派遣で働きたいと思う人の中には、最初から事務職を狙っている人も多いでしょう。
私の周りでも派遣の事務職に就いている人は多いですし、私も実際に事務職で働いていました。
派遣の事務職は一番人気の職種となっていますが、仕事内容はどんなものなのでしょうか。また、事務職は何歳まで働ける仕事なのかも気になりますよね。
本記事では、派遣で人気の事務職について、仕事内容や競争率、年齢制限や給料の手取り、事務職ならではの悩み体験談について説明します。
また、未経験でも事務職に受かるための対策についても紹介するので、ぜひ参考にして下さい。
派遣で人気の事務、仕事内容
派遣の中でもダントツで人気の事務職。
座れるから、残業が少ないから、飽きないから、慣れたら楽だからなど、人気の理由は沢山あります。
私も実際に経験しましたが、飽き性の私でも「事務職なら長くできるのではないか」と思ったくらい良かったです。
まずは一般的な事務の仕事内容を見ていきましょう。
電話応対
電話応対は、担当者に取り次ぐだけでなく自分で対応するパターンもあります。
実際に私はどちらのパターンも経験したのですが、自分で答えるには正しい知識が必要です。
電話応対は、取引先や顧客に対して失礼のないように、ビジネスマナーが求められます。
例えば、尊敬語や謙譲語の使い分け・上司の呼び方などの正しい言葉遣いが基本ですし、担当者が不在時の対応やメモの取り方なども大事でしょう。
社内メール対応
次に社内メールの対応です。
社内メールもまた、電話応対同様にビジネスマナーが必要な仕事になります。
例えば、件名・宛名・CCの使い方などの基本的な知識や、書き出しや文章の結びなども大事です。
例えば、役職付きの上司への宛名は「○課 ○課長」のように入力し「課長殿」といった間違った使い方をしないように注意しなければいけません。
ただ、一度やり方を覚えてしまえば2回目からは同じようにできますので、毎回緊張することはないでしょう。
書類作成
次に書類作成の仕事です。
書類の内容は仕事によって違いますが、基本的にはワードやエクセル、パワーポイントなどのOAスキルが必要となることが多いでしょう。
例えば、プレゼンの資料を作成する場合はパワーポイント、データ集計資料の作成にはエクセル、顧客に対するDM発行などはワードなど、用途に応じて使用するものを使い分けられないといけません。
事務職をするには基本的なOAスキルは身に着けておくべきでしょう。
データ入力
データ入力の仕事も事務には多いです。
大量のデータを入力する場合は特に、速さと正確さが求められますので、ブラインドタッチができると効率が上がるでしょう。
何も考えずにひたすら打ち込んでいく作業はストレスがないので、楽しく感じる人も多いようです。
ファイリング
ファイリングは、書類やUSBなどのデータを整理して保管する仕事です。
ファイリングは簡単そうに聞こえますが、ただどこかにしまえば良いわけではなく、重要な書類を必要な時に、すぐに取り出すための工夫が必要になります。
例えば、作成日やタイトルなどを細かく分類し、保管期限がある書類などが埋もれてしまわないように、期限が近づいているデータを上に持ってくるなど、誰が探しても分かるように整理する必要があるのです。
また、会社にとって書類などのデータは最も重要なものですから、セキュリティに配慮した保管を第一に考えて取り組みましょう。
派遣の事務は競争率が高く、落ちる人も多い
派遣だけでの数字ではないのですが、令和元年6月の時点での事務職全般の有効求人倍率は0.46倍です。
(参考:厚生労働省「職業別有効求人倍率一般職業紹介状況[実数](パート含)」)
事務職を含めた全体の有効求人倍率は1.37倍ですから、求人数に対して求職者の方が少ない状態と言えます。
つまり全体的には、1人に対して仕事は必ず与えられる状態なのです。
しかし事務職は人気が高いので、毎年競争率は高い状態が続いています。
中でも「一般事務」は有効求人倍率が0.35倍と最も低く、300人に1人しか受からない状態ですので、まるで大手企業の求人のようですね。
