派遣でやりがいを感じている人はどのくらいいるのでしょうか。
やりがいを感じるポイントは、一人ひとりの考え方によっても違うものです。
しかし「せっかく働くならやりがいがある方がいい」と言う人もいますし、「派遣にそこまで求めていないし、むしろそれが魅力」という人も多いものです。
本記事では、そもそもやりがいとは何を指すのか、実際に派遣の仕事にやりがいを感じている人の割合、やりがいを感じやすい職種・感じにくい職種についてなど、詳しく紹介します。
そもそも「やりがい」とは
仕事にやりがいを見出すと生き生きするとよく言われますが、そもそもやりがいとはどのような意味なのでしょうか。
辞書ではやりがいを以下のように定義しています。
事に当たる際の充足感や手応え、張り合い。しがい。
上記のように「仕事をした甲斐がある」と手応えを感じることを「やりがいがある」と表現するのです。
ここから考えるに、仕事におけるやりがいとは以下の2つがあるのではないでしょうか。
✔ 業務内容に充足感が得られるか
✔ 自分が行った仕事に対して、それ相応の成果・結果があるか
もちろん、「やりがい」は職種や個々の考え方の違いによっても変わってくるものと言えるでしょう。
派遣の仕事にやりがいを感じている人は約半数いる
実際に派遣の仕事にやりがいを感じている人の割合を見てみましょう。(引用:一般社団法人 日本人材派遣協会「派遣社員WEBアンケート調査」)
上記のアンケート結果では、派遣での仕事の内容とやりがいについて「満足」「やや満足」だと感じている人は43.3%を占めています。約5人に2人は満足だと感じているのですから、派遣の仕事のやりがいは大きい方だと言えるでしょう。
また、「どちらでもない」と答えた人は約3割いますが、不満もないのであれば肯定的な数字とも受け取れます。
次に他のアンケート調査も見てみましょう。(引用:エン派遣「ワークライフバランス 2017年12月調査について」)
上記のアンケートでは、「仕事にやりがいや面白みを感じている」派遣社員は53%と、2人に1人の割合でいることが分かります。
やりがいや面白みを一番感じていると回答したのは「アルバイト」で58%ですから、あまり大差がありません。
正社員と比較すると、「感じている」人の割合は多く、「感じていない」人の割合は少ないことが分かります。
正社員の方が待遇は良くても、やりがいは派遣社員の方が感じているということでしょう。
仕事にやりがいを感じないまま働くとどうなるのか
仕事にやりがいを感じないまま働き続けると、どのような影響が表れるのか確認していきましょう。
精神的に辛くなる
やりがいのない仕事を続けていると、毎日が退屈で精神的に辛くなります。
また、小さなミスが増えて叱られる頻度も多くなるでしょう。
ただでさえ退屈に感じている仕事なのに、怒られる回数も増えてくると、さらに仕事を続けるのが辛くなります。
場合によっては、精神的に追い込まれてしまい体調を崩す恐れだってあるのです。
成長につながらない
やりがいを感じない仕事をいい加減にこなしている場合、自身のスキルアップや成長には繋がりません。
そもそも、やりがいの感じない仕事に対して「もっと仕事の能力を高めたい」と感じるでしょうか。多くの方は、やりがいを感じない仕事なら「上手になりたい」なんて考えないでしょう。
すると、できない部分が見つかっても努力して改善しようとしなかったり、各作業の細部までこだわろうと考えなかったりします。
このような状態では、自分自身の成長に繋がることはないでしょう。
仕事のミスが増える
やりがいがない仕事を続けるのは、非常に退屈でしょう。
そして、つまらない仕事をしていると完成度や正確性よりも、「早く終わらせたい」といった気持ちが強くなります。
そうなると作業が適当になったり、細かいミスに気が付かなくなったりしてしまうのです。
ミスが増えれば成果にも影響が出るうえに、上司から叱られる可能性もあるので、さらに仕事が嫌になるといった悪循環に陥ります。
派遣の仕事にやりがいを感じる理由、感じない理由
アンケートでは派遣の仕事にやりがいを感じる人が43.3%、やりがいを感じない人は25.2%という結果でしたが、実際にやりがいを感じる・感じないの違いはどこにあるのでしょうか。
ここでは派遣の仕事にやりがいを感じる人と感じない人の理由について説明します。
派遣にやりがいを感じる理由
最初に、派遣にやりがいを感じる理由を挙げてみましょう。
派遣にやりがいを感じる理由
- プライベートとのバランスがいい
- 仕事内容、スキルアップできる
