派遣会社で行われる「スキルチェック」は、派遣社員であればほとんどの人が受けているでしょう。
私も実際に受けましたが、進めていくにつれて徐々にレベルが上がっていくので、途中からお手上げ状態になりタイムアウトしました。
私の結果は決して良いものではなかったと思いますが、果たしてこのスキルチェックは何のために行い、どのような影響があるのでしょうか。
本記事では、派遣のスキルチェックについて、いつ受けるのか、その内容や例題、結果が悪かったらどうなるのかなど詳しく説明します。
派遣会社で行うスキルチェックとは
派遣会社で行うスキルチェックは「派遣スタッフの今現在のスキル」を知るという目的で、PC上で問題を解いていくテストのようなものです。
派遣会社は派遣スタッフのことをよく知らないというのが現状なので、その人の現在のスキルを把握することで、その人に適した仕事紹介をすることができたり、仕事紹介される側としても、自分のスキルに見合った仕事を紹介してもらえるというメリットがあります。
スキルチェックの種類は、その人が希望する職業によって受ける項目が異なり、たとえば事務職の場合はPC操作などの「一般的な」スキルチェック、専門職を希望する場合はそれとは別に、英語力などの「専門的な」スキルチェックの2種類です。
派遣の求人の中には「基本的なPC操作ができる人」「AutoCAD経験者」というように対象者を限定している案件も存在するため、スキルを判別する目安の一つにしています。
登録時に行うことが多い
派遣のスキルチェックは、派遣会社に登録する際にほぼ全員が行うと言っても過言ではありません。
私の場合も数社の派遣会社に登録しましたが、大手の派遣会社では実施されました。
一方、小さな派遣会社ではスキルチェックを行わないところもあり、登録して面談するだけで終わりです。
福利厚生で受けられるところもある
派遣会社の中には、福利厚生でスキルチェックが受けられるところもあります。
実際に、大手派遣会社のマンパワーはスキルチェックを福利厚生に導入している会社の一つです。
登録時に受けたスキルチェックを改めて行うことで、就業してからスキルアップしているのかが分かりますので、自分の力試しとして受けてみると良いでしょう。
所要時間は30分前後であることが多い
スキルチェックの所要時間は30分前後であることが多いです。
私の場合は40分程で終了しました。
ただ専門知識を要するスキルチェックの場合は、もう少し時間がかかることもあります。
派遣会社の登録会に行くときは、その後の予定をぎりぎりの時間設定にせず、少し余裕を持って立てておく方が良いでしょう。
スキルチェックの内容は?
派遣の登録時に受けるスキルチェックの内容は、主にどんなものなのでしょうか。
スキルチェックで出題される項目は大きく分けて5つです。
- タイピング・テンキー
- Word
- Excel
- 一般常識
- 専門知識(経理・英語力・CADなど)
以下で具体的に例題などを見ていきましょう。
タイピング・テンキー
タイピングやテンキーでは、キーボード入力の速度や正確さが問われます。
以下の例題のような文章や数字を、そっくりそのまま入力するだけです。
例題1.タイピング
派遣会社で行うスキルチェックとは、 「派遣スタッフの今現在のスキルや 脳力」を図るという目的で、PC上で 問題を解いていくテストです。 |
例題2.テンキー
598745479563
上記のように平仮名・カタカナ・記号などを交えた文章や、ランダムな数字入力をテンキーで入力します。
タイピングやテンキーは主に事務職で重視され、おおよそ1分間で70文字前後のキー入力ができれば合格といわれていて、100文字近くになれば非常に高いスキルだと診断されるようです。
Word(ワード)
Wordでは、初級から上級までの例題が出題されます。
初級から始まり、問題を解くにつれてレベルが上級まで上がっていく仕組みです。
Wordの出題例
文章入力 | 移動 |
表・画像の挿入 | サイズ・色の変更 |
インデント | 文字位置の配置 |
印刷設定 | グラフの作成 |
表の作成 | レイアウト |
テンプレート | アウトライン |
上記のような内容で、基本的な問題から高度なものまで出題されます。
Excel(エクセル)
ExcelもWordと同じく、初級から上級までの例題が段階的に出題されます。
Excelの出題例
文字入力 | オブジェクト挿入 |
グラフ作成 | 書式設定 |
関数 (集計・計算 ・文字列変更) |
