そもそも派遣社員は長期休暇をとれるのか
派遣社員でも夏季休暇のような長期休暇をとることは可能です。派遣社員の長期休暇は、1つのパターンに分けることができます。
1つ目は、派遣先企業に準ずる長期休暇をとる場合です。派遣先企業の就業カレンダーで長期休暇が決められている場合に、派遣社員も正社員と同様に長期休暇を取ることができます。
しかし、派遣社員は正社員と異なり時給制であるため、有給を利用する以外の休暇は全て無給になります。
2つ目は、年次有給休暇を利用し、長期休暇を確保する場合です。
実は、派遣社員でも有給を取得することができます。法律で、雇用形態にかかわらず、雇い入れの日から6か月在籍し、6か月出勤率が8割以上であれば、1週間のあたりの所得労働日数に応じて付与年次有給休暇を付与しなければならないと定められています。(厚生労働省:年次有給休暇の付与日数について)
しかし、派遣先の企業が夏季休暇などの場合は有給は利用できません。
このように派遣社員が夏季休暇をとる方法は2つのパターンがあります。
有給を利用して夏季休暇をとる場合に、派遣会社によって年次有給制度によって違いがあるのかをみていきましょう。
派遣会社別の有給取得制度規定
3つの大手派遣会社の有給習得制度を見ていきます。
スタッフサービス
- 有給休暇は起算日より6ヶ月経過した時点で取得することができるようになる
- 有給休暇の有効期限は、取得資格発生後2年間
- 有給休暇の申請をする場合は、事前に派遣先に有給を取ることを伝え、原則7日前までにスタッフサービスwebサイトのマイページから連絡
- 一度にとれる休暇日数に決まりはない
テンプスタッフ
- 就業開始から6ヶ月継続して勤務した場合、勤務日数に応じた休暇を付与
- 以後は継続勤務年数一年ごとに有給休暇を付与
- 有給休暇の有効期限は2年間
- 契約のない期間が連続して1ヶ月に達した場合は、有給休暇に関する資格は消滅
- 有給休暇は「全日」「半日」の2種類の取得が可能
- 事前に派遣先に休暇取得の許可を得てから、テンプスタッフwebサイトのMYページから有給申請(翌日末までの申請が可能)
PASONA(パソナ)
- 勤務開始日から6ヶ月継続して勤務した時点で、その間の勤務日数に応じて所定の日数が付与
- 雇用契約が結ばれていない期間が1ヶ月に達した場合は、継続勤務とはならないため、復職した時点から改めて計算しなおす
- 半日単位(0.5日)での年次有給休暇の取得が可能
- 特別有給休暇制度がある※1
- パソナwebサイトのMYPAGEから有給申請
※1 契約終了後1年以内に再就労となった方を対象に、前契約終了時点で未使用の年次有給休暇残日数相当分(上限10日)を再就労の契約開始日に付与する制度
最近は有給申請をネットで行うことができる派遣会社がほとんど
このように大手派遣会社のほとんどは、有給申請をネットだけで完結できる仕組みになっています。また、有給を取得できる条件はどの派遣会社も法律に準ずる形で、6ヶ月継続して勤務した場合に発生します。近年、テンプスタッフや、パソナのように半日単位の年次有給休暇の取得を可能とする派遣会社も増えてきました。
有給を利用して長期休暇を取得する方法
有給を申請する場合の流れについてみていきましょう。
- 休みたい日、日数を決める
- 派遣先の担当者に、有給休暇を取得したい日や日数を伝える
- 派遣先と有給休暇取得の日程調整
- 派遣会社に有給を申請する
- 現場の関係者に伝える(少なくとも2週間前を目安に)
有給の申請はできるだけ早めに行うのが好ましいです。何日前までに申請しなければならないかは会社によって異なるため、登録されている派遣会社の担当者に確認しておきましょう。
有給を利用して長期休暇を取れない場合
有給を申請しても希望の日程で通らなかったり、申請自体ができない場合もあります。それはどのような時に起こるのでしょうか。
雇入れの日から6カ月間継続勤務、その間の全労働日の8割以上出勤していない
これの規定は法律で定められているため、上記の条件に満たない場合は有給を取得することはできません。
有給をすべて使いきっている
有給をすべて使いきっている場合は、申請しても通ることありません。また、有給をすべて消化しきった後に休む場合は、無給で、欠勤扱いになります。そのため、有給休暇の利用は計画的に行いましょう。
有給を取らせてもらえない
有給休暇の申請を雇用側が拒否することは労働基準法によって禁じられています。そのため、基本的に労働者から有給を申請されれば会社は拒否することはできません。
勤務後から6カ月が経過している場合、5日の取得が義務化されており、違反した場合は雇用元の会社に、労働者一人ごとに罰金が生じます。
派遣会社や派遣先に有給休暇の取得を拒否された場合には、労働基準監督署に証拠をもって相談をしにいくとよいでしょう。
しかし、会社側は時季変更権(労働基準法第39条第5項)を持っており、期と重なるなどの事情で希望が通らず日程変更を要求されることもあります。
有給を取ることは可能ですが有給を取得したい日に確実に有給をとることができない可能性もあります。
派遣社員の場合は、派遣会社が時季変更権を持っているため、派遣先が日程変更を指示してきた場合は派遣会社に相談しましょう。
長期休暇を取る時の注意点
では実際に有給を利用し、長期休暇を取る前、長期休暇を取ったあとに注意すべき点についてみていきましょう。
有給を取得できない場合がある
有給は労働義務のある日についてのみ請求できます。そのため、土日、祝日、企業の夏季休暇期間など、有給を取得するまでもなく休日となっている日に有給を取得することはできません。
長期休暇を取ることを報告
同僚や上司、取引先などに長期休暇を取ることを報告しておくと、トラブルを回避することができます。
休暇前に担当業務を終わらせ、引継ぎ作業や情報共有を行う
長期休暇中に代わりに業務を行う同僚に、資料の置き場所や取引先の情報などの必要な情報共有をしておきます。そして、自分の担当業務を終わらせ、他の方に迷惑をかけないようにしましょう。
復帰後はお礼やを菓子折りを渡すなど感謝を伝える
職場の人と良い関係を気づくためにも、長期休暇中に仕事を担当してくれた同僚に謝罪と感謝の気持ち伝えましょう。菓子折りを渡す場合は謝罪と感謝の意を伝えた後に渡します。
派遣社員も長期休暇を取ることができるが、気配りが大切
派遣社員でも夏季休暇を取る方法が2パターンありました。有給を利用して夏季休暇を取る場合は、自分が有給を利用できる条件にあるのかを派遣会社に確認するとよいです。
そして、実際に夏季休暇を取る場合は、休暇を取る前には、同僚に情報共有をする、休暇後はお礼を言うなどをおこない、今後の勤務状況に支障が出ないようにしましょう。