- 交友関係が広がる
- 知識や経験が豊富になる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
プライベートとのバランスがいい
「仕事とプライベートのバランスが取れる」というのは、派遣の最大のメリットでしょう。
実際に小さな子供を育てながら派遣でフルタイムで働き、正社員だった頃のように仕事をプライベートに持ち込むことは一切なく、非常にバランスのとれた生活ができたという声もあります。
派遣社員を選んだ一番の理由はここにありますし、やはりこれが一番満足したことです。「派遣を選んで良かった」と思いました。
仕事内容、スキルアップできる
やりがいのある仕事内容については後で説明しますが、職種によっては様々なやりがいを感じるでしょう。
また、派遣社員は契約内容に記載されている業務しかしないので、毎日同じ作業を行うことで自然とスキルアップに繋がり「今後もこの職種で働ける」という自信になります。
さらに上のスキルを目指したい場合は、大手派遣会社の福利厚生を利用して自宅でスキルアップの無料講座を受けることも可能なので、自分の派遣会社がどんなスキルアップ講座を持っているかチェックするのも良いでしょう。
交友関係が広がる
派遣先では同じ派遣会社から来ている人や、違う派遣会社から来た人がいたりと様々ですが、派遣仲間がいる場合、その人たちとの交友が深まる傾向にあります。
特に同時期に入社した人とは「同僚」のような感覚になることが多いようです。
たとえばエンジニア職の人の場合、派遣先にも多くのエンジニアがいますから、それぞれの分野が違っても交友関係が広がるという話は有名です。
派遣社員は派遣先が変わるたびに新たな出会いがあり、それが後に活かせることも多いのでやりがいを感じる人も多いのでしょう。
知識や経験が豊富になる
派遣社員が契約期間満了になった後は、違う職種に挑戦することもできますし、同じ職種を選ぶことも可能です。
派遣の仕事は未経験OKの仕事が多く、次々と新しいことに挑戦することで、知識や経験が豊富になることもやりがいを感じる理由と言えるでしょう。
正社員の場合はずっと同じ会社で働くので「その業界のこと以外は全く分からない」となりがちですが、派遣は多数の職種にチャレンジすることができるので知識や経験が豊富になるのも魅力なのです。
派遣にやりがいを感じない理由
次に、派遣にやりがいを感じない理由を見てみましょう。
派遣にやりがいを感じない理由
- 収入面
- 頑張っても評価されない
- 雑用が多く責任ある仕事を任されない
上記に挙げた3つの理由もまた、元派遣社員としては痛いくらいに分かります。
収入面
派遣社員の収入は、月収で考えると正社員よりも高めではありますが、年収で考えると大きな昇給や賞与がない分、正社員よりも大分低いと感じてしまいます。
派遣会社の経営がいくら好調でも、派遣社員は何も恩恵を受けることがありませんから、やりがいを感じないという人も多いのでしょう。
特に派遣先の正社員がボーナス時期になって「ボーナスの使い道」について話しているを聞いた時には、派遣社員はどうしても虚しくなってしまうものです。
ただ昇給に関しては、派遣社員でも実際に約3人に1人は昇給したというデータがあるので全くないわけではありません。(参考:一般社団法人 日本人材派遣協会「派遣社員WEBアンケート調査2017年度」)
また、収入面を重視するのであれば、より時給が高い仕事に変更したり、直接雇用を目指してスキルアップをするなど派遣社員としてもできることはありますので、一度キャリアプランを練り直してみると良いでしょう。
頑張っても評価されない
派遣社員はどんなに仕事を必死にやっても、周りの派遣社員と区別されるわけでもなく、特に評価されません。
派遣先の上司から「よくやってくれています」と派遣会社に伝わったとしても、その分時給が大きく上がるわけでもありませんので、目に見えた「評価」がないためやりがいを感じないという人も多いです。
「どっちにしても評価されないなら、頑張らない方がいい」と思う人も沢山いるでしょうし、実際には派遣社員にはそこまで求められていないこともあるようです。。
ただ頑張っていることが評価されることもあり、派遣会社から時給アップの話がでたり、派遣先から直接雇用の話が舞い込んでくることも実際にありますので、一概に「評価されない」とも言い切れません。
特に専門職や技術職の場合は引き抜きも多いので、仕事ぶりをアピールするのもありでしょう。
雑用が多く責任ある仕事を任されない
