派遣先でのパワハラ事例やそれを理由に辞めたい時の対応。相談する?訴える?労災をもらう?

派遣社員の悩み

近年「○○ハラスメント」という言葉をよく耳にしますが、派遣社員の中には派遣先で「パワハラ」を受けて辞めたくなってしまった人も少なからずいます。

実際に私も、そして私の友人も派遣先でパワハラにあって悩んでいました。

ただ、どこまでがパワハラに該当するのか、その線引きが自分の中でも明確ではない人も多いのではないでしょうか。

本記事では、派遣社員に起こり得る「派遣先でのパワハラ」について、パワハラの種類や具体的な事例を挙げていきます。

そしてパワハラ被害にあった人はどんな対応をすべきなのか、派遣先に損害賠償や労災を請求できるのかなど法律を絡めて紹介しますので、ぜひ参考にして下さいね。

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※1 2020年5月

パワハラとは?種類や具体的な事例

厚生労働省では、パワハラについて以下のように述べています。

職場のパワーハラスメントとは、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」と定義をしました。(参考:厚生労働省「職場のパワーハラスメントについて」

上記のように、パワハラは「パワー・ハラスメント」のことで、上司と部下など、立場が上の人から下の人に対して行われる精神的・身体的苦痛を与える行為や職場環境を悪化させる行為を指します。

パワハラは他人の前で行われることも多く、周囲の人にも気づかれやすいものなのです。

パワハラには6種類あると言われていますので、具体的に見ていきましょう。

身体的な攻撃

身体的な攻撃は言葉通り、暴行や傷害などのことです。

例えば仕事をミスした派遣社員に対して、派遣先の上司が怒って物を投げつけてきたり、肩をドン押すなどすればパワハラに該当します。

精神的な攻撃

精神的な攻撃は「脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言」が当てはまります。

私の派遣先で実際にあったのが、ミスをした人に対して上司が皆の前で「お前みたいな頭の悪い奴はクビだ。次やったらここにいられないぞ。」と怒鳴っていました。

脅迫とも受け取れますし、ひどい暴言ですよね。

人間関係からの切り離し

人間関係からの切り離しは「隔離・仲間外し・無視」が当てはまります。

派遣先の会社の中には、正社員が派遣社員を差別し見下すようなところも実際にあり、私の友人の派遣先では派遣社員にも配るべき必要書類を配ってくれず「派遣社員は自ら気づいて言わないと配ってやらない」と言って笑う正社員がいたそうです。

このように、派遣社員だけ仲間外れにするような差別行為はパワハラになります。

私の友人は会うたびに「派遣社員は肩身が狭すぎてもう嫌。」といつも言っていました。

過大な要求

過大な要求は「業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害」が当てはまります。

私の派遣先の上司は「今月の成績が最低で役員に合わせる顔がない」と怒り、通常3日で仕上げる仕事の量を「全員残業してでも今日中にここまでは絶対終わらせろ」と命令してきました。

これはまさに過大な要求と言えるでしょう。

過少な要求

過少な要求は「業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや、仕事を与えないこと」が当てはまります。

私の派遣先でミスをした人は、上司に怒鳴られ「こいつには一切書類を触らせるな」と全員に命じ、怒られた人は勤続年数も長い人だったのですが、その日はいつも通りの仕事が与えられず、書類に一切触れられず、ひたすら雑用など派遣社員の手伝いをしていました。

個の侵害

個の侵害は「私的なことに過度に立ち入ること」が当てはまります。

例えば私の友人は、派遣先の上司に気に入られてしまったために携帯の番号を聞かれ、プライべートで私的なメールが沢山届き、誰にも相談できずに悩んでいました。

仕事から帰ってきたら「今日も頑張っていたね。」とメールが届き、休みの日には予定を聞かれて、かと言って拒否もできずにいたのです。

これは明らかなパワハラ行為ですよね。

要するに、先輩だから、上司だからといって、その立場を利用して立場が下の人を嫌な気持ちにさせるというのは立派なパワハラになるのですね。

パワハラで訴えると損害賠償してもらえる?

