派遣社員として働いて、しんどいと感じる人は多いでしょう。
理由は様々で、経済的なものから体力的なしんどさ、メンタル面でのしんどさがあります。
もし派遣社員をしていてしんどいと感じた時は、一度改善策を試してみましょう。その上で今後どうするのかを決めていくのが一番です。
本記事では、派遣がしんどいと感じる理由やそう思いやすい仕事、その対策などについて説明し、今後どうすれば良いのかを考えていきます。
※1 2020年5月
派遣は実はしんどい
派遣がしんどいとしても、まずは派遣というのがどのようなものなのかを把握するのが良いでしょう。
派遣社員の雇用形態・特徴を正社員のものと交えながら解説します。
派遣社員の雇用形態
派遣会社と雇用契約を結び、派遣会社の派遣社員として派遣先企業で勤務する勤務形態が派遣社員の雇用形態になります。
企業と自分が一直線に結ばれる正社員のスタイルではなく、間に派遣会社を挟むのが派遣社員だということです。
雇用期間
正社員は雇用期間の定めはありませんが、派遣社員は必ず雇用期間に定めがあります。
そのため、正社員は同じ職場でずっと働きますが、派遣社員はさまざまな派遣先で働くものになっています。
給料体系
正社員は月給制ですが派遣社員は時給制になります。
職場の営業日数が減っても正社員は給与が一定していることがありますが、派遣社員は派遣先の営業日数が給与に大きく響きます。
その他
正社員は昇給や賞与があり、退職金もありますが、派遣社員にはそのどれもありません。
また、正社員と違って派遣社員はいくつもの企業で働くことになるので、派遣先の企業によって仕事内容から働きやすさまで大きく様変わりすることがあります。
そして、正社員は雇用も給与も安定していますが、派遣社員は雇用・給与の両方の面で不安が生まれやすくなっています。
以上のように派遣社員というのは正社員と比べてもさまざまな違いがあります。
それでは派遣社員が具体的に「しんどい」と感じる理由はどのようなものがあるのでしょうか?
派遣がしんどい理由
派遣の仕事がしんどいと感じる理由は人それぞれですが、特にしんどいと感じる主な理由を大きく2つに分けて挙げていきましょう。
派遣先企業に原因があるもの:
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派遣という雇用形態から来る将来への不安:
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まずは上記の項目について以下で詳しく説明します。
派遣先企業に原因があるもの
仕事がしんどくてたまらないのは派遣先企業に原因があるという場合、どのような原因が考えられるかを解説します。
仕事内容が合わない
派遣の場合は今まで経験してきた仕事以外でも、自分が挑戦したいと思った仕事に挑戦することができますので、やってみてしんどいと感じるケースも多いです。
自分に合うか合わないか分からずに入社して合わなかった場合、初日の時点でしんどいと感じる人もいますが、契約終了までは働かなくてはいけません。
また、契約内容にない業務を頼まれて「こんなことやらされるなんておかしい」と思いながらも、入社してすぐだと派遣会社にも言いづらいものです。
仕事量が多い
仕事内容は聞いていたとおりだけど、仕事量が想像以上に多いというケースもあります。
どれだけやっても終わりが見えず、むしろ仕事をこなすほどにさらに追加されていくとしんどいものです。
また、派遣だからといってあれもこれもと沢山仕事を頼まれると、優先順位もわからずパニックになってしまいます。
「派遣はもっと楽だと思っていた」と思っている人ほどしんどいでしょう。
職場の人間関係が悪い
上司や同僚など、自分に関わる人と相性が合わないのはつらいところ。
また、自分には直接関係がなくても職場の上司や先輩同士の人間関係が悪いのもまたしんどいです。
ある上司からの指示を受けて仕事をしても、違う上司がそれを気に食わずにまた違う指示をされた場合、どうすれば良いかわからず板挟みになってしまいます。
職場の風通しが悪いと周囲も自分もつらいでしょう。
残業が多すぎる
残業が多少はあると聞いていた、もしくは契約上では○時間となっていたのに、実際の残業時間が多すぎる場合は体力的にしんどい。