派遣の事務の平均時給、平均月収、平均年収、手取り
厚生労働省が公表した平成29年度のデータによると、全職業の派遣社員の平均賃金は12,212円(時給にすると1,526円)となっています。(参考:厚生労働省「平成29年度の「労働者派遣事業報告書 集計結果」)
では、事務職の平均時給・平均月収・平均年収を見てみましょう。
事務系 従事者※ |
全国合計 | 北海道 | 宮城 | 東 京 | 愛 知 | 大 阪 | 広 島 | 福 岡 |
平均賃金 | 10,905円 | 9,433円 | 9,465円 | 11,176円 | 10,439円 | 10,238円 | 9,516円 | 9,189円 |
平均時給 | 1,363円 | 1,179円 | 1,183円 | 1,397円 | 1,304円 | 1,279円 | 1,189円 | 1,148円 |
平均月収 | 228,984円 | 198,072円 | 198,744円 | 234,696円 | 219,072円 | 214,872円 | 199,752円 | 192,864円 |
平均年収 | 2,747,808円 | 2,376,864円 | 2,384,928円 | 2,816,352円 | 2,628,864円 | 2,578,464円 | 2,397,204円 | 2,314,368円 |
(参考: 一般社団法人日本人材派遣協会「職種別派遣料金・賃金の状況」)
※事務系従事者は、一般事務従事者・会計事務従事者・事務用機器操作員の合計です。
上記の表を見ると、事務職の平均時給は、全職業の派遣社員の平均時給を全国的に下回っていることが分かりますね。
東京の時給でさえ1,397円、月収で約23万円なので、事務職は倍率が高い割には時給が安いということになるでしょう。
また、通常は都心から遠くなればなるほどに更に時給は下がっていきますが、事務職の場合は北海道と東京比較しても、時給約200円の差ですから、年収にしても50万円くらいしか差がありませんでした。
今度はこの月給を手取りで考えてみましょう。時給や扶養家族の有無によっても手取りは変わりますが、手取り額は給料の75%~80%であることが多いです。
以下は独身者で給料の約80%が手取り額の場合を示しています。
月給 | 月給20万円 | 月給21万円 | 月給22万円 | 月給23万円 |
手取り | 16万円 | 16.8万円 | 17.6万円 | 18.4万円 |
東京に住んでいても手取りで月20万円を切ってしまうのですから、生活に余裕は生まれないと言えるでしょうね。
派遣の事務は何歳まで?主婦やママ世代の40代、50代でもできる?
女性に大人気の事務職ですが、派遣の事務は何歳までできるのでしょうか。
主婦や30代、40代、50代のママ世代でも可能なのかは気になりますよね。
派遣先によっても選考基準は変わってきますので一概には言えませんが、知識とスキルが重視される事務であれば、50代になっても必要とされることはあり得ます。
実際に事務職の求人を見てみると、「40代、50代も働きやすい職場です」となっている職場では、専門知識や資格が必要となる経理事務や英文事務、貿易事務などがありました。
しかし、年齢問わず働ける仕事は、条件がある可能性が高いです。
例えば経理事務であれば、「簿記の資格が必要」だったり、英文事務では「TOEIC600以上」「英検2級以上の英語力必須」というように、ある程度高い語学力が求められます。
一方、データ入力や電話応対などの「専門知識がなくても問題のない事務」だと、誰でもできる分年齢重視になり、40代、50代よりも20代、30代前半の若手の方が優先されるでしょう。
派遣でずっと事務職で働きたいという人は、年齢に関係のないスキル重視の職場を目指していく方が現実的と言えます。
事務は良いことばかりではない、ありがちな悩み体験談
「事務は簡単な作業が多く、慣れてしまえば誰にでもできるから良い」と思われていますが、事務職についているからこその悩みというものもあります。
ここからは、事務職にありがちな悩み体験談を見ていきましょう。