派遣社員に任される仕事は雑用が多く、責任ある仕事を任されないことがほとんどです。
また、大量の両面コピーを頼まれたり、保管期限の切れた書類を大量にシュレッダーにかける、書類を3階の倉庫から5階の倉庫に運ぶなどの雑用は沢山任されます。
このように「会社に貢献している」という手応えがない業務ばかりのため、やりがいを感じないという人が多いのです。
仕事内容が自分に合わない
あなた自身が働きたいと思って始めた仕事でも、実際に働いてみたらイメージと違ったというケースは意外に多くあります。
特に働き始めは、まだ仕事に慣れていなかったり、職場に馴染めなかったりするので、余計に「自分に合わないのでは」と感じるでしょう。
一定期間働いて仕事に慣れてきても、入社前の印象と違うと感じるなら、その仕事はあなたに合っていない可能性があります。
原因別!派遣の仕事にやりがいを感じない場合の対処法
ここでは、派遣の仕事にやりがいを感じない場合の対処法を原因別に解説します。
なぜ、やりがいがないのか分からない
そもそも、なぜやりがいを感じないのか分からないと、どのようにやりがいのある仕事を見つければ良いのかわかりません。
まずはやりがいを感じない理由から、自分にとっての仕事の「やりがい」は何かを分析しましょう。
また、「やりがい」は性格や価値観でも異なるので、自己分析で性格や傾向を理解することも大切です。
仕事に対してそれ相応の収入がもらえていないと感じる
仕事に対して、相応の収入がもらえていないと感じるなら、働き口を変える必要があります。
もしも、あなたがライフスタイルに合う働き方でなくても良いから、大幅に収入アップしたいと考えるのであれば、正社員の道を視野に入れると良いでしょう。
また、派遣の働き方のままで収入を上げたいのであれば、「収入に不満がある」という旨を派遣会社に伝えたうえで高時給の案件を探してもらってください。
どちらの方法を選ぶにしても、スキルを身に付けるなどしておくと収入がアップが狙いやすくなります。
雑用ばかりで嫌だ
雑用ばかりで嫌だと感じているなら、別の仕事を探したほうが良いでしょう。
仕事を変える際は、やりがいを感じやすい(雑用ではない可能性が高い)職種を選んでください。
より責任のある仕事がしたい場合は、正社員への道も考えると良いでしょう。
仕事内容が合わない
仕事内容が合っていないと感じるなら、自分の性格や価値観を分析したうえで、自分に合う職種・仕事内容を選択する必要があります。
次の項目では、色々な職業のやりがいについて解説しているので、それを参考に自分に合った仕事を見つけるのも良いでしょう。
派遣の仕事にやりがいを感じやすい職種、感じにくい職種
ここまでは派遣の仕事にやりがいを感じる理由、感じない理由について説明しましたが、やりがいを感じる理由の中に「仕事内容」とありました。
職種によって仕事内容は全く異なりますので、それぞれにやりがいを感じるポイントは異なるはずです。
ここからは、やりがいを感じやすい職種、感じにくい職種について見ていきましょう。
派遣の仕事にやりがいを感じやすい職種
最初に派遣にやりがいを感じやすい職種から紹介します。
営業職
派遣の営業職には数字の目標があり、目標を達成した時には非常にやりがいを感じます。
人が相手の仕事ですから、目標を達成するためには信頼関係を築き上げる必要があり、日々プレゼンテーション能力やコミュニケーションスキルを高めようと努力している人が多いので、結果に繋がった時の達成感は非常に大きいものです。
派遣先によっては実績に応じてインセンティブが支給されるところも多くあり、特に新規の営業であれば成果が目に見えて分かります。
営業は辛い仕事とも言われますが、やりがいは大きいのです。
販売職
販売職もまた、営業職と同じく数字の目標設定があり、達成した時にはやりがいを感じます。
ノルマのあり・なしは派遣先によって違いますが、ノルマがある案件の方が時給が高めの設定になっていることが多いでしょう。
また、新規のお客様が何度も来てくれるようになり、わざわざ指名してくれて「あなたから買いたい」と言ってくれたり、差し入れをくれたりと、数字が伸びるだけでなく温かい気持ちになることも多かったので、それも販売のやりがいだと思います。
英文事務、翻訳・通訳などの専門職
英文事務や翻訳・通訳などの専門職で働いている人もまた、やりがいを感じやすいです。
周りにはないスキルを活かしていることで「役に立っている」と感じることができますし、「自分がいないと回らない」という責任感も多いでしょう。
専門職の場合は、仕事に就いた後もそのスキルをさらに伸ばせるので、より専門性が高まっていくというメリットもあります。
