「労働者派遣法」が1986年に施行され30年以上経ちます。
日本はこの間にバブル崩壊、リーマンショックを経て、正規雇用の数が減り結果として非正規の数が増えました。
その中には派遣社員として働き40代を迎えた人たちも大勢いて、将来に不安を抱いています。
今回は派遣社員の40代が不安になる理由からその対策までを考えていくので、現在40代で派遣社員をしている方はもちろんこれから40代になる方も、ぜひ参考にしてください。
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派遣社員の年齢別内訳について
総務省統計局が2019年に行った「労働力調査」によると派遣社員は138万人となっており、そのなかでも35~54歳は67万人です。
この人数の中で女性が約46万人、男性が約22万人。中でも40代は人生の折り返し地点と言われており、老後のことを真剣に考え始める時期でもあります。
また、男性は徐々に派遣社員の人数が減っているのに対して、女性は逆に派遣社員の人数が増えていきます。
これは一度仕事から離れた後に正社員として復帰しにくい状況も要因として考えられます。
40代の派遣社員が将来を不安に感じてしまう理由
派遣社員として現在は収入が安定していたとしても20代や30代の時よりも不安を感じてしまう方はいます。
その理由について紹介します。
不安の理由1:仕事の紹介が少なくなる
実感されている方もいらっしゃるかも知れませんが、年齢が上がるにつれ紹介される仕事の量が減ってきます。その主な原因は2つあります。
仕事が減る原因1:年齢を重視する派遣先企業が多い
求人サイトやハローワークの求人情報を見ると、40代未満を対象としているところが多いです。
全ての企業が若手を求めているわけではありませんし、専門性が高い仕事は年齢を気にせずにスキル重視で派遣社員を決める傾向があります。
しかし、全体的な傾向としては年齢を重視して採用に進む企業が多いため、40代になると20代・30代の時よりも求人の選択肢が少なくなってしまいます。
仕事が減る原因2:他の派遣会社と競合している案件の場合、より若い方に案件を紹介することが多い
派遣先企業に人材を紹介しても雇ってもらえなければ派遣会社の利益になりません。
そのためにより雇って貰いやすい若い年齢のスタッフを紹介することがあります。
仕事の紹介が少なくなる理由は派遣先が専門的なスキルを求めない企業が多いのと、派遣会社が他社と競合した場合、採用されやすい若い人材を紹介することがあるからです。
不安の理由2:将来に貯金を備えられるか不安
2019年に金融庁が発表した報告書には夫婦が95歳まで生きた場合、約2,000万円の貯蓄が必要という内容が記載されており大きな問題となりました。
この金額の信憑性はともかく、年金だけでの生活は難しく老後の蓄えが必要なのは間違いありません。
派遣には期間が定められており、1ヵ月から2年の間が多く、最長でも3年と派遣法に定められています。そのため派遣期間が終了すると新しい仕事を派遣会社に斡旋してもらうか、自分で別の仕事を探す必要があります。
しかし、不安のもう一つの理由である仕事が減ることもあり、収入がより安定しなくなる可能性も高いのです。
40代になるとこのように収入が減る恐れもあり、貯蓄に回す余裕も少なくなっていきます。
この2つの理由から40代の派遣社員には不安を抱える人たちがいるのです。
40代派遣社員の貯蓄をシミュレーション
ここでは40代派遣社員の方がどのくらい貯金をできるのか正社員と比べながらシミュレーションしてみます。
40代・女性・独身という設定で計算をしていますが、あくまでも一つのシミュレーションなので、状況が違えば内容も変わります。
40代1ヶ月の平均出費
総務省統計局が行った「平成26年全国消費実態調査」によると40代独身女性の1ヶ月の平均支出は18万4千円です。
この支出も計算に入れてシミュレーションを進めていきます。
40代女性派遣社員の平均収入
40代の女性の平均収入を派遣社員と正社員に分けて確認します。
※派遣社員だけの独立した統計が無かったため非正規雇用のデータで比較します。またデータは平均年齢46.5歳となっていたため、そのまま40代の平均収入として扱います。
派遣社員の平均収入
派遣社員の平均時給は「はたらこねっとの職種別平均時給」によると2021年4月は1,437円でした。
8時間勤務で1時間休憩があると想定すると1日で10,059円(1,437円×7)となります。
これを週5勤務で計算をすると1週間で50,295円(10,059円×5)となり、月収は201,180円です。
休日の日数などによって変動はするので約18万円~20万円ほどになるでしょう。
さらに、ここから各種税金などが引かれると考えると手取り額が減ることになるのです。
正社員の平均収入
国税庁の「平成30年分民間給与実態統計調査結果について」によると40代女性正社員の平均年収は386万円になります。
上記と同じ方法で考えると、平均月収は32万2千円です。
非正規雇用の平均と比較すると年収では、386万円 - 154万円 = 232万円 の差があり、月収で考えても19万3千円ほど開きがあります。
毎月の手取り金額から40代独身女性の1ヶ月の平均支出額である18万4千円を差し引いて貯蓄ができるかを考えます。
派遣社員は貯蓄ができるか?
