派遣の求人を見ていると「寮付き」の案件をついつい見てしまうという人も多いのではないでしょうか。
毎月の給料から貯金に回せる額というのはたかが知れていますが、家賃がかからないのであれば短期間でも大分お金が貯まりますからね。
ただ実際に寮暮らしをするとなると、考えなくてはいけないことが沢山あります。
とはいえ、家族で満足して住める条件が揃っているかどうか、気になりますよね。
そこで、今回のアンケートでは、カップル寮や家族寮に住んだことがある人を対象に、実際に暮らしてみた感想を聞いてみましたので、ご紹介します。
派遣社員の寮ってどんな感じ?
派遣社員の寮には、「自社寮」と「借り上げ社員寮」があります。
自社寮の場合は、派遣会社の所有物の寮であるため寮費が無料か、かかったとしても安く済むケースが多いでしょう。
一方、借り上げ社員寮では、派遣会社がマンションの一室などを借りているため、自社寮に比べると寮費が高くなることが考えられます。
できるだけ自社寮の方が経済的にはありがたいでしょう。
寮の広さ
派遣社員の寮の種類は、3種類ほどあります。
- 単身寮
- 集合寮
- 家族寮
単身寮の場合はワンルームであることが多く、通常のアパート生活と同じように、一部屋が寝室であり居間であるという完全個室タイプです。
部屋にキッチンやユニットバスがある場合もあるでしょう。アパートの階段や玄関ホールは共有スペースになっています。いわゆる一人暮らしに近い状態です。
一方集合寮の場合は、個室の他に共有で使う洗濯機や大浴場・食堂などの設備があり、その時間だけは部屋から出て、大勢の人たち時間を共有することになります。
家族寮は3DKであることが多く、居間の他に2部屋あり、居間にキッチンがあるタイプです。ワンルームに比べて十分な広さがあり、不満はなかったという声も沢山あります。
田舎にある
寮付きの案件は製造・工場系に最も多く、どれも田舎にあることがほとんどです。
そのため寮の他は何もないという立地が多く、「ちょっとコンビニに…」と気軽に外に出ることができません。
コンビニに行くのに平気で1時間かかるというケースも多いでしょう。
食事
食に関しては寮によって決まりがあります。
ワンルームで部屋にキッチンが完備されているのであれば、自炊するのが通常です。
しかし部屋にキッチンがない場合は、共同のキッチンを利用して自炊しなくてはいけません。
一方集合寮の場合は食堂があって、社員割引で食べられるというところもあれば、決まった時間になったら提供されるというケースも中にはあります。
トイレ・お風呂
自分の部屋にユニットバスが付いていない場合、トイレやお風呂は他の入居者と共同で使うことになるでしょう。
特に集合寮では大浴場があり、入浴時間も制限されている場合があります。
毎日共有するものなだけあって衛星管理はしっかりとされていて、頻繁に清掃業者がくることも多いようです。
バスルームが自室についているかどうか、寮の決まりをしっかり確認することが大事ですね。
家具・家電
寮によっては冷蔵庫やテレビ、エアコンなどが最初から備品として付いているところもあります。
古いか新しいかは別として、自分で買い揃える必要がないのは助かりますよね。
働いてから「まだレンジが来ない」というようなことがないので、生活に馴染みやすいでしょう。
Wi-Fiが無料
寮によってはWi-Fiが無料というところもあります。
動画も見放題で音楽も聴き放題だと、一人の時間も快適に過ごせるでしょう。
ただし中には「〇GBまで無料」と制限がある場合がありますので注意が必要です。
寮にかかるお金について
寮に入るにあたってどこまでが無料なのか、自己負担しなくてはいけない項目は何なのかが気になるところではないでしょうか。
ただ寮にかかる費用は求人によって異なるので、一概に「絶対にこうです」とは言えません。
ここからは寮にかかるお金について説明します。
初期費用、引っ越し代
寮の場合は敷金や礼金はかからないケースがほとんどです。
ただ引っ越し代については会社によってかかる金額が異なります。
