今回は派遣社員と正社員の違いや「派遣社員あるある」を通して派遣社員の良い点と悪い点を合わせて紹介していきます。
さらに派遣社員に向いている人と向いていない人についても確認していくので、これから派遣で働くことを考えている方や派遣社員になることへ不安を感じている方はぜひ参考にしてください。
派遣社員とは
派遣社員と聞くとどんなイメージを持ちますか? 2008年に本格的に始まった金融危機の際に「派遣切り」や「年越し派遣村」といった言葉がテレビや新聞、雑誌など様々なメディアで取り上げられたこともあり、不安定や定収入など正社員と比べるとマイナスのイメージが強いようです。
しかし、派遣社員という働き方はマイナスばかりではありません。その人のライフスタイルや置かれた状況などにマッチすれば、正社員よりも働きやすいのです。
それでは「派遣社員」とはどのようなものかを正社員と比較しながら改めて確認しましょう。
派遣社員の特徴
派遣社員は他にも「派遣スタッフ」や「派遣労働者」、あるいは「派遣」と呼ばれることもあります。
特徴1)働く場所
派遣会社に登録しますが実際に働くのは派遣先の企業である場合が多いです。
特徴2)雇用契約の相手
雇用契約を結ぶのは派遣先ではなく派遣元である「派遣会社」となります。
特徴3)契約期間の更新
派遣社員には契約期間があり、1ヵ月~2年ほどが多いです。また3ヵ月か6ヵ月で更新になる場合が多く、最長でも3年と派遣法に定められています。
※派遣法では個人単位と事業所単位で上限を3年と定めています。
- 派遣先の同じ部署での派遣社員の受け入れは上限3年
- 派遣先の同じ事業所での派遣社員の受け入れは上限3年
派遣社員にはこのように働く場所と雇用契約の相手、そして契約期間に特徴があります。
派遣社員と正社員との違い
派遣社員と正社員を比較してその違いを確認します。
違い1)雇い主の違い
派遣社員は人材派遣会社と雇用契約を結んで企業に派遣されるスタッフ。一方、正社員は正規雇用で雇われた社員のことです。
違い2)待遇の違い
派遣社員は派遣会社の福利厚生を受けることができますが、交通費とボーナスが出ないことが多いです。それに対し、正社員は福利厚生が充実しており、交通費とボーナスも出ます。
違い3)雇われる期間の違い
派遣社員は同じ派遣先の部署での就業期間が1ヶ月~2年の場合が多く、最長で3年となっています。正社員は期間が決まっておらず、働こうと思えば定年まで可能な場合がほとんどです。
このように派遣社員と正社員では、雇い主、待遇、雇われる期間に大きな違いがあります。
他にも福利厚生や研修の費用などは会社によって差が大きい部分です。
派遣社員と契約社員の違い
正社員よりも派遣社員と違いが分りづらく混同されがちなのが「契約社員」です。契約社員との違いも確認しておきましょう。
違い1)雇い主の違い
派遣社員が派遣会社と雇用契約を結ぶのに対し、契約社員は正社員と同じく実際に働く企業と雇用契約を結びます。ただしどちらも非正規雇用者であることは一緒です。
違い2)待遇の違い
企業にもよりますが契約社員は交通費が出る場合が多いです。
違い3)雇われる期間の違い
2013年4月1日に施行された改正労働契約法では「契約社員を通算5年雇用すると無期雇用(契約期間の定めがない契約)に転換しなければならない」という5年ルールを定めました。そのため最大でも3年が上限の派遣社員とは大きく異なります。
ただし、5年ルールは正社員にしなければならないというものではなく、あくまで雇用期間について定めているに過ぎません。また5年に満たない期間は契約更新があるので、企業側が更新を認めない可能性もあります。
正社員ほどではありませんが、派遣社員と契約社員にも多くの違いがあり、給与は派遣社員の方が契約社員よりも高い場合が多い傾向です。
派遣社員は雇用契約を派遣会社と結び、仕事の指示は派遣先で受けることになり、1ヶ月~2年の契約期間が多く、最長でも3年と上限があるのも特徴です。
派遣社員あるある
それでは派遣社員をより理解するためにも「派遣社員あるある12選」を紹介します。
ここでは「派遣社員で良かったこと」と「派遣社員で不安なこと・良くなかったこと」の2つに分けて紹介するので、派遣という働き方に興味がある方やこれから働くか悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