テーブル作成・ 変更・管理 |
ワークシート | ブック |
データベース | マクロ |
上記のような内容が出題されますが、中には「エクセルは得意だけど、いつもと違うバージョンのため操作しにくい」という人もいますので注意しましょう。
一般常識
一般常識は答えを選択することが多く、算数・漢字・ことわざ・時事問題などが出題されます。
例題1.算数(158+200+176)÷2
解答
(1)265
(2)267
(3)276
例題2.ことわざ
おぼれる者は〇〇をもつかむ
解答
(1)手
(2)手わら
(3)手紐
例題3.時事問題
10月1日から消費税が〇%になり、一部の商品は△率で8%据え置きとなった。
〇に当てはまる解答
(1)5
(2)8
(3)10
△に当てはまる解答
(1)軽減税
(2)法人税
(3)消費税
上記のようなあまり難しくない問題が出題される傾向にあります。
算数の場合は、速度などの文章問題が出る場合もあるでしょう。
専門知識(専門職を希望する場合)
専門職を希望する場合は、専門知識に関するスキルチェックが行われることがあります。
先程も言いましたが、派遣先によって「実務経験必須」「日商簿記2級以上有資格者」などの条件をしている場合もあるためです。
以下で具体的に見ていきましょう。
経理事務のスキルチェック
経理事務を希望した場合のスキルチェックでは、以下のような項目について出題されます。
経理の出題例
取引の仕訳 | 総勘定元帳への転記 |
伝票記入 | 試算表の作成 |
売掛金元帳への転記 | 仕入高の計算 |
決算仕訳 | 備品勘定の記入 |
貸借対照表の作成 | 損益計算書の作成 |
原価償却費の計算 | 原価計算表の作成 |
上記のように、初級から上級までのスキルチェックが行われることが多いでしょう。
英語力のスキルチェック(貿易事務・翻訳・通訳など)
英語力のスキルチェックは、貿易事務や翻訳・通訳などの英語力が必要となる職種を希望する場合に行われます。
英語力では、読解力や電話応対などのビジネス英語力が問われる場合が多いです。
ここではTOEIC試験を運営している国際ビジネスコミュニケーション協会のサンプル問題集から例題を挙げてみましょう。(参考:一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会「TOEICサンプル問題」)
英語の出題例例題1.読解力
What is suggested about the car?
解答
(A) It was recently repaired.
(B) It has had more than one owner.
(C) It is very fuel efficient.
(D) It has been on sale for six months.
例題2.電話応対
Hello This is〇〇corporation. Can I(1)you?
Sorry, she’ll be (2) around five o’clock.
(1)に当てはまる解答
(A)help
(B)answer
(C)asking
(D)give
(2)に当てはまる解答
(A)coming
(B)back
(C)later
(D)return
スキルチェックの内容は会社によって様々な形式で実施されますが、中には電話でスピーキングテストを実施する派遣会社もあります。
CADのスキルチェック
CADの出題例
線分コマンド | 距離・角度指定 |
絶対座標・相対座標 | 直交モード・極トラッキング |
オブジェクト スナップトラッキング |
窓選択・交差選択 |
画層・線種変更 | 文字入力 |
図形の複写 | オフセット・フィレット・トリム |
現在層の切替 | 画層の表示・非表示 |
ロック解除 | マルチ引出線スタイル |
図面間コピー | 印刷設定 |
上記の内容が出題されることが多いでしょう。
スキルチェックに関するQ&A
ここまでスキルチェックについて、内容などだいたいのことは理解できましたね。
テストと言うと堅苦しく聞こえますし、緊張していつもの力が発揮できないという人もいるかもしれません。
私の場合は受けてから、すっかり忘れてしまっている自分に気づいたものです。
ここからは、スキルチェックのために前もって勉強しておいた方が良いのか、結果が悪かった場合にどんな影響があるのか、もう一度受けたい場合は受けられるのかなど、気になることに答えていきます。
スキルチェック対策はした方が良い?
