派遣の平均時給・平均月収と正社員との比較、正社員よりも安くなるのは何歳から?

派遣社員の基礎知識

派遣で働く時に気にする「時給」。

仕事選びの際に、時給を重視するか仕事内容を取るかで悩むことも多いのではないでしょうか。

ただ、仕事を探す際に意外と忘れがちなのが「平均時給」です。自分の選ぶ求人が平均時給より上か下かに注目すると、実は平均より低いものを選んでいることがあります。

様々なスキルを活かしたい人であれば、どの職種に就こうか迷うこともあると思いますが、派遣の時給は職種によっても、地域によっても違います。時給が変われば年収も変わりますから、できるだけ良い選択をしたいですよね。

本記事では、派遣社員の平均時給・平均月収に焦点を当てて職種別や地域別で比較し、さらに正社員の月収とも比べていきます。

自分の職種や地域の平均時給を見て、今の自分の給料と照らし合わせてみましょう。

派遣社員の平均時給・平均月収(全体・職種別・都道府県別)

派遣社員の平均時給はいくらくらいだと思いますか。

一般的に派遣社員の時給はアルバイトよりも比較的高いイメージはありますが、地域や職種によっても様々です。

早速、派遣社員の平均時給・平均月収に焦点を当てて、職種別や地域別で比較してみましょう。

派遣社員全体の平均時給・平均月収

厚生労働省が公表した平成29年度のデータによると、派遣社員の平均賃金は 14,888円 (時給にすると1,861円)となっています。

平成28年度は12,212円(時給1,526円)でしたので、7.6%増えたことになりますね。

(参考:厚生労働省「平成30年度の「労働者派遣事業報告書 集計結果」

1か月の勤務日数を21日として日給12,212円で計算してみると、派遣社員の平均月収は約25万円になりました。

しかし「本当にこんなに高いの」と疑う数字ではありますよね。

そのとおり、職種によっても時給に大分ばらつきがあり、あくまでもこの数字は全ての職種が混ざって出された平均賃金なのです。

では、時給によってどのくらい月収にばらつきが出るのか比べてみましょう。

時給 月収
1,000円 168,000円
1,100円 184,800円
1,200円 201,600円
1,300円 218,400円
1,400円 235,200円
1,500円 252,000円
1,600円 268,800円
1,700円 285,600円

上記のように、時給が100円変わるだけで月に16,800円違いますね。

時給1,000円と時給1,700円の月収差は約12万円にもなるという結果でした。

職種別平均時給・平均月収

全ての職種を混ぜた平均月収は約25万円という結果でしたが、職種によっても大分違います。

どれくらい違うのか、実際に以下の表を見てみましょう。

(参考:厚生労働省「労働者派遣事業報告書表8 派遣労働者の賃金)」)

時給 日給 月収
一般事務従事者 1,250円 10,006円 210,126円 
会計事務従事者
1,379円 11,033円 231,693円
 情報処理・
通信技術
2,169円 17,354円 364,434円 
介護サービス
職業従
事者
1,195円 9,563円 200,823円
保健師、助産師、
看護師
1,828円 14,631円 307,251円
医師、歯科医師、
獣医師、薬剤師
2,914円 23,319円 489,636円
製品製造・
加工処理
従事者
1,343円 10,750円 225,750円 

上記表を見ると、派遣で人気の事務系は平均で時給1,200円前後の求人が多いことが分かりますね。

それに比べて情報処理技術者などのIT系では、時給2,000円前後が平均となるため月収にすると約35万円にもなり、派遣の保健師や看護師よりも月収が高いということになります。

IT系は需要がありますから、今からスキルを習得して将来に繋げるのも良い選択になるでしょう。

また、派遣で最も高い職種は医師、薬剤師でした。時給約3千円も貰えるので一般事務の2倍以上の稼ぎということになります。

上記の中で最も低い平均時給だったのは介護サービス業でした。高齢化が進み、需要があるのにも関わらず低い時給で大変な仕事を担うのですから、離職率が高いというのも頷けますよね。

