派遣社員の中には「できるなら直接雇用されたい」と希望している人も多いでしょう。
しかし、いざ直接雇用の話が出たら、その申し出を断る人もいるのが現状です。
「悩みに悩んだ末に出した結論だ」という人もいれば、「最初から派遣以外は考えていなかった」という人もいます。
第三者側として聞くと「せっかく直接雇用の話が出たのに断るなんてもったいない」と思うかもしれませんが、直接雇用を断る人にはそれなりの理由があるのです。
本記事では直接雇用を断る人の割合や理由、直接雇用を断る時に考えるべきデメリットや断る前に確認する内容など詳しく説明します。
派遣社員から正社員を目指すなら通常の転職サイトよりもサポートが充実した転職エージェントを使うのがおすすめです。
未経験職種・業界への転職や正社員になるのが初めての方は提出書類の作成や面接テクニックをエージェントの人からサポートしてもらいましょう。
おすすめの3サービス | 公式 |
---|---|
リクルートエージェント |
公式 |
JAIC |
|
・5分の質問で自分の市場価値がわかる |
公式 |
直接雇用を断った人の割合
派遣社員で直接雇用を断った人の割合を見てみましょう。
以下は厚生労働省が公表したデータをもとにグラフ化したものです。
(参考:厚生労働省「平成29年派遣労働者実態調査の概況」)
派遣会社から正社員として直接雇用の募集情報提供があった人は全体の18.2%、つまり直接雇用の話自体が少ないと分かります。
しかし、その少ない確率の中で直接雇用の話が出たにも関わらず、応募しなかった人はそのうちの12.6%もいますから、声をかけられた約7割の人が直接雇用の応募を断っているのです。
逆に言うと、正社員として直接雇用を希望した人はたったの3割しかいません。
直接雇用の募集情報提供があった人の割合
次に派遣会社から正社員としてではなく、契約社員やパート、アルバイトとして、直接雇用の募集情報提供があった人の割合を見てみましょう。
(参考:厚生労働省「平成29年派遣労働者実態調査の概況」)
正社員以外での雇用形態で募集がかかった場合、その中で応募した人は先ほどよりも少なくたったの2割程度にまで減っています。約8割の人は断っているのと同じですね。
派遣先から直接雇用の募集情報の提供があった人の割合
では、派遣先から直接雇用の募集情報の提供があった人の場合はどうでしょうか。正社員の場合と正社員以外それぞれの募集提供についての割合を見てみましょう。
(参考:厚生労働省「平成29年派遣労働者実態調査の概況」)
派遣先から直接雇用の募集情報提供があった人は全体の2割以下、先ほどと同様、直接雇用の話自体が非常に少ないと分かります。
さらにその中で派遣先の正社員募集に応募した人は約25%、約4人に1人のみという結果です。残りの約75%の人は応募していません。
また正社員以外の雇用形態(契約社員やアルバイト・パートなど)の場合では、約80%の人が応募を断っています。
結局、派遣元や派遣先から直接雇用の話を出されても、断る派遣社員が大半だと分かりました。
そもそも直接雇用とは?
初めに直接雇用とは、その名の通り派遣会社から派遣されるのではなく、派遣先企業に直接雇用されるという意味です。
派遣社員なら派遣元企業に雇用され、そこから派遣先企業に働きに行くので、雇用主は派遣先企業となります。
対して直接雇用になると、派遣先と直接契約を結ぶため、雇用主が派遣先企業に変わるという仕組みです。
ちなみに、直接雇用とは正社員だけでなく、アルバイトやパート、契約社員なども含んだ総称になります。
直接雇用と派遣社員や正社員の違いとは?