忙しくてきつい、つらい、仕事が大変
最初に、仕事が思った以上に忙しくてきつい、つらい、大変というAさんの悩みです。
多くの人は事務職に対して「簡単そう、暇そう」という印象を持っていますが、事務職だからと言って全部の会社が暇とは限りません。
Aさんはこれまで一般事務を何年も経験してきましたが、派遣先の中には派遣社員がたった一人しかいないのに、全ての仕事を自分1人でやらなければいけない会社も沢山あるのです。
とくに小さな会社では、できるだけ経費をかけないように派遣社員の人数も少なくし、多くて2人といった会社もあるでしょう。
Aさんは、派遣社員が自分だけという状況で、自分の会社の雑務から一般事務まですべて一人で処理しなければならず、毎日残業しへとへとになっているようです。
仕事が合わない、向いていない
「事務は楽だからという理由で初めて選んだ」という人や、「残業が少ない会社だったから挑戦した」という人には、事務という仕事が合わないということがあります。
Bさんは、これまでアパレル販売員で、お客様と話しをすることに楽しさを感じてきましたが、出産を機に午後5時で上がれる事務職に転換しました。
しかし、外交的なBさんが挑戦したのはデータ入力のみの仕事。
「単純作業だからいいな」と思って入ったものの、実際は誰とも話さず8時間ずっと画面と向き合っているだけの仕事は、Bさんには向いていませんでした。
黙々と作業をし、人との会話がないことにストレスを感じ、「自分には合わない」と、たった3か月で仕事を辞めることに決めたそうです。
このように、事務職はコツコツと、淡々と、黙々と仕事をするのが好きな人でないと厳しいものがあるでしょう。
エクセルができない、使えない
事務職はOAスキルが「ある程度」必要だと言われていますが、実際に仕事に就くと、自分の認識している「ある程度」以上のレベルを要求されることもあります。
Cさんの悩みはエクセルができない、使えないことでした。
もともとエクセルの操作は「入力、グラフ作成」くらいのスキルで、関数は足し算以外は得る覚えだったのです。それでも「何とかなるだろう」を高を括っていたのが間違いでした。
実際に仕事に出てみるとエクセルを多用し、上司から「どうしてこんなこともできないのにこの会社を受けたの?」と言われる始末。
基本的な操作ならできると思っていたCさんの「基本的」の範囲が、想像している範囲を超えていたためについていけなくなってしまったのです。
このような場合は派遣会社に相談し、派遣会社で用意されている無料のOAスキル講座を受講してスキルを高めていくなどの対策を図りましょう。
やることがない、暇で辞めたい、つまらない
事務職は忙しい会社と暇な会社の差が激しいです。
Dさんの会社は事務の仕事が少なく、「あまりにも暇過ぎて毎日つまらない」と嘆いていました。
暇な会社は「忙しくなることを見込んで」、念のために派遣社員を依頼するところがあるため、結局ずっと暇だったということもあります。
暇過ぎる毎日だと、勤務時間の8時間が長すぎてどう過ごせばよいのか分かりませんし、かと言って好きなことをしても良いわけではありませんから悩みますよね。
このように、やることがない、暇過ぎて辞めたい、つまらないという辛い思いをしている人は案外多いのです。
派遣の仕事が暇すぎて辛い時の対処法。どうしても変わらない場合は辞めて違う会社に変えてしまうのもあり
派遣に対する扱いが酷い、いじめ、孤独、疎外感
派遣社員に対する扱いがひどい会社も中にはあります。
Eさんの派遣先では、社員が派遣に対して冷たく、休憩中も誰も話しかけてくれませんので、毎日孤独や疎外感を感じ、いつまでも職場に馴染めず辛い毎日を送っているようです。
また、「何をすれば良いですか」と聞かない限り仕事をもらえず、必要な書類すら配られていませんでした。
結局会社に行きたくなくなり、「これはもういじめではないか」と派遣会社に相談し、派遣先を変えてもらうことにしたのです。
このように、派遣を見下す会社も中にはあるので、当たりが悪いと非常に辛い思いをします。
派遣でいじめられた体験談と対策。辞めた後に賠償請求はできる?
