派遣で働く方には幅広い年代の方がいて、男女の性別では女性の方が多い印象があります。
派遣先の職種にもよりますが、大体は女性の派遣社員が多くを占めて、男性は数名いるかいないかというイメージです。
実際の派遣会社への登録者の男女比は派遣会社により異なり、男性が半数以上を占めているところもあります。
そこで、派遣社員として働く方のうち20代の男性にスポットを当てて、20代男性が派遣で働くメリットやデメリット、20代を派遣で過ごすことについて解説していきます。
国内の派遣社員で働く男性の割合を調査
2020年1月~3月の派遣社員数は男女合計で約143万人、役員を除く雇用者全体から見た派遣社員の割合は2.5%となっています。そのうち男性は約56万人、女性は約85万人です。
また、派遣労働者数を100%として見た場合の20代男性の割合は35%で、他の年代と比べても多くの男性が派遣社員として働いています。
20代男性のうち、20~24歳までの前半と、25~29歳までの後半に分けて見てみると20代前半は13.3%、後半は21.7%と20代後半の方が多いことがわかります。
派遣で働く男性約56万人の職種を見ていくと、製造関連が22万人(40.7%)と最も多く、次いで運搬・清掃・包装などの職種が12万人(22.2%)となっています。
同じ派遣社員であっても男性と女声で職種の割合が大きく異なることが特徴的です。
派遣で20代を過ごして問題ない? 20代男性が派遣社員で働くメリットとデメリット
20代の男性が働こうとするとき、正社員になることはもちろん、契約社員からバイトなどさまざまな働き方を選択できます。
働き方の選択は人それぞれの理由があるとしても、何らかの魅力を感じて派遣を選んでいることでしょう。
20代の男性が派遣社員として働くメリットにはどんなものがあるでしょうか。
デメリットと共に、男性が20代を派遣社員として過ごしても問題はないのか解説していきます。
20代男性が派遣で働くメリット
働く条件を設定可能、仕事探しのサポートを受けられる
20代の男性が派遣で働く良いところは、自分の仕事に対して条件を設定できるところです。条件が多くても少なくても条件を設定すれば、自分を担当する営業担当に仕事探しをサポートしてもらえます。
時給を高く設定したり、週休2日を指定することができるため、ライフスタイルに合わせた働き方が可能となると同時にやりたい仕事のみを選ぶことも可能となります。
派遣は、直接雇用の社員と違い仕事内容が契約で決められているので、契約以外の業務をすることが基本的にはないこともメリットだと言えるでしょう。
労働時間が夕方17時までの場合、よほどのことがなければ毎日定時退社することもできます。
さまざまな職種や職場で未経験から経験を積める
これまで体験したことがない職種でも、未経験者OKの求人からチャレンジできます。
さまざまな職種や職場を経験することで、自分自身のスキルアップができることもメリットの1つでしょう。
また、正社員として入社するのは難しい大手企業へも、派遣社員として働ことができるなど、単独ではなかなか体験できないような職場で働ける魅力があります。
残業少なめかほぼない
派遣の仕事は、派遣期間をはじめ1日の労働時間など細かい部分まで決めて契約します。
そのため、基本的には残業をすることがありません。
もしも、残業が発生した場合でも雇用契約に則った規定の賃金が支払われます。
ほぼ毎日を定時退社できるので、プライベートタイムを充実させることができます。
また、家事や介護・育児などとの両立をしたい方にも働きやすいでしょう。
パート・アルバイトよりも時給が高い
派遣は、パートやアルバイトよりも時給が高めに設定されていることが一般的です。
仮に、残業なしの定時退社で1ヶ月働いたとしても、周辺のパートやアルバイトで同じ時間を働いた場合よりも多く収入を得ることができます。
20代になってすぐに派遣で働きだした場合、雇用契約によっては正社員や契約社員よりも稼げる可能性があり、20代のうちにお金を貯めたい方や、目標を持ってお金を稼ぎたい方にも向いている働き方です。
20代男性が派遣で働くデメリット
定期的な昇給や昇進はあまり期待できない
ほとんどの派遣の仕事は時給制で、正社員のように年に1~2回など定期での昇給はあまり期待できません。
派遣社員のうち昇給した方がいないわけではないものの、およそ全体の3割程度と少なく、派遣社員は事実上昇進することがありません。
これは、派遣社員が派遣会社と雇用契約を結んでいるためで、派遣会社側で時給を上げない限りは昇給できないためです。
派遣先の企業の立場で考えると、あくまでも派遣会社が提供するサービスを一定期間購入している状態のため、派遣社員は自社の社員ではない扱いです。
したがって、派遣先の企業が派遣社員を昇進させるようなことはありません。
契約を更新されず仕事が安定しない可能性
派遣は有期雇用となるため、一定期間ごとに契約を更新するか、別の派遣先を探して働くのが一般的です。派遣先で契約を毎回更新してもらえれば良いですが、契約を更新されないケースも多々あります。
派遣契約は主に3ヶ月ないし6ヶ月ごとの期間が設けられているため、常に契約の更新のことが頭にあり不安材料になります。
こうしたことから、将来性がない、仕事が安定しない、結婚しにくくなるなど弊害も発生しやすいです。
派遣期間に上限がある
派遣として働くことは、同じ職場(部署)に最長3年までの上限があります。
派遣社員の自由を尊重する意味で制限が設けられているのですが、長期的に働きたい方にとってはデメリットといえます。