ITエンジニアなどの技術職
ITエンジニアなどの技術職もまた、やりがいを感じやすい仕事です。
エンジニアの場合は大きなプロジェクトに携われる機会も多いです。
エンジニアは「大きな企画に携わった」という自信や「自分たちがいることで社会が発展する、世に貢献している」というやりがいを大きく感じられる仕事なのです。
派遣の仕事にやりがいを感じにくい職種
やりがいを感じにくい職種を見ていきましょう。
事務職(一般事務・データ入力など)
事務職には種類がありますが、経理事務や人事・総務などの知識やスキルを活かせる事務ではなく、一般事務やデータ入力など未経験でもできる事務職はやりがいを感じにくい職種だと言われています。
事務職は確かに「マニュアルがあれば誰でもできる仕事」で工夫する必要はなく「できるひとなら誰でもできる」というイメージが持てます。
ただ電話応対や来社対応があり、取引先の人と親しくなれたり顧客に感謝されることにやりがいを感じることができます。
データ入力の仕事は「何の楽しみもやりがいもない」と言う人もいれば、「このひとつのデータが会社に役立つ」とやりがいを持っている人もいます。
でも、無心でキーボード入力を繰り返す業務なので、やりがいを持つのは難しいとも言えます。
工場内軽作業などの製造業
梱包や仕分け・検品などの製造業の仕事もまた、やりがいを感じにくい職種だと言われています。
工場内軽作業は淡々とした作業です。また人が多いので自分一人が欠けても問題なく作業が進むため「自分の必要性を感じない」という人もいるでしょう。
楽と言えば楽ですが、周りの人と話す機会がなく相手が「機械」や「商品」なので、仕事にやりがいを見い出すのは難しい傾向にあります。
もちろん派遣先によっては人付き合いがあることも考えられますので、必ずしも人とコミュニケーションが取れない職場だとは限りません。
ただ自分の仕事は作業工程の一つにしか過ぎないので、仕事の成果がはっきりと見えるわけでもなく、人間が相手でない分やりがいを感じられないという人も多いのです。
コールセンター(アウトバウンド業務)
コールセンターの仕事もまた、やりがいを感じにくい職種の一つです。
コールセンターは、電話口の相手にサービスや商品を勧めるなどのアウトバウンド業務と、電話がかかってきた相手の質問などに答えるインバウンド業務があります。
人が相手なので言葉遣いなどに細心の注意を払う必要がありますし、顧客から感謝されることも沢山ありますが、クレームの電話も多いです。
特に営業が目的のアウトバウンド業務の場合はクレームが多いです。
電話越しに「二度とかけてくるな」「責任者に言うから名前を教えろ」と怒鳴られることもしょっちゅうで、ある意味鍛えられるとも言えますが、「こんな毎日ではやりがいなんて感じない」という人も多いのです。
一方、コールセンターの中でもインバウンド業務は人気が高く、未経験でも研修から始められることや年齢問わず働きやすいというのは魅力となっています。
やりがいを感じたいなら職種を変えることも検討しよう
今回は派遣のやりがいについて説明しました。
ここまでの記事をまとめてみましょう。
まとめ
- やりがいとは「仕事をした甲斐がある」と手応えや充足感を感じること
- 派遣社員の2人に1人は仕事のやりがいや面白みを感じている
- 派遣にやりがいを感じる理由
-
- プライベートとのバランスがいい
- 仕事内容、スキルアップできる
- 交友関係が広がる
- 知識や経験が豊富になる
- 派遣にやりがいを感じない理由
- 収入面(正社員に比べると年収が低い)
- 頑張っても評価されない(大きな昇給に繋がるわけではない)
- 雑用が多く責任ある仕事を任されない(会社に貢献しているという手応えがない業務ばかり)
- 派遣の仕事にやりがいを感じやすい職種は「営業職」「販売職」「専門職」「技術職」
- 派遣の仕事にやりがいを感じにくい職種は、「未経験でもできる事務職」「工場内軽作業などの製造業」「コールセンター(アウトバウンド業務)」
やりがいは人によって感じ方が違います。「仕事に対する自分の成果」をやりがいだと思う人もいれば「人との繋がり」をやりがいだと感じる人もいるでしょう。
やりがいを感じにくい職種に就いても、責任がない仕事を任されることに対してマイナスな感情ではなく「だからこそやりたい」という人も中にはいます。
今の仕事にやりがいがなく「仕事にやりがいを見出したい」という人は、自分にとってやりがいのある職種にキャリアチェンジすると良いでしょう。