派遣社員として働いていると、年下の正社員ができることがあります。
派遣社員で働いている分、自分も年を取るので当たり前のことですが、どうしても年下という苦手意識が出てしまう人もいるでしょう。
普通に考えると、派遣だろうと正社員だろうと自分の方が年上なので、年下の正社員にも気兼ねなく接すればいいはずです。
しかし、実際は年は下でも派遣より正社員の方が立場は上といったイメージがあるため、どう接すればいいのか迷ってしまう方が多くなっています。
- 年上>年下
- 派遣社員<正社員
このような状況に置かれたとき、派遣社員は年下の正社員とどう接すればいいのでしょうか?
本記事では、派遣社員の多くが悩む年下正社員への接し方について解説します。
また、年下正社員への接し方に悩んでいる派遣社員は意外に多いという事実についてもお話するので、ぜひ参考にしてみてください。
派遣社員の6割が年下の正社員への接し方で悩んでいる
年下の正社員への接し方に悩んでいる派遣社員はどれくらいいるのでしょうか?
まずは、どれくらいの派遣社員が年下の正社員との接し方に悩んでいるのか、調査したアンケートを見てみましょう。
上のグラフは、派遣社員1,800人を対象に行ったアンケートです。
「職場の年下社員との接し方で悩んだことはありますか?」という質問に対して、実に61%もの方が「ある」と回答しました。
ここで気になるのは、「そもそも年下の正社員がいない派遣社員もいるのでは?」という点でしょう。
ところが、日本人材派遣協会の調査によると2021年時点の派遣社員の平均年齢は45.7歳(*)で、この質問は年齢30歳以上の方を対象に行っています。
30歳以上になると、さすがに年下の正社員がいる可能性は高いでしょう。
その中で、6割もの派遣社員が年下の正社員との接し方に悩んでいるというわけです。
こう考えると、かなり多くの派遣社員が年下の正社員との接し方に悩んでいると分かるでしょう。
(*参考:一般社団法人 日本人材派遣協会「派遣社員WEBアンケート調査結果
2021年度」)
派遣社員が抱える年下の正社員への悩み5選
派遣社員の約6割が年下の正社員との接し方に悩んでいると分かったところで、みんながどのような部分で悩んでいるのか見ていきましょう。
以下の表は、「年下社員との接し方で悩んだことがある方に伺います。年下社員と接する上で、具体的にどんな悩みがありますか?(複数回答可)」という質問に対する回答です。
悩み | 30代 | 40代 | 全体 |
ジェネレーションギャップを感じる | 37% | 50% | 46% |
叱るのが苦手 | 39% | 49% | 42% |
何を話していいかわからない | 32% | 30% | 31% |
嫌われないか心配 | 23% | 20% | 21% |
パワハラにならないか心配 | 18% | 19% | 19% |
忙しくて相手をする余裕がない | 14% | 11% | 11% |
褒めるのが苦手 | 11% | 9% | 10% |
その他 | 14% | 12% | 13% |
(参考:エン・ジャパン「派遣社員1,800名に聞いた「年下社員との接し方」。6割の方が悩んでいた。その理由は?ー『エン派遣』ユーザーアンケート集計結果ー」)
多くの派遣社員が、様々な点で年下の正社員との接し方に悩んでいると分かります。
では、具体的にどのような悩みがあるのか、それぞれの回答について詳しく見ていきましょう。
ジェネレーションギャップを感じる
ジェネレーションギャップを感じると回答した方は全体の46%でした。
回答した方は、「仕事中に携帯をいじったりお菓子を食べたりしても、それを悪いと思っていない」や「先輩をあだ名で呼ぶ」などの意見を上げています。
これらの回答に関しては、派遣社員と正社員という関係だから起こっているのではなく、単純に年齢の違いから起きているものかもしれません。
そのため、同じような違和感は正社員同士でもあるでしょう。
しかし、回答している内容の中には、派遣社員と正社員という関係から起きている事態もありました。
例えば、「入社10日目の新卒の社員に、内線番号を調べてもらえますか?と頼まれた」という回答は、正社員が派遣社員に対して何をお願いしてもいいという考えから起きた事態でしょう。
また、このような状態に対して注意できないのは、派遣社員と正社員の上下関係があるからと考えられます。
叱るのが苦手
叱るのが苦手と回答した方は全体の42%でした。
回答した方は、「年下社員の判断が明らかに間違っていることもあるが指摘できない」といった意見を上げています。
また、年下正社員がミスして派遣社員がフォローしたのに、なぜか派遣社員のミスになっていた」との回答もありました。
年上で職務経験も長いのに、派遣社員より正社員の方が立場は上というだけでミスを指摘できなかったり、派遣社員の失敗と言われたりするのは納得できないでしょう。
やはり、年齢も経験も派遣社員の方が上でも、相手が正社員というだけで「気が引ける」と感じる方は多いのが実情です。
何を話していいのかわからない
何を話していいのかわからないと回答した方は全体の31%でした。
これもジェネレーションギャップを感じるという意見と似たような悩みと考えていいでしょう。
やはり、年齢が離れていると趣味や興味を持つものが違ってくるので、何を話せばいいのか分からなくなってしまいます。
また、派遣社員の方が年上でも立場は正社員の方が上といった感覚があるため、接し方に困るという背景もあるはずです。
