派遣社員が部署異動させられるのって違法?拒否できる?断ると辞めさせられる?

派遣社員の働き方

以前私の友人が、派遣先の職場で部署異動をしたと言っていました。

当時の私には「その会社はブラックだ」としか思えませんでしたが、実は派遣社員でも部署異動をすることはあり得ますし、違法とは限りません。

本記事では派遣社員の部署異動について、どのような場合に部署異動が可能なのか、それによるメリットや例外などについて詳しく説明します。

派遣社員を部署異動させることについて

派遣社員は部署異動を命じられることは基本的にありません。

もしも派遣先から「4月から〇〇課へ異動してほしい」などと会社都合で命じられた場合は、すぐに返事をせずに派遣元に確認する必要があります。

契約期間中に一方的に派遣社員を部署異動させることはできない

会社側の一方的な派遣社員の部署異動は、原則禁止となっています。

理由としては、部署異動することによって契約書に記載されている内容と違いが生じることになり、契約違反となる為です。

派遣として労働契約を結ぶ際、以下の事項についてあらかじめ定めなければなりません(派遣法26条1項及び則22条)。

派遣法第26条(一部抜粋)

労働者派遣契約(当事者の一方が相手方に対し労働者派遣をすることを約する契約をいう。以下同じ。)の当事者は、厚生労働省令で定めるところにより、当該労働者派遣契約の締結に際し、次に掲げる事項を定めるとともに、その内容の差異に応じて派遣労働者の人数を定めなければならない。

  1. 派遣労働者が従事する業務の内容
  2. 派遣労働者が労働者派遣に係る労働に従事する事業所の名称及び所在地その他派遣就業の場所並びに組織単位
  3. 労働者派遣の役務の提供を受ける者のために、就業中の派遣労働者を直接指揮命令する者に関する事項
  4. 労働者派遣の期間及び派遣就業をする日

部署異動となれば、業務の内容、組織、直属の上司(指揮命令者)、場合によっては勤務場所も変わります。

当然派遣契約と違う内容となってしまい、派遣先は労働者派遣契約の定めに反することの内容にしなければならないという派遣法第39条に違反することになります。

そもそも派遣先企業には、派遣社員の異動を命じる権限はありません。

あくまで派遣先企業は指揮命令することができるのであって、配置をどうこうすることはできないのです。

派遣会社も派遣社員に対して一方的に異動を命じることはできない

派遣社員と雇用契約を結んでいる派遣会社にも、派遣社員の合意なしに一方的に異動させることはできません。

先ほども述べたように、派遣社員は雇用の段階で業務内容、指揮命令者などを明示した上で雇用契約を結びます。

結んだ契約に対して、派遣会社が一方的にそれを破棄して違うことを強いるなんてことは認められないのです。

これは派遣会社に限ったことではありません。

たとえ正社員であっても、地域を限定しているにも関わらず一方的に転勤を命じたり、業務を限定しているにもかかわらず異動させて全く違う仕事をさせるというのは労働契約法違反となります。

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派遣社員の合意があれば部署異動も可能

では部署異動が可能となるのは、どういった時でしょうか。

それは派遣先の会社、派遣会社、そして異動の対象となっている派遣社員の全てが合意した場合です。

異動は基本的に派遣先の会社が望むことですし、派遣会社は派遣先企業と派遣社員の意志に任せることになりますから、結局のところ派遣社員本人が合意すれば、異動は可能となるわけです。

ただし、すでに結ばれている労働契約と相違が生じるわけですから、何もせずにそのまま異動とできるわけではありません。

派遣契約の変更、もしくは派遣契約を破棄した上での再契約を行い、正しい契約の元で働くことができるようにしなければいけないのです。

常用型派遣の場合は例外、会社の指示で異動となるケースもある

上記はあくまで通常の登録型派遣の場合であり、常用型派遣の場合は例外です。

常用型派遣は、一般的な登録型派遣とは違って派遣会社の契約社員・正社員として雇用されています。

契約内容も職種、勤務地が限定されないケースが多いです。

その為。派遣会社の指示によって動かなくてはいけません。

派遣先企業を選べず、通常の正社員と同じように会社の指示によって異動となるケースもあるのです。

例えば無期雇用派遣でA社で事務を6年している人が、突然会社の指示でB社に1年異動し、再度会社の指示でC社に3年働く、ということもあり得ます。

派遣先を選べない、転勤もあり得るというのが無期雇用派遣や常用型派遣のデメリットでもあるでしょう。

参考:派遣の無期雇用になりたい人は6割。転換条件や注意点について。

参考:常用型派遣とは?仕組みや正社員と無期雇用派遣の違い、給料体系やボーナスの有無など。

派遣社員にとって部署異動のメリットは?

