日◯時間、1ヶ月◯時間、1年◯時間の範囲内」と記載されているでしょう。
次に、労働条件通知書は雇用契約書とも呼ばれますが、それに「残業あり」となっているか確認が必要です。そもそもここで「残業なし」となっているのであれば、派遣先企業での残業はできないことになります。
ちなみに、36(サブロク)協定で定められている残業時間は、原則最大で月45時間、年360時間です。
ただし、特別条項付き36協定を結ぶと残業時間は月100時間(複数月80時間まで)が可能となります(派遣の場合はこれを結ぶことはまれですが)。
残業代は何分からタイムシートにつけるべき?残業代の計算方法
自分が残業した場合、何分からタイムシートに残業をつけて良いのでしょうか。
これは派遣会社によって異なり、最初に指示されていると思いますが「5分単位でつけてください」と言われることが多いでしょう。私も5分単位でつけていました。
また、法律では一定時間を超えた残業代に対して、割増賃金を支払うことが定められています。
この割増賃金の対象になるのは以下の2つの場合です。
- 1日8時間を超えて働いた時間がある場合
- 1週間のうち40時間を超えて働いた場合
上記の場合は通常の時給の1.25倍以上の割増賃金が支払われます。
例えば、時給1,000円で1日8時間労働の人が1時間残業した場合、9時間労働したことになるので残業した1時間は割増賃金の対象になり、時給は1,250円になるのです。
しかし、1日7時間労働の人が1時間残業した場合はどうなるでしょうか。
この場合、1日8時間までは割増賃金の対象にはなりませんので時給は変わりません。その日は全ての労働時間が時給1,000円のままで計算されます。
派遣社員が残業を断ったら最悪クビになる?
基本的に残業を断れるのは、最初から労働条件通知書に「時間外労働なし」となっている場合のみです。
労働条件通知書に「時間外労働なし」と明記されているのに残業を強制されるようであれば、断る権利がありますので、その場合は断っても問題ありません。
何故なら自分には非がなく、派遣会社が派遣先の要求を把握していなかったと言えるからです。
ただ、その際は「申し訳ないのですが残業なしという条件でした…」と言う必要があります。
もし何も言わずに断れば、派遣先側も事情を知らずに「仕事に対する意欲がない人」だと思ってしまうかもしれません。それだけは避けたいですよね。
また、派遣会社に相談し、担当者から派遣先に「最初から残業なしという契約なので…」と言ってもらいましょう。
しかし、労働条件通知書に時間外労働「有り」となっていれば、残業に対して理解して入社しているものとみなされることがほとんどですので、基本的に残業を断ることはできません。
時間外労働「有り」となっているにも関わらず残業を断った場合は信用低下に繋がります。最悪「使えないからあの派遣社員は要らない」とクビになることもあるかもしれません。
ただし、どうしても残業できない理由があるのであれば仕方ないので、その際は自分や子供の体調不良など上司が納得できる理由をきちんと伝えて断る必要があります。しかし繁忙期など多忙な時期はできるだけ避けた方が無難です。
サービス残業は絶対にNG、もし強要されたら派遣会社に相談を
ひどい派遣先の場合、まれにサービス残業を強要してくる場合もありますが、絶対に断るとともにすぐに派遣会社に相談するようにしましょう。
そしてすぐに違う仕事を紹介してもらってください。
サービス残業なんて、単なる損。そんな会社で働き続ける価値はありません。
正社員であればまだ出世等で優遇されるなどがあるかもしれませんが(もちろん正社員でもサービス残業は問題外ですが)、派遣社員として働いている人には何もメリットがないことです。
派遣会社に相談すればしかるべき対応をしてくれます。特に大手派遣会社であればしっかりしています。
派遣会社側としても、派遣先が勝手に自社の社員にサービス残業をさせて残業代未払いという法律違反をさせられたり、残業による追加料金を支払って貰えないというのはデメリットしかありませんから。
派遣社員でも定時あがりとは限らない、中には45時間超えの残業をする人も
派遣社員は、正社員に比べると残業が少なく、定時あがりしやすいという認識は間違っていません。
正社員であればかなり少ない残業ゼロというのも、派遣社員ならばかなり実現しやすいです。
ただ絶対に残業がないかというと決してそういうわけではないので注意が必要。
残業月30時間程度をするという派遣の人はそれなりにいるし、中には45時間を超える残業がたまにあるなんて人も私の周りにいます。
仕事選びを間違ってしまうと、残業したくないから派遣社員を選んだはずなのに残業が多いなんてことになってしまうので注意が必要。
残業が多ければその分給料が増えるというメリットはありますが、給料よりも時間という人は、気を付けなければなりません。
残業したくない人が派遣先を決める時のポイント
残業したくないという人は、派遣先を決める時にどんなことに気を付ければ良いのでしょうか。
そのポイントは2つあります。
- 残業なしをアピールしている会社を選ぶ
- 自分が残業できる最大時間を派遣会社に伝えておく
最初に、絶対に残業したくない人は、最初から「残業なし」をアピールしている派遣先を探すことです。
そして「実際に残業は全くなしで間違いないのか」を派遣会社に念入りに確認しましょう。そうすると、派遣会社から派遣先企業に電話で確認してくれることがあります。
少しでも残業ありになっている派遣先は、たとえ「月平均0~5時間」となっていても、忙しくなればそれ以上の残業が発生するかもしれないということを心に留めておいた方が良いでしょう。
次に、色々な事情で残業できる時間が限られている人は、仕事を紹介してもらう前に「自分は最大でも1日に○時間しか残業できません」という条件を派遣会社に言うのが一番です。