派遣社員の40代女性の平均月収は約20万円として支出を差し引いた金額を計算します。
20万円 - 18.4万円 = 1.6万円
ギリギリ支出分はまかなえていますが、十分な貯蓄をするとなるとかなり厳しい金額です。
急な支出が増える時もありますし必ずしも平均支出の金額に収まるかどうかわかりません。
毎月無理のない金額での積立をするのがいいでしょう。
正社員は貯蓄ができるか?
正社員の40代女性の平均月収は32万2千円です。
32.2万円 - 18.4万円 = 13.8万円
13万8千円ほど毎月余裕があるという計算になり、10万円以上は貯蓄に回せると考えられます。
派遣社員の場合、ゆとりがあるとはいえないので不安に感じる人が多くなるのです。
派遣社員を続ける上で不安点を無くすための対策
40代で派遣社員を続けていると紹介される仕事の数が減る、老後の貯蓄ができないといった理由から不安になります。
この不安を払拭するためにはどのようなことをすれば良いのか考えてみましょう。
40代以上の派遣社員に求められることを考える
まず自分に何を求められているかを考えましょう。求められるものを相手(派遣先企業と派遣会社)に提供できれば仕事にあぶれず収入を増やすことも不可能ではありません。
では40代以上の派遣社員に求められるものは何でしょう?
それは経験と資格です。
大切なのは両方そろっていることで、形だけ資格を持っていたとしても20代30代の若い人たちとの差別化がなかなかはかれません。
そのため持っている資格を活かした経験があるとさらに良いです。
40代以降でも仕事を紹介してもらうためにすべきこと
40代以上の派遣社員が求められるものが分ったところで、次は今後も仕事を紹介してもらうためにどうすればいいかを考えてみましょう。
すべきこと1:スキルアップを目指す
特に専門性のスキルがあるとなお良いです。
専門性のスキルが必要とされる仕事は年齢に関係なく給与も高い場合が多いです。
自分が持っているスキルを更に伸ばしたり、新しいジャンルの知識を蓄えたりしてみましょう。
この際に資格という形で証明ができると仮に実績が出せなくても採用に繋がりやすいです。
すべきこと2:高望みしすぎない
20代や30代が希望する条件と同じだと年齢重視で選ばれにくいことも多いので、条件で職種の幅を狭めすぎないことがおすすめです。
すべきこと3:採用者数が多い職種・業界を選択する
採用者数が多い、または入れ替わりが激しい職場だと採用されやすくなります。コールセンターや土日も業務がある職場が代表的です。
ただし、その代わり職場の環境が良くない可能性もあるので、長期間働くのが厳しい可能性もあります。
職種による向き不向きがはっきりと分かれるのが特徴です。
すべきこと4:複数の派遣会社に登録しておく
派遣会社は複数登録していても問題ありません。
またそれぞれの派遣会社により強い分野やコネクションが多い業界が異なります。
仕事の案件もそれぞれなので複数の会社に登録していると自分が希望する案件が見つけやすく、案件の数も増えるのでその分採用される確率をあげることが可能です。
40代以降も派遣会社から仕事を紹介してもらうためにやることは結構あります。
スキルアップに関しては各派遣会社で行なわれる研修に違いがあるため、ここでも複数の派遣会社に登録しておくことがおすすめです。
また派遣会社の研修は無料ではなく有料のものも含まれるため、その点も確認しておく必要があります。
貯蓄をするために必要なこととは?
派遣社員の収入だと毎月のゆとりが少なく、将来のために備えるのも難しいです。
しかし、それだからと言ってあきらめてしまうこともできません。老後も人生は続きます。
では、貯蓄をするためにできることは何なのでしょうか?