次に、直接雇用と派遣社員や正社員にはどんな違いがあるのか確認していきましょう。
- 派遣社員との違い
直接雇用は雇われた会社で働くのに対し、派遣スタッフは雇われた会社(派遣会社)とは別の会社(派遣先)で働く。 - 正社員との違い
直接雇用とは、派遣先に直接雇用される雇用形態なので、正社員だけでなくアルバイトやパートなども含む。
直接雇用と派遣社員や正社員には、以上のような違いがあります。
直接雇用を打診される理由は優秀だから
直接雇用の基礎知識の最後に、直接雇用の話が上がる理由を確認しましょう。
まず前提として、直接雇用の打診をされるのは優秀だからです。
派遣社員だと長く働いてくれる可能性は少ないので、人材の補充に力を入れている企業は「この人は優秀だから、ぜひ我が社で長く働いてほしい」と考えて正社員の打診をするのです。
これは派遣社員に限らず、アルバイトやパートの人でも同じで、直接雇用
や引き抜きという話を出された時点で、会社からの評価はかなり高いと言えるでしょう。
直接雇用を断る人の理由
派遣元や派遣先から直接雇用の話が出ても、断る人が意外と多いというのは先ほどのデータで分かりましたね。
直接雇用を申し込まれたら断る理由には、以下のようなものが考えられます。
- 派遣という働き方が自分に合っているから。
- 仕事が辞めにくくなるから。
- 正社員になると残業があるから。
- 家族の扶養控除内で働きたいから。
他にも、ダブルワークや配偶者の転勤があったときなど、派遣には時間や勤務地で融通が利きやすいメリットを魅力に感じている人が少なからずいるかと思います。
直接雇用を断る理由について、もう少し具体的に見ていきしょう。
派遣は自由に働ける
「保育園の近くの職場で働きたい」「平日の9時から16時まで」「土日のみ」「週2日の夜間だけ」など、派遣は勤務地や勤務時間、勤務曜日などが自由に設定できる働き方です。
そのため家事や子育てとの両立がしたい人、資格取得のための勉強をしたい人や独立を目指している人など、目的がある人には非常に向いています。
しかし正社員になると会社都合で転勤もありますし、週2日働きたい、希望地で働きたいなどというワガママは通用しません。場合によっては休日出勤だってあり得るでしょう。
こういった理由から、直接雇用の話が出ても断る人がいるのです。
派遣は辞めやすい
派遣は辞めたくなった時に辞めやすいという特徴もあります。
派遣は長期派遣で募集がかかっていても、実際は3カ月ごとの契約更新がほとんどです。最初から半年契約、1年契約という話はまずありません。
そのため「今回の契約期間が終わったらもう更新はしないでおこう」「〇月から違う仕事をしよう」「来年の〇月に留学する」などと自分の都合で計画的に辞められます。
ただし、辞める際は派遣期間満了の1か月前には派遣会社に言うのを忘れないようにしましょう。
たとえ派遣先がどんなに忙しい時期だとしても派遣期間満了と同時に辞められますし、辞める際は派遣会社に伝えるだけでいいのです。
しかし、正社員になると、そう簡単にはいきません。
正社員は一度採用されれば、会社が存続する限りずっと雇用契約が続きます。
人間関係でトラブルがあった場合でも、簡単には辞められません。
正社員が会社を辞める場合は自分で会社に伝えなければならないですし、それが繁忙期であれば迷惑が掛かるのは目に見えていますから、辞めると言い出すタイミングも難しいものがあるでしょう。
こういった理由から、直接雇用の話が出ても断る人がいるのです。
派遣は残業が少ない
派遣の場合、残業が少ない派遣先を選べますし、残業が多い派遣先の希望も可能です。
私の場合は仕事が終わったら保育園に子どもを迎えに行かなくてはいけなかったので、残業の少ない派遣先を希望しました。求人には「残業一切なし」という派遣先もたくさんあります。
しかし正社員になるとそうはいきません。
子どもがいるので残業できません。
なんて言う言い訳は通用しないでしょう。
会社によっては残業が当たり前というところも多く、実際に私の派遣先でも正社員は朝の8時にはすでに出勤していて、定時を過ぎても全員残業していました。当然サービス残業です。
派遣の場合は残業になったとしても、その分の時給は必ず出ますからサービス残業は一切ありません。
もともと派遣社員ならしっかり残業代が出るのに、サービス残業に変われば損しかないでしょう。
派遣は様々な職場で経験を積める
派遣は様々な職場で経験を積める働き方です。
派遣期間が短くて、1年の間に3~4回派遣先が変わる人も少なくありません。
なかには短期間で事務職やアパレル店員、飲食業、営業と4つの職種を経験する人もいます。
また派遣の場合はダブルワークや副業が禁止されていないケースが多いので、仕事を掛け持ちしている人もいます。