特に、「敬語で話すべきかタメ口でもいいのか?」という悩みを抱える派遣社員は多いでしょう。
嫌われないか心配
嫌われないか心配と回答した方は全体の21%でした。
派遣社員という立場であっても自分の方が年上で経験もある場合、普通なら仕事上のミスを注意しても問題ありません。
しかし、「正社員>派遣社員」という関係がある以上、注意すると「派遣社員のくせに」と思われて嫌われる可能性があります。
これを心配するあまり、ミスを指摘したり仕事の指導をしたりできない派遣社員が多いようです。
パワハラにならないか心配
パワハラにならないか心配と回答した方は全体の19%でした。
しかし、この回答は「嫌われないか心配」「叱るのが苦手」といった意見とほとんど同じような内容です。
やはり、嫌われたりパワハラと捉えられたりするのを心配している派遣社員は、非常に多いと言えるでしょう。
特に、近年はパワハラが問題となっているため、ちょっとした指導でもパワハラと言われる恐れがあります。
最近では、逆パワハラという言葉まで出てきているため、派遣社員が年下の正社員に注意しにくいという悩みが増えているようです。
派遣社員が年下の正社員と上手に接するコツ5つ
ここでは、年下の正社員と上手に接するコツについて解説します。
礼儀正しく接する
1つ目に紹介する派遣社員が年下の正社員と上手に接するコツは、礼儀正しく接することです。
あなたの方が年上だとしても、やはり「正社員>派遣社員」という立場があるので、この点を理解して礼儀正しく接するようにしてください。
例え10歳年が離れているとしても話しかける時は敬語を使い、相手が困っている時はさりげなくサポートするなどの対応を取るといいでしょう。
丁寧な接し方をしていれば、相手も人生の先輩として敬意を払うようになってくれるはずです。
積極的に自分から話しかける
2つ目に紹介する派遣社員が年下の正社員と上手に接するコツは、積極的に自分から話しかけることです。
相手も年上の派遣社員への接し方に悩んでいる可能性があるため、あなたの方から積極的に話しかけるようにしてみてください。
仕事の話はもちろん、休憩時間のちょっとした雑談も良好な関係を築くために欠かせません。
プライベートな話に踏み込み過ぎるのはよくありませんが、仕事以外の話を全くしないのもよくないので、適度な距離を保ちつつ積極的に話しかけるようにしてください。
あなたの話をしてから相手に質問すると心を開いてくれやすくなります。
昼食を一緒に食べるのも、距離を近づけるのに効果的でしょう。
相手に興味を持つ
3つ目に紹介する派遣社員が年下の正社員と上手に接するコツは、相手に興味を持つことです。
相手との距離を近づけるために話しかけた方が良いと言われても、何を話せばいいのかわからないから悩んでいるという方は多いでしょう。
何を話していいのかわからない場合は、まず相手に興味を持つようにしてください。
- 出身地はどこ?
- 趣味はなに?
- 好きな食べ物は?
相手に興味を持てば、自然に話す内容が見つかるはずです。
また、相手も触れられたくない内容であれば、自分に興味を持って話しかけてくれる行為に対して嫌な気持ちはしません。
ただし、質問に対して相手が嫌な顔をしたり口ごもったりした場合は、触れられたくない内容なので無理に聞き出そうとしないようにしておきましょう。
相手のいい部分を褒める
4つ目に紹介する派遣社員が年下の正社員と上手に接するコツは、相手のよい部分を褒めることです。
褒められて嫌な気持ちになる人は少ないため、相手のいいと思った部分がある場合は積極的に褒めるようにしてください。
ただし、あまり褒めすぎると嘘っぽくなるので、自然な話し方で褒めるようにしましょう。
どのような点がいいのか具体性を持たせると、「心から褒めている」と思ってもらえるはずです。
業務の効率的な進め方を教える
5つ目に紹介する派遣社員が年下の正社員と上手に接するコツは、業務の効率的な進め方を教えることです。
ただし、上から目線で教えると「派遣のくせに」といった反発心を生む可能性があるので、「こんな裏技があるよ」といった気軽な感覚で教えるようにしてください。
効率的な業務の進め方を教えてあれば、相手も仕事がスムーズに進むようになって喜んでくれるでしょう。
どうしても良好な関係が築けないなら転職を!
今回は、年下の正社員に接するのが苦手という派遣社員が多いという内容について解説しました。
実際、派遣社員として働く方の約6割が年下の正社員との接し方に悩んでいます。
悩みの内容は次の通りです。
- ジェネレーションギャップを感じる
- 叱るのが苦手
- 何を話していいのかわからない
- 嫌われないか心配
- パワハラにならないか心配 など
その多くが、正社員と派遣社員の立場からくるものです。
このような悩みに対しては、礼儀正しく接したり、自分から話しかけたり、いい部分を褒めたりすることで改善する可能性があると解説しました。
しかし、どんなにあなたが頑張って良好な関係を築こうとしても、相手が拒否すれば絶対に関係はよくなりません。
もしかすると、あなたが努力するほど相手は不快に感じ、さらに関係が悪化する可能性だってあります。
その場合は無理に良好な関係を築こうとしても無駄です。
あなたにとっても居心地が悪いはずなので、その場合は無理せず転職を考えるのも1つの手段でしょう。
どうしても年下の正社員との関係が改善しない場合は、最後の手段として他の会社への転職を検討してみてください。