もともとがっつり稼ごうという気持ちで、あえて残業時間が多い会社を選んだのなら話は別ですが、予想外の残業時間だとプライベートも削られて本当にしんどいです。
派遣社員への扱いがひどい
派遣先の会社の人が派遣社員に対して扱いがひどく、しんどいという人もいます。
私の友人で、派遣先の風潮で派遣社員を見下す会社に当たってしまい、何かにつけて「これだから派遣は」などと言われるようで本当に辛そうでした。
暇過ぎてつらい
派遣先の会社に仕事がなく、暇過ぎてしんどいという人もいるでしょう。
暇であることは楽だと感じる人もいますが、実際は本当にしんどいのです。
仕事がないなら派遣を雇わないでほしいという声もありますが、繁忙期前に雇われた場合や、予算が余っているために派遣を雇ったという会社も多いため、中々無くならないのが現実でしょう。
正社員の飲み会に参加しないといけない
意外と多いのが、正社員の飲み会に派遣社員も強制参加させられるというケースです。
年収が高い正社員にとっては、1回の飲み会での出費など何の問題もないかもしれませんが、年収が低い派遣にとっては1回の出費が大きな痛手となります。
しかも、生活水準が高い正社員の選ぶお店は派遣社員にとって高いところが多く、それが年に数回となると経済的にしんどいです。
責任が重い
派遣社員であっても任されている責任が重いというケースもあります。
正社員と同じくらい責任の重い仕事や時には正社員の仕事を押し付けられてしまうというケースもあります。
このようにたとえ業務量は少なかったとしても正社員がやるべき仕事を派遣社員が任されている場合場合、派遣社員のプレッシャーは大きくなるのでしんどいといえます。
派遣という雇用形態から来る将来への不安
しんどいというのは仕事内容だけではなく、派遣社員という立場そのものから来るストレスや不安が理由というのもありえます。
年収が低い
派遣はいつまで経ってもボーナスがなく、正社員に比べると一向に年収が低いままなのでそのうちにしんどくなってきます。
同じ年の仲間と集まった時に年収の話が具体的に出るわけではないにしても、話の様子から生活水準というのは何となく分かります。
ボーナスがない、年収が低いというのは生活に影響がありますし、自分に対する嫌悪感も生まれてくるので非常にしんどいです。
将来に対する不安
派遣は最長でも3年しか同じ職場に居られず、また次の職を探さなくてはいけません。
また、職を転々としているうちに年齢も高くなり、そのうち転職すら厳しくなるのも目に見えていますし、今回で契約更新してもらえないかもしれないという不安も常にあるのでしんどいです。
今の会社に直接雇用されたら良いのに、その望みが叶う人はまれで、将来を考えれば考える程しんどくなる人も多いでしょう。
【原因別】派遣がしんどいと思った時の対策
派遣社員が厳しいと思うのは大きく分けて2つの理由があります。
そこでそれぞれの理由に合わせた対策をたてましょう。
派遣先企業に原因があるもの
まずは派遣先企業にしんどい原因がある場合の対策です。
派遣先を変える
この仕事自体がしんどいというようであれば、契約更新のタイミングで「更新しません」と派遣会社に言って、新しい派遣先を紹介してもらうのが一番です。
更新しないというタイミングとしては契約期間満了の1か月程前に、派遣会社が派遣先を訪問してきた時がベストですが、中々こないという場合もあるかもしれないので、早めに連絡する方が良いかもしれません。
そして契約終了とともに新しい派遣先に入社できるように、前もって新しい職場を探してもらいましょう。
派遣先を辞める
契約期間途中での途中退社は原則として認められませんが、心身ともに支障が出ている程しんどいようであれば無理は禁物です。
派遣会社にすぐ連絡をして、何とか派遣先を辞めさせてもらいましょう。
ただし、急な無断欠勤やバックレはしてはいけません。
もしくは自分が対処しきれていなかったケースということも
他の派遣社員と同じ仕事量なのに自分だけが終わらないという場合は、派遣先ではなく自分に問題があると考えることもできます。
改めて自分の業務がスムーズにいく方法を考え直してみる
例えば「どうすればスムーズにお客様を誘導できるのか」自分の営業トークを見直したり、「どうすればスムーズに入浴介助ができるのか」など、改めて自分の業務がスムーズにいく方法がないかを見直してみるのも一つの方法です。
