大学就職率における正社員と非正規労働者の比率は? 3年以内なら再就職も目指しやすい

派遣社員の基礎知識

大学生の就職率は高い水準を維持していますが、必ずしも正社員として就職しているわけではありません。

就職した方の正社員と非正規労働者の比率と、それぞれのメリット・デメリットを知っておくと、就職活動中や就職した後のキャリアプランを考える参考となるでしょう。

懸命に就職活動をして内定を得た企業でも、働きはじめると自分に合わないので辞めたいと考える可能性があります。

大卒3年以内に離職する方はどれくらいいるのか、就職してから短期間で離職した場合の再就職についてなどもまとめてみました。

大学就職率について

文部科学省が厚生労働省と共同で行った「平成31年大学等卒業者及び高校卒業者の就職状況調査」によると、大学生の就職希望者に対する就職率(平成31年4月1日現在)は97.6%です。

前年同期から0.4ポイント低下しましたが、調査開始以来2番目に高い数値であることから、高い水準を維持していると言えます。

国公立大学と私立大学別に就職率を見ると、国公立大学は97.3%、私立大学は97.7%と大きな差はありませんが、就職希望率は国公立大学55.3%、私立大学86.3%と大きな差が見られます。

就職率 就職希望率
国公立大学 97.30% 55.30%
私立大学 97.70% 86.30%

文部科学省が実施した「令和元年度学校基本調査」では、大学卒業者全体に占める就職率と、就職者の正規雇用と非正規雇用の割合を知ることができます。

平成31年3月に大学を卒業した方の就職率は78.0%、そのうち正規の職員・従業員、自営業主は75.3%、フルタイムの派遣社員や契約社員といった非正規職員は2.8%です。

学校調査では正社員、自営業主、フルタイムの派遣社員と契約社員を就職者として扱っていますが、卒業後にパートやアルバイトといった一時的な仕事に就いた方の割合も公表されていて、大学を卒業した方の1.4%がパートやアルバイトに就いています。

資格取得や教員採用を目指すといった就職準備をする方は卒業者全体の3.3%います。

参考:平成30年度大学等卒業者の就職状況調査(4月1日現在)-文部科学省

正規雇用と非正規雇用はどちらが良いのか

大学を卒業した方の80%弱は正規雇用・非正規雇用のいずれかで就職できていて、そのうちの約75%は正規雇用されていますが、3%弱は非正規雇用を選んで就職しています。

就職を希望する方は安定を求めて正社員を希望する方が多いと予想されますが、新卒で正規雇用されるのが難しい状況になった場合、非正規雇用で経験を積むべきか正規雇用を目指して就職活動を続けるべきか悩むでしょう。

働き方を考える際、雇用形態のメリットとデメリットを把握しておくと、長期的な視点から自身にとって良い選択をしやすくなるので、それぞれの特徴を比較検討することをおすすめします。

正規雇用の特徴

正規雇用のメリット

正社員は安定した収入を得ることができるのが最大の特長です。

月給が安定していることに加え、賞与や退職金、インセンティブなども支給されるので、非正規雇用よりも高い年収と退職後の備えを得ることが可能です。

勤続年数や能力に応じて基本給アップも期待できます。

ボーナス以外の手当、バースデー休暇といった休暇制度、保養施設をお得に利用できるといった会社独自の福利厚生を受けられるのも正規雇用のメリットでしょう。(会社によっては独自の福利厚生が非正規雇用の方にも適用されるケースがあります。)

それなりの安定継続収入と非正規雇用よりも雇用の安定が保証されているので社会的信用度が高く、ローンを組む際やクレジットカードを作る際の審査で有利となる傾向があります。

業務の幅が広く、責任のある仕事を任されることも多い正社員は、やりがいのある仕事をしながらキャリアアップの機会も多く、資格取得のための費用を補助してもらえることもあるので、スキルアップも期待できます。

