フレックスタイム制という言葉は聞いたことがあるでしょうか。
フレックスという言葉は英語の「フレキシブル」からきていて「柔軟な」という意味があります。
最近では、求人に「フレックスタイム制」と書かれたものも多く見かけますが、何が柔軟かと言うと「就業時間」なのです。
本記事ではフレックスタイム制について詳しく説明し、派遣社員でもフレックスタイム制が認められるのか、そのメリットやデメリットについて考えていきます。
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フレックスタイム制度とは?気になる疑問を徹底解説
フレックスタイム制度について、法律では以下のように表現しています。
(以下引用:都道府県労働局「労働基準法のあらまし」)
1か月以内の一定の期間の総労働時間を定めておき、労働者がその範囲内で各日の始業、終業の時刻を自らの意思で決めて働く制度です。
つまりフレックスタイム制とは、労働者が自ら日々の始業時間と終業時間を労決めることによって、プライベートと仕事との両立を図りながら柔軟に働くことができる制度です。
例えば、就業時間が9時~18時の8時間勤務の人が、やむを得ない事情によって16時に会社を早退した日があるとします。この場合、1日の労働時間が2時間足りていません。しかしフレックスタイム制によって、別日に埋め合わせすることができるので、翌日は2時間分残業して9時~20時まで働けば、プラマイゼロになるというわけです。
このように、会社によって定められている総労働時間を自分で調整しながら働けるという仕組みのことをフレックスタイム制と言います。
また、フレックスタイム制は会社によって「コアタイム」が定められている場合が多いです。コアタイムとは、就業時間の中で必ず働いていなくてはいけない時間帯のことを言いますが、必ず設けなくてはいけないわけではありません。
一方、コアタイム以外の「柔軟に調整できる時間」のことは「フレキシブルタイム」と呼ばれます。
通常の労働時間制度とフレックスタイム制の違いがわかりやすい図を見つけました。
(引用図:厚生労働省「フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き」)
上記の図から、労働者はフレキシブルタイムによって出社、退社の時間を自由に調整できることがわかります。
フレックスタイムを導入している企業の割合
フレキシブルな勤務が可能になり、利便性が高いだろうフレックスタイムですが、導入している企業はあまり多いとは言えません。
平成30年の調査結果をチェックしてみると、フレックスタイム制を導入している企業の割合は全産業で5.6%と非常に低い数です。
そして、1,000人以上の大企業がフレックスタイム制を導入しているケースは24.4%となっています。
中小企業はどうなのかというと999人以下の企業は10.7%、299人以下の企業が7.6%、99人以下が3.9%となります。
企業の規模が下がるほど導入率が下がることを覚えておきましょう。
(参考:平成30年の調査結果)
フレックスタイムを導入するには
会社がフレックスタイム制を導入するには、以下2つの条件を満たす必要があります。
- 就業規則等に、始業、終業時刻を労働者の決定に委ねると定めること
- 労使協定で制度の基本的枠組みを定めること(対象となる範囲等)
まずは、フレックスタイム制を導入することを就業規則や契約書に記載しなくてはいけません。
次に、労使協定では以下の項目を定める必要があります。
- 対象となる労働者の範囲
- 清算期間(上限3か月)
- 清算期間における総労働時間(清算期間における所定労働時間)
- 標準となる1日の労働時間
- コアタイム(※任意)
- フレキシブルタイム(※任意)
これらの2つの条件を満たせば、フレックスタイム制が適用になるのです。
ここで注意しておきたいのは、フレックスタイム制を導入した場合、1日8時間、週40時間という法定労働時間を超えて労働しても時間外労働とはならず、逆に1日の標準の労働時間に達しない時間も欠勤とはならないということと、時間外労働にあたるのは、清算期間における法定労働時間の総枠を超えた時間数という点になります。
たとえば8時間労働の人がこれまでの不足分を調整に充てて、翌日は15時間労働をしたとしても、総労働時間内であればその分は時間外労働には当たらないということです。
派遣社員もフレックスタイムで働ける?
