派遣とフリーランスの兼業はできる?兼業のメリットや注意点を解説!

派遣社員の働き方

派遣とフリーランスは契約の違いがあります。その違いによって税金の種類や支払いから、年金・保険の加入方法など、様々な違いが発生するのです。当然、それぞれの働き方にメリット・デメリットがあります。

もちろん、言葉が違うのだから別の働き方なのは分かります。ところが具体的な違いと聞かれると、似たような働き方をしているイメージがあるため、詳しい説明はできないという方が多いのが実情です。

しかし、派遣とフリーランスには収入の違いや働き方など、様々な違いがあります。その特徴を理解すれば、あなたがどちらの働き方に向いているのか判明するでしょう。

そこで今回は、派遣とフリーランスの違いについて解説します。雇用形態、働き方、収入、税金、保険など、あらゆる角度から違いを見ていくので、興味がある方はぜひ参考にしてみてください。

そもそも派遣と、フリーランスの違いはなに?

派遣とフリーランスは主に、契約税金保険働き方の4つ違いがあります。

これから一つずつ違いについて解説していくのでぜひ確認してみましょう。

1.契約の違い

派遣

派遣は、派遣会社と雇用契約を結び、その派遣会社の指示の下で他の会社に派遣されて働くという形です。また、派遣は契約スタイルによって、以下の3つに分けられます。

  • 常用型派遣:派遣会社から正社員として雇用されて特定の企業に派遣される
  • 登録型派遣:派遣会社から紹介を受けて、希望の職場が見つかった時だけ契約を結ぶ
  • 紹介予定派遣:派遣先企業に正社員や契約社員として直接雇用されるのを前提に働く

一般的に派遣社員というと、常用型派遣を指示しています。

ちなみに派遣社員は、派遣会社と雇用契約を結ぶため、給料は派遣会社から受け取ります。また、雇用契約は派遣されている期間だけ発生するので、登録しているだけでは契約が成立しないのも特徴です。

【派遣が多い職種】
事務職、営業職、アパレル販売員など

フリーランス

フリーランスは、特定期の企業・団体・組織に雇用されず、独立して活動する働き方です。クライアントと直接的に業務委託契約を締結するため、働く期間や報酬は契約によって大きく異なります。

また、自身のスキルが直接報酬に繋がるのも良い点で、スキルが高くなれば報酬もどんどんと増える可能性があるのです。人間関係においてもストレスが少ないうえに、自身のライフスタイルに合わせて仕事ができるので、副業として選ぶ方も多くなっています。

【フリーランスが多い職種】
エンジニア、デザイナー、ライター、ジャーナリスト、アニメーターなど

2.税金の違い

派遣

派遣社員の場合、税金は基本的に派遣会社が年末調整という形で手続きしてくれます。そのため、派遣社員自ら確定申告をする必要はないのです。

ただし、12月の年末調整時に派遣社員として雇用されていなければ、自分で確定申告する必要があります。また、派遣会社によっても税金の支払い方が違うので、その都度、雇用契約を結んだ派遣会社に確認した方が良いでしょう。

ちなみに派遣は、派遣会社から賃金をもらうため「給与所得」に該当します。そのため、消費税の対処ではなく源泉徴収の対象です。

フリーランス

フリーランスの場合は、毎年自らの手で確定申告をしなければなりません。もしも節税を意識するなら青色申告が必要です。また、フリーランスエージェントを活用した場合、収入は源泉徴収される可能性があります。

ちなみにフリーランスは、あくまでも個人事業主の扱いとなるため、売上が1,000万円を超えた場合、消費税対象者となり消費税の納税が必要です。

3.保険の違い

派遣

派遣社員は、以下の2つの中から選択します。

✔ 国民健康保険
✔ 社会保険

社会保険を選ぶ場合、1週間の所定労働時間が20時間以上、もしくは1年以上の雇用が見込まれることなど特定の条件があるので、それを満たす必要があるのです。

もしも条件を満たして社会保険に加入するなら、その手続きは派遣会社がしてくれます。

ただし、すでに国民健康保険に加入しているなら、自分の手で脱退の手続きをする必要があるので注意してください。脱退手続きをしないままにすると、国民健康保険と社会保険の2重払いとなってしまいます。