正規雇用のデメリット

地域限定正社員でなければ転勤の可能性があります。

転勤がなくても異動で仕事が変わる可能性があるので、特定の仕事を極めてスキルアップしていきたい、一つの部署でキャリアアップしていきたいと考える方は、キャリアプランを立てるのが難しく感じることもあるでしょう。

多くの人と幅広い仕事に携わるほどたくさんの経験を積めると考えて転勤や異動を前向きにとらえることもできますが、希望の勤務地で働くことや一つの仕事を続けることにこだわりがある場合、面接や採用時に企業に確認して条件をすり合わせしておくと良いでしょう。

時給で働く非正規労働者と違い、残業や休日出勤しなければならない場合があることも正社員のデメリットです。

プライベートも充実させたい方の中には、労働時間が読める非正規雇用の方が魅力的に感じる方もいるでしょう。

非正規雇用の特徴

文部科学省の「学校調査」ではフルタイムの派遣社員と契約社員を非正規雇用と見なしてパートやアルバイトと分けていましたが、いずれも正規雇用ではない雇用形態であることは共通なので、ここでは全て非正規雇用として紹介します。

派遣社員、契約社員、パート・アルバイトは、希望した労働時間や勤務地で働けるのは共通していますが、働き方やどこと雇用契約を結んでいるかなどが異なります。

派遣社員は登録した派遣会社から紹介された企業へ派遣されて働きます。

派遣先企業ではなく派遣会社と雇用契約を結ぶので、給与の支払い、社会保険の加入、福利厚生の適用などは派遣会社が担当します。

契約社員は、就業先と直接雇用契約を結びます。

給与は時給制の他に、月給制や年俸制の場合もあります。派遣も契約も雇用期間が定められています。

パート・アルバイトよりも時給が高く設定されているので、パート・アルバイトよりも効率的に稼ぐことができる点も共通しています。

非正規雇用のメリットとデメリット

パート・アルバイトは派遣や契約社員よりも短い時間での勤務が可能なので、趣味やスキルアップのための学習時間を確保しやすいのがメリットです。

派遣や契約社員よりも時給が安いことが多いので、ある程度の収入を得るためには長時間働かなくてはならず厳しい面がありますが、時給が安い分、未経験者可の求人も多いので、興味のある仕事に挑戦しやすいです。

いずれの雇用形態でも、非正規雇用は正社員よりも業務が限定されること、基本的に残業なしで働けることから、プレッシャーやストレスを感じにくいですが、業務が限定的な分、身につくスキルも限られるので、正社員ほどのスキルアップは期待できないでしょう。

また、非正規雇用に任せる仕事の中には体力仕事もあるので、高齢になるとできる仕事を見つけるのが難しくなる可能性があります。

そして、正社員よりも休暇(シフト調整がしやすい)が取りやすく、時給や日給であるため出勤日や労働時間により収入が安定しないなど、長期的に見ると正社員との給与に差が生じるので、プライベートの時間を確保することよりも安定継続収入を得ることを優先したい方には、正規雇用のメリットの方が大きいでしょう。

正規雇用職員の離職率

非正規雇用と比較すると正規雇用の方が雇用と収入が安定しているので、安定を求める方は正社員として働くことを希望するでしょう。

しかし、新卒で入社してから3年以内に離職する方がそれなりにいることが厚生労働省の「新規学卒就職者の就業状況(平成27年3月卒業者の状況)」で知ることができます。

離職率の高い企業や業界についても公表されています。

※「新規学卒就職者の就業状況(平成27年3月卒業者の状況)」は、生年月日が平成5年4月1日以前で平成27年3月1日から平成27年6月30日までに新規学卒として雇用保険に加入した方を平成27年3月新規学卒就職者、このうち平成27年3月1日から平成30年3月31日までに離職した方を離職者と見なし、離職率=離職者÷新規学卒就職者としています。

事業所規模 3年以内の離職率
1,000人以上 24.20%
500~999人 29.60%
100~499人 31.90%
30~99人 39.00%
5~29人 49.30%
5人未満 57.00%