Aという職場ではコールセンターをし、Bでは金融事務をする、というのも可能なのです。
ですから必然的に経験豊富になったり、多様なスキルが身に付いたりする人もたくさんいます。
一方正社員の場合は副業を禁止している会社も未だに多く、自分から辞めない限りずっと同じ会社で働くことになりますから、たくさんの経験を積むという点では派遣に劣り、同じ環境に長年身を置く状態が苦痛な人には非常に退屈な働き方だと感じるかもしれません。
派遣の方が給料がいい
派遣社員は職種によって時給の相場が大きく異なります。
特に技術職や専門職は時給が高く、場合によっては正社員よりも時給がいい可能性もあるのです。
以下で派遣の時給の一例を見てみましょう。
職種 | 時給 | 月給(※) |
運用管理・保守 | 2,423円 | 387,680円 |
ネットワーク エンジニア |
2,836円 | 453,760円 |
SE・プログラマ (WEB・スマホ系) |
2,603円 | 416,480円 |
設計 (電気・電子・機械) |
2,395円 | 383,200円 |
WEBデザイナー | 1,986円 | 31,7760円 |
一般事務 | 1,554円 | 248,640円 |
マーケティング・企画 | 1,991円 | 318,560円 |
秘書 | 1,758円 | 281,280円 |
※月給は8時間20日で計算しています。
(参考:はたらこねっと「2022年8月職種別平均時給」)
特に技術系の職種に関しては時給が高く月給は35万を超えてきます。
事務系の職種でも新卒の平均年収は遥かに超えていますし、正社員と比べて極端に待遇が悪いわけではありません。
むしろその人のスキルレベルによっては派遣社員の方が給与がよくなる可能性もあると考えられます。
そこで、実際求人サイトに掲載されているネットワークエンジニアの正社員求人例を見てみましょう。
ネットワークエンジニア
- 正社員
- 年収250万円~300万円
- 東京都 港区
想定年収(給与詳細)
250万~300万円
月給195,000円~
【基本給:175,000円~、能力給:10,000円~、学卒手当:(短大・専門)10,000円、(四大卒)20,000円】
※四大卒の方は、月給205,000円~となります。
上記を見ると、四大卒でも派遣社員の半分以下の給料です。
このように、技術職や専門職などの場合では、派遣の方が待遇がいいという場合があります。
派遣なら責任の重い仕事が少ない
派遣なら責任の重い仕事が少ない傾向があります。
たとえば派遣で人気の一般事務では、データ入力や書類チェック、ファイリングなど業務は様々ですが、基本的にマニュアルがあり未経験でも問題なく仕事ができる内容になっています。
また黙々と作業をしていく工場勤務に関しても、派遣は検品作業のみ、梱包作業のみ、ラベル貼り作業のみといった単純作業の繰り返しです。
一方重要な業務は全て社員が行います。派遣には簡単な作業、手間のかかる雑務などを任せる代わりに、責任の重い仕事は社員が行わなくてはいけないのです。
派遣社員に比べると、仕事のストレスやプレッシャーを抱えているのは断然社員の方だと言えるでしょう。
もちろん派遣先にもよりますが、基本的に派遣は「ミスしたらどうしよう」という不安な気持ちで取り掛かるような業務はあまり与えられません。
派遣先は、イレギュラーなケースが発生した場合は全て社員が対応してくれることがほとんどです。そもそもこれは派遣の仕事ではない、という線引きが社内で徹底されているためです。
つまり新しい仕事や時間内に終わらせなくてはいけない急な仕事については、派遣ではなく社員の方で残業するなりして、責任を持ってこなすことになっているのです。
もし時間内に終わらない場合は、きちんと「いつまでの仕事ですか?」「今日中ではできかねます」と聞いたり、確認したりしてみてください。派遣社員を部下と思い使う正社員の方もいないとは言い切れないからです。
紹介予定派遣の人も直接雇用を断るケースはある
紹介予定派遣とは、最終的に直接雇用をひとつのゴールとして契約をする働き方で、ここ最近は人気の働き方となっています。
紹介予定派遣のメリットとしては、実際に正社員としてその企業に入社する前に派遣社員として仕事ができるので、入社後のギャップを確認してから正社員へ切り替えられます。
しかし、エンジャパンが運営している人事・採用担当者向けのサイトでは、直接雇用が成立する割合について下記のように紹介しています。
派遣期間終了時に直接雇用が成立する割合は約70%。成立しないケースでは、企業側NGが30%なのに対し、スタッフ側NGは70%もあるという結果になりました。
引用元:人事のミカタ 紹介予定派遣は、派遣期間終了時に派遣社員に直接雇用を辞退されることもありますか?
