派遣社員は雇用期間が決まっていて、続けて同じ職場で働くという場合は「契約更新」をする必要があります。
しかし、中には「これ以上この派遣先で働きたくない」「違う仕事がしたい」という人もいるでしょう。
ただ、契約を更新しない場合、いつどのように言うべきか、どんな退職理由であればスムーズに進むかなど、色々と考えなくてはいけません。
本記事では、派遣社員の契約更新について、更新しない時のルールや言うべきタイミング、注意点など詳しく説明します。
派遣社員で働くのであれば、いつかは必ず更新しない時が来ますので、しっかりと覚えておきましょう。
状況によっては正社印への検討もしてみましょう。
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派遣の契約更新のルール
派遣社員は契約期間が決まっていて、多くの派遣社員は3ヶ月となっていることがほとんどでしょう。
契約期間が終わる1か月ほど前になると、派遣会社から「今後もこの仕事を継続してもらえるか」を聞かれるので、派遣社員は更新の意志を伝える必要があります。
派遣の契約更新をしないと正直に言うのは気まずい思いをしますが、実際はよくあることなのです。
ここでは派遣の契約更新について説明します。
派遣の仕事は契約更新の繰り返しが基本
派遣社員が同じ職場で働き続ける場合は、雇用契約書で定められた雇用契約期間をさらに〇か月延ばすという形で「契約更新」を繰り返します。
一般的には3ヶ月単位での更新が多いですが、中には一番最初の雇用期間を「試用期間」と考えて2カ月としている派遣先もあるので、雇用期間は派遣先によって様々です。
契約更新した後は、新しい雇用期間が記された雇用契約書を派遣会社から貰い、また同じ業務に従事するということになります。
契約途中の退職は原則不可、退職したい場合は更新しない
派遣社員の契約途中での退職は原則としてできません。
契約期間を提示した上で雇用契約書を交わしていますから、途中退職は契約違反になります。
「退職したい」場合は、雇用期間満了まではきちんと就業し、「その後の契約更新をしない」ということを派遣会社に伝えましょう。
ただし、契約内容と実際の現場での業務内容に相違があったり、派遣先に問題があるなどやむを得ない事情がある場合は、途中退職が認められることがあります。
派遣先から契約終了を言われる場合は30日前に告知される
派遣先から契約更新をせずに「契約終了」を言われる場合は、労働基準法によって30日前までに告知されることになっています。
しかし事前に告知されるのは、派遣社員がこれまでに3回以上契約更新をしているか、1年以上続けて勤務している場合です。
ただそれ未満でもそれくらいには連絡があるべきだし、だいたいの派遣会社は連絡をくれるので、更新ぎりぎりになって急に契約終了を言い渡されるケースは少ないでしょう。
更新される場合も基本的には1ヶ月前に連絡が来る
派遣社員が契約更新される場合でも、基本的には契約終了日の1か月ほど前に連絡が来るのが一般的です。
契約終了の1か月前になると派遣会社の担当者が派遣先に訪問に来て、「派遣先からは契約更新してほしいと言われていますが、どうでしょうか」と聞かれます。
その際に「もし更新してもらえるのであれば、次は半年契約ではどうですか」など契約期間についても相談されます。
契約更新しないとなれば、代わりの派遣社員を要請する必要があるので、派遣先は早めに伝えておくのが良いでしょう。
自動更新に注意!何も連絡がこないまま更新されてしまう場合も
派遣会社の中には悪質な会社があり、派遣社員に何の連絡もしないまま勝手に自動更新をするというところも存在します。
しかし自動更新は違法であり、認められていません。(参考:厚生労働省「労働者派遣契約」)
労働者派遣の期間が定められ、当該契約の更新が行われるにしても、当該更新が自動的に行われる定めとなっている場合(いわゆる自動更新条項がある場合)は、労働者派遣の期間を設定していると評価できないものであり、当該定めをしている場合は法第26条第2項に違反することとなる。
ただし例外があり、契約によって完成期日が定められている情報処理システムの開発などの「有期プロジェクト事業」のために臨時的に設けられた組織の派遣社員であれば、更新された派遣期間が通算3年を超えないものに限り、自動更新が行われることを契約に定めることが認められます。
派遣の更新をしない時のルール、タイミングや連絡方法
派遣の更新をしない時は、単純に「更新しません」と言えば良いのですが、いつまでに言うのか、どうやって伝えるのが正しいのかが分からないという人は多いでしょう。
ここでは派遣の更新をしない時のルールについて説明します。
派遣元と派遣先のどちらに伝えればよい?