都道府県別平均時給・平均月収

次に、都道府県別の平均時給・平均月収を見てみましょう。

ただ、職種によって時給が大分違いますので、全業務を混ぜた平均賃金から計算したものになっています。

もしお住いの都道府県がない場合は、以下の厚生労働省のデータを参考にして下さいね。

(参考:厚生労働省「労働者派遣事業の平成29年6月1日現在の状況」

地域 全業務平均賃金
(1日8時間当たり)
時給 月収
北海道 9,843円 1,230円 206,703円
宮城県 10,604円 1,325円 222,684円
東京都 13,493円 1,686円 283,353円
大阪府 11,760円 1,470円 246,960円
愛知県 12,064円 1,508円 253,344円
広島県 11,825円 1,478円 248,325円
愛媛県 10,365円 1,295円 217,665円
福岡県 10,916円 1,364円 229,236円
沖縄県 9,546円 1,193円 200,466円

上記の表からは、当然ですが主要三大都市圏(東京都・大阪府・愛知(名古屋市)の時給が高いことが分かりますね。

また、北海道と沖縄のように、端の方に行けば行くほど賃金が安くなっていることも分かるでしょう。例えば北海道と東京を比べてみると、月収では8万前後の差がつきますね。

このように、全業務の平均でいうと派遣社員の場合、三大都市圏では平均月収が25万円前後、三大都市圏でなければ、だいたい20万円前後が平均月収といったところでしょう。

派遣社員と正社員の月収格差は年齢とともに大きくなる

ここまでは、同じ派遣の中で職種別や都道府県別に時給や月収を比較してきました。

次は、派遣社員と正社員との月収にどれほどの格差があるのかを比較してみましょう。

正社員の場合は昇給や昇格があるので、年齢とともに月収が増えるため、年齢も表に入れています。

一方、派遣社員の場合は昇給がほぼありませんので、時給別に比較していきます。

尚、正社員のデータは厚生労働省の「令和元年賃金構造基本統計調査」を参考にしています。

年齢 正社員 派遣社員
(時給1,200円)
派遣社員
(時給1,500円)
派遣社員
(時給1,700円)
~19歳 180,200円 211,200円 264,000円 299,200円
20~24 214,600円 211,200円 264,000円 299,200円
25~29 249,500円 211,200円 264,000円 299,200円
30~34 284,800円 211,200円 264,000円 299,200円
35~39 317,100円 211,200円 264,000円 299,200円
40~44 344,400円 211,200円 264,000円 299,200円
45~49 368,900円 211,200円 264,000円 299,200円
50~54 398,600円 211,200円 264,000円 299,200円
55~59 369,300円 211,200円 264,000円 299,200円
60~64 325,100円 211,200円 264,000円 299,200円
65~69 286,500円 211,200円 264,000円 299,200円
平均
月収
325,400円 211,200円 264,000円 299,200円

上記の表から見て取れるのは、20代後半くらいまでは派遣社員の方が月収が高いということです。

しかし、時給にもよりますが20代後半からは徐々に正社員に逆転されていき、30代後半になるとすでに年収は10万円もの差があることが分かりますね。

さらに、正社員にはこの月収の他にボーナスがありますので、ボーナスを含めると年収の差はかなりの開きが出るのは言うまでもないでしょう。

このように、年齢ごとの平均月収を比較してみると、将来が不安になる派遣社員が多いというのが納得できますよね。

派遣社員が時給アップするにはどうすればいいの?

派遣社員には昇給制度がほぼありませんが、全くゼロかと言うとそうとも限りません。

と言っても、正社員の昇給に比べると昇給額はかなり低く、10円単位の昇給ということも多いです。

しかし、全く昇給しないよりは、少しでも時給が上がった方が良いに決まっていますよね。

ではどうしたら時給アップできるのか考えてみましょう。

同じ職場で1年が経過したら派遣会社に交渉してみる

基本的に昇給はないものと思っていたほうが良いですが、1年が経過したら派遣会社に交渉してみるのもありかもしれません。

ただ、交渉する時に気をつけるのは「時給を上げて下さい」とストレートに言うのを避けることが必要です。

例えば「入社当初の業務は○○だけでしたが、今では○○や○○など、多くの業務ができるようになりました」、「スキルアップに取り組んだので、今では○○を任されています」というように、自分の仕事の幅が広がったことや、スキルアップの努力をした成果をアピールする方が効果的でしょう。