フリーランス

フリーランスは、以下の3つの中から選択します。

✔ 国民健康保険
✔ 前職の健康保険を任意継続
✔ 国民健康保険組合

大抵のフリーランスは国民健康保険に加入しているでしょう。保険料は前年度の所得や市区町村によって異なります。また個人事業主は、配偶者などを扶養に入れられないため、家族の人数分の保険料を納める必要があるのです。

国民健康保険が嫌なら、前職の健康保険を任意継続する方法もあります。ただし、継続できるのは退職後の2年間に限定されるので注意しましょう。

最後の国民健康保険組合とは、決まった職業に従事する人が加入できる健康保険です。フリーランスの場合は、Webデザイナーやライターとして「文芸美術国民健康保険組合」に加入できます。そんな国民健康保険組合の特徴としては、所得の大小に関わらず納付金額が一律である点です。

ちなみにフリーランスエージェントを活用している場合は、独自の保険サポートが受けられるケースもあります。

4.働き方の違い

派遣

派遣社員の場合、指揮命令の権利は派遣先の企業にあります。そのため、実際の労働は派遣先の企業で他の社員と同様の働き方をします。つまり、契約の仕方こそ普通の会社員とは違うまでも、いざ働くとなれば、基本的には普通の会社員と同様というわけです。

具体的には、派遣先の企業が定める始業時間に合わせて出社して、派遣先の指示の下で仕事をします。そして、派遣先の企業が定める終業時間で帰宅するという流れです。基本的には派遣会社に出向く必要はありません。

フリーランス

フリーランスの場合、働き方は様々です。派遣社員と同様に会社に出向いて働く場合もあれば、在宅で作業できるケースもあります。また、任された仕事に対する指揮命令権は本人にあるのも特徴の一つです。

具体的な1日の流れは、フリーランスによって様々なので、普通の会社員のような働き方をしている方もいれば、自宅で好きな時間にパソコンなどを使って作業するという方もいます。後者の場合、何時に起床してどのぐらい働くのかという部分も自分で管理する必要があるのです。

派遣とフリーランスは兼業できるのか?

結論から言うと派遣とフリーランスの兼業は可能です。

派遣もフリーランスも自分のペースで仕事をする働き方であるため兼業しやすく、兼業する際の相性も良いです。

実際に、労働政策審議会安全衛生分科会が出している資料によると、派遣社員を本業とした場合、副業をしている24%の方が、フリーランスなどの自由業を掛け持ち先としていると答えています。

また、法律上も派遣とフリーランスの兼業は問題はないです。

しかし、法的には問題はないですが、派遣会社によっては副業事態を禁止し、規則として認めていない場合もあります。

トラブルを生まないためにも、兼業する際は派遣先や派遣元に確認を取っておくのが良いでしょう。

では兼業をするメリットデメリットそして、派遣との兼業先にフリーランスを選ぶメリットデメリットについてみていきましょう。

派遣とフリーランスを兼業するメリット

ここでは、派遣とフリーランスの兼業のメリットについて解説します。

収入が上がり安定する

仕事が一つ増えるということは、単純に考えて収入も増えることになります。

派遣以外にも仕事がをする余裕がありもう少し収入を上げたいと思っている方には、兼業は大きなメリットとなるでしょう。

また、派遣は派遣会社が中間マージンを差し引いた後の給料になり完全に元の給料がもらえるわけではありません

しかし、フリーランスは基本、自分と取引先だけで仕事を完了させるため、給料も事前に提示された、もしくは提示したままの金額で受け取ることができます。

このように、働きぶりが収入に反映されやすいフリーランスは、派遣との兼業先としてのメリットも多いです。

フリーランスの仕事に余裕が出る

フリーランスの仕事一本だと、収入のために多少やりたくない仕事でも、引き受けていたという経験がある方もいらっしゃると思います。

しかし、派遣の仕事と兼業をすることで、フリーランスの収入だけに頼る必要がなくなります。

フリーランスで、無理に苦手な仕事を取ってストレスが増えるという問題も軽減されるでしょう。

兼業することで収入の面で心にも余裕が出てフリーランスの仕事をしやすくなるというのはメリットだと言えます。

社会保険に加入できる

フリーランスは、派遣社員のような社会保険が用意されていないので、国民健康保険や国民年金に自分で加入するしかありません。雇用されていれば各種保険料は会社と折半となるが、フリーランスは全額自己負担です。