スキルチェックの対策はしておいた方が良いのでしょうか。
答えとしては「するに越したことはない」というのが事実です。
派遣社員は派遣先から「即戦力になれるか」が重視されますので、「現時点でのスキル」が高ければ高いほど良く、需要のある人材になれるでしょう。
派遣会社は職歴以外でその人がどんな人かを判断できません。
ですからスキルチェックは派遣スタッフにとって「唯一、自分のスキルをアピールできるもの」なのです。
人気の職種や大手企業は競合が多いので、できるだけスキルチェックで高得点を取っておく方が、数いる派遣社員の中から自分が選ばれる可能性が高くなるでしょう。
ただしその時だけ勉強に力を入れても、実際に仕事に就いたらレベルが高すぎてついていけないということもあるので、ほどほどに頑張るのが良いのではないでしょうか。
前もってスキルチェック対策をするには、インターネットの無料タイピング練習やスキルチェックサイトなどを利用するのがおすすめです。
スキルチェックの結果が悪かったら仕事紹介されない?
スキルチェックの点数は、競合が発生した時に他者と比較する際の材料になるので点数が良いに越したことはありませんが、結果が悪いからといって、仕事紹介されないということはありません。
実際に私の場合、決してOAスキルの点数は高くなかったはずですが、未経験でも事務職に就けました。
もちろんOAスキルを重視している会社の仕事は紹介されませんが、無理に紹介されたとしても仕事に追い付かず、スキル不足で解雇されるよりよっぽどマシですよね。
派遣会社には山ほど求人がありますので、あるスキルが足りなくても仕事紹介は沢山されるので安心して下さい。
スキルチェックはあくまでも現段階でのスキルを図るものなので、あまり心配する必要はありません。
スキルチェックは再度受けられる?
スキルチェックを受けたけど、いつもの力が出せなくて悔やんでいるという人は、派遣会社に「再度スキルチェックを受けたい」と言ってみましょう。
何も言えずにいるとそれが今の実力だと思われて、勿体ないことに本来のレベルより低いスキルの仕事ばかりが紹介されるかもしれません。
大抵の派遣会社は、再度受けたいと言えば受けさせてくれるでしょう。
派遣会社にとってもその方がマッチングの質が上がり、派遣スタッフにも派遣先にも喜んでもらえるからです。
自分でスキルアップして派遣会社にアピールしよう
今回は派遣のスキルアップについて説明しました。
ここまでの記事をまとめてみましょう。
まとめ
- 派遣会社で行うスキルチェックは「派遣スタッフの今現在のスキル」を知るために問題を解いていくテストのようなもの
- 派遣のスキルチェックは、PC操作などの「一般的な」スキルチェックと、英語力などの「専門的な」スキルチェックの2種類に分かれる
- ほとんどの人は派遣会社に登録する際にスキルチェックを実施される
- 福利厚生でスキルチェックが受けられる派遣会社もある
- スキルチェックの所要時間は30分前後、専門職のスキルチェックは長時間の場合もある
- スキルチェックの内容は、タイピング・テンキー・Word・Excel・一般常識・専門知識(経理・英語力・CADなど)の主に5項目に分かれている
- スキルチェックは自分のスキルをアピールできるものなので、事前に勉強するに越したことはない
- スキルチェックの結果が悪くても仕事紹介されないということはない
- スキルチェックを再度受けることも可能な場合が多い
派遣のスキルチェックは、結果によって仕事紹介に悪影響を及ぼすものではありませんが、良い結果だった場合は、より良い条件の派遣先を紹介してもらえる可能性が高くなります。
ただ、一般的なスキルチェックであれば内容の想像がつきますが、専門職の場合は本当にスキルチェックがあるのか不安になりますよね。
派遣会社によっては専門職でもスキルチェックを実施しない場合もあるので、登録会に予約する際には「専門知識のスキルチェックはありますか」と聞いてみると良いでしょう。
また、せっかくスキルチェックができる環境にいるのなら、普段からスキルアップを図って定期的にスキルチェックをするのがおすすめです。
自分のスキルが上がったことが確認できたら、迷わず派遣会社にアピールすると、今より好条件の仕事を紹介してもらえる可能性が高くなるでしょう。