派遣社員が知っておきたい就業条件明示書とは?貰えない場合や内容と実際の条件がちがう場合の対処法

派遣社員の基礎知識

派遣社員として働くことが決まった時に、派遣会社からもらう「就業条件明示書」。

文字通り、就業条件について色々明示されているのですが、派遣先が決まった時には沢山の書類をもらうので、どれが就業条件明示書なのか分からなくなることも多いでしょう。

私の友人は派遣先でトラブルが起こり、「就業条件明示書」に何が記載されているのか読み返さなくてはいけなくなったのですが、「そもそも、もらっていない。」という状況に陥り、派遣会社に問い合わせたら「メールで送っています。」と言われたそうです。

本記事では、改めて就業条件明示書とは何か、記載すべき内容や、メールで送るのは違法となるのか等、詳しく説明します。

就業条件明示書とは

就業条件明示書とは、登録している派遣スタッフに対して派遣会社が発行する書類で、以下の図のように就業条件を明示したものを指します。(引用:厚生労働省「神奈川労働局」

 

派遣会社は1週間以上の雇用契約を結んだ派遣スタッフに対して、上記のような就業条件明示書を発行する義務があるのです。(参考:厚生労働省「派遣元事業主の講ずべき措置は」

 就業条件等の明示(法第34条)
派遣元事業主は、労働者派遣をしようとするときは、あらかじめ派遣労働者に対し、下記(1)の事項を明示しなければなりません。

(以下明示すべき内容)

私も実際に派遣会社と契約を交わした際に、派遣会社からもらいました。

就業条件明示書に記載すべき内容

就業条件明示書に記載すべき項目は沢山あります。

記載すべき主な内容を以下に挙げてみましょう。(参考:厚生労働省「東京労働局」

  1. 業務内容
  2. 仕事に従事する事業所の名称及び所在地、組織単位
  3. 就業中の指揮命令者に関する事項
  4. 派遣の期間及び就業する日
  5. 就業の開始及び終了の時刻並びに休憩時間
  6. 派遣労働者からの苦情処理に関する事項
  7. 派遣労働者の個人単位の期間制限に抵触する最初の日
  8. 派遣先の事業所単位の期間制限に抵触する最初の日

上記項目はあくまでも「記載すべき主な内容」ですので、他にも記載すべきことは沢山あります。

では、ここで上記7、8番目の項目にある「抵触」とは何を指すのか説明しましょう。

抵触日とはつまり「派遣の契約期間が切れた翌日」のことを指します。

「個人単位の期間制限」とは、派遣社員が同じ会社の同じ課(部署)で働ける期間(最長で3年)のことで、例えば1月31日までが契約期間であれば、個人単位の抵触日(抵触する最初の日)は2月1日です。

また、「事業所単位の期間制限」とは、派遣先の会社の話なのですが「同じ会社の同じ課(部署)で3年を超える派遣社員を受け入れることは不可」という制限のことを指します。

例えば2月28日で丸3年が経過した派遣社員がいる場合、3月1日が事業所単位の抵触日(抵触する最初の日)です。

就業条件明示書では、これらの抵触日までもしっかりと明示しなければならないのですね。

就業条件明示書は労働条件通知書(雇用契約書)とは違う

派遣会社と労働契約を交わす際には、就業条件明示書とは別に「労働条件通知書(雇用契約書)」という書類も渡されます。
この「労働条件通知書」と「就業条件明示書」は別物です。
労働条件通知書は、労働基準法に基づいて作成すべき書類で、就業条件明示書は労働派遣法に基づいて作成すべきものになります。
ただ、この2つの書類に記載すべき項目は、互いに重複する内容が多いため、どちらか一方を省略することが許可されているので、派遣会社によっては「労働条件通知書(兼)就業条件明示書」としているところも多いようです。(参考:厚生労働省「契約を結ぶ時には」
もしどちらか一方を「もらった記憶がない」と感じるようであれば「(兼)」になっているかもしれませんね。