派遣社員の雇用主は、派遣元企業です。そのため、退職に関しては先に派遣元企業に伝える必要があります。
派遣先企業への伝え方やタイミングは、派遣元企業の営業担当者などと相談しながら決めていってください。
いつまでに言うべき?伝える時期やタイミングは?
派遣社員が更新しないというタイミングは、派遣会社から更新の有無を聞かれた時です。
ほとんどの派遣会社は、契約終了の1ヶ月くらい前になると、派遣先に営業担当者が訪問しに来て「契約更新しますか」と聞いてきます。
その際に「更新しません」と伝えれば良いのです。
派遣先の企業には、派遣会社の担当者から更新しない旨を伝えてもらえるので、こちらから何かする必要はありません。
ただ、全ての派遣会社が1か月前になると必ず訪問しに来るとは限りませんので、1か月前になっても派遣会社から何の連絡もない場合は、自ら連絡して言う必要があります。
更新しないと言う方法は電話?メール?面談?
更新しないと言う方法は、更新の面談時に直接言うのが基本です。
もしも面談がなく、営業担当者に会う機会がないなら電話で連絡後、メールを送るのが良いでしょう。
電話で更新しないことを伝えた場合、派遣会社によっては引き止めようとして「近日中に派遣先に訪問するので相談しましょう」と言ってくるケースもあります。
一番避けたいのはメールだけで報告することです。メールの場合は見逃しなどもあるので避けた方が良いでしょう。
メールで伝える際は、先に電話連絡をしたうえで以下の例文に沿って文章を作成してください。
件名:契約更新辞退の件
◯◯スタッフ株式会社 いつもお世話になっております。 現在、派遣させて頂いている◯◯様(派遣先の会社名)との契約更新の件でご連絡致しました。 大変申し訳ありませんが、契約の更新はしない方向でお願い致します。 お手数をおかけしますが、ご対応のほどよろしくお願い致します。 |
更新しない時の円満理由・伝え方、本当のことをわざわざ言う必要はない
更新しないと言うのは中々勇気が要りますし、言いづらいものです。
言い方によっては自分の印象が悪くなるので、いかに悪い印象を残さずに伝えるかが重要です。自分の印象が悪くなると、残りの1か月を気まずいまま過ごすことになってしまいます。
更新しない時の退職理由は、わざわざ正直に言う必要はありません。正直過ぎるとかえってそれが裏目に出ることもありますから、無難な理由が望ましいでしょう。
ここからは、更新しない時の円満理由・伝え方を紹介します。
更新しない理由
まずは、どのような理由で更新しないのか、マイナビニュースが公開している「派遣更新にまつわる意識調査」を基に見ていきましょう。
- 「派遣先の人間関係」(38.8%)
- 「派遣先の業務量」(17.8%)
- 「事前に聞いていた業務内容との相違」(11.8%)
このように、更新しない理由として最も多いのが人間関係です。その次に派遣先の業務量となっています。
そして、更新しない理由によって派遣会社への伝え方も変わってきます。
場合別!派遣会社への伝え方
続いては、場合別の派遣会社への伝え方について解説します。
次回もその派遣会社で働きたい場合と別の派遣会社で働きたい場合に分けて見ていきましょう。
次回もその派遣会社を利用して働き続けたい場合
次回も同じ派遣会社を利用して働きたい場合は、以下の理由を伝えると良いでしょう。
自分のスキル不足
最初に、自分のスキル不足を理由にするパターンです。
これは単純に業務についていけないということになります。
私のスキルが至らなく、業務が滞ってしまい職場に迷惑をかけてしまうのが辛いので、更新しないことに決めました…。