私の友人は大手の自動車工場に派遣社員として出稼ぎに行きましたが、敷金・礼金はかからず、引っ越し代も全額負担で無料だったようです。
会社によっては配送業者の手配までしてくれるところもあるのでチェックしてみましょう。
寮費
寮費は無料という場合もあれば、一部会社が負担してくれるというケースも中にはあります。
全額自己負担のケースでは、寮費は月5万円以内であることが多いようです。
寮費で5万円かかるくらいなら、安いところで一人暮らしをした方が気楽な気がしますよね。
光熱費
光熱費は無料という会社もあれば、会社が一部を負担するというケースもあります。
ただ中には光熱費は全額自己負担というところもあります。
借り上げ社宅のような形の場合や、自社寮でもキッチンやトイレが完備されたアパートのような形の場合、電気などは自分で契約して支払わなければいけないというケースが多く、全額負担となっている場合が多いです。
ただ集合寮の場合、電気・ガス・水道を個人単位で算出するのが難しいので、あらかじめ光熱費を一定額にし毎月の給料から天引きしたり、すでに寮費に含まれているケースが多いです。
寮付きの案件が豊富な職種
派遣の場合、どんな仕事でも寮に住みたければ住めるというわけではありません。
寮を利用できるのは「寮つき」「寮完備」の案件に限られ、職種もかなり限られてきます。
寮付きの案件が豊富な職種は以下の3つです。
- 製造業などの工場系
- 軽作業などの倉庫系
- 物流・運搬系
以下で仕事内容を説明しましょう。
製造業などの工場系
製造業などの工場系の仕事内容の一例を見てみましょう。
- ブースのパーツ組立
- スマホなど電子機器の接合
- 半導体の組み立て
- 機械のメンテナンス
製造業は、各パーツを組み合わせていき、製品を完成させるまでの工程に関わる仕事です。
軽作業などの倉庫系
軽作業などの倉庫系の仕事内容の一例を見てみましょう。
- 倉庫内で部品の出し入れ・在庫管理
- 自動車部品のピッキング
- 製品に混入物や不良品がないか検査・検品
- シール・ラベル貼り
- 食品を指定の段ボールに梱包
- 飲料水を各スーパーごとに仕分ける
軽作業などの倉庫系では、一つの単純作業を何百回と行います。
物流・運搬系
物流・運搬系の仕事内容の一例を見てみましょう。
- クレーン・玉掛け
- フォークリフトオペレーター
- 引越し作業補助
- 食品の運送
- 什器の搬入
物流・運搬系では、重量物をクレーンで積み込む作業など、免許がないとできない仕事も多いです。
派遣の寮についてのQ&A
派遣の寮について種類や設備など説明してきましたが、実際に引っ越すとなるともっと沢山の疑問が湧いてくることでしょう。
部屋を借りる際には保証人が必要なのか、住民票は変えた方がいいのかなど、まだまだ情報が必要ですよね。
ここからは、派遣の寮についてよくある質問について答えていきます。
寮に住む時に保証人は必要?
通常は賃貸物件を借りるにあたって保証人が必要ですよね。
しかし寮に住む場合、保証人は必要ありません。
なぜなら働くことが前提ですし、給料から天引きで寮費等を引かれるので、就業中は家賃を滞納するということは考えにくいからです。
住民票は移す必要がある?
引っ越しをした場合、住民票は移さないといけません。
それは住民基本台帳法という法律によって定められているからです。
お住まいの市区町村で、行政サービスを確実に受けられるようにするため、入学・就職・転勤等に伴う引越し等により住所を移した方は、速やかに住民票の住所変更の届出を行って下さい。
(法律上の義務です。正当な理由がなく届出をしない場合、5万円以下の過料に処されることがあります。)(引用:総務省「住民票の住所変更について」)
住民票を移さないでいると運転免許証の更新ができなかったり、印鑑証明など各種証明書類の発行をしてもらえなくなります。
他にも様々なトラブルが発生する恐れがあるので、引っ越しをする際には各区役所にて転入出届をして住民票を移しましょう。
なお転入届は引っ越しをした日から14日以内に、引っ越し先の区役所にて手続きをする必要があります。
住民税はどうなる?