できること1:固定費の見直し
継続的に経費の削減に繋がる固定費を見直しするのは一番効果的と言えます。
例えばパソコンやスマートフォンの有料サービスで使用していないものがあれば解約しましょう。
特にこの2つは購入時に割引条件として様々な有料サービスを抱き合わせている場合があります。
そういったサービスは一定の期間解約できない決まりになっており、うっかり忘れて課金されているという場合もあるのです。
さらにスマートフォンで言えば、無料通話アプリが増えているので、定額制の通話プランを利用しているなら本当に定額制が必要か検討するのもおすすめです。
できること2:副業をする
柔軟な働き方ができる派遣の仕事だからこそ、その特性を活かして時間を有効活用して副業をすることもできます。
副業専門の紹介サイトなどもあるのでそこで探すのもいいですし、リスクを理解した上でFXなどの投資を検討するのも1つの方法です。
できること3:思い切って転職して正社員になる
転職して派遣から正社員になるという選択肢もあります。
中小企業なども視野に入れ、即戦力になること上手く採用担当者にアピールできれば決して不可能ではありません。
年齢的なハンデもあるので、あまり仕事を選り好みせずにまずは一度正社員になるということを目標として動くのがおすすめです。
なぜなら、派遣から正社員は採用時に不利になることがありますが、正社員から正社員であれば転職は少ししやすくなるからです。
また自分の経験を上手くアピールするために、今までのキャリアを掘り起こしてまとめておくといいでしょう。
固定費を見直すと言ってもこれ以上削れるところはないし、副業をしたくても時間が足りない、だから転職をしたいけど自信が無いという方におすすめしたいのが転職エージェントを利用した転職活動です。
転職エージェントを使って正社員への転職を狙うメリット
転職をする際に転職サイトに登録をする方は多いですが、転職エージェントは通常の転職サイトと異なる点があります。
最大の特徴は一人だけで転職活動をするか、サポートを受けながら転職活動をするかの違いです。
40代となり年齢的なアドバンテージが少なくなっている状況では、一人だけで転職活動をするよりもサポートを受けながらの方が負担を大きく減らして効率的に進めることが可能です。
それでは具体的に転職エージェントの特徴を確認してみましょう。
特徴1:求職者に合う仕事を紹介してくれる
求職者の要望を聞き、キャリアの棚卸しをして、どんな企業が合っているかを把握します。
その情報を基に求職者に合った求人を紹介してくれるので、入社してからの後悔が少ないです。
特徴2:非公開求人がある
転職エージェントには一般には公開していない非公開求人があります。
競合他社に求人をしていることを知られたくないなどの理由で非公開になっており、そのため掘り出しものの求人もあるのです。
特徴3:アピールの方法を教えてくれる
履歴書と職務経歴書のアピールの仕方を教えてくれたり、面接をしてくれたりと採用される確率を上げるためのテクニカルな面もサポートしてくれます。
転職を進める上でのサポートをしっかりしてくれるのが転職エージェントの特徴です。
特徴4:面接日時の調整や給与交渉もしてくれる
面接日時の調整をしてくれるので仕事をしながら転職活動をしやすいです。
また、給与の交渉は実際やりにくいですが、これも転職エージェントが代わりにしてくれます。
特徴5:無料で利用できる
特徴1から特徴5までのことをしてくれるのに無料で利用できます。
転職エージェントを利用するメリットとして、キャリアの棚卸しをしてくれることがあげられます。時には自分では当たり前すぎて気付かないストロングポイントを見つけてくれることもあり、とても頼りになる存在です
派遣社員40代はまだまだこれから
正社員に比べると収入面などで不安定な派遣社員。
そのため人生の折り返しとも言える40代になると、将来のことを考え不安になってしまいます。
何もしないと不安が増すばかりなので解消するために行動を起こしましょう。
いきなり転職とは行かなくても、まずは固定費の見直しなどできることから始めればいいのです。それに不安を感じるということは、将来を考えているということでもあり、生き続けたいという意志の表れとも言えます。
40代はまだまだこれからです、あきらめずにステップを踏んでいきましょう。
派遣社員から正社員への転職でおすすめのサービス
「派遣社員から正社員への転職は大変…」と悩んでいた方は通常の転職サイトではなくアドバイザーが付く転職サービスを利用するのがおすすめです。
通常の転職サイトでは自分で全ての管理をする必要がありますが、アドバイザーが付くサービスの場合は面接までのスケジュール・添削・年収交渉などをしてくれるため、転職活動の負担を大きく減らしながら進めることができるからです。
負担を減らすだけではなく効率的に進めることができるので、結果的に短期間での内定獲得に繋がります。
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また、転職をサポートしてくれるアドバイザーと相性が合う合わないという問題もあるため、なるべく一つの転職サービスだけではなく複数を利用することで客観的な判断がしやすくなります。
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