ある会社では派遣社員の入社が4名決まったのですが、入社直前になって2名がドタキャンになりました。普通ならありえないことですが、派遣会社からするとよくあることだとか。
ただ、ドタキャンの相手が派遣会社や派遣先だったら事態はどうなっていくのでしょうか。
本記事では派遣のドタキャンについて、ドタキャンしたらその後どうなるのか、どうしてもドタキャンする時の上手い言い訳、ドタキャンしないための対策などを紹介します。
派遣をドタキャンしたらどうなる?
もし派遣をドタキャンしたらどうなるのでしょうか。
たとえば顔合わせや職場見学が決まってから、もしくはその後にドタキャン。また就業が決まったのにも関わらず就業直前や就業初日のドタキャンをしたらなど色々あります。
ドタキャンした後の反応は怖いですが、実際は次の仕事が決まるまでは派遣会社の人と顔を合わせることはほぼないので、どんな影響があるのか疑問です。
では実際にドタキャン後はどうなるのか説明します。
ブラックリスト入りされ仕事を紹介してもらえない
ドタキャンした場合、まずはブラックリスト入りすることが考えられます。
「派遣会社にブラックリストなるものが存在するのか」という疑問がありますが、事実ブラックリストは存在するのです。
実は派遣社員一人一人には「評価表」というものがあり、派遣会社によって管理されています。
評価表では勤務態度から仕事ぶりまで何項目かに分けられていているため、当然悪いことをした人はその部分の評価が下がるわけです。
派遣会社によっては悪い評価の人だけを別途違うものにまとめて、評価表とは別にブラックリストたる書類を用意しているかもしれません。
基本的にブラックリスト入りした人は信用がないわけですから、今後仕事を紹介して貰えなくなります。
とは言え「あなたには仕事を紹介してあげられません」と言ってくるわけではなく、仕事紹介の電話やメールがなくなりフェードアウトされるといった感じなので、自分で察するしかないでしょう。
派遣のブラックリストについて詳しくは以下の記事を参考にしてください。
給料が入らない
派遣をドタキャンした場合は働いていないわけですから、当然給料が入りません。
ただし、例えば初日は出勤して翌日からドタキャンした場合、初日の給料だけは支給されます。
ただし、働いた分の給料は出るにしても、派遣会社の就業規則によっては懲戒処分になり減給されることもあり得るので注意が必要です。
減給処分について、労働基準法では以下のように定められています。
第91条 就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。(労働基準法 第91条)
上記のように、減額処分となった場合でも1回で半日分以上の給料を減らされることはなく、最高でも賃金総額の10%が減額の上限となっているのです。
しかし自分の都合でドタキャンしたはいいけど、その月の家賃が払えなくて大変なことになったという人もいますのでやはりドタキャンは良くないですね。
最悪損害賠償を請求されることもある
派遣社員の場合は最初に契約期間が決まっていて、それに同意したうえで採用されていますから、ドタキャンした場合は契約違反として最悪損害賠償を請求されることもあり得ます。
中には採用が決まった時に派遣会社の担当者から「急な辞退などは止めてください」などと念を押される人もいるでしょう。
それにも関わらずドタキャンし、派遣先にも派遣会社にも迷惑をかけるという行為に怒りが収まらずに訴えてくるという派遣会社も実際にあるので覚悟が必要です。
派遣会社からドタキャンされることもある
派遣のドタキャンは派遣社員がするものだと思っていると、実はそうとも限りません。
特に短期・単発の日雇い派遣では、派遣会社の方からドタキャンされることもあるのです。
実際に私の友人は3日間だけの短期派遣バイトをしましたが、2日目が終わった時に派遣会社から連絡が来て「残念なお知らせなのですが、先方の都合で明日の仕事はキャンセルになりました」と言われました。
友人は驚きのあまり派遣会社に「こんなことってあるのでしょうか」と聞いたら、「頻繁ではありませんが、たまにあります。今回は派遣の人数が多く、思った以上に作業が進んだようなので…申し訳ないです。」と言われたそうです。
このように、派遣先によっては作業工程次第でドタキャンして契約を打ち切ることもあるこということが分かりました。