住民税はその地域の自治体に支払う義務があるので、転居した翌年からは新住所の自治体に支払わなければいけません。
派遣社員の住民税は、給料から天引きされている場合と、されていないケースがあり派遣会社によって異なります。
給与から天引きされている場合は自分で納付する必要はありませんが、給与から天引きされていない人は、納付書が郵送されてきますので、自分で納付しましょう。
派遣社員で確定申告が必要な場合は?副業・交通費・やり方など疑問点を要チェック
寮に引っ越した後に自分でする住所変更手続き
寮に引っ越した後に自分でする住所変更手続きには以下のようなものが挙げられます。
- 郵便局
- クレジットカード会社
- 加入している保険会社
- 携帯電話などの通信会社
- 利用登録している各WEBサイト上のマイページの住所変更など
転居すると何かと住所変更の手続きが多くなりますが、忘れないうちにまとめて済ませてしまいましょう。
解雇された場合は強制退去させられる?
派遣社員が解雇された場合でも、寮を借りている間は借地借家法が適用されますので、強制退去させられることは認められません。
(参考:借地借家法第26条、28条)
第26条
建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の一年前から六月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする。
第28条
建物の賃貸人による第26条第1項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。
上記のように、貸主は6カ月前に契約終了を通知することが必要だったり、正当な自由があると認められない限りは強制退去させることができないようになっています。
そもそも派遣社員にはあらかじめ契約期間が定められているので、もしも派遣社員の勤務態度不良などで解雇となった場合でも、原則として契約期間途中で切られることはなく、契約期間満了後に契約終了となるのが通常です。
会社が解雇を行う場合、30日前には解雇予告をしないといけないことになっているので、「すぐにでも荷物をまとめて出て行け」などと言われることはありません。
もしあったとしたら不当解雇にあたり、派遣社員は慰謝料などを請求することが可能です。
ただ、解雇ではなく退職となった場合は、派遣会社との契約内容によって〇日以内に退去をするというような規定があるはずですので、それに従いましょう。
ちなみに会社が解雇予告を行わないで解雇する場合は、日数に応じて派遣社員に解雇予告手当を支払う必要があります。(参考:厚生労働省「派遣契約の中途解除に伴い派遣労働者を安易に解雇しないでください」)
派遣の寮生活の口コミ
派遣の寮について知識を深めてきましたが、派遣の寮生活はどんな感じなのでしょうか。
イメージするだけでは本当のことは分からないので、実際に寮生活を体験した人の声を聞くのが一番ですね。
ここでは実際の寮生活を体験した人の口コミを見ていきましょう。
良い口コミ
良い口コミから見ていきましょう。
(33歳・女性)
家族3人で利用しました。部屋は3DKで割と綺麗な方でした。家具付きなので子供が壊したらどうしようと不安でしたが、経済的には有難かったです。
女性限定の寮だったので安心して入寮できました。意外に周りの人たちと仲良くなれたので楽しかったです。
Wi-Fiが使えたので非常に快適だった。ゲームしまくり、動画見放題。
生活費がとても安かった。寮費は無料だし、工場までの送迎もあって交通費もなし。ほとんど貯金に回せた。部屋は狭いけどそれ以上に稼げたの良かった。
派遣仲間と寮で話してきた。こういうの憧れてたから楽しいなー
— なつ@リゾバ (@rizoba1) July 20, 2018
悪い口コミ
寮は共有スペースが特に汚いし、虫が出る。トイレ汚いとか最悪。
衛生管理がされていないので汚い。若者が夜中に騒いでうるさくて眠れなかった。
家族寮でしたが、建物がかなり古くいので地震が来た時はかなり揺れて怖かったです。家電も古くて変色していました。
生活費は安いけどその代わりに我慢することも多い。部屋は狭いし周囲と馴染めなくて人間関係が辛かった。食堂と風呂が一番嫌だった。
派遣会社が送ってくる寮の写真って大体はベストの時なので、それより汚いのはほぼ確実だと思いますw
— RYOTARO ODA (@FreeS_Traveler) May 9, 2019
寮生活を考えるなら条件をよく吟味しよう
今回は派遣社員の寮生活について説明しました。
集合寮は生活費が安く済む変わりに周囲との距離が近く、人間関係に行き詰まるという声もありましたね。
寮によっては家具や家電付きだったり、寮費が無料、交通費も無料といった場合があるので、求人情報をよく読んで、他と比べて条件の良いところを探すのが大事です。
また、寮に住むことはこれまでの生活を一変させることになりますから、入寮してから後悔のないように、信頼できる派遣会社で決めると良いでしょう。