ただ、時給は上がっても10円~30円であるといったことがほとんどなので、あまり期待するのも良くありません。

スキルアップに取り組む

時給を交渉する際にはどれだけ自分をアピールするかが大事なので、そのためには普段からスキルアップに取り組むしかありません。

派遣会社で設けられているスキルアップ制度を活用したり、今の業務に関連する資格試験の勉強をするなどすれば実績に繋がりますから、その実績をアピールできるように普段から努力をしましょう。

派遣先の人とコミュニケーションを図り人間関係を良好にする

派遣会社の担当者は、定期的に派遣社員の働きぶりを派遣先から聞いています。

そのため派遣先での人間関係を良好にしておけば、派遣会社の人に悪いことを言われる心配は少ないでしょう。

もし派遣先の上司から「○○さんは頑張ってくれています」と言ってもらえた場合、時給アップの交渉をした時にも受け入れてもらいやすいかもしれませんね。

思い切って派遣先を変える

今の派遣先にいても時給が低いままという人は、今より時給の高い派遣先に変えることで月収が上がります。

また、今まで同じ職種で働いてきたという場合は、働きながら違う職種のスキルを身に付けて、今よりも時給の高い職種に転職すれば月収が大分変わることも期待できるでしょう。

時給を下げられることはある?

時給の交渉などをして時給が下げられるということは基本的には起こりにくいです。

その理由としては時給を下げるということで関係性が悪化し、仕事への支障が出てしまうからです。

しかし、経営状況によっては「今までの時給を支払うことはできない。」という訴えを言われるケースも0ではありません。

もしそのようなことを言われた場合は「たとえ時給が下がっても居続けるメリットがある職場なのか」ということを基準にしてドライに判断してしまうのもいいでしょう。

もし、下がってしまう時給では生活が厳しくなるかもしれないのであれば違う派遣先への転職を視野に入れて動き始めるのがおすすめです。

正社員に転職する

時給をアップする方法として正社員に転職するのもおすすめです。

正社員は派遣社員やアルバイトよりも時給が高く設定されている場合がほとんどなので正社員になることで時給アップする可能性が非常に高いです。

また正社員の場合、時給が上がるだけでなく、ボーナスが支給されたり、福利厚生や交通費などの待遇面が派遣社員よりも充実することがほとんどなので年収のアップも期待できるでしょう。

ただ、正社員は休みがとりづらい、転職の可能性もあるなどの人によってはデメリットに感じる面もあるので、それぞれのメリット・デメリットを確認したうえで決めることをお勧めします。

派遣社員の給料に関するQ&A

ここからは、よく出てくる疑問について説明します。

今回は、派遣として働く時に気になる、派遣会社の「マージン」のこと、そして「結局のところ派遣社員の手取りはいくらなのか」について見ていきましょう。

派遣会社のマージン率って何?

派遣会社の「マージン率」とは、派遣会社が派遣先からもらう「派遣料金」から、派遣社員に払う賃金の差額の割合のことを指します。

厚生労働省が公表したデータによると、平成29年度の全業務の平均派遣料金は18,108円でした。また、派遣の平均賃金は日給12,212円です。この金額に近い数字でマージン率を計算してみましょう。

例えば、派遣先が派遣会社にAさんという派遣社員を送り、Aさんの「派遣料金」として、派遣先から1日に18,000円貰っているとします。Aさんの日給が12,000円だった場合、その差額は6,000円ですね。この6,000円の差額を割合にすると30%になります。

つまり派遣会社の平均マージン率は30%であると言えるのです

ただし、これが全部派遣会社にいくわけではありません。

その中には、社会保険料、福利厚生費、教育研修費、派遣元経費、営業利益が含まれています。

派遣社員の月給の手取りはいくらになるの?

手取りは時給によって変わりますが、給料の75%~80%であることがほとんどです。

ただ、独身か扶養家族がいるかによっても変わります。

例えば独身者で、給料の約80%が手取り額の場合を見てましょう。

月給 月給20万円 月給30万円 月給40万円
手取り 16万円 24万円 32万円

上記のように給料が高くなればなるほど、手取りが少なくなっていますね。

平均時給が下がることはある?