同じ職場には最長3年まで、平均的には6ヶ月程度~1年6ヶ月程度で職場が変わることが多いです。
スキルの差で給料に差がでる
職種により専門性が高いほど給与が高くなり、資格や経験が無くても良い誰でもできる仕事ほど給与が低くなります。
一般的に経験者は時給1,500円~、未経験者は1,000円~と、スタート時点での時給のみを比較しても500円ほどの差があります。
仮に1日8時間の勤務をする場合で比較すると、4,000円も日給の差が出る計算です。
自分自身で資格を取得すれば時給を上げることが可能ですが、経験がないうちはなかなか高時給は得られないこともデメリットといえるでしょう。
派遣で20代を過ごすことに問題はないのか
男性が20代から派遣で働くこと自体は、結論から言えば問題があるわけではありません。
さまざまな職場を体験してみたい、いろいろな仕事を経験してみたいといった希望や、家庭や個人の事情に合わせた働き方ができることなどメリットがあります。
しかし、将来的に安定した仕事や生活を望む場合は、なるべく早い段階で正社員を目指す方が良いでしょう。
派遣は自由度の高い働き方ができる反面、安定や継続といった面では常に不安がつきまといます。
仕事や給与の安定感で言えば正社員が最も望ましい働き方のため、今、派遣で働いている20代の男性なら、後々正社員として働ける紹介予定派遣の利用を検討してみると良いでしょう。
派遣社員と正社員の待遇の違いについて
派遣社員と正社員は、直接雇用の関係があるかどうかで大きく違いがありますが、加えて年収や福利厚生といった待遇面も比較して見ていきましょう。
まず、正社員はその企業から直接雇用されている社員であり、派遣社員は派遣会社と雇用契約を締結しています。
派遣先企業から見れば派遣社員は自社の社員ではなく、派遣会社のサービスとして業務を行ってもらう人材です。
正社員は勤める企業の福利厚生、派遣社員は雇用契約を結んでいる派遣会社の福利厚生に準ずるため、業務中は同じフロアで働いている場合でも利用できる福利厚生の内容は異なります。
また、dodaの調査年収では20代男性の正社員の平均年収が369万円であるのに対し、厚生労働省の調査では派遣社員の平均年収は約393万円と派遣社員の方が若干高くなっています。(1日8時間あたり14,888円×22日×12ヶ月=3,930,432円)
20代の時は正社員であっても新卒や第二新卒など年収があまり高くない層が多いので、平均年収は他の年代と比べても低めに出ます。
対して、派遣社員の場合は時給計算で給料が支払われますが、学生の時のアルバイトの時給と比べてもはるかに高い金額が提示されることが多いため、結果的に20代は派遣社員の方が年収が高くなることも珍しくありません。
派遣で働く20代男性がそのまま30代も派遣で働き続けることについて
派遣で働く20代男性が、そのままずっと派遣社員を続けることは可能ですし、30代になっても派遣会社に登録して、働き続けることはできます。
しかし、派遣社員は数ヶ月程度の有期雇用のため、いつ契約が終了してもおかしくない立場です。そのため、いつ契約が終了するかわからない不安が常に付きまとうことが予想できます。
うまく契約更新されれば良いですが、派遣社員の勤務態度や職場との相性、派遣先の業績悪化など予期せぬ契約終了もあり、自分が思う通りにコントロールすることは難しいでしょう。
また、1ヶ所の職場(部署)に3年以上働き続けることができないので、正社員に比べて頻繁に勤める会社が変わることとなります。
場合によっては3ヶ月や6ヶ月程度で別の派遣先になることもあり、派遣社員として働いていることを知らない方からは、落ち着いて働けない人・何度も転職している人などのように見られる可能性もあるでしょう。
20代の男性が派遣で働くなら、なるべく20代のうちにやりたい仕事を見つけることがおすすめです。
自由度の高い派遣という働き方を活かして自分のやりたい仕事を探し出し、その分野の経験やスキルを今のうちにしっかり身に着けるといった方向性がおすすめです。
20代のうちに多くの経験やスキルを身に付ければ、後々正社員となった場合も仕事に活かせるでしょう。
このまま30代以降も派遣で働き続けるとしても、派遣会社の直接雇用となる無期雇用派遣を希望するか、紹介予定派遣など後々は派遣先に直接雇用してもらうなど、安定した働き方を目指すことがおすすめです。
もしも、30代以降も派遣で働くことを希望するなら、派遣先が直接雇用をしたくなるような多くの経験や高度なスキルを今のうちから習得しておきましょう。
20代後半からは徐々に自分の方向性を固めていく
派遣は自分の都合に合わせて働くことができるため、派遣で働く目的がはっきりしている方におすすめの働き方です。
派遣で働く男性のうち20代はどの年代よりも多く、一般企業で働く20代の平均年収よりも若干高い年収を確保することができます。
また、ほぼ残業もなく、毎日定時退社することも可能なことが魅力です。
働く上では良い条件が揃っているように感じられますが、30代以降もずっと派遣で働くか正社員を目指すかは、20代のうちにしっかり考えることをおすすめします。
30代から徐々に正社員と派遣社員での待遇差が出てくるので、自分にとって働く上で大事なものは何かということをしっかり考えましょう。
正社員と派遣社員どちらもメリットやデメリット、人によっての向き不向きがあります。
「なんとなく派遣社員を続けている」という20代の方は20代後半から徐々に今後の自分の方向性を固めていくと後悔が少なくなるでしょう。