何度教わっても覚えられなくて、業務についていけず職場に迷惑がかかっているので…。私には向いていないと思います。
このように言えば良いでしょう。
もしこのように伝えても、実際にあなたの評価が悪くない場合は「派遣先からはそんなことは聞いていないので大丈夫ですよ」と言われるかもしれません。
その際は「申し訳ないのですが自信がないので更新できません。」と押し切りましょう。
もっとスキルアップしたい
次に、もっとスキルアップしたいという理由です。
仕事に対して前向きで働く意欲があり、もっと上の段階を目指したいという理由であれば悪い印象を与えません。
例えば事務サポートやデータ入力、工場勤務など、誰かをサポートする役割の仕事や、毎日同じことの繰り返しをする単調な仕事の場合はこの理由が使えるでしょう。
今の職場環境に不満はないのですが、今後のためにもっとスキルアップしたくなりました。今は英文事務のサポートですが、もう1年経ちスキルもついてきたので、次はサポート役ではなく、英文事務に挑戦したいと思っています。
このように、スキルアップをしたいという理由の場合はどのようにスキルアップをしたいか、将来の展望などを説明する方が納得してくれるでしょう。
他の職種にチャレンジしたい
最後の、他の職種にチャレンジしたいという理由です。
このように言いましょう。
次回は違う派遣会社を使う、もしくは派遣を辞める場合
次に、今の派遣会社を辞めて違う派遣会社を利用したい場合と派遣という働き方自体を辞める場合の理由を紹介します。
体調不良
最初に、退職する際の代表的な理由である「体調不良」です。
このように伝えましょう。
ただし、派遣会社から気を遣われて「週3日の仕事はどうでしょうか」などと言って結局違う仕事の紹介をされたり、体調管理ができない人だと思われて、いつかまた派遣会社を利用しようとした際に、あまり仕事の紹介をしてもらえない可能性もあります。
家庭の事情(結婚・妊娠・育児など)
次に、結婚や妊娠、育児などを理由にした家庭の事情という理由です。
このように言うと良いでしょう。
正社員での採用が決まった
最後に、正社員での採用が決まったという理由です。
このように言えば、営業担当者も納得するしかないので「おめでとうございます。」と言って貰えるでしょう。
派遣の更新をしないメリット・デメリット
派遣の更新をしないメリットとデメリットは以下の通りです。
メリット | デメリット |
〇 今のストレスを我慢し続ける必要がなくなる 〇 希望に合致したところに働ける可能性がある |
✖ すぐに次の仕事がみつかるとは限らない ✖ 次の契約期間までの就業先と気まずい |
仕事が辛いと思っている場合は、更新しないという選択を選ぶことでストレスから解放されるというメリットがあります。
加えて別の仕事を探すとなれば、次は自分の希望に合致した仕事が見つかる可能性だってあるのです。
反対に、すぐに次の仕事が見つかるとは限らないといったデメリットがあります。場合によっては、半年や1年以上間が恐れもあるでしょう。
以上が派遣の契約更新をしないメリット・デメリットになります。
派遣の仕事を更新しないことに関するQ&A
ここまでは、更新しない時のルールや円満な退職理由について説明しました。
ただ、「長期契約で入社した場合、初回の契約更新で断わるのは大丈夫なのか」、「契約更新の意志を伝えたけど撤回したい」という時はどうしたら良いのでしょうか。
ここからは、派遣の仕事を更新しないことに関するよくある疑問について説明します。
長期の仕事だけど初回で更新しないのはあり?