実際に下がることは少ないですが、派遣法改正の影響で実質的な時給が下がる可能性もあるようです。

2020年4月1日より派遣法が改正されるので、それに伴って派遣社員として働く人の待遇が変わる可能性が高いです。

具体的には今回の法改正で「同一労働同一賃金」が目指されたので、同じ仕事をしていれば雇用形態にかかわらず賃金などの待遇面が同じになります。

そのため、正社員と同じ内容をしている場合は、派遣社員でも賃金だけでなく、交通費や各種手当などがもらえるようになるので手取り額の増加が期待できるようになりました。

※同一労働同一賃金では、正社員と派遣社員の仕事の内容に明確な違いがあり、その合理的な理由が説明できれば、待遇差があっても問題はないとされるので、今回の法改正の後も待遇は変わらない場合もあります。

このように、派遣法改正の影響で実質的な時給の上がり下がりの可能性もあるようです。

転職をするなら派遣社員と正社員どちらが良い?

20代前半であれば派遣社員と正社員金の銭的な差はあまりありませんが、年齢を重ねるにつれて差が広がっていきます。

 

派遣社員の方が合っている人

派遣社員の方が合っている人は下記の点に当てはまる人です。

  • 責任やプレッシャーは背負いたくない
  • 残業はなるべくしたくない
  • 年齢が20代前半
  • 今の給料である程度満足している

正社員は派遣社員よりも責任やプレッシャー、残業時間が多くなる可能性があります。

そのような仕事環境で働くのがあまり好きでないという人は、仮に正社員に転職してもすぐに辞めたく鳴ってしまう可能性もあります。

自分の働きやすい環境で働くというのも大事なことなので、プレッシャーの少ないポジションで働きたいという方は派遣社員が向いているでしょう。

また、現在の年齢が20代前半なのであれば正社員と派遣社員の給与面でそこまで差がないので、派遣社員のままという選択肢も悪くはありません。

正社員へ転職をした方が良い人

正社員に転職をした方が良い方は下記の点に当てはまる方です。

  • 30歳前後~40代
  • キャリアを積みたい
  • 福利厚生を今よりも手厚く受けたい
  • 安定した給料を得たい

先程20代前半なら派遣社員と正社員の年収にそこまで差はないと紹介させていただきましたが 、30歳前後から次第に年収に差が出てきます。

そのため、転職のしやすい年齢ということも考慮すると、30歳前後というタイミングは派遣社員から正社員に転職をするには決断のタイミングとも言えます。

正社員になることで責任やプレッシャーは増えますが、管理職や役職者になることでキャリアを積むことができ、福利厚生も手厚くなることが多いので、デメリットを十分カバーするメリットはあります。

また、派遣社員は時給で給与が計算されますが、正社員は年俸や月給という形で決められるため、祝日が多い月や出勤ができない日が続いてしまったとしても収入が変動しないため安定しています。

最短で月収を大きく上げるためには転職をした方が早い

ここまで派遣社員の平均時給や月収について説明しました。

特に、正社員との比較では現実を突きつけられたという方もいるのではないでしょうか。

派遣社員が時給を上げるための方法は説明しましたが、結局時給が10円単位で昇給してところで、月収を大きく変えることは難しいのが現実です。

今の働き方が合っていれば話は別ですが、早く月収を上げたい人は今より良い条件の仕事に転職するのが一番でしょう。

今と同じ職種でも時給が変われば月収を変えられますし、職種を変えることで大きく月収を上げることもできます。

同じ派遣でも「紹介予定派遣」であれば、派遣先での直接雇用が前提で働けますので今より月収が良くなることが期待できますし、最初は派遣社員として働くことができるのでその会社が自分に合っているかを見ることも可能です。

また、正社員に思い切って転職するという方法もおすすめです。

正社員であれば、自由度が派遣社員と比較して減る可能性はありますが、時給だけでなく福利厚生の充実も期待できるので「待遇を良くしたい」という方に特におすすめの方法といえます。

自分の将来をしっかりと考えて、今の生活が経済的に厳しいと感じたら早めの転職をおすすめします。