派遣先によっては逆に最初からコストを下げるために3日間分の人数を採用せず、作業工程を見て人員を増員するかどうか決めるという会社もあるようです。
また、派遣先によっては就業日が来る前に仕事自体がドタキャンされることもあります。ただしその際は本来の就業日までの期間分を待期期間として給料を貰うことが可能です。
顔合わせや職場見学の前後にドタキャンしたい時の言い訳
ドタキャンするのは本来NGだし、ドタキャンしたらどうなるかも分かったけれど、それでもやっぱりドタキャンしたいということもあるかもしれません。
それなりにきちんとした理由があれば、派遣会社も納得してくれることもあるでしょう。
ここからは派遣の顔合わせや職場見学をドタキャンしたい時の言い訳を紹介します。
ドタキャンする際の注意点
どうしてもドタキャンをしないといけないとなった場合は、すぐに連絡をしましょう。
連絡はメールやLINEではなく電話で行い、行けなくなった理由を伝えましょう。
メールやLINEで連絡をすると気づいてもらえない可能性があり、直接に怒られるのが怖いからと電話を避けていたらもっと怒られることにもなりかねません。
また、ドタキャンの理由が寝坊であるケースなら、その理由を正直に話すのではなく「体調が悪くて起きられませんでした」といった風にしましょう。
体調不良
何と言っても無難な言い訳の王道は「体調不良」ですね。
体調不良と言われると、黒か白かは正直なところ分かりませんが、「疑うのも悪いな…」という気にもなってきます。
「昨日の夜中から熱があって…」「具合が悪いので病院に行きたいのですが…」などと言えば、派遣会社も病人に対して強くは出られないので「仕方ないですね…」と納得せざるを得ないでしょう。
ただ、「〇〇病になった」、「事故に遭った」などの大げさな嘘はばれやすく、話も合わせにくいですからやめた方が良いと思います。
家族の入院
自分自身の体調不良ではなくどたきゃん、家族の入院を言い訳にするのもありです。
ただ、今後違う会社の仕事紹介をお願いしたいのであればこの理由は控えた方が良いでしょう。
何故なら自分自身の体調不良ではない分、「この派遣先が嫌」ということは伝わらないので「では〇日後にずらしましょうか」などと延期を提案される場合もあるからです。
「本当はこの派遣先自体に興味がない」というのであれば、違う理由の方が良いでしょう。
逆に「同じ派遣会社からは仕事紹介をしてもらいたくない、もう派遣自体に興味がないからドタキャンしたかった」という場合はこの言い訳は使えます。
「家族の入院によって長期間の看病が必要になったので、復帰できそうになったらこちらから連絡します」と言えるからです。
会社の雰囲気が合わない
顔合わせや職場見学後であれば、会社の雰囲気が合わないという言い訳も納得してくれやすいです。
実際に顔合わせや職場見学に行ってみないと分からないことが沢山ありますよね。
「失礼だけど職場の空気が何となく恐かった」とか、「正社員が皆楽しくなさそうに働いているように見えた」、「対応してくれた上司の愛想が悪くて行きたくなくなった」など印象は色々あるでしょう。
担当者によっては、ただ会社の雰囲気が合わないというだけでなく、正直にこのような悪い印象だったことを言う方が納得してくれるかもしれません。しかし人によってはこちらがクレーマーだと受け取ることも考えられるので、「会社の雰囲気が合わないので…」というのが一番無難でしょう。
ただ「そんなことはありません。頑張ってみましょう。」と逆に背中を押してくるパターンも考えられますが、その時は頑張って合わないことを押し通しましょう。
他の転職活動の面接とかぶってしまった
他の転職活動の面接とかぶってしまったという言い訳も納得してくれやすいでしょう。
派遣に登録している人は、ただ純粋に派遣社員になりたい人だけがいるわけではありません。むしろ正社員など他に本命があるけど滑り止め感覚でとりあえず登録している人も沢山います。
派遣会社としても他の面接とかぶってしまったことによるドタキャンは、ある意味慣れているため「仕方ない…」と納得してくれるかもしれません。
使わない方が良い言い訳
ドタキャンに対しての言い訳にはさまざまなものがありますが、逆にこれは使わない方が良いというものもあります。
まず冠婚葬祭を言い訳に使うのは控えましょう。
突然の葬式があるかもしれませんが、通常はある程度は時間の余裕があるものです。
他には電車遅延なども遅延証明書を発行したりとできますし、確認も簡単なので避けましょう。
ドタキャン後はどうすれば良い?