このように紹介予定派遣とはいえ、必ず正社員として雇用関係を結ばなければならないというわけではありません。
双方にとって納得できる環境であった場合に正社員への切り替えをするのがいいので、「正社員への打診を断ったら気まずい」と考えずに、会社の雰囲気や仕事内容が合ってないと感じたら断ることも視野にいれましょう。
直接雇用か派遣か迷う人必見!派遣社員のメリット・デメリット
ここまでは、直接雇用を断る人の理由について説明しました。
派遣には派遣なりのよさがたくさんあるので、直接雇用を希望しない人も多いというのは頷けるでしょう。
しかし直接雇用の話が出た際に、何も考えずに断るだけでは返って損かもしれません。
ここからは、直接雇用を断る時に考えるべき派遣のまま働くメリットとデメリットについて説明します。
メリットに関しては上記で紹介をした、「直接雇用を断る理由」になっているものも多いです。
メリット1.派遣は自由に働ける
派遣は、勤務先や労働時間などをライフスタイルに合わせて選びやすい特徴があります。
そのため、子育てが忙しい方や親の介護が大変な方にとっては、派遣社員が向いていると言えるでしょう。
また、プライベートを充実させたい方や本当にやりたい仕事が見つかるまでのつなぎとして働きたい方にもピッタリです。
メリット2.派遣は辞めやすい
正社員になると、会社とのつながりが強いため簡単に退職できません。
責任ある仕事をしていると引継ぎなどがあるため、場合によっては辞めようと決意してから実際に辞めるまで半年以上かかるケースもあるのです。
それに対して派遣なら比較的簡単に辞められるので、長く続けるつもりがない仕事を経験するなら適しているでしょう。
メリット3.派遣は残業が少ない
派遣は、契約に記載されている仕事以外は担当しません。
そのため余計な仕事をする必要がないので、残業が発生するケースが非常に少なくなっています。
万が一残業になったとしても、契約上の労働時間を1分でも超えると残業代が発生するのです。
メリット4.派遣は様々な職場で経験を積める
派遣は、ずっと1つの職場にいる訳ではないので、様々な職場で働きます。
同じ職種で職場を変えるのはもちろん、職種自体も変えて働けるので、様々な仕事を経験できるのです。
たくさんの仕事を経験すれば、本当に自分に合った職種が見つかる上、社会人として様々なスキルが身に付けられます。
メリット5.派遣の方が給料がいいケースがある
一般的には、派遣社員より正社員の方が給料が高いとされており、これ自体は決して間違いではありません。
そのため、給料の安さから派遣を辞めて正社員を目指す方が大勢いるのです。
しかし、正社員が必ずしも派遣より給料が高いとは限りません。
実際、給料アップを目指して正社員に転職したら、派遣の頃より給料が下がったというケースは非常に多いのです。
給料だけを考えると、そのまま派遣として働いていた方がいい可能性があると頭に入れておきましょう。
メリット6.派遣者責任の重い仕事をしない
派遣は、契約に記載された仕事内容しか作業しません。
そのため、自分ができる仕事だけをこなせばいいので、責任ある仕事を任される心配もないのです。
また、売り上げなどの成果を気にする必要もないので、気軽な気持ちで働けるというメリットがあります。
デメリット1.雇用が安定しない
直接雇用を断る時は、今後も雇用が安定しないという覚悟が必要です。
直接雇用の場合は雇用期間に定めがないので、会社の経営が傾かなければ何年でも働けます。
しかし派遣社員には必ず雇用期間が存在するため、3カ月で終わる人もいれば半年~1年の人もいます。また最大で働けたとしてもひとつの職場(課)で3年が限度というルールがあるためたとえ長期派遣として入社した場合でも、同じ職場で3年以上は働けないのです。