未経験でも受かるための顔合わせ対策
未経験でも人気のある事務職に受かるためには、どうすれば良いのでしょうか。
派遣社員の場合は筆記試験や面接というものがなく、代わりに派遣会社内の「社内選考」と「顔合わせ」があります。
顔合わせとは、採用前に派遣会社の担当者と一緒に派遣先企業を訪問し、直接派遣先の上司から仕事の流れ等を聞く機会が設けられるものです。
本来は派遣会社が「弊社で選んだ人材はこの人です」と派遣社員を紹介することが目的で行われるものとなっていますが、派遣先が複数の派遣会社に募集をかけている場合などは、顔合わせ時に「志望動機や今後の目標」を聞いてくるケースも多く、実際のところ面接らしきことが行われている場合もあるので、気を抜いてはいけません。
ここからは、未経験でも受かるための顔合わせ対策について説明します。
志望動機、今後の目標を聞かれやすい
顔合わせで聞かれやすいのは「志望動機」と「今後の目標」です。
たとえば前職が販売職だった場合、以下のように言うことができるでしょう。
以前の販売職では、店頭に立って接客するだけでなく、在庫管理や顧客へのDM発送・伝票処理などの事務的作業も行っていました。店頭に立ちながら、時間を見計らって事務作業を進めないといけないので、効率良く進められるように優先順位を付ける等の工夫をしてきました。事務職自体は未経験ではありますが、これまでの経験を活かして、資料作成では見やすさなどを意識したり、工夫して取り組んでいきたいです。
このように「未経験ではあるけれど、これまでの経験の何かを活かす」という言い方が望ましいでしょう。
また今後の目標では、「その会社で働く自分を想像して、どういう風に仕事をしていくか」を話します。例えば以下のように言うことができるでしょう。
まずは早く業務に慣れ、抜け目のないようにしたいです。また、仕事を効率よくスピーディーにこなせるように創意工夫していき、例えばファイリングでは誰が見ても分かるように書類の管理をするなど、仕事を頼まれた時に迅速に対応できるようにしていきたいです。事務職は表にでる仕事ではありませんが、縁の下の力持ちとして、御社を支えていける派遣になりたいと思っています。
このように、派遣社員はいつまでその会社にいれるか定かではないので、〇年後といった具体的な数字を入れずに話すことも大事ですね。
アピールするのに有利な資格
事務職でアピールするのに有利な資格は沢山あります。
派遣先によっては、絶対に持っていなければいけないという資格も中にはあるでしょう。
事務職でアピールするのに有利な資格を以下にいくつか挙げていきます。
- Microsoft Office Specialist(MOS)
- ビジネス文書検定
- 日商簿記検定
- 医療事務技能審査試験
- TOEIC:英文事務など
- 秘書技能検定
上記の中に挙げた資格はほんの一例に過ぎませんが、中でも1番目のMOSというワード、エクセル、パワーポイント、アクセス、アウトルックのマイクソフトオフィス製品の利用スキル証明の資格があると、事務職全般として「OAスキルができる」という認識がされやすいでしょう。
その他にも一般事務を目指すならビジネス文書検定、医療事務なら医療事務技能審査試験、貿易関係や英文事務ならTOIEC、秘書なら秘書技能検定など、その職種によって活かされる資格は異なりますので、自分が目指す職種には何の資格があれば有利かを事前に把握しておくと良いですね。
服装、髪色など
顔合わせで気を付けるべきなのは、何と言っても第一印象です。
基本の第一印象が悪ければ、せっかくスキルが高くても派遣先が受け入れを躊躇してしまうこともあり得ます。
服装や靴、鞄は汚れていたり、よれよれ・ぼろぼろな物を避け、鞄はリュックではなくビジネスバッグを選んでいるでしょうか。
また、奇抜な髪型や色は避け、女性であればネイルにも気をつける必要があります。いくら職場のルール緩く何でもOKだとしても、採用が決まる前から気を使わないのはNGです。
基本的には就活ですから、見た目の清潔感を意識しましょう。
派遣の顔合わせについて、詳しくは以下の記事を参考にして下さい。
派遣の事務を目指す人へ
今回は派遣の事務職について説明しました。
ここまでの話をまとめてみましょう。
まとめ
- 派遣で人気の事務職の主な仕事内容は、電話応対・メール対応・書類作成・データ入力・ファイリングである
- 事務職の競争率は高く、300人に1人しか受からない状態
- 事務職の平均月給は都道府県によって違うが、だいたい約20万円前後、手取りでは16~18万円程
- 専門知識や資格が必要となる経理事務や英文事務などは年齢が40代、50代でも働ける可能性が高い
- 事務職ならではの悩みは「忙しい・合わない・エクセルができない・暇・いじめや疎外感」など沢山ある
- 未経験でも受かるためには第一印象は基本。その他に志望動機・今後の目標を考え、事務職に有利な資格を取っておくと吉
派遣の事務職は、実際のところ良い面ばかりではなく、時給が低いため年収が低くなってしまったり、事務職ならではの悩みもあります。
しかしそれでも人気が絶えないということは、これらを上回るほどの魅力も沢山あるということなのでしょう。
派遣の事務職を目指している人は、ぜひこれらのポイントを押さえて顔合わせに挑んで下さいね。