派遣社員で良かったことあるある
それでは派遣社員で良かったことについてのあるある7つを紹介します。
辞めようと思えばすぐに辞められる
派遣先の環境や人間関係が合わないなど、辞めようと思った場合、すぐに辞められます。
「契約期間について」でも紹介しましたが、派遣は1ヵ月~2年ぐらいが主流ですし、一般的には3ヵ月あるいは6ヵ月で契約を更新する場合が多いので、そこで更新をしないということも可能です。
また辞める場合は派遣会社にまず伝えるので職場に直接言うよりもストレスが少なく、職場に伝える段取りも相談に乗ってくれます。
環境が合わない時も期間が限られているので比較的気が楽
最長でも3年と上限が決まっていますし、いつが期間満了かも派遣社員は把握できています。
そのため合わない環境でも期限を迎えればその職場に行かなくて済むので、無期限雇用に比べると気が楽です。
自分のスケジュール・ライフスタイルに合わせて柔軟に働ける
これが派遣社員の最大のメリットと考える事も出来るのですが、自分の希望に合った勤務地・勤務時間・期間を選択できます。つまり自分のライフスタイルに合わせて働けるのです。
そのため育児や介護などで時間や日数が制限される方にはピッタリですし、副業として派遣社員をすることも可能です(副業を認められている職種で働いている場合)。
様々な職場で経験を積める
派遣社員は例外をのぞき、最長3年までしか同じ職場に勤めることができないので、自然と多くの職場で経験を積むことになります。
派遣会社に相談できる
派遣会社はいわば派遣先の会社と派遣社員の仲介役になってくれる存在なので、派遣先の不満などがあればいつでも相談することが可能です。
アルバイト・パートよりも時給が高い
派遣社員は同じ職務内容でもアルバイトやパートよりも時給が高いことが多いです。
余談ですがアルバイト・パートは社員同様、直雇用です。
未経験でも働くことができる求人が多い
一般的に派遣社員は正社員よりも採用のハードルが低いので、未経験の職種であったとしても派遣として経験を積むことができます。
例えば人気の高い事務職へ転職を考えている場合、未経験だとなかなか採用されません。
しかし派遣会社の中には事務職を多く扱っているところもあり、直雇用より簡単に就業できる可能性が高いです。
そのため、まず派遣社員として経験を積んでから正社員として転職活動をするという方法もあります。
派遣社員で不安なこと・良くなかったことあるある
派遣社員の「良かったことあるある」を確認しましたが、不安なことや良くなかったことのあるあるも確認しておきましょう。
将来が不安
正社員と異なり、雇用が不安定。最長でも同じ部署で3年までしか働けないため、安定性を求める方には向きません。
契約更新の時期は緊張
雇用期間があらかじめ決められていて、それを過ぎると契約更新か終了かが決定します。
もし終了した場合、新たな派遣先か仕事を探さなければなりません。
交通費・ボーナスが出ない
正社員の違いでも紹介しましたが、派遣社員は交通費やボーナスがでないのが一般的です。
その事も含めて年間で見ると、正社員と派遣社員で給与の差が大きい場合が多いです。
長期休みがあると給料が少ない
月給があらかじめ決まっていることが多い正社員と異なり、派遣社員は時給制であることが一般的です。つまり長期休みがあると出勤できず、収入が少なくなってしまいます。
これは同じ時給制のアルバイトやパートも同様です。
仕事の出来次第で給料や契約に影響が出ることが多い
契約期間が定まっているからこそシビアなことが多く、結果が出ないと契約を更新してもらえない場合もあります。
派遣社員に良いところと良くないところは当然ある
このように派遣社員にはデメリットだけではなくメリットもあります。
世間一般に正社員が派遣社員より良いと考えられていますが、それは安定性や給与面を重視してのことです。
しかし正社員にもデメリットはあり、人によってはそれが原因で働けない場合もあるので、やはり自分に合った働き方かどうかを判断材料にすることも重要と言えます。
派遣社員に向いている人とそうでない人
派遣社員あるあるの「良かったこと」「不安なこと・良くなかったこと」からも分る通り、派遣という働き方が自身のライフスタイルに合う人と合わない人がいます。
具体的にどんな人が派遣社員に向いているのか、あるいは向いていないのでしょうか?