ほとんどの人は3年も経たずに契約期間が満了となり、次の仕事を探す状態になるでしょう。
「この仕事はいつまで続くのだろう」「あと半年で3年経ってしまうけど、次の派遣先はすぐに見つかるだろうか」などと、派遣社員として働けば継続に関する不安は感じやすくなります。
デメリット2.昇給やボーナスがない
直接雇用を断る時は、今後も昇給やボーナスがないという覚悟が必要です。
直接雇用の場合、会社によっては正社員だけでなく契約社員にも昇給やボーナスが与えられる例がありますが、派遣社員には昇給やボーナスはありません(ただし時給アップならできる可能性があります)。
そのため昇給もボーナスもある会社の正社員と比べると、年収格差が非常に大きくなってしまいます。
派遣社員として働くことは、契約以上にがんばっても金額としての見返りがなく、後で「ボーナスや昇給がなくて悲しい」と虚しくなる覚悟が必要なのです。
デメリット3.退職金が出ない
直接雇用を断る時は、退職金が出ないという覚悟が必要です。
厚生労働省が平成30年に調査したデータによると、退職給付制度がある企業は約8割となっています。
つまり会社の直接雇用となった場合、退職金制度を設けている会社であれば、退職金がもらえるのです。
しかし直接雇用を断って派遣社員のままでいるならば退職金はもらえません。
ただ2020年の4月から日本で開始される予定の「同一労働同一賃金」という働き方改革によって、非正規社員にも退職金が支給される可能性が示唆されています。
デメリット4.キャリアを積めない
直接雇用を断る時は、今後もキャリアを積めないという覚悟が必要です。
直接雇用になればずっと同じ職場で働けるため、5年や10年という長いキャリアを形成できます。
しかし派遣社員のままでいれば3年以上同じ会社で働けません。また新人として違う派遣先でスタートするしかないのです。
もちろん経験値は上がりますが、キャリアを積めないので管理職を目指したいという人には厳しいでしょう。
デメリット5.断った後が気まずい
直接雇用を断る時は、断った後の気まずさを覚悟する必要があるでしょう。
派遣先によっては断った後に嫌な思いをしたり、気まずい空気になって働きづらくなったという声も多いようです。
実際に残業が多い会社で働いていた派遣社員が、派遣先から直接雇用の話を打診され、サービス残業が嫌だからと思い断った途端、翌日から「残業代泥棒」と呼ばれるようになり、辛くなって退職したという話もあります。
このように派遣社員のままでいる方が直接雇用になるよりも対偶がいい、という人の場合は特に気まずい思いをする可能性が高いので覚悟しておきましょう。
派遣から直接雇用に変わるメリット・デメリット
ここでは、派遣から直接雇用に変わるメリットとデメリットについて解説します。
メリット1:安定して働ける
直接雇用に切り替える最大のメリットと言っても過言ではないのが、安定して働けるという点です。
ただ、「直接雇用=正社員」であれば雇用期間に定めがないので安定しますが、中には契約社員やアルバイトなどの雇用形態で直接雇用に切り替えるケースもありますので一概には「安定して働ける」とは言えません。
もしも直接雇用が正社員以外の雇用形態なら、決して安定して働けるとは言えないので、必ず切り替えの際は雇用形態を確認してください。
メリット2:待遇がよくなる可能性がある
直接雇用になると交通費が支給されるほか、ボーナスが出るようになるなど、待遇がよくなる可能性があります。
以下の表のように、処遇が上がる条件で直接雇用を打診されたとき、全体の4分の3が「受け入れると思う」と回答していることからも、多くの人が雇用形態による待遇を重視しているとわかります。
ただし、直接雇用されるからと言って、必ずしも待遇がよくなるとは限りません。
場合によっては、派遣の頃より悪い待遇になるケースもあるので、切り替えの際は待遇面の確認を怠らないようにしてください。