就業条件明示書に保管期限はない

就業条件明示書に保管期限の記載はありません。

契約期間が終わった後、就業条件明示書は捨てても良いのか気になる人も多いですよね。

「もう終わった話だから」と処分してしまいたくなる気持ちも分かります。

しかし、万が一派遣先や派遣会社とのトラブルが後々起こった時に、見返す時が来るかもしれません。

可能性は低くても、何かあった時の証拠になりますので、念のため契約終了後も数年は保管しておいた方が無難でしょう。

これって違法?就業条件明示書に関するQ&A

派遣社員が雇用契約を結んだ時に、就業条件明示書をもらうにあたって「これって違法じゃないの?ありなの?」と感じる人は多いようです。

例えば記載された内容が違ったり、そもそも就業条件明示書自体をもらっていないという人もいることでしょう。

ここからは、就業条件明示書に関する様々なケースを考えていきます。

就業条件明示書と実際の労働条件が違う

就業条件明示書に記載されている内容と実際に働き始めたら労働条件が違うという時は、派遣会社に相談しましょう。
法律では、雇用契約書や就業条件明示書と実際の労働条件に相違があれば、派遣会社と結んだ雇用契約を解除することができると定められています。
また、労働条件が違う仕事のために旅費を使った場合、派遣会社に返金してもらえるのです。

(労働条件の明示)労働基準法第15条

  1. 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
  2. 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。

契約内容に相違がある場合は、後で損をしないように仕事のために使った費用がないかを考えた方が良いでしょう。

就業条件明示書をもらっていない、来ない

そもそも就業条件明示書をもらっていない、もしくは全然来ないということもあるかもしれません。

派遣会社によっては、雇用契約を結んでから大分時間差があって、やっと渡してくる会社もあるでしょう。

しかし、一向に就業条件明示書を派遣社員に渡さないといった場合、派遣会社は30万円以下の罰金を科せられることがあります。(参考:厚生労働省「第13 違法行為による罰則、行政処分及び勧告・公表」

まずは派遣会社に渡してもらうように催促し、催促してももらえないといった時は労働基準監督署や労働局に相談してみるのが良いでしょう。

就業条件明示書がメールやSNSで来た…

就業条件明示書がメールやSNSで来たという人もいます。

「大事な書類なのに、書面ではないなんて怪しい」と疑う人も多いでしょう。

しかし、実は違法ではありません。

厚生労働省では、就業条件の明示方法について以下のように公表しています。

(2) 明示の方法
○ 就業条件等の明示は、労働者派遣に際し、あらかじめ、書面(当該派遣労働者が希望した場合は、FAX 又は電子メールも可。)を個々の派遣労働者に交付することにより行わなければなりません。
○ ただし、労働者派遣の実施について緊急の必要があるため、あらかじめ、書面、FAX 又は電子メールにより明示できない場合は、それ以外の方法であらかじめ明示すればよいこととされています。

(参考:厚生労働省「労働基準法施⾏規則」 改正のお知らせ」

上記から読み取れるように「あらかじめ、書面、FAX 又は電子メールにより明示できない場合」はSNSでの明示が許可されているのです。

ただ「個人情報に関わるのでは」と不安になりますよね。

しかし、派遣社員のブログや個人のホームページなど、第三者に閲覧させることを目的とするものに対する「書き込み」による明示は禁じられています。

もしメールやSNSで来た時は、忘れずに印刷をかけておくなどして、すぐに消えないようにすることが大事ですね。

就業条件明示書はいつでも見返せるように保管しておこう

今回は、就業条件明示書について、記載すべき内容やよくある疑問などについて説明しました。

一番避けたいのは、必要な時に「もらっていない」という状態になることです。

派遣先が決まったら、就業条件明示書をどのように渡してもらえるのか確認しましょう。

もしかすると「労働条件通知書(兼)就業条件明示書」として渡されるかもしれないですし、メールやSNSで送られてくるかもしれません。

また、もらった後はいつでも就業条件明示書を見返せるように保管しておくことが大事です。

就業条件明示書を意識して大事に保管することは、派遣先でトラブルに巻き込まれるのを防ぐことにも繋がるでしょう。