長期の仕事として働き始めた場合でも、初回の契約で更新しないのもありです。
その場合、初回の契約更新の1ヶ月ほど前に営業担当者に言いましょう。
長期の契約で入ったからと言って、必ずしも長期で働かなくてはいけないわけではありません。
たとえ長期を見越した採用でも、あくまでも契約期間に沿って働いていますから、その間に更新意志が変わった場合は、更新しない権利があるのです。
逆に言うと、派遣会社や派遣先の会社にも更新しない権利があります。
実際に「長期」と言いながら、能力不足などで更新してもらえないケースもあるのです。
派遣とはそういうものなので問題ありません。
更新したばかりだけど撤回することはできる?
派遣会社に「更新する」と言って更新したばかりだけど、やっぱり撤回したいといった場合は撤回できるのでしょうか。
それは派遣会社の判断によるでしょう。
たとえば撤回してどれくらい日にちが経っているのか、翌日ならまだ撤回してもらえるかもしれませんが、すでに新しい契約期間で雇用契約書を発行してしまっている場合は撤回できない可能性もあります。
派遣会社がどこまで手続きをしているかにもよるので、すぐに派遣会社に連絡して撤回できるか問い合わせましょう。
私の友人は、更新の2カ月前から「あと半年は働きます」と派遣会社に伝えていましたが、実際に1か月前になって「やっぱり更新しません」と撤回しました。友人の場合はトラブルもなく契約終了になりましたが、派遣会社によっては撤回できないと言ってくることもあるでしょう。
更新しないと言ったが撤回して働きたい時はどうする?
「更新しない」と断言したはいいけど、やっぱり働きたいとなった場合は、撤回できるのでしょうか。
これも派遣会社にすぐに相談するべきです。
退職手続きの進行具合によっては受け入れてくれるでしょうが、すでに後任の人が決まっている場合は撤回できないでしょう。
次の仕事探しはいつからできる?
更新しないと言った後、次の仕事探しは早めにしましょう。
空白期間を作ってしまうと給料が入らないだけでなく、履歴書にも空白期間を作ってしまい、次の転職活動で自分の印象が悪くなってしまいます。
今の派遣会社を継続して利用する場合は、更新しないと伝えた際に「次の仕事紹介をお願いします」を言っておくべきです。
他の派遣会社を利用する場合は早めに連絡して、退職までに仕事紹介を受けておくのが良いでしょう。
派遣自体をやめる場合は、退職までの間、仕事をしながら転職活動を同時並行するのをおすすめします。
派遣先の上司へ伝える?
契約上、派遣先とは雇用関係がありません。そのため、派遣先の上司に伝えなくても退職をすることは可能です。
実際、派遣会社の営業担当者に伝えれば、必然的に派遣先の上司にも伝わります。
ただし、今までお世話になった方であれば、一言挨拶を兼ねて伝えるのは良いでしょう。
派遣の仕事を更新しない時の注意点
ここまでの記事で、派遣の更新をしないことについて沢山の知識がついてきたのではないかと思います。
あとは更新しないと言うだけのような気がしますが、更新しないにあたっての注意点がありますので、参考にして下さい。
繁忙期でも問題なし、ただ更新しないと決めたら早めに伝えた方が良い
繁忙期の契約終了は避けた方が良いと思う人も多いでしょう。
「派遣先のことを考えると、今抜けるのは気が引ける…」と思ってしまいます。
しかし契約期間として決まっている以上、その更新タイミングが繁忙期で派遣先企業や派遣会社が色々と動かなければいけないとなっても関係ありません。
ただ、もしさっさと更新しないことが決まっているならば、1ヶ月前や契約更新の話が来たタイミングではなく、2か月前など早めに伝える気遣いをすれば、派遣会社の印象が下がることなく、今後も継続して働きやすいでしょう。
退職理由を派遣会社・派遣先のせいにしない