スムーズに業務を進めることができれば、今まではしんどかったことが少しは楽に仕事に取り掛かることができるかもしれません。
作業の一つ一つに小さな目標を立てて取り組んでみる
今までこなしていた作業に、小さな目標を立てて取り組んでみるのも一つの方法です。
しんどいと感じた場合、労働時間はいつもより長く感じるでしょうから、少しでも時間が経つのが早いと感じるように、細かな目標時間を決めて仕事に取り組みます。
一つクリアしたらまた次の目標時間に向かって取り組む、という繰り返しをすれば、時間が経つのがいつもより早く感じるかもしれません。
派遣という雇用形態から来る将来への不安
派遣社員ということそのものから来る不安がしんどい原因でも対策はきちんと立てられます。
改めて自分に合った雇用形態を見直してみる
経済的な理由で派遣がしんどいようであれば、もはや派遣という雇用形態がすでに将来のライフプランに沿っていないのかもしれません。
もし不安要素が年収が低いなど「派遣社員である以上は切っても切り離せない」ものであれば、派遣社員自体が合っていないということになりますので、雇用形態を変えて仕事を探すしかないでしょう。
今一度、何故派遣社員を選んでいるのかを考えてみると良いでしょう。
正社員になる
派遣社員がしんどいと感じている人の中には「仕事量と給料、保証関係で見合っていない」と感じている方も多いのではないでしょうか。
もし今の業務内容や量が正社員と同じくらいならいっそのこと正社員への転職をするというのも一つの方法です。
派遣から正社員になるメリット
雇用が安定する
派遣の収入・雇用の不安定さのデメリットがなくなり、安定した職に就くことができる。
給与や福利厚生などの待遇面が良くなる
派遣に比べて正社員になると給料だけでなくボーナスや福利厚生などの待遇面が良くなる可能性が高い
裁量権の大きい仕事ができる
任される仕事も派遣の仕事に比べて幅広く、責任のある内容になるので、やりがいを感じやすいというメリットがあります。
派遣から正社員になるデメリット
自由な時間が減る
派遣の魅力の一つであった、自分の好きな時間・期間に働くことが基本週5勤務でフルタイム制の正社員になるとしにくくなる。
仕事の責任が重くなる
人によってメリットかデメリットか分かれるところですが、派遣の仕事よりも責任感やプレッシャーと向き合わなくてはならないことが多く、仕事が負担となる可能性もあります。
派遣はしんどいと思いやすい仕事は?
「しんどい」と感じる派遣の仕事には2種類があります。
1つはメンタル的なしんどさ 、もう1つは体力的なしんどさになります。
次に、派遣はしんどいと思いやすい仕事を挙げてみましょう。
- 営業
- 工場
- 事務
- 介護
- 引っ越し
- コールセンター
もちろん同じ仕事でも派遣先の会社によって様々です。
しかし、上記に挙げた仕事に就いている派遣社員の多くはしんどいと感じているようです。
しんどい理由に分けて、それぞれの仕事を一つずつ見ていきましょう。
メンタル的なしんどさ
営業
自社のサービスや製品を外部に売る仕事が営業になります。
特徴はノルマがあることがほとんどという点にあり、営業は常に結果が全ての実力主義です。
数字に追われる分やはりしんどいと感じやすいものです。
特に派遣の場合、数字を出さないと契約を更新してもらえない可能性もあります。
中には業績に応じてインセンティブが支給される会社もありますが、インセンティブがない会社だとどれだけ頑張っても給料が一定のため、やる気もなくなってしまいますね。
工場
箱詰め作業・荷物運び・加工・組み立てなどの仕事内容が多いのが工場の業務内容になります。
単純作業が多く、ずっと同じ作業をしていなくてはならないことがほとんどというのが特徴です。
一定時間作業したら数分間の休憩時間が設けられていることもありますが、流れ作業のため自分の都合でトイレに行くことができなかったり、ずっと作業しているので姿勢の面でもしんどいです。
また、時給が高い作業は早朝6時台や深夜0時以降などと勤務時間が極端なことが多く、誰とも何も話さず何時間も物と向き合うだけなので、コミュニケーションを一切取れないのがしんどいという人もいます。
事務
一般事務の場合はデータ入力やファイリングをして、書類作成・整理、電話・来客応対などもするのが事務の仕事です。