パワハラを受けて身体的にも精神的にも苦痛を味わった人は、そう簡単に加害者を許せませんよね。

パワハラを理由に相手を訴え、損害賠償を請求した場合、裁判には勝てるのでしょうか。

「損害賠償」とは加害者に請求できる賠償金全部のことをまとめた言い方で、損害賠償の中には「治療費、入院費、通院交通費、慰謝料、休業補償、修理費用」などが含まれます。

実際に損害賠償が認められた事例を挙げてみましょう。

ある派遣先の上司が派遣社員のミスに怒り「殺すぞ」などとひどい暴言を吐き、派遣社員の車を傷つけたという件で、派遣社員が上司に対し損害賠償を請求しました。判定では、その派遣先が「派遣社員に対する言葉遣いの指導や教育を行っていなかった」とされ、認められたのです。

この事例を聞くと、派遣社員がパワハラを受けた場合、意外に勝てるのではないかという気にもなりますよね。

損害賠償請求するにあたっては、派遣先でのパワハラの証拠や、精神的苦痛が証明できるような医師の診断書があれば良いでしょう。

パワハラは労災認定される?

結果から言うと、パワハラは労災保険に認定されることがあります。

労災と聞くと、通勤時や仕事中の怪我のイメージが強く、例えばビルを建設している現場の人が仕事中に高い位置から落下してしまい怪我を負うなど、大きな事故を想像しやすいのではないでしょうか。

しかし、業務上の理由からの病気も労災に該当します。

例えば、職場での精神的な苦痛によってメンタルヘルスが健康ではなくなってしまい、精神障害から通院が必要になってしまったなどの場合です。

実際に通院して病名がついているようであれば医師の診断書をもらっておくなどして、証拠集めをしておきましょう。

厚生労働省では以下のように述べています。

職場のパワーハラスメントによる強いストレスを受け、うつ病等の精神障害を発症した場合は、認定条件を満たせば労災補償の対象となることがあります。(参考:厚生労働省「相談窓口のご案内メンタルヘルスに関する相談について」

上記の通り、労災補償の対象になるには認定条件を満たす必要がありますが、事細かな判断基準がありますので、該当するかどうかを自分で確認しておく必要があるでしょう。詳しくは厚生労働省のページを確認して下さい。(参考:厚生労働省「精神障害の認定労災」

労災保険の給付を受けるには、労働基準監督署長に行って申請して、書類を提出し、認定されるという流れになります。

まずは、労働基準監督署長に行って「労働者労働災害保険請求書」をもらいましょう。

請求書には第5、7、8号の用紙があり、第5号の用紙は医療機関の記入欄がありますので病院に依頼する必要があります。

残りの7、8号用紙は「労働者労働災害保険請求書」と一緒に提出して下さい。

ただ、この請求書には派遣先企業の証明欄があり、その派遣先の押印が必要です。しかし実際のところ、パワハラを認める派遣先は少ないでしょう。

もし派遣先の押印が難しいようであれば、この欄は空白にしておいても、相当の理由があれば受理されます。

ただ、せっかく申請しても労災として認定されないこともあるかもしれません。

しかし、派遣先が「労災を隠していた」とされるケースもあり、その際は派遣先に厳重な処分が下されることもありますので、申請する価値はあるでしょう。

派遣先のパワハラで辞めたい時の対応

派遣先でパワハラにあってしまったら、辞めたいと思うのは当然です。

私もそうでしたが、仕事自体に悩んでいるわけではないのに会社に行くのが嫌になってしまいますよね。

身体的、精神的に苦痛を感じているのに、無理して続ける必要はありません。

実際に私の友人も、パワハラが原因で結局派遣先を変えていました。

ここからは、派遣先のパワハラで辞めたいと思った時の対応について説明します。

本当にパワハラに該当するか確認する

まずは今悩んでいる問題が、本当にパワハラに該当するかを確認しましょう。

特に、上司の言動がパワハラなのか、ただの注意なのかは間違いやすいところでもあります。

例えば、パワハラだと認められない例として、販売職の派遣社員が会社の実績を知らなかったことに対し、上司から「そのくらいは把握しておいて」と全社員の前で注意された場合でも、それはパワハラにはなりません。