今後も継続して同じ派遣会社を利用するのであれば、退職理由を派遣会社や派遣先のせいにするのはやめましょう。
「派遣先の〇〇さんがいつも酷い言い方をするのでストレスだった」「派遣会社がマッチングミスをしたから悪い派遣先に当たった」などと言うと、それが真実だったとしても、印象は悪いです。
「この人はすぐに難癖をつける人」だと思われた場合、今後の仕事紹介が減るどころかブラックリスト入りしてしまうかもしれません。
ただ「こんな派遣会社は二度と利用しない。登録を抹消してもらいたい」などと割り切っているのであれば、好き勝手言っても今後に影響はないかもしれません。
気まずい思いをする覚悟が必要
退職する場合はなんだかんだ気まずい思いをするもの。
初回更新のタイミングだと尚更です。
ただ基本的に「派遣は辞めるもの」という認識が派遣先にも派遣会社にもありますので、悪いことをしているわけではありませんし、契約にのっとっているので堂々としていればOKです。
もし派遣先の上司などからあれこれ言われるのが心配なら、退職理由を「正社員の採用が決まった」など、会社や仕事内容に対する不満以外ものにしておくと無難でしょう。
引き止められることがある
口コミなどでもよく目にしますが、更新しないと伝えた途端、派遣会社に引き止められるという人もいます。
中にはしつこいくらいに引き止めてくる営業担当者がいて、その態度に引いてしまうという人もいるのです。
例えば「更新しない」と電話で言ったら、営業担当者がすぐに派遣先に訪問に来て「勿体ないですよ。派遣先からの評価も良いですし、自信を持ってまだ頑張りましょう。」と説得されることもあります。
中にはそのタイミングで「時給を上げてくれるなら…」と言って時給交渉する派遣社員もいるようです。しかしながら時給アップは厳しいところがあり、アップするなら更新はやめると言われたり、アップは難しいと言われることもしばしばです。
なので、時給アップの交渉は更新をやめる切り札として使っても良さそうです。もし上がった場合はそのときに考えてみると良いでしょう。
毎回初回で更新しないのはブラックリスト入りする可能性も
初回で更新しないのもありだからと言って、それをいいことに何度も初回の更新をしないことを繰り返すと、「この人は続かない」と思われて長期の仕事は一切紹介してもらえなくなりますし、信用が低下してブラックリスト入りすることも考えられます。
最初から続かない気がするのなら、単発の仕事をするなどして慎重に仕事選びをしましょう。
引継ぎを怠らない
更新しないと決めたのであれば、退職日までに引継ぎを怠らないことが大事です。
今の自分の進捗状況や進め方などをメモに残すなどして、後任の人が何をすれば良いのか、第三者から見て分かるように整理しておきましょう。
退職するからと言って急に雑に業務をこなしたり、仕事の手を抜くのはNGです。契約期間満了までの間も、しっかりと業務に集中しましょう。
契約更新しない場合の失業手当について
契約更新しない場合、失業手当はすぐに貰えるのでしょうか。
契約満了してから次の仕事に就くまで、空白期間がない場合は失業手当は貰えませんが、空白期間が発生するのであれば、人によっては失業手当が貰えます。
まずは失業手当を貰える条件を確認しましょう。
雇用保険の基本手当の受給資格は、原則として、離職前2年間に被保険者期間が12か月以上必要となります。
ただし、倒産・解雇等の理由により離職した場合、期間の定めのある労働契約が更新されなかったことその他やむを得ない理由により離職した場合は、離職前1年間に被保険者期間が通算して6か月以上必要です。(参考:厚生労働省「基本手当、再就職手当」)
つまり、派遣社員が契約更新しないことによる離職の場合、離職前の1年間に雇用保険の被保険者期間が6カ月以上あれば、失業手当が貰えるということです。
更新しない場合の離職理由は会社都合?自己都合?