実際に私の場合は子供の保育園の迎えがあったので、派遣会社に「どうしても19時までには保育園に着いていないと行けない」という条件を提示しておきました。
すると前もって派遣先に私の事情を伝えてくれたので、残業して18時半になった時は上司が「お迎え大丈夫?いつもギリギリまでごめんね」と声をかけてくれ、それ以上残業せずに帰ることができたのです。
できるだけ残業しないための7つの対策
できれば残業はしたくないものですが、どうしても残業になってしまうという人は多いでしょう。
ただ、少しでも残業を減らすために工夫できることがあれば良いですよね。
ここでは、できるだけ残業しないための対策を考えてみます。
時短できる作業がないかを考える
まずは自分の作業の中で、時短できる作業がないかを振り返ってみることが大事です。
例えば、何回も社内を行き来することがある場合、1回の往復でどれだけのことができるかを考えてみます。
私の場合、上司のデスクに書類を持って行くまでの間に何か片づけられる作業がないかを考えました。
すると、何個かの書類を各先輩のデスクに置いていくことができるし、その時に質問することもできる、帰ってくる時に備品を持ってこれる、そしてこの書類をコピーしてくる等、一度席を離れることによって何個かの作業が同時にできることが分かるようになってきたのです。
時短を考えれば無駄を省いていくことができるので、作業効率が良くなりますね。
1日の作業に優先順位をつける
今日1日の作業の中で、「今日やらなくても良い作業」、「絶対に今日やらないといけない作業」、「他の派遣社員にも頼めそうな作業」というように優先順位をつけてみましょう。
とりあえず片っ端からこなしていっても、それが今日やらなくても良い作業であれば時間の無駄です。やるべきは今日やらないといけない作業がだったと気づくでしょう。
基本的なことですが、仕事に取り掛かる前に「これだけは今日中に絶対に終わらせなくてはいけないもの」という認識を持つことが大事ですね。
面倒な作業を先にしてみる
優先順位が高いものの中でも、面倒な作業を先にやるか、楽な仕事を片付けてしまおうかと悩む方も多いのではないでしょうか。
よく「大変な仕事ほど後回しにせずに先にやった方が良い」と聞きますが、それが自分に合っているのか実際は分かりませんよね。
いつも面倒な作業を後回しにしているという人は、たまに面倒な作業からやってみるのも良いかもしれません。自分にとって早く処理できるのはどの順序か、時間を計ってみるのもおすすめです。
時間の目標設定をする
「○時までにこの作業を終えよう」というように目標設定をしておいて、こまめに時間をチェックしていけば自分がどの作業で時間がかかっているのか、どの作業が得意なのかが分かりやすいですね。
そして「得意な作業は最高で何分で処理できるのか」と自分の中で挑戦すれば、自分の中での小さな目標もできますし、時間を無駄にしないでしょう。
仕事の朝活をしてみる
残業が定着してしまうと「朝くらいはのんびりさせて」と思う人もいるでしょう。
しかし「朝活」という言葉があるように、朝の時間を活用すると仕事がはかどるということもあります。
朝の方が頭がシャキッとすると言いますが、朝活はそう感じる人が多いようです。
私の派遣先では朝早くから仕事をしている人がほとんどでした。一度朝活を試してみるのも良いのではないでしょうか。
「いつも残業している人」というイメージを払拭していく
「いつも残業している人」というイメージがついてしまうと、残業に対して肯定的だと思われて仕事を頼まれがちになってしまいます。
たまには「今日は帰ります」という姿勢を見せて「たまに定時で帰る人」というイメージに持っていくようにしましょう。
そうすることで、上司も「残って当たり前だから仕事を頼もう」と思うのではなく「今日は残れる?仕事頼んでもいい?」と言うように変わってくるはずです。
「仕事をこれ以上頼んだらまずいかな」と思われた方が段々と残業する時間が減っていくでしょう。
どうしても残業できない時ははっきり断る
どうしても残業できない時ははっきりと断りましょう。
本当は予定があって残業できないのに「少しだけなら…」と無理をすると「押せば何とか残業してくれる」と思われてしまいます。
「今日は予定があるので残業できません」とはっきりと断る姿勢を見せることが大事です。
実際の現場が契約内容と大きく違う場合は派遣会社に相談、場合によっては転職を
労働条件通知書に書かれた残業時間が、実際の残業時間と違ったということはよく起こることです。
派遣先企業にとっても、ある程度想定した上で派遣を要請しているのでしょうが「今年は例年になく忙しい」ということもあるでしょうから、できれば臨機応変に対応してくれる派遣社員の方が助かります。
私の派遣先でも繁忙期は予想以上の忙しさで、残業ほぼなしの契約ではあったものの一時は残業だらけの日々でした。
正直話と違うと思いましたが、派遣先にとっても予想外だったことですし、派遣は残業代がしっかり出るので「仕方ない」と思って割り切って働きましたが、それは残業時間が異常ではなかったからです。
もしもそれが度を超えた残業時間だったら、間違いなく派遣会社に言って辞めていました。
多少の契約内容の相違であれば受け入れることも大事ですが、例えば「平均残業時間20時間」となっていたのに、実際は40時間だったというように、あまりにも契約内容と違う場合は派遣会社に相談しましょう。
言えないままにして「本人は問題なさそうだ」と思われてしまったら後の祭りです。
そして、派遣会社がその現状を派遣先企業に言っても何の改善も見られなかったり、派遣先に媚びを売ってばかりで何もしてくれない派遣会社なのであれば、思い切って転職を考えた方が良いでしょう。その会社にいる以上、残業は切っても切り離せない可能性の方が高いからです。
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