メリット3:責任ある仕事に携われる可能性が高い
派遣から直接雇用に切り替わると、責任ある仕事に携われるようになる可能性が高まります。
そもそも派遣社員は契約にある業務内容しか担当しないうえ、会社側も「派遣社員だから」と一線を引いて仕事を任せないケースが多いのが実情です。
決められた仕事以外にも、責任ある業務を任せてもらえるという点に魅力を感じるなら、直接雇用への切り替えが向いていると言えるでしょう。
デメリット1:派遣ならではのメリットがなくなる
先で解説した通り、派遣には以下のようなメリットがあります。
✔ 自由に働ける
✔ 辞めやすい
✔ 残業が少ない
✔ 様々な職場で経験を積める
✔ 給料がいい可能性がある
✔ 責任の重い仕事が少ない
派遣から直接雇用になると、これらのメリットがなくなります。
場合によっては「働きにくい」と感じたり、ライフワークバランスが悪くなったりする可能性だってあるのです。
デメリット2:仕事を辞めにくくなる
直接雇用になると、雇用が安定するメリットがある一方で、簡単に退職できないというデメリットがあるのです。
直接雇用に切り替えれば、既にその職場で数ヶ月~数年働いているはずなので「この職場で今後も働き続けられるか」としっかり検討することが必要です。
しかし、会社は人事異動や業務内容の変化によって突然の環境変化も珍しくありません。
そのような時の仕事内容が好きでなくなったり、人間関係が大変になったとしても直接雇用になれば辞めにくくなる状況が生まれてしまいます。
デメリット3:待遇が悪くなる可能性がある
直接雇用になると、交通費が支給されるなど待遇がよくなるイメージでしょう。
しかし、切り替え時の契約によっては反対に待遇が悪くなる可能性があるのです。
例えば、派遣会社の方が福利厚生がしっかりしていたり、交通費が出る代わりに給料が下がったりといった事態も考えられます。
切り替えの際は、しっかり契約内容の確認が大切です。
直接雇用の話が出たら断る前に確認すべきこと・注意点
直接雇用の話が出たら「もともと派遣社員以外を希望していないので」と後腐れなくスパッと断りたいという人もいるでしょう。
しかし雇用形態や勤務条件を聞かずして断ると、後で後悔するかもしれません。
私の友人は「派遣先と面倒な状態になりたくないから」と言って、直接雇用の話を潔く断ったがために、暫くしてから後悔しました。
ここでは直接雇用を断る前に確認すべき項目を見ていきましょう。
契約社員か正社員か
まずは直接雇用になった後の雇用形態は「契約社員」か「正社員か」を確認しましょう。
直接雇用後の雇用形態が契約社員だった場合、契約期間に定めがあるのは派遣の時と変わらず、派遣先から「次の更新はありません」といつ打ち切られてもおかしくはない状態なので雇用の不安定さは続きます。
ただ1回当たりの契約期間は長くなり、半年~1年、2年更新の場合もあるでしょう。
労働契約法によって契約社員や派遣社員のような有期雇用労働者の場合は、同じ会社で5年間働くと無期雇用契約への転換を希望できますが、その前に打ち切られる可能性は否めませんので、条件があまりよくないのであれば、断っても特に後悔はないでしょう。
一方、直接雇用後の雇用形態が正社員の場合は契約期間に定めがないため、一度入社して雇用契約を交わしたら、何十年と同じ会社で働けます。
よっぽどの理由がない限り、解雇されるリスクはありません。
派遣社員の時とは違って雇用の安定が補償されるのです。
私の友人は直接雇用の話が出た時にスパッと断ってしまい、友人の代わりに正社員を引き受けた同僚の昇進を横目で見ながら「私はあと1年しかこの職場に居られないのに、と公開した」と言っていました。
直接雇用後の雇用形態は確認しておくべきですね。
勤務条件は今よりいいか