部署異動は仕事内容が変わるなど人によってはデメリットもありますから、拒否したい場合はしても問題ありません。

ただメリットがないというわけではなく、もし異動先に不満がないのであれば、その異動に合意するというのも一つの手です。

雇用主は変わらないので有給が引き継げる

派遣社員は、部署異動をしたところで雇用主(派遣会社)は変わりません。

有給が残っている場合でも、派遣会社との雇用は継続しているため、引き継ぐことが可能です。

また、雇用主が変わらないので、保険証などの公的なものを再発行する必要も特にありません。

福利厚生に関しては変わらず引き継げるのがメリットの一つです。

もちろん異動を断り、またすぐに違う派遣先を紹介してもらっても同じことではありますが。

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抵触日がリセットされ3年以上同じ会社で働ける

派遣には派遣法により「抵触日」というものがあります。

抵触日は派遣先企業と派遣社員のどちらにもあるもので、派遣先企業の場合、派遣社員を受け入れられる最長期間の3年を過ぎる最初の日のことを言います。(3年と1日目)

一方派遣社員の場合は、一つの部署で3年以上働くことができないと定められていて、抵触日は派遣先と同じく3年と1日目を指します。

しかし抵触日は「同じ部署で3年間」という決まりですから、部署を異動することによってリセットされ、さらに3年間働くことが可能になるのです。

業務が変わる場合は時給アップが期待できることも

部署異動することで、これまでの業務と大幅に内容が変わるというケースは多いでしょう。

部署によって仕事内容や進め方も大きく違いますよね。

そのため、これまでの時給の査定をし直すケースも多く、業務内容によっては時給が高くなることもあります。

ですから、部署異動のタイミングで派遣会社に時給アップの交渉をするのがおすすめです。

特に3年以上同じ会社にいる場合は、これまでの経験やスキルを加味して時給アップする可能性も高いでしょう。

実際に時給アップの交渉をした派遣社員の方が、何も交渉しない人よりも昇給している割合が多いのです。

派遣社員にとって部署異動は時給アップのチャンスと思っても良いかもしれません。

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部署異動を断ったら辞めさせられる?

もし派遣先の会社が部署異動を希望しているにも関わらず断った場合はどうなるでしょうか。

まず契約期間内での突然の解雇はありません。そんな理由での解雇は不当解雇です。

しかし、次回の更新タイミングで更新してもらえずに契約満了となるケースがほとんどでしょう。

派遣先企業が異動を申し出るということは、今いる部署には人が足りていて、逆に違う部署には人が足りていないということです。

にもかかわらず更新するなんてことはよっぽどありません。契約満了とし、違う部署でまた別の派遣社員に来てもらうという判断になります。

派遣社員としては「異動」の話がでた時点で、異動するか、違う派遣先を探すかの2択になるわけです。今いる部署でずっと働き続けるという選択肢はほとんどありません。

これは有期雇用である派遣社員の辛いところですね。

一方的な部署異動は受け入れる必要なし

今回は派遣社員の部署異動について説明しました。

ここまでの記事をまとめてみましょう。

まとめ

  • 派遣社員の合意がない部署異動はできない
  • 派遣先企業に配置転換の権利はない
  • 派遣社員が合意すれば、契約内容の変更や結び直しで部署異動も可能
  • 常用型派遣の場合は例外で、会社指示の部署異動もあり得る
  • 部署異動によるメリットは、有給の引継ぎができることと、3年間以上同じ会社で働けるようになること、時給アップが期待できること

部署異動に関しては、最初に交わす契約をよく確認することが大事です。

もし部署異動ありの契約だった場合は、人事異動を命じられた際に従わなくてはいけません。

新たな職場に慣れるまでは大変ですが、せっかくなので時給交渉を行ってみると良いでしょう。