派遣社員に向いている人
それではまず派遣社員に向いているのはどんな人かを確認します。
プライベートの時間を大切にしたい
家庭や趣味の時間を大切にしたいという方には、勤務地・時間・期間を自由に決めることができる派遣社員は向いていると言えます。
副業として働きたい
派遣社員は柔軟な働き方をすることができるので、空いた時間を有効活用して副業などをしたいという方にも向いています。
重い責任を負いたくない
派遣の仕事は基本的に重い責任が伴わない場合が多いです。
派遣に向いているのは、正社員のように長時間の拘束を望まない人や副業でやりたい人、そして重い責任を負いたくない人などがあげられます。
派遣社員に向いていない人
今度は派遣社員に向かないのはどんな人かを確認します。
安定した職が欲しい
派遣社員は雇用期間が限られており、どうしても不安定になってしまうため安定した職が欲しいという人にはあまり向いていないと言えます。
責任のある仕事がしたい
自分で主体的に考え、責任のある仕事をしたいという方には向いているとは言えない場合が多いです。
安定した職業に就きたい人、責任ある立場になりたい人は派遣という働き方は向いているとは言えません。
派遣社員から正社員になる方法もある
正社員にはなりにくいと思われがちな派遣社員ですが、実は正社員になる方法もあるのです。
まず派遣先の正社員になるメリットとデメリットを確認します。
派遣先の企業で正社員になるメリットとデメリット
それではメリットとデメリットを紹介します。
- メリット:一度派遣社員として入っているからこそ、人間関係や環境がわかっており安心して就業できる
- デメリット:実現できないことはないが相当仕事ができる、または人数が足りていないなどの環境的な要素がないと可能性は低い
デメリットについては正社員になること自体のデメリットではなく、そもそも派遣先で正社員になるチャンスが少ないということです。派遣先に不満が無いのであれば、正社員になることのデメリットはほとんど考えられません。
紹介予定派遣として働く
紹介予定派遣とは、最長6ヶ月の派遣期間を経て、派遣先の企業が直雇用として雇うかどうかを審査してもらう制度のことです。
この制度を利用して社員になるには、派遣期間後の審査で派遣社員と企業の双方が合意する必要があります。
どちらかが断れば直雇用にはなれないのですが、企業側だけでなく派遣社員も人間関係など不満がある場合は継続しないで済みます。
また、紹介予定派遣の直雇用とは正社員だけでなく契約社員も含まれるので、その点は注意が必要です。
転職する
正社員として採用してもらえる会社に転職するという方法もあります。
中途採用は未経験の職種は困難な場合が多いですが、派遣社員だとそこまでハードルは高くありません。そのため派遣社員で経験を積んでから転職したほうが採用される可能性は高くなると考えられます。
紹介予定派遣は特に直雇用で雇うことを念頭に置いているのでおすすめです。また派遣という働き方を活用し正社員へのステップとするのも1つの方法と言えます。
働き方は自分のライフスタイルに合わせて
「派遣社員あるある」という形式を借りて派遣社員として働くことのメリットとデメリット、そして派遣に向く人と向かない人を紹介してきました。
一般的に派遣社員より正社員のほうが安定していて世間体も良いと考えがちですが、正社員と言うだけで自分に合わない仕事に就いてしまうと不満がたまり、結局は長続きしないという恐れがあります。またライフスタイルが正社員に向いていない場合もあるので、自分に合った仕事を自分に合った雇用形態でやるようにするのがいいでしょう。
転職を考えている方にとっては正社員と派遣社員どちらを選ぶかではなく、正社員へのステップとして派遣社員を選択するという考えがあるということも大事なポイントです。