次に、今と比べていい勤務条件なのかを確認しましょう。
たとえば以下のようなポイントをチェックしてみてください。
- 直接雇用後は昇給やボーナス、退職金は出るのか
- 有給休暇の取りやすさや休日出勤の有無
- サービス残業はないか
普段から派遣先の正社員の様子を普段から見ておくと、何となく分かる可能性もあるでしょう。
例えば、時給が低く、「手取りが少ないから残業したいけど、派遣だからさせてもらえなくて帰される」という派遣先では、社員が責任を持って仕事をするため派遣社員は残業ができません。
しかし派遣先から直接雇用の話が出て、そのときに「雇用形態は契約社員、残業は多いが残業代はしっかり出る」のが確認できたので、直接雇用になりました。
このように、直接雇用の話が出たら自分にとって勤務条件が今よりよくなるのかを確認してから返事をしましょう。
違約金は発生するのか?
労働者派遣法第33条にもあるように、法律上の理由から派遣元は派遣期間終了後の直接雇用を禁じれません。
つまり、直接雇用を理由に紹介手数料や違約金などの請求はできないという訳です。
ただし、事前に紹介手数料の支払いに合意していた、派遣期間中の引き抜きだったなど、正当な理由に当たる可能性がある場合は、派遣会社に紹介料を支払う必要があります。
トラブルにならないよう「正当な理由」に当たるものがないかは必ず確認してください。
直接雇用の上手な断り方
派遣会社や派遣先からせっかく直接雇用の話をもらっても、「やっぱり断りたい」という人もいるでしょう。
勤務条件が今と大して変わらなかったり、むしろ今のままの方がいいのであれば、受け入れる理由もないですから。
直接雇用の上手な断り方として、以下のような言い方をするといいでしょう。
直接雇用のお話を頂き大変ありがたく思っているのですが、(家庭の事情もあり)この環境で引き続きスキルアップを図っていきたいと考えています。
ご期待に沿えず申し訳ございませんが引き続き宜しくお願い致します。
直接雇用のお話を頂き大変有難く思っているのですが、(今の働き方には満足しているので)この環境で引き続きスキルアップを図っていきたいと考えています。
ご期待に沿えず申し訳ございませんが引き続き宜しくお願い致します。
上記のような言い方をすれば、変わらず今の状態のままで働いていきたいという意向が伝わり、失礼にあたらずにスムーズに終わるはずです。
たとえ本音でも、間違って「待遇が今より悪くなるので」と悪印象を与える言葉は言わないように注意しましょう。万が一印象が悪くなってしまったら「契約終了です」と言われ兼ねません。
直接雇用の話が出たら条件を確認してから断るか考えよう
今回は派遣社員が直接雇用を断る方法について説明しました。
派遣社員は今の働き方に満足している人も多く、直接雇用の話が出ても断る人が7~8割もいます(そもそも直接雇用の話が出る会社すら全体の2割以下なのですが)。
以下のような理由が挙げられ、それぞれに派遣という働き方のメリットを感じています。
- 派遣の方が自由に働けるし辞めやすい
- 残業時間の少なさや給料など待遇が悪くなる
- たくさんの経験を積める
- 責任の重い仕事が少ない
ただ直接雇用を断れば、その分雇用はずっと安定しないままですし、昇給やボーナス、退職金をもらうチャンスを失うことや、キャリアアップできない覚悟もしなければなりません。
直接雇用がいいのか悪いのかは、直接雇用後の雇用形態と勤務条件が今と比べてどうなのかによって大きく変わります。
直接雇用の話が出たら、焦って結論を出さずによく確認してから返事をするといいでしょう。
もしも直接雇用や正社員への道を考えているなら
派遣社員にもメリットはありますので、自分の生活スタイルに合っているのであれば無理をして正社員を目指す必要はありません。