ドタキャンは良くないことだと分かっていたけどやってしまった… という場合、その後の対応はどうすれば良いのでしょうか。
ドタキャン後のポイントは、その相手とまた信頼関係を築いていきたいか、それとも打ち切りたいかどちらかでしょう。以下で具体的に説明します。
しっかりと謝罪する
まずはドタキャンという失礼な行為をしたのだから、誠意を込めてしっかりと謝罪することが大事です。
謝罪もなく平気な顔でいられたら、怒りは倍増してしまうでしょう。
できるだけ早い段階で、日にちを開けずにすぐに謝罪した方が良いです。
また、その後も違う案件などで担当者に会うことになった場合は、その時にも相手の目を見てきちんと謝罪しましょう。
電話でも謝罪、会った時にも謝罪が基本です。
仕事に打ち込み信頼を取り戻す
派遣会社との雇用関係を続けていくのなら、ドタキャン後の仕事に対する姿勢で信頼を取り戻していきましょう。
仕事に真面目に取組み、分からないことや困った時には報告・相談を怠らないようにすることが大事です。
また、仕事に対して打ち込む姿勢を見せるために、自ら勉強するを見せて積極的に聞きに行ったり仕事をもらいに行くなどしてアピールすると良いでしょう。
信頼をなくした分、倍は働くつもりで頑張ることが必要です。
気まずいなら派遣会社の登録を解除する
ドタキャンしたことで派遣会社と気まずくなった場合は、登録の解除をするのも良いでしょう。
特に仕事を紹介されなくなり、メールなどでの連絡も来なくなった場合はブラックリストに載った可能性も高いので正直言って今後の仕事紹介も期待できません。
このまま派遣会社に登録しておいても意味がないので、この際登録解除を依頼しましょう。
登録の解除は電話を1本かけるだけですぐにできます。
違う派遣会社に登録する
ドタキャンした人の中には「派遣会社自体が嫌になった」という人もいるかもしれません。
そうなったら早めに次の仕事に就けるように、違う派遣会社に登録するのが良いでしょう。
実際に派遣会社は1つに絞らず、2つ以上の派遣会社に登録している人がほとんどです。
6社の派遣会社に登録している人もいますから、登録会社が多いのは珍しいことではありません。
早めに違う派遣会社に登録した方が当然早く仕事が紹介されますし、派遣会社によって扱う求人が違うので、良い条件の派遣先が見つかる可能性も高いでしょう。
また、同じ派遣会社を利用するにしても一度、ドタキャンをしてしまっているとブラックリストに入ってしまっている可能性もあります。
そうなるとこれまでの派遣会社から案件をもらうことはできなくなります。
派遣をドタキャンしないために気を付けること
私たちが派遣をドタキャンしないためには何に気を付ければ良いのでしょうか。
まずは「どんな時にドタキャンしたくなるのか」考えてみましょう。
何か条件で引っ掛かるところがあるといった場合や、顔合わせしてみた結果何だか嫌な感じがした、働き始めてみたら全く仕事についていけなかったなど、ドタキャンしたくもなる理由は沢山出てきませんか。
では、これらの理由でドタキャンにしないためには、具体的に何に気を付ければ良いのか見ていきましょう。
会社をしっかりと見極めてからエントリーを
まずはドタキャンしたくなるような会社を選ばないことが大事です。
気になる会社の情報をしっかりと担当者に聞き出し、求人情報からだけでなくインターネットからも情報を細かくキャッチすることが必要になります。
私は気になった会社のホームページや口コミをとことんチェックし、疑問を感じない状態でエントリーするようにしていました。
派遣会社の担当者に色々と質問すると分からないことは調べて折り返してくれるので、派遣会社を頼るのが良いでしょう。
迷いがある時はできるだけ早く、少なくとも前日までに結果を出す
もし条件などで何か迷うポイントがあるのなら、次のステップに進む前日までには結果を出しましょう。
また、迷いがあるなら止めるという自分の直感を信じるのもありです。
また、第三者に相談して意見を聞くのも良いでしょう。
日雇いなどの短期派遣バイトの場合は要注意
先程も取り挙げましたが、日雇いなど短期派遣バイトの場合は派遣会社からドタキャンされる側になるかもしれない覚悟が必要です。
仕事の日程が決まってからもドタキャンされることがありますので、それを承知で応募しましょう。
「何日後までに〇〇円稼がないといけない」などという窮地の場合は、日雇いなどの短期派遣のバイトはやめておいた方が良いかもしれません。
派遣のドタキャンはNG、しかし相手に反省の色を見せたら即切り替えを
今回はドタキャンについて説明しましたが、ここで簡単にポイントをまとめてみましょう。
- 派遣のドタキャンは基本的にNG
- ドタキャンしたら場合によっては制裁されるなど良いことはあまりない
- 日雇い派遣などの短期派遣の場合はドタキャンされる側になることもある
- ドタキャンしたら派遣会社が納得できる言い訳を用意
- ドタキャン後は謝罪と仕事ぶりで挽回するか派遣会社に見切りをつける
- ドタキャンしないためには、ドタキャンしそうな原因を理解し回避策を図る
上記項目はどれも大切ですが、一番大事なのは最後の2つ、「ドタキャン後はどうするか」と「ドタキャンしないための回避策」です。
ドタキャンしたら派遣会社に誠意を持って謝罪し、その後派遣会社との関係を保つなら仕事ぶりで努力を見せる、保たないなら即派遣会社を変えるなどの切り替えをすることが重要になってきます。
そして、派遣会社を切り替えた場合は心を入れ替えて、今後ドタキャンしないための回避策を実践し、ドタキャンとは無縁になるように頑張っていきましょう。