参考:新規学卒就職者の離職状況(平成27年3月卒業者の状況)を公表します-厚生労働省

企業規模別に離職率を見ていくと、企業規模の小さい企業ほど離職率が高いことが分かります。

「2015年版中小企業白書」でも、大企業・中小企業ともに離職率はわずかに減少していますが、中小企業は大企業と比較すると離職率は依然として高く、新卒で入社した方の半数近くが3年以内に離職していることが記されています。

また、「新規学卒就職者の就業状況(平成27年3月卒業者の状況)」によると、新規大卒就職者の31.8%(前年比-0.4ポイント)が就職後3年以内に離職しています。

中小企業は経営資源が限られているので、限られた資源を費やして確保した人材の定着は重要な課題とされ、企業側も「賃金の向上」や「雇用の安定化」といった対策に取り組んだことが、離職率の低下につながったと考えられます。

業界別に新規大卒就職者3年以内の離職率を見ていくと、下の表のような結果になりました。

事業所規模 3年以内の離職率
宿泊業・飲食サービス業 49.70%
教育・学習支援業 29.60%
生活関連サービス業・娯楽業 45.00%
医療、福祉 37.80%
小売業 37.70%

参考:新規学卒就職者の離職状況(平成27年3月卒業者の状況)を公表します-厚生労働省

離職率の高い業界は労働時間が長い、業務量や仕事の大変さの割に給与が安い、体力的に厳しい仕事が多い、一般消費者と直接関わるのでストレスが溜まりやすいといった特徴が挙げられます。

ただし、人と関わることが好きな方であれば接客によるストレスは感じにくいこと、飲食業のように経験を積めば独立を見込める業界もあることなどから、離職率が高い傾向にある業界に新卒で正社員として入社したとしても、適正のある方やキャリアプランが明確な方であれば、離職の心配はそこまでないでしょう。

20代前半であれば比較的再就職しやすい

転職は新卒と違い経歴が重視されて入社後3年以内の離職は不利になるのではと心配な方もいるかもしれませんが、大卒で正社員として雇用された方の約30%は3年以内に離職しています。

大学卒業後に就職した方の2.8%は派遣社員や契約社員、大卒者全体の1.4%はパートやアルバイトとして就職していますが、将来への備えや今後のキャリアを考えて非正規雇用の方が正社員を目指す可能性もあるので、20代の既卒の方が再就職を目指すことは十分考えられます。

そこで、厚生労働省では大学をはじめ大学院、短大、高専、専修学校の学生やこれらの学校を卒業した方を対象とした「新卒応援ハローワーク」、正社員就職を目指す若者を対象とした「若者向けハローワーク」、就職や転職に関する質問や相談に電話(平日17:00~22:00、土・日、祝日10:00~22:00)とメール(24時間)で対応してもらえる厚生労働省の業務委託事業「おしごとアドバイザー」など、様々な雇用対策をしているので、20代既卒の方の再就職をサポートする環境は整っているでしょう。

離職率の高い企業や業界では、基本給アップ、労働者に興味のある仕事や責任のある仕事を割り当てるなどの対策で人材確保のための努力をしています。

20代の第ニ新卒や既卒、フリーターの方向けの就職・転職サイトもあるので、既卒での就職活動でも自身が働きたいと思える会社は見つかるでしょう。

入社後3年以内の離職者には経歴よりもポテンシャルを評価してくれる企業は多いので、未経験の業種・職種で正社員として就職できる可能性があります。

新卒で入社したけれど、思っていたようなやりがいを感じられない、ストレスを強く感じる、人間関係に悩み誰から見ても身体に異変(小さなハゲ、肥満、顔色が悪いなど)が出てきたときは、転職を考え、気持ちを前向きにするのも良い方法です。心も身体も健康でなければ、仕事をすることができませんから、自分自身とよく向き合ってみることが大切です。