結論から言うと、派遣社員でもフレックスタイム制で働けます。
ただし、先ほども述べましたがフレックスタイムを導入するには条件がありました。その条件は派遣社員として働く際にも必要になります。
具体的に示すと以下のとおりです。
- 派遣会社の就業規則等に、始業、終業時刻を派遣社員の決定に委ねると定めること
- 派遣会社と派遣者間で、労使協定を結び、制度の基本的枠組みを定めること
まず、派遣社員の場合は、派遣会社の就業規則に沿って働きますので派遣会社の就業規則に、派遣社員にフレックスタイム制を適用するということが明記されていなければいけません。
厚生労働省の「フレックスタイム制のわかりやすい解説」に、就業規則の記載例が載っていました。
上記の就業規則例では、フレキシブルタイムが午前6時~10時、午後3時~午後7時となっていて、コアタイムは午前10時~0時、午後1時~3時までということがわかりますね。
また、2つ目の条件として派遣会社と派遣社員の間に労使協定を結ぶ必要があり、清算期間や1日の労働時間等を記載することになっています。
この2つの条件を満たせば、派遣社員でもフレックスタイム制で働くことができるのです。
フレックスタイムを導入している職種
では、フレックスタイム制を導入している職種にはどんなものがあるのでしょうか。いくつか挙げてみましょう。
- 企画
- エンジニア
- プログラマー
- WEBデザイナー
- 設計
上記の職種に共通して言えるのは、業務遂行までに要する時間が一人ひとり違っていることと、業務達成までの工程も特に指示されず人によって違う仕事ということでしょう。要するに、フレックスタイム制は特に技術職に適用されやすいのです。
ちなみに、以前は国家公務員ではフレックスタイム制が適用されていなかったのですが、2016年にフレックスタイム制が拡充され、現在は国家公務員でもフレックス制度の適応範囲が広がっています。
派遣社員がフレックスタイム制に関して勘違いしてはいけないこと
このように、派遣社員であっても条件を満たすことによってフレックスタイム制で柔軟な働き方をすることも可能となっています。
しかし、いくつか注意しなくてはいけない点もあります。
派遣先の企業がフレックス制を導入していても、自分もそうとは限らない
派遣先の企業がフレックスタイム制を導入していたとしても、同様に自分がフレックスタイムで働くことができるかというとそんなことはありません。
派遣社員の場合、契約を結ぶのはあくまで派遣会社であり、フレックスタイム制を導入するかどうかも派遣会社の判断。
派遣会社が導入しないとしているなら、いくら派遣先の正社員の人達がフレックスで働いていても自分は決められた時間に出勤しなくてはなりません。
実際、このような正社員はフレックスで自由に出社時間を決めれるが、派遣社員にはそれができないという場合が非常に多いです。
そしてそれは意外に大変だったりします。
たとえば飲み会。派遣社員は必ず朝に来なくてはならないのに、社員の人達は次の日遅くてもいいからと平日に飲み会を開いたりしがちです。
また指導担当やチームリーダーの人が朝遅くて手持ちぶさたになったり、周りが出社せず自分しかいない中でトラブルに対処しなくてはいけなくなったりと、社員と出社時間が違うせいで苦労することって意外と多いです。
フレックスタイム制を導入しても使いにくい職場も少なくない
フレックスタイム制を導入している派遣先で、自分自身もフレックスタイム制が導入されたとしても、それを自由に使えるかというと必ずしもそうではありません。
名目上はフレックスタイム制が導入されていても、周りはみんなそれを一切利用せず、決まった時間に出社しているという職場も多いからです。
周りの社員が皆決まった時間で出社しているのに、派遣社員である自分が自由に遅い時間に出社できる人はそういないのではないでしょうか。
ルールとしては認められていても、精神的にその時間に来ざるを得ないです。
派遣社員がフレックスタイム制で働くメリット、デメリット
フレックスタイム制は、自分で仕事の始業時刻と終業時刻を決められるというもので、労働時間中は絶対に会社に居ないといけない、絶対に働いていないといけないという縛りがなくなるということが分かります。
また、この制度は条件を満たせば派遣社員にも適用できるものでした。
ここからは、派遣社員がフレックスタイム制を適用した場合にどのようなメリット、デメリットがあるかを考えます。
派遣社員がフレックスタイム制で働くメリット
まずはメリットから見てみましょう。
就労時間を自由に変えられる
転職し、ほぼ希望の条件通りの派遣先を見つけたけれど、中には「就労時間だけがネック」という人もいるでしょう。
例えば「時給も職場環境も言うことないけれど、あえて言うなら10時~18時半という就労時間じゃなくて9時~17時半だったら良かった。」という場合です。
フレックスタイム制が適用されたら自分で調整が可能になるので、自分の理想通りに1時間ずらして勤務することができます。
仕事に集中しやすくなる
フレックスタイム制では自分の都合で時間を調整できるので、限られた時間内での仕事に集中しやすくなるというメリットがあります。
例えば「今日は15時に上がろう」というような目的がある場合、その時間までにある程度仕事が終わるように頑張れますよね。
特に、その目的がプライベートなことであればやる気も倍増するのではないでしょうか。
時間の管理が上手くなり残業が減ることも
会社で決められた総労働時間を守るために、自分で時間管理を調整していく必要がありますので、次第に時間管理が上手になります。
また、効率的に仕事ができるようになるので、比較的残業が多い派遣先だった人は残業時間の軽減が期待できますね。