未経験からでもチャレンジできる仕事が多いく、同じ作業の繰り返しになるのが特徴と言えます。
派遣の事務作業は、同じ作業の繰り返しで「飽きてしまう」というしんどさも多いでしょう。人数がいればいるほど「私が抜けてもいいのではないか」と思ってしまいますし、時には暇過ぎて辛いといったこともあります。
逆に派遣の人数が少ない事務作業であれば、自分の代わりになる人がいないと急な休みを取ることが厳しいですし、繁忙期では少ない人数で裁かなくてはいけないため残業が発生しやすくなり、しんどいと感じる人も多いです。
コールセンター
アウトバウンドの場合は顧客、見込み客に電話をかけるという業務内容で、インバウンドの場合は顧客からかかってきた電話を受ける業務内容なのがコールセンターです。
営業のようにノルマがあるケースがありますが、営業と違って髪型や服装が自由でOKなことが多いのが特徴です。
電話口のお客様と話す仕事のため、電話をかけた瞬間に嫌がられたり、クレームを受けることが多いです。
また、お客様を勧誘しなくてはいけない営業電話の場合は、自分の数字や周りの数字が目に見えて分かるので、数字がついてこないとメンタル的に追い込まれていき、しんどくなります。
私の友人はコールセンターの派遣社員をしていましたが、メンタル的にしんどくなり最初の契約更新の時点で更新せずに終了していました。
体力的なしんどさ
介護
利用者の世話全般から事務業務まで行うのが介護の仕事内容になります。
直接雇用である正社員と仕事内容は一切変わらないということが多いのが介護の派遣社員の特徴です。
会社にもよりますが、派遣社員の場合は夜勤業務がないところであれば、入所者の排泄介助や入浴介助をすることが多く、夜勤がある正社員の代わりに昼間に重たい仕事をさせられたりします。
また、離職率が高く人手不足になるために派遣社員がやるべき仕事が増え、慣れていない人だと足腰を傷めることも多く体力的にもしんどいです。
引っ越し
荷物の梱包と運び出しや、トラックに積み込んでの運搬・荷下ろしをするのが引っ越しの業務内容になります。
体力の消耗が激しく、職場環境が悪いことが多いのが特徴です。
力仕事が体力的にしんどいのは想像がつきますが、一番しんどいのは引っ越し会社の職場環境の悪さでしょう。
この業界には多いと聞きますが、派遣だろうとアルバイトだろうととにかく怒鳴られながら働くといったことが多く、メンタル的にしんどいという人が沢山います。
自分に合う派遣先企業の選び方
派遣先の職場がしんどいとなると、次はどうにかして合う職場を探すようにしましょう。
自分に合う派遣先の企業を選ぶには、まずは自分が企業に求める要素がこにあるのかを分析する必要があります。
給料・人間関係・仕事の内容・労働時間とさまざまな要素が企業にはあります。
人によっては仕事の内容が誰でもできるものの方が望ましいですし、労働時間もどれくらいが理想かは人によるでしょう。
そういった人によって違う理想像もしっかり形にしておくのが大切です。
派遣先に求める要素を明確にしたら、次はそれらの要素に優先順位をつけて求人情報をチェックします。
その中から一番自分に合っているものを選ぶというのが、自分に合った派遣先で働けるようになるコツと言えます。
特に気を付けてみると良いポイント
- 業界
- 職種
- 業務内容
- スキル・経験
- 勤務条件(勤務日数・勤務時間・派遣期間・勤務地・時給)
- 職場の雰囲気
- 福利厚生など
しんどい理由が何かによって、改善策も今後の動きも変わる
これまで派遣のしんどさについて話してきましたが、しんどい理由も人それぞれで、その理由によっては改善策も様々だということが分かりました。
もし経済的な理由からのしんどさであれば、派遣社員という働き方自体が合っていないので思い切って転職するしかありません。
しかし、派遣社員自体を辞めれば良いのか、派遣先の会社を変えれば良いのか分からないという場合は、まずは仕事に対する取り組み方を変えてみて、改善できないかやってみましょう。
自分の将来に繋がっている今ですから、派遣会社にも派遣先にも合わせることなく、自分で決めた最善の道を進んでいきたいものです。
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