しかし、派遣は条件を満たしていれば社会保険に加入できるため、派遣と兼業することでこのようなフリーランスの欠点を補うことが可能です。

交流の場が増える

フリーランスは一人で作業することが多く、フリーランス一本だと常に黙々と一人作業をするのでで、気が滅入ってしまうこともあると思います。

しかし、派遣と兼業をすると、派遣先というコミュニティができ、派遣先の社員さんと会話をするなどコミュニケーションをとる機会ができます。派遣先の企業で気が合う友達ができる可能性も十分あります。

コミュニケーションをとることで一人作業のフリーランスの仕事の息抜きにもなります。会話ができるコミュニティをがあるという事実だけでも余裕が出て安心感も高まるでしょう。

派遣とフリーランスを兼業するデメリット

今までは派遣とフリーランスの兼業についてのメリットを上げていきましたが、次はデメリットについてみていきたいと思います。

スケジュール管理が大変

フリーランスはクライアントからの急な依頼も少なくありません。その際、派遣の仕事が予定にある場合はすぐに対応することが難しくなります。

そのため、オフの予定だった日にフリーランスの仕事に取り組まなければならなくなるということもあるかもしれません。

また、2つの仕事を持つので、派遣とフリーランスどちらに比重を置いて仕事を行うのか、それとも均等に行うのか、お互いのスケジュールの都合が合うように調整する必要があります。

慣れるまでが大変

自宅でフリーランスをする場合は職場までの移動時間がなく、始業や就業時間を自分で設定することができるなど自由度が高いです。

しかし、派遣の仕事は基本派遣先の会社に出社して働くというスタイルです。そのため、服装の指定、出社時間、その他の社内ルールなど、フリーランスと比べると決まりごとが多いです。

また、ワークスタイルが真逆であるので、生活リズムも整いにくいというのもデメリットの一つでしょう。兼業した際のワークスタイル、生活リズムに慣れるまでは大変だと感じるかもしれません。

単純に疲れる

派遣とフリーランスの仕事が2つあるということは、仕事量も二倍になります。2つの仕事について常に考えなければいけないので、ストレスがたまりやすいです。

また、今まで派遣の仕事にプラスでフリーランスの仕事をすることになるので、休日もプライベートの時間も必然的に減ってしまいます。

兼業は集中力と体力が必要で、リフレッシュのための休日も少なくなり疲れやすくなるというデメリットがあります。

兼業する際に注意すること【税金・確定申告・スケジュール管理】

派遣とフリーランスの兼業は可能ですが、いくつか注意点があります。注意点を確認して今後のトラブルを防ぎましょう。

派遣会社に兼業ができるかを確認、報告する

派遣会社によっては兼業を禁止しているところもあります。一度兼業が可能かどうかの確認をとっておきましょう。

兼業禁止の派遣会社で、無断で兼業をして見つかって規約違反で解雇という状況になったとしたら、収入を増やすための兼業であれば元も子もなくってします。

そして、兼業することが確定したら、派遣会社できれば派遣先企業にも報告しておくと良いです。兼業することを報告しておくことで、シフト調整も無理の内容に対応してくれるでしょう。

納税の手続きは別々に行う

派遣の場合は派遣元の会社が、源泉徴収や年末調整を行ってくれます。

しかし、兼業する場合は派遣とは別に、フリーランスの分も自分で確定申告を行わなければいけません。

フリーランスの収入が20万円を超えたら必ず確定申告を行わなければならないという法律で定められています。そのため、フリーランスの収入が20万円を超えた場合は忘れずに確定申告をしましょう。

自分に合ったスケジュールにする

フリーランスと派遣の繁忙期が重なった場合などは休む時間が少なくなり体調も崩しやすくなります。

繁忙期以外でも、フリーランスの仕事の日と派遣の仕事の日では始業時間、終業時間が異なり生活リズムが崩れやすいです。

兼業する際は第一に体と心の健康を優先してください。はじめからフリーランスの仕事を取り過ぎない、シフトを詰め込み過ぎないようにし、慣れてきたら仕事を増やすなど工夫をしましょう。

兼業をする際は確定申告や派遣会社の規約に注意し、無理のないようにしよう!

派遣とフリーランスの兼業はメリットも多くありましたが、デメリットもあることも忘れてはいけません。

特に確定申告や納税など注意しなければ法に触れる可能性もあります。兼業する際は法律、納税手続きや派遣会社の規約の確認など事前準備をしっかり行いましょう。

また、体力も必要になるので、無理の無いようにシフトを組み、派遣とフリーランスの兼業をしていきましょう。