朝寝坊しても怒られないし、通勤ラッシュを避けることもできる
「前の会社では遅刻の常習犯だった」と言う人も、フレックスタイム制であれば朝寝坊しても問題ありません。
遅刻した分どこかで調整すれば良いのですから、誰にも怒られずに済みますよね。また、通勤ラッシュの時間帯も避けることができます。
ただし、コアタイムがある場合はその時間までには必ず出社しなくてはいけないので、その点には注意しましょう。
派遣社員がフレックスタイム制で働くデメリット
次にデメリットに注目してみましょう。
同じ時期に入社した人と研修時間を合わせるのが難しく、中々教育してもらえないことも
自分以外にも同じ時期に入社した人がいた場合、研修時間を合わせるのが難しくなるがことがあります。
上司に「今研修できるけど、一人居ないからまた後で。」などと言われ、どんどん先延ばしされたらいつまで経っても仕事を覚えられませんよね。
また、教育担当者自体の職場にいる時間が日によって違うので、すれ違ってしまうということもよくあります。
融通が利くあまりに仕事のペースが遅くなることがある
フレックスタイム制は、時間に融通が利くあまりに「あとで時間調整すればいいや」というような気持ちになりがちなのがデメリットでしょう。
そうなってしまうと甘えが出てきてしましまって、仕事のペースが段々遅くなってしまいます。
気付いたら、片づけなくてはいけない仕事が山のようになっていたなんてことも少なくありません。
時間の管理が難しく、後半になると自ら残業をすることも
時間の管理を自分でしなくてはいけないので、ある程度のプランが頭にないと上手くいきません。
時間管理が上手くできなかったために、気づいたら埋め合わせしないといけない時間数が多くなってしまって、後半は毎日遅くまで仕事をしなくてはいけないなんていうこともあります。
派遣社員は時給制なので、フレックスタイム制の会社でなければ残業代は支払われるのですが、フレックスタイム制の場合になると、総労働時間以内は残業代はもちろん出ませんので、損をした気分になってしまうということも考えられます。
プライベートを優先してしまいがちになり、仕事に対する意欲が減る
フレックスタイム制はプライべートを充実させられますので、プライベートの楽しさが仕事をする意欲に勝ってしまい、仕事に対するやる気がなくなることもあります。
中には、仕事中なのにプライベートの予定ばかりを考えてしまう人もいます。
会社の仕組みの中にフレックスタイム制があるのに、プライベートを優先してしまうのでは本末転倒ですよね。
フレックスタイム制で働く派遣社員が非常に少ない3つの理由とは?
ここまでフレックスタイム制について説明してきましたが、現状では派遣社員にはほとんどこの制度は適用されていません。
その理由は主に以下の3つだと考えられます。
- 派遣社員はもともとプライベートを重視できる融通の利く働き方だから
- 清算期間中(最大3か月)に契約終了となる場合があり、管理が難しいから
- 派遣先側としても派遣社員がいる時間に偏りを出したくないから
最初に、派遣社員の場合、自分の希望する条件を派遣会社に伝えた上で仕事の紹介をしてもらうので、わざわざフレックスタイム制を導入しなくてもプライベートを充実させられるような働き方になっているという点です。希望する条件に沿っているなら、それ以上必要ありません。
次に、派遣社員の場合は清算期間中(最大3か月)の途中で契約終了となる場合も多いので時間管理も難しく、あまり良くないという点です。派遣社員本人が勤怠管理をする場合はややこしくなってしまい、かえって混乱するかもしれません。
最後に、会社側にしてもフレックスタイム制にすることで派遣社員がいる時間帯に偏りが出てしまうと、日々の業務量に影響が出ると考えられる点です。派遣社員は正社員の助っ人として雇われますから、居る時間と居ない時間があったら雇側は困ってしまいます。
このように、派遣社員にフレックスタイム制を適用することは、総合的にみてあまりメリットが感じられないということから、フレックスタイム制で働く派遣社員は非常に少ないと言えます。
フレックスタイムで働くことに向いている派遣社員の特徴
以上で解説したことから言える、フレックスタイムで働くことがおすすめな派遣社員の特徴を解説します。
フレックスタイムに向いている人は、多少夜遅くまで働いてでも、朝の時間に通勤することや働くことを避けるのを希望しているタイプです。
どうしても体質的に朝の通勤・労働は苦手という人でも柔軟なシフトが組めるフレックスタイムなら他の人と同じような仕事量と能力を発揮できることもあるでしょう。
その他にも、子育て・介護といったどうしても外せない事情から通常のシフトでは働けないというシチュエーションでも、フレックスタイムを導入した企業なら問題なく派遣の仕事ができます。
基本的には時間の都合がつきやすい派遣社員で、さらに自由に働けるフレックスタイムが向いている人は、どうしても自由の効くシフトが良いという事情のある人と言えます。
最近は正社員でもフレックスで働ける環境も増えてきている
派遣社員の方の多くはシフト形式で働く日を決めるので、自然とフレックスのような働き方になることもあるかもしれませんが、場合によっては勤務時間が減ってしまい収入が減ってしまうかもしれません。
最近ではテレワークの普及もあり、正社員でもフレックス形式で働ける企業が多くなってきています。
もし「ある程度自由な時間を確保したい」という目的で派遣社員を続けているのであれば、フレックスで働ける正社員になることで、今の過ごし方を変えずに年収をグッと上げられる可能性もあります。
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