契約更新しない場合、離職理由は何になるのでしょうか。
実は契約期間満了でも、「会社都合」になる場合と「自己都合」になる場合があります。
会社都合となるケースは、派遣社員が契約更新を希望したにも関わらず派遣先の合意が得られずに契約終了となった場合です。
その他の理由の場合は、基本的に自己都合退職になります。
特に派遣では、以下のような場合「自己都合退職」の離職になります。
・契約期間満了前に次の派遣就業先を指示されながら、派遣労働者がその派遣就業を拒否した場合
・契約期間満了までに次の派遣就業先を指示されず、同じ派遣会社からの就業を希望しない場合(参考:エン派遣「派遣社員が失業保険をもらうには?」)
上記のように、派遣の仕事を辞めると言ってから契約終了までの間に他の仕事を紹介されたけれども断った場合や、他の仕事を紹介してもらえず、今後同じ派遣会社を利用しない場合は自己都合退職になるのです。
実際にハローワークに詳細を問い合わせたことがありますが「最終的には派遣会社の判断になるので、ハローワークではどうすることもできません。」と言われました。
下の写真は、その後実際に私が派遣会社から受け取った離職票です。
この場合は離職コード「2D」と判断されていて、自己都合の労働契約期間満了による離職となりました。
契約更新しない場合は失業手当はいつから貰える?
契約更新しない場合、「会社都合」であっても「自己都合」であっても、7日間待機の後は、すぐに失業手当の受給手続きをしてもらえます。
失業保険を受け取るまでの流れは以下の通りです。(参考:エン派遣「派遣社員が失業保険をもらうには?」)
- 契約満了により退職
- 1ヶ月待機を経ても次の派遣先が決まらない場合、会社都合の離職となる
- 派遣会社から離職票を受け取る
- ハローワークで求職の申込み(退職理由の判定、受給資格の決定)
- 待機期間7日間
- 雇用保険受給説明会に出席
- 失業認定
- 受給
ハローワークに離職票を持っていき、この流れで失業手当を貰うことになります。
契約更新をしないのは悪いことではない、それが派遣の良さでもある
今回は派遣の契約更新について説明しました。
ここまでの記事をまとめてみましょう。
まとめ
- 派遣社員が同じ職場で働き続けるには、雇用契約書で定められた雇用契約期間を毎回更新する必要がある
- 契約途中での退職は原則不可である
- 派遣先から「契約終了」を言われる場合も、契約更新される場合も、多くの場合30日前までに連絡が来る
- 契約の自動更新は違法行為
- 更新しないというタイミングは、派遣会社から更新の有無を聞かれる面談時がベスト。面談がない場合は電話連絡後、メールをする
- 更新しない時の円満理由
次回も同じ派遣会社を利用して働きたい場合:自分のスキル不足・もっとスキルアップしたい・他の職種にチャレンジしたい
違う派遣会社を利用したい場合・派遣という働き方自体を辞める場合:体調不良・家庭の事情・正社員での採用が決まった
- 長期の仕事でも、初回の契約更新をしなくてOK
- 更新の意志を伝えた後に撤回できるかは派遣会社に相談を
- 更新しないと言った後は早めに仕事探しを
- 繁忙期に契約更新しないのもあり
- 退職理由を派遣会社や派遣先のせいにしない
- 気まずい思いをしたり引き止められることもある
- 毎回初回更新をしないとブラックリスト入りするかもしれない
- 更新しないと決めた後も最後まで引継ぎを怠らないこと
- 派遣先から契約終了と言われた場合の離職理由は会社都合、それ以外は自己都合退職になる
- 会社都合、自己都合に関わらず、契約満了の退職はすぐに失業手当が貰える
契約更新しないのは悪いことではありません。むしろ新たなステップアップのために必要なことでしょう。
自分の将来のためにキャリアチェンジをしたり、自分の適職を見つけるために沢山の経験ができるのは派遣の良さでもあるのです。
契約更新しないと言う時は勇気が要るかもしれませんが、派遣とはそういうもの。新しい挑戦が沢山できると前向きに捉えていきましょう。
転職エージェントを利用すれば派遣→正社員へのキャリアアップも可能
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