ただ、どこか心にわだかまりがあり、派遣社員のままでいるのが不安なら、安定した仕事を得られる正社員への転身も考えてみましょう。
もしも少しでも「このまま派遣社員を続けていくのも辛い」とか「いつかは正社員への道も考えている」と思っているなら、今から転職エージェントの利用も検討してみてください。
ある程度自由があったとしても、不安な気持ちのまま生活を続けるのは様々な面で影響が出てしまいます。
転職エージェントの中には派遣社員・未経験・フリーターから正社員への転職支援に注力しているサービスもあるので、求人数の多い大手サービス以外の選択肢としても検討をおすすめします。
派遣社員から正社員への転職でおすすめのサービス
「派遣社員から正社員への転職は大変…」と悩んでいた方は通常の転職サイトではなくアドバイザーが付く転職サービスを利用するのがおすすめです。
通常の転職サイトでは自分で全ての管理をする必要がありますが、アドバイザーが付くサービスの場合は面接までのスケジュール・添削・年収交渉などをしてくれるため、転職活動の負担を大きく減らしながら進めることができるからです。
負担を減らすだけではなく効率的に進めることができるので、結果的に短期間での内定獲得に繋がります。
転職サービスは複数利用がおすすめ
転職活動をする方の多くは2つ~3つの転職サイトを複数登録していることが多く、実際にそのような転職方法はおすすめです。
その理由としては各サイトによって求人内容が異なるので、なるべくその時々で良い条件の求人を確認できるからです。
また、転職をサポートしてくれるアドバイザーと相性が合う合わないという問題もあるため、なるべく一つの転職サービスだけではなく複数を利用することで客観的な判断がしやすくなります。
【業界最大手】リクルートエージェント
対象の年代 | 20代~50代 幅広い年代に対応 |
---|---|
どんな人に向いている? | ・とにかく多くの求人を見たい方 ・既卒、第二新卒の方 ・積んだキャリアを生かして転職したい方 ・エージェントから転職活動のサポートを受けたい方 |
リクルートエージェントは転職サービスの中で最も取り扱い求人数が多い、大手転職エージェントです。
取り扱い求人数が多いということは色々な可能性を見つけることができるため「次にやりたい仕事がまだイマイチ決まっていない」という方に合っています。
全国の求人を扱っているので、地域を選ばずに利用できるのもメリットの一つです。リクルートエージェントは転職を決意したらまず利用したい転職サービスです。
【派遣・未経験・フリーターから正社員へ】JAIC
対象の年代 |
20代~40代 |
---|---|
どんな人に向いている? | ・派遣社員、フリーター、既卒で早期退職を経験した方 ・未経験職種へのチャレンジをしたい方 ・社会人経験がない方 ・履歴書や面接に自信がない方 |
JAICはフリーターの方や就職をしたけど早期退職をするなど上手く行かなかった方、未経験職種や業界にチャレンジをしたい方におすすめの転職サイトです。
これから正社員を目指すという方を支援するためのプログラムや、アドバイザーからの丁寧な個別サポートを受けることができるので、「正社員への転職活動をしたいけど何をしたらいいのかわからない」という悩みを抱えていた方でも安心して転職活動を進めることができます。
また、転職成功率が高いだけではなく、入社後の定着率が高いこともJAICの特徴です。
内定を取ることだけを考えるのではなく、自分にとって働きやすい環境の会社をしっかり紹介してくれることが定着率の高さに繋がっていると言えるでしょう。
「これから正社員を目指したい」と考えていた方は要チェックの転職サイトです
【待ちの転職活動】ミイダス
対象の年代 |
20代~40代 特に20代に強い |
---|---|
どんな人に向いている? |
・第二新卒の方 |