また、業務を訂正するように上司から言われていたのに何日経ってもやらない派遣社員が叱責を受けたという場合も、パワハラには該当しないのです。

このように、業務上必要な指導の範囲内に行われるものに関してはパワハラにはならないので注意しましょう。

もし自分が悩んでいる問題がパワハラなのか分からない時は、友人や知人など周りの人から第三者的な意見を聞くのも良いですね。

証拠を残す

パワハラを受けた場合に一番大事なのは、証拠を残すことです。

パワハラだと思われる内容をテープレコーダーや携帯電話の録音アプリなどを利用して録音するのが良いでしょう。

また、パワハラの内容を詳細にメモに残すのも大事です。

厚生労働省では、パワハラを受けた証拠として以下の点を伝えられるようにと呼び掛けています。

(参考:厚生労働省「あかるい職場応応援団」

  • パワハラだと感じたことが起こった日時
  • どこで起こったのか
  • どのようなことを言われたのか、強要されたのか
  • 誰に言われたのか、強要されたのか
  • そのとき、誰がみていたか

上記の項目をしっかりと記録しておけば、パワハラの事実が証明できる要素になるでしょう。

相談する

パワハラは一人で抱え込むのではなく、相談して解決するしか方法はありません。

パワハラを受けた際の相談先を何個か挙げていきましょう。

  1. 派遣会社
  2. 総合労働相談コーナー(労働局)
  3. みんなの人権110番(全国共通相談ダイヤル)
  4. 日本司法支援センター「法テラス」など

まずは、派遣会社の相談窓口を利用するのが一つの方法です。

派遣の就業ルールブックにも相談窓口の記載がありますし、派遣会社のホームページでも確認することができます。

ただ、派遣先の会社をよく立てているような派遣会社だと、言いにくいですし力になってもらえるか分かりませんよね。実際に私の友人は派遣会社には言えませんでした。

そのような時は2番目以降の「総合労働相談コーナー」や「みんなの人権110番」に相談しましょう。人権110番の相談員は法務局職員や人権擁護委員などで、秘密は厳守されます。

また、法テラスなどで弁護士や司法書士に相談するのも一つの手段です。

法テラスは事前予約制となっていて、1回の相談時間は30分くらいで3回まで無料で相談できます。

ただし利用するには条件があり、例えば相談者が1人の場合、手取り月収額の基準が18万2,000円以下(賞与を含めると20万200円以下)の人などと決まっているようですので確認が必要です。

派遣先を変える

パワハラが起こるような派遣先であれば、変えてもらいましょう。

ただ、派遣会社に辞める理由を言わなければいけないので、何を理由にするかを考える必要がありますね。

また、原則として契約期間途中での退職は認められないので、次の更新までの間、なんとか有給を使って会社を休むなど手立てが必要になるでしょう。

派遣会社を変える

派遣会社に相談しても全然力になってくれそうにない場合、派遣会社自体を変えた方が良いでしょう。

実際にパワハラに向き合ってくれない、派遣先との関係悪化を避けたいという気持ちが非常に強いという派遣会社もあります。

派遣会社に頼れないようでは、今後同じように問題のある派遣先に出会ってもきっと力になってくれないでしょうから、派遣会社自体を変えましょう。

パワハラが辛いなら早めの行動を

今回は派遣先でのパワハラについて、具体的な例や損害賠償請求、パワハラの対応などについても説明しました。

実際に私も派遣先のパワハラに悩んだことがありますし、私の友人も悩んでいたくらいなので、派遣社員がパワハラに悩んでいるケースは意外に多いのでしょう。

ただ、誰にも何も言えず一人で悩んで病気になってしまっては、今後仕事をすることさえできなくなるかもしれませんので、それだけは避けたいところですよね。

誰かにパワハラを受けていると相談することを「恥ずかしい」と思ってしまう気持ちも分かりますが、自分の健康と将来を守ることが一番大事です。

パワハラで辛い思いをしているのであれば、放っておかずに自